25 / 60

第25話 魔界編 礎

黄泉の湖から戻って炎帝は精力的に動いた 絶対に失敗は許さない! と言う気迫が周りにいるモノを緊張させた 魔界の中心に在る広間に、炎帝は立っていた 妖炎を立ち上げ不敵に嗤う姿は絶対の存在だった 「炎帝様、ステージはこんな感じでどうですか!」 問われ、炎帝はニカッと笑った 「おおお!上出来だ!!」 「炎帝様、絨毯は如何しますか?」 「要らねぇよ!オレ等は特別な存在じゃねぇからよぉ!」 炎帝の指示の元 着々と進められる 最初は炎帝を怖がってた者達も、炎帝を知れば、従った その笑顔に…炎帝を誤解していのか? 改めて知る炎帝は誰よりも現場を良く見て 的確に指示を出していた 皆、炎帝の号令の元、寸分違う事なく動いていた 魔界の熱気が温度を上げる 暑い位に汗ばむ程の熱気に包まれながらも、作業は進む 炎帝の号令の元、寸分違わぬものを創って行く 皆 近来まれに見る真摯な仕事ぶりで、作業をしていた 温度の異常な上昇に、炎帝は苦笑した 暑い…皆の熱気と炎帝の熱気で魔界の温度を確実に上げていた 「おぉい!休憩すんぞ!」 炎帝が休憩の合図をすると、作業をしていた者は一斉に手を止め、炎帝の方へと駆け寄った 「おい、誰か飲み物持ってこい!」 そう言い炎帝は地面に座る 青龍もその横に座り、気取らぬ雰囲気が親近感を醸し出していた 赤龍や黒龍も駆け付け、休憩にありつこうとする 朱雀も「おい!俺も入れろ!」と割り込み 玄武と白虎は笑いながら、回りに座った 四神に、四龍と、凄い顔触れに…一瞬緊張するが 「酒飲む訳じゃねぇし慌てんなよ!」と炎帝が言うと、その場は和む 魔界のハーブとも言える、月桂樹の葉っぱを入れて作る紅茶を冷やした容器が運ばれ 全員に配られた 青龍は炎帝の分も持って来て手渡した 「全員に渡ったかよ?」 炎帝が聞くと おおおおおおお!と声が響き渡った 「取り敢えず喉を潤して、また頑張ろうぜ!」 そう言いグラスを高らかに掲げると 皆もグラスを高らかに掲げた 「乾杯!」 盛り上がり紅茶で乾杯して、飲む 「うめぇな!久し振りの紅茶だ!」 炎帝が人なっこい顔して笑うと、その場は緊張感の欠片もなく和んだ 破壊神 と言う威名を持つ 炎帝 その彼が穏やかな顔をして笑っていた 目にすれば…惹き付けられ目が離せなくなる 次の瞬間…共に在ろうと…心が思う 魔界の絶対的な存在 炎帝は今、皆の目に触れる場所まで降り立ち 破壊神の威名を塗り替えようとしていた 少しだけ休憩を取り、作業を始める その作業は着実に皆の力で進んでいた 「あと少しだ、頑張ろうぜ!」 労る言葉に皆はやる気を出す 炎帝の相乗効果だった 大集会の準備が行われる広間に、優しい顔をした閻魔がやって来て、炎帝に声をかけた 「準備万端ですか?」 閻魔は弟の横を少しだけ開けてもらい座ると、青龍から月桂樹の紅茶を貰い喉を潤した 「兄者、準備万端! この者達が骨身を削って働いてくれた」 閻魔の配下の者も、一般の役職も付かぬ者も一緒になり作り上げる魔界大集会だった 閻魔は「良く頑張ってくれました」と頭を下げた 全員…滅相もない…と恐縮しまくった まさか…閻魔から、そんな労いの言葉を受けてるなんて… 信じれぬ想いで一杯になる 炎帝は立ち上がるとステージ中央に立ち 天を仰いだ 閻魔は弟の姿を目に納め 「魔界は生まれ変わる! 皆で創りし魔界になれば良い」 閻魔は神々しく笑い弟へと視線を向けた その瞳にはどんな魔界が映し出されてるのか… 「さてと、再開すんぜ!」 