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第20話 魔界編 愛 ⑤

青龍は家を出ると炎帝の手を握り締めた 「僕の家へやっとお連れできます」 そこへ夏生が家から出て来た 「炎帝、僕はお気入りの湖に浮かんで来ます!」 と、白鳥に姿を変えると飛んでいった お気入りの湖…青龍の家の前の湖だ 炎帝はスワンを見送り…天馬に乗った 「青龍…」 「行きますか?」 炎帝は頷いた 青龍は風馬に乗ると走り出した 金龍の家から然程遠くない所に青龍の家は建っていた 家に着くと青龍は風馬から降り、炎帝の側に行った 炎帝に手を差し出し 「炎帝、僕の家です!」と言った 天馬の背から降りると…炎帝は青龍の手を取った 青龍は炎帝を連れて自宅へと入る 黒龍に管理を頼んでいるだけあって、管理は行き届いていた 玄関のドアを開け、炎帝を招き入れる 炎帝は…カーテンもしてない大きな窓の外に目をやった そこにはキラキラと蒼く揺らめく湖が映っていた その湖にスワンが気持ち良さそうに泳いでいた 何時も…あの湖の向こうから…見ていた 青龍の部屋を想い見ていた どんな部屋なんだろう… 青龍が妻と住んでる…家を…何時も…見ていた 実際は…妻とは住んではいなかった 窓の側に行き じっと外を見る炎帝を背後から抱き締めた 「炎帝、愛してます」 「青龍…」 「不安ですか? 信じられませんか?」 「不安…はない」 「なら、信じられませんか?」 「そうじゃない…」 青龍は炎帝を自分の方へ向けた 覗き込む瞳は…愛する…男の瞳だった 「何時も…岸辺から見ていた…」 「ええ。知ってますよ だから僕は何時も…ピアノを弾いていませんでしたか?」 大きな硝子のはまったサンルームの中央には…真っ白なピアノがドテンと置かれていた その他の家具は…見当たらない 「家具は…君が見繕って入れれば良いです 君の家になるんですからね それまでは…なくても…困りませんよね?」 この家は君のモノですから、好きな家具を入れ暮らしなさい と、言われたも同然の台詞だった 「青龍は…知ってたのか?」 湖の向こうから…青龍を見ていた炎帝の存在を… 「ええ。知ってますよ 君は…兄さん達と仲が良かったから…それで来ているのかと…想ってました まさか…自分を見ていたなんて知らなかった 「青龍を見ていた…」 「これからも僕だけ見ていて下さい」 「青龍しか見ない…」 「この場で押し倒してしまいたい台詞ですね」 青龍は苦笑する 「さぁ炎帝、寝室に行きましょう」 青龍の寝室に… 炎帝の足は…ガクガク震えた そんな炎帝を抱き締め、寝室へと向かう 寝室のドアを開けると、青龍は炎帝を抱き上げた 「え?青龍…」 「奥さん、ベッドにお連れします」 カッと頬を染め…炎帝は青龍の胸に顔を擦り寄せる 青龍は優しくベッドの上に炎帝を置くと、その上に重なった そして息も付かぬ…接吻を送る 「……んっ…ぁ…あぁ…ん…」 炎帝の口から甘い…喘ぎが漏れた 寝室の窓もカーテンはなくて 湖が一望出来ていた 大きな1枚ガラスが…湖を写し出していた 青龍は炎帝を強く抱き締め 「炎帝をこの部屋に連れて来たかった…」と言い接吻を深くした 「オレも…お前の家に…来たかった…」 炎帝は魘された様に言葉にした 「何度も…このベッドへ誘おうかと…想いました」 炎帝の服を脱がせ…愛撫する 炎帝の指が…青龍の服を脱がせる 「青龍…青龍…」 炎帝は青龍の服を脱がすと…露になった肌を舐めた 「君を想って…このベッドで一人でしました」 炎帝は…え?……と顔を上げ青龍を見た 「湖の芝生で君を抱き…君を想って… このベッドで何度も…一人で…しました 君をこのベッドで抱きたい…そう想い…何度も果てた…」 「嘘…」 「嘘じゃないですよ」 青龍は炎帝の手を自分の股間に導き… その掌に、熱く滾った肉棒を握らせた 炎帝の手の中で、ドクッン…ドクッンと脈打つ…肉棒があった 「炎帝を想って…一人でしたのは…結婚する前から… 湖にいる君の姿を見ながら…何度もしました」 青龍はそう言い…炎帝に語った 炎帝の姿を見つけ…ピアノの前で曲を贈る 炎帝にだけ聴かせる曲を奏で… 寝室で炎帝を想い…一人で自分を扱いだ その時の方が…誰かを抱くよりも興奮して…イケた 以来…誰かと寝るのは止めた…と。 