炎帝の掛け声で仕事が再開され 号令に従順に動く 閻魔はその姿を唯眺めていた 「お前の創りし魔界に…我は身を置こう 炎帝、お前の存在なくして明日の魔界は成り立たん…」 絶対の存在 絶対の創りし存在 閻魔は…母の股の間から生まれ落ちた炎帝を見ていた 到底…弟が出来る過程とは程遠かった だけど炎帝は生まれし子供の背負う荷物の重さを知っていた 魔界の絶対的存在 殺戮の為だけの器 だが…弟だ 誰よりも愛し 誰よりも愛しみ 側にいようと…誓った あの夜から炎帝は閻魔の弟になった そして今、炎帝は魔界の絶対的存在になろうとしていた 「炎帝…」 愛する弟が…傷付きませんように… 閻魔は何時までも弟を見ていた 総ては炎帝の納得の行く処となるまで、手直しをして整える 準備万端整うと当日を待つだけとなった 炎帝は共に働いてくれた全員に労いの言葉を掛けた 「皆、今日はありがとう」 深々と頭を下げ、炎帝は心からの礼を尽くした 皆の心に…じーんっと熱いものが込み上げる 「炎帝様!」 叫び声にも近い想いだった 炎帝はそれに応えて 「皆が頑張ってくれたから明日を迎えられる!解散!」 と、解散を告げた 鳴り止まぬ歓声の中、青龍は炎帝の側に行くと 「この後どうなさるのですか?」 と、声を掛けた 「兄者の屋敷に行って晩餐の席に着く」 「そうですか。では、着替えて向かいますか」 青龍が炎帝を促す 最後の夜位…兄と共に… 炎帝の気持ちが痛い程に解るから、赤龍や朱雀は…見送るしかなかった 一旦、炎帝の家に行き、湯を浸かり汗を流し 晩餐に相応しい服を身に付ける 準備が整うと炎帝と青龍は、閻魔の邸宅まで向かい晩餐の席に着いた 晩餐の席には、長い髪を綺麗に結った美しい女性が同席していた 「蓮華、久し振りだな」 炎帝が声を掛けると蓮華と呼ばれた女性は嬉しそうに笑った 「炎帝、久方ぶりに御座います」 この言葉に…青龍は 「お知り合いなのですか?」と尋ねた すると炎帝は意図も簡単に 「兄者の妻だ!」と紹介した 閻魔の妻は炎帝が吟味して、妻の座に据えた と、捕り物の最中に宇迦御魂の仲間が言っていたのを思い出す 青龍の目の前には、とても美しい女性がいた 一般人…と言っていたが… 計り知れぬ魔力を感じていた 青龍の疑問を炎帝が埋めて行く 「蓮華は名もなき者の娘だが… 蓮華の母は女神の眷属の出だからな 力が強く出てもおかしくねぇんだよ オレが魔界にいた頃に預けられ八仙に頼んでおいた存在なんだよ 蓮華の母親は歴代の女神の中でも逸材だった だが一族の許した相手と恋に落ち、一族の反対を受け駆け落ち同然で身を隠し生きていた だが一族は力の強い蓮華の母を、許しはしなかった 後を追い‥‥蓮華の父と母を抹殺し子を連れ還る算段をしていた オレは瀕死の蓮華の母を見つけた 蓮華の母はオレに、この子を頼むと預けて息を引き取った オレは冥土に渡る母親と約束したから蓮華を保護した 蓮華の力は歴代の女神の上を逝く 次代の閻魔を生むのは、蓮華しかおらぬと閻魔の妻に据えたのはオレだ そして最近次代の閻魔を産み出した」 炎帝の紹介を待って、蓮華は自己紹介した 「青龍、蓮華に御座います」 宜しくお願いします、と頭を下げられた 青龍は慌てて「青龍に御座います!」と挨拶をした そこへ閻魔がやって来て席に着いた 「炎帝、最後の夜は兄にくれるのか?」 と、閻魔は上機嫌に炎帝に声を掛けた 「明日には還るからな! 兄者、夫婦仲良く暮らせよ」 「仲良くは見えぬか?」 閻魔の問いに炎帝は 「見えねぇ!」と即答だった 「本当に失礼ですね…お前は」 歯に衣着せぬ言葉に…閻魔は苦笑する 「もっとイチャイチャすれば良いのによぉ」 「………それはお前達の専売特許であろうて」 「……蓮華」 炎帝に呼ばれ蓮華は「はい。」