炎帝は手の中の…青龍の性器に唇を落とした チュッとキスを落とし…口に咥えた ペロペロと炎帝が青龍の肉棒を舐める 「僕は…炎帝にしか興奮しなかったみたいで…妻と結婚式を上げた夜… 新婚旅行先のベッドで…妻のアソコを見せられましたけど…興奮はしませんでした 勃起すらしない…抱く気もおきない そんな時…君が…僕の腕の中に落ちて来た 僕は君の匂いに…その体躯に…発情しました 止まれなくて…何度も君を抱いた 君しか欲しくなかった 君にしか…勃起しなかった 結婚する少し前から…君を抱いていましたから… 妻に振り向く事なんて…なかった 妻と呼ばれた存在は… 一度も…この家で暮らす事なく…僕と別居となりました 誰もいない部屋で僕は…君を想って…一人でしてました お酒を飲んで…朝までピアノを弾き… 自慰に励んでました…」 青龍の……想いが語られる 青龍の結婚生活が… 青龍の口から…語られた 青龍は炎帝の顔を上げさせ 瞳を見つめた 「誰も抱かなかったと言えば…嘘になります」 炎帝はその台詞を静かに聞いていた 「ですが…誰にも…君を想って一人でする以上の興奮は得られなかった 欲しい…と想えなかった… すると…去って行く 僕の流した浮き名は…こんな感じです」 「青龍…何故今…それを?」 「君は総て話してくれました 僕が話さねば不誠実な恋人のまま 僕は18の成人でこの湖にこの家を構えました その時から…君を見て…君で自慰をしていました その時の…興奮が…誰を抱いても…味わえない それどころか…冷めて行くのです 萎えて…勃起すらしなくなる そんな男は誰でも御免でしょ?」 炎帝の手の中の… 青龍は硬く脈打ち…ビクンッビクンッ震えていた 「僕は…君でなくては…興奮しないのです」 炎帝の手に自分の手を重ね 扱いて行く 昔…やっていた自慰を炎帝に見せる様に… 青龍は激しく自分の性器を炎帝の手ごと擦り上げた 「炎帝…炎帝…」 青龍は魘された様に炎帝の名を呼び… 目を瞑った そして青龍の腹筋が引き締まると… ドビュッ…と白濁を撒き散らした 青龍ははぁ…はぁ…と腹筋を震わせ 「僕が性的興奮を覚えたのは…12の時… 君が寝惚けて…黒龍のベッドと僕のベッドと間違えて潜り込んで来た時… 僕は…君の寝顔を見ながら…生まれ初めてオナニーをしました 君の寝顔を見ながら、君の匂いを嗅ぎながら…僕は生まれ初めて射精したのです」 こんな…嬉しい話… 今聞かされたら… 泣けてしまうじゃないか… 炎帝は青龍の肉棒を握り締めたまま… 顔を埋め…泣いた 信じられない でも、青龍は嘘はつかない 青龍は恋人に誠実な…男だから 嬉しくて… また青龍を愛して止まなくなる 何処まで愛させれば良いんだよ! 炎帝は、浮き名を流して…恋人を渡り歩く青龍を見ていた その青龍が誰にも本気にならずに… 炎帝を想って自慰をしていた…何て聞かされたら… もぉ…なにも言えなくなる それどころか…愛が募る 青龍は炎帝の顔を上げ、体躯を起こした 自分の下に組み敷き、のし掛かる 炎帝のお尻の穴に触れると… そこは戦慄いて…震えていた 青龍の指を…意図も簡単に飲み込み それじゃあ…足らないと催促するかのように…咀嚼が止まらない 青龍は精液と愛液で濡れた肉棒を炎帝の秘孔の入り口に擦り付けると 穴を解した 「愛してます炎帝…昔も今も… 僕の瞳には…君しか映りません」 青龍はそう言い炎帝の首筋に顔を埋めた 愛する…恋い焦がれた男の臭いがする 日向の暖かな臭いが…炎帝の臭いだ 青龍は炎帝のお尻の穴に自分の肉棒を潜り込ませ 静かに身を埋めて行った 繋がる穴を…その目で見つめ 挿入する 炎帝の蕾が開き花を咲かせる様に綻び、赤く熟れて…青龍を飲み込む パクパク…美味しそうに咀嚼する穴が愛しい 青龍は結合部分を指でなぞった 「ゃ…青龍…ダメぇ…あ…ぁぁ…」 腰が勝手に揺れる 青龍を飲み込み…締め付け…揺れる 炎帝は青龍に腕を伸ばした 青龍は炎帝に接吻すると… 青龍の首に炎帝の腕が巻き付いた 隙間もなく青龍を抱き締める 離したくない 離れたくない そんな想いが二人を激しく追い詰める 青龍も激しく腰を使い炎帝を抱き締めた 「……炎帝…炎帝…僕の炎帝…イキます…」 青龍はそう言い炎帝の中に精液を流し込んだ ドクッン…ドクッン…と 脈打つたびに…溢れ出る精液を絞り取るかの様に、炎帝の腸壁が蠢く 「炎帝、愛してます」 「オレも…青龍お前だけを愛してる」 「こんな男でも?」 「お前しか愛せねぇ… お前が誰も愛してなくて良かった」 炎帝はそう言い笑った 炎帝の中の青龍が嵩を増し…震えた 「僕の愛した存在が…君で良かった」 過去を話せば…嫌われるかも… そんな想いが青龍にもあった だが魔界で…共に在るのなら…嘘偽りのない自分を見せるのが…誠意だと思った それで嫌われるなら…仕方がない 縛って…閉じ込めて…愛してくれなくても飼えば良い そんな想いもあった 何もかも話してくれた…炎帝に誠実に… 僕も全部吐き出さねば… と言う想いもあった 「炎帝…足りません…」 炎帝の中の青龍が限界を訴える 青龍は炎帝を抱き締めたまま、くるん…と引っくり返ると 炎帝を上に乗せた 青龍を咥えたまま…上に乗せられ 炎帝の体重で…青龍を食い込んで行く 「…ゃ…深くなる…ぁん…ゃ…青龍…青龍…」 炎帝は青龍に抱き着いた 「僕をイカせて…」 掠れた声が炎帝を唆す 「君が腰を揺すって、僕をイカせて…」 動かない男は…焦らして… 脳神経まで食い荒らし… 甘い睦言で炎帝を懐柔する 炎帝は腰を使って…青龍に快感を与えた じれったい…快感 決定的な動きをはぐらかした動きに 時々、青龍は下から炎帝を、突き上げた 「青龍…青龍…イカせてぇ…んっ…ねが…」 哀願され…誘われる 青龍は炎帝の腰を両手で押さえると ガシガシと腰を揺すった 青龍の上で炎帝の体躯が…揺れて舞う 髪を振り乱して…仰け反る首に…青龍は噛み付いた そして肩に噛み付くと…炎帝の中に全部吐き出した 噛みつかれた痛みと…快感が…襲う 痛みに怯むと…気絶しそうな快感が襲う 痛みを快感に変換して…体躯が快感を貪る はぁ…はぁ…と荒い息遣いが…部屋にこだまする 隙間もなく抱き合う二人に… 湖のスワンが祝福するかの様に…羽ばたいていた キラキラと水飛沫を上げ スワンは羽ばたいていた 炎帝…我が主… 貴方の幸せを…誰よりも祈ってます スワンは嬉しくて… 堪らなかった 愛し合った後は怠くて…腕一本…動かすのも億劫で炎帝は青龍に縋り着いた 「無理させましたか?」 炎帝にはまだまだ遣らねばならぬ事が… 沢山あった 魔界大集会を目前にして…無理はさせられない 解っている 解っているが… 止まれない 理性も焼き切れ…限界を迎える 炎帝に話したい事も…一杯あった 炎帝の知らぬ、青龍の時間 炎帝を想い…一人で自慰をする姿など 想像もしないだろう 誰を手にしても…興奮する所か…冷めて行く 炎帝を抱きたい… そんな想いで…湖にいる炎帝を想い… 頭の中で犯した 何度も…何度も…頭の中で犯して行く 現実と…空想と… 区別が付かなかった 炎帝を手にした時… 止まれなかった 誰の手も着いてないと知ると感激した 感激し炎帝を欲望の限りで犯した 自分は炎帝にとって…不誠実な…男だと…解っていても… 湖に来る炎帝を抱き続けた 湖以外の場所で炎帝を抱きたい… 想っていても…誘えはしなかった この場所しか…炎帝は手に入らない… そう思っていた 炎帝の気紛れ… 炎帝が青龍など相手にする筈などない… 青龍はそう思っていた 人気者の炎帝 青龍は魔界の問題児を…取り締まる役目だった 青龍が注意する時…炎帝は嫌な顔を青龍に向けた 青龍の方こそ… 炎帝に好かれているとは想ってはいなかった だけど、あの湖の前でなら… この手に…炎帝を抱いても…許されるのなら… あの湖で… 炎帝を抱き続けるしかなかった それで、炎帝が手に入るのなら… 青龍は場所を変える…事を諦めた どんなカタチでも良い 炎帝に触れれるなら… それで良い それこそが青龍の望みであり 願いだった 「僕は…君に好かれている自覚は有りませんでした…」 「え?」 「君は人気者でモテていた… 僕は堅物で…君を取り締まっていた 君は…何時も嫌そうな顔を僕に向けていましたね」 「青龍…」 「炎帝の気紛れ…僕に抱かれるのは… 炎帝の気紛れ…だと想っていました」 「オレは人気なんてねぇ! 魔界の鼻摘み者だ…自覚はある 青龍…おめぇに…怒られるたびに…オレは… おめぇに…嫌われたんじゃねぇかって… 不安だった…嫌そうな顔じゃねぇ… あれは…不安で泣きそうだったんだ…」 「ええ。今なら解りますよ」 青龍は炎帝を抱き締めた 「でもね炎帝、本当に君は人気者なんですよ? 君を狙ってる輩は数知れず…って父も言いませんでしたか?」 「知らねぇもんよー オレに近付く奴なんていねぇからよぉ…」 炎帝は何時も黒龍や地龍、赤龍や朱雀達に囲まれていた 炎帝と話をしたくても…取り巻きがそれを許しはしない そしてトドメは閻魔 閻魔は溺愛する弟を守り続け… 不用意な輩など、排除し続けて来た その弊害が… 出ているのを炎帝本人は…知らない 「青龍…ずっとお前が好きだった」 「黒龍は知ってたの?」 炎帝は頷いた 「赤龍も?」 「知らねぇよ! オレがおめぇを好きなのを知ってるのは… 兄 雷帝と黒龍のみだ!」 「そうでしたか…」 「黒龍は知ってて…応援し続けてくれた…」 「僕は…黒龍と炎帝とデキていると言う噂を聞きましたが?」 「それねぇ…黒龍は…好きな奴がいる」 「誰?」 「…我が母…天照大神…だ!」 「え!!!嘘…」 「黒龍は最初、我が兄の友達だった」 「何で…仲良くなったの?」 「兄と三人で遊ぶようちに…仲良くなったんだ」 「今は…閻魔よりも仲が良いですよね?」 「黒龍はオレの片想いを知っていた 応援してやると…側にいてくれた」 炎帝の片想い… 黒龍の弟の青龍を思う炎帝を、守って…応援して来たのは…黒龍だ 「炎帝…」 「あんだよ?」 「炎帝と青龍でいる僕達は…壊滅的に…会話と情報量が少ないですね」 「………だな。 青龍の事、知れて…嬉しい…」 「僕も君にやっと教えれて…良かったです」 「青龍は不器用な男でしたから…」 想っていても…声すらかけられなかった 「炎帝も…視野が狭めぇ…奴だと…やっとこさ解った」 「君に嫌われてたくなくて…動けなかった」 「オレもお前に嫌われてたくなくて、動けなかった」 「本当に不器用なカップルですね でも見失わなくて…本当に良かった」 「…青龍を手離さなくて…良かった」 「僕は…君以外の妻など要りません この家で…暮らして下さい!」 「青龍…ずっといて…オレを離さすな!」 青龍は炎帝を抱き締めた 炎帝も青龍の背を抱き締めた 「オレしか愛さなかったなんて…聞かれされたら…もぉ…止まれねぇ!」 「止まらなくて良いですよ 君しか興奮しなかったのは本当の事です」 本当に… 愛しい男だ 炎帝は青龍を抱き締め… 魘された様に愛してる…と言い続けた 青龍も魘された様に炎帝に愛してる…と言い続けた 互いを抱き締め… 名残惜しそうに体躯を離した 「青龍、オレは魔界を一掃するぜ!」 立ち上がり、湖を見つめ青龍に言う 青龍は炎帝の背を抱き締め 「ええ。暴走するなら僕はこの命を懸けて止めてあげます! ですから何処までも行きなさい!」 全裸のまま…抱き合うカップルがいた スワンはそれを見ていた 「スワン、行くぜ!待ってろ!」 炎帝が言うとスワンはクワッと鳴いた 浴室まで行き、青龍は炎帝の体躯を洗う 中も、外も洗って磨き上げて行く 炎帝も青龍を洗い、二人して湯に浸かった 人の世で…して来た事を炎帝にする 炎帝の支度を整えた後に自分の支度もして 「炎帝、この家には…食べ物は…ありませんよ?」 と、現実を告げた 「なら、閻魔の家に行って食うとするか!」 と、悪戯っ子みたいに笑った

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