と答えた 「おめぇさ、ちゃんと愛されてるのか?」 心配そうに声を掛けてくれる炎帝に、蓮華は嬉しそうに微笑んだ 「愛されてますよ炎帝。」 「イチャイチャしてるか?」 「………イチャイチャは少し…程遠くても、愛されてます」 「何で分かるんだよ!」 「私を全身全霊賭けて守って下さってますから!」 「んなん当たり前だ!」 夫なれば妻を守らなくてどうする! 炎帝の考えは常に相手に向けて発信されている 蓮華は笑った 「炎帝、イチャイチャは貴方の専売特許と言う事で見逃しなさい!」 「どんな言いぐさだよ?それは?」 炎帝が言うと閻魔も声をあげて笑った 楽しい時間が流れる 料理がテーブルの上に並べられる 給仕が晩餐の用意をする 久し振りにお酒が進む閻魔はほろ酔い気分で、幸せそうに笑っていた それを支える蓮華も控え目に笑って 楽しい一時を過ごした 「蓮華」 「はい。」 「誰よりも幸せになれ! それがお前の母の願いだ!」 力などなくて良かった 一族のものに連れて行かれるのを阻み 命を懸けて我が子を守っていた所に、偶然 炎帝が出くわした 炎帝が見付けた時には蓮華の母親は虫の息だった だが我が子を胸に抱き締め 『お願い…です 我が子を…どうか… この子を…』 必死に最後の力を振り絞り…炎帝に託した 「解った!お前の望み叶えてやる!」 炎帝がそう言うと…蓮華の母親は事切れて冥土を渡っていった 蓮華の力を見抜き、崑崙山の八仙に預け修行をさせた そして女神と別れ…放蕩を繰り返す兄に釘を刺し、蓮華を与えた だから炎帝には責任があった 「蓮華、おめぇは何も知らねぇ だから昔話をしてやんよ」 「私が何を知らないのですか?」 「おめぇの母親の事だ!」 「………っ!…」 蓮華は唇を噛んだ 蓮華は物心着いた頃から…親の存在はなかった 親がどんな人か…想像してみてた 何故…私は…八仙の所で育てられているのか 誰も教えてはくれなかった 時々、炎帝が遊びに来てくれる それだけが蓮華の唯一の存在だった だが炎帝は人の世に落とされ…逢いに来てくれる事はなくなった どれだけ炎帝に逢いたかったか… 炎帝に逢いたい… そう想っていた時に、炎帝が現れた そして突然… 閻魔の妻のになれ! ……と言い、蓮華を閻魔の所に連れて行った 蓮華はその運命を受け入れるしかなかった 何も持たぬ蓮華にとって、炎帝は唯一無二の存在だったから… 閻魔の妻になり、大切にされ次代の閻魔を産んだ 炎帝の言う通りに…閻魔の妻になった 大切にされてないと言ったら…嘘になる だが…何故…閻魔が何もない…身分の低い自分と? 不安と戸惑い…そんな中に身を投じていた 「蓮華、おめぇは女神の眷属の母親と、狼男との間に出来た子だ おめぇの母親は一族の反対を押し切って狼男の父親と駆け落ちした おめぇの母親は、女神の力が強かった その女神の血を受け継いで出て来たおめぇは…一族の誰よりも強い女神の力を持って産まれてしまった 一族の者はそれを放ってはおいてくれねぇ 無理矢理、子供を奪おうとする一族の者からおめぇを守り、オレに託し…冥土を渡った おめぇは母親の命と引き換えに、護られた命なんだよ だから託されたオレはおめぇを幸せにする義務があんだよ!」 初めて聞かされる事だった 蓮華は唖然と…炎帝を見ていた 「捨てられたと想ってたのかよ?」 母親に…捨てられたと想ってたのかよ?と炎帝が問う 自分の命と引き換えに…護り炎帝に託した 知らなかった そんなの…教えてくれなかった 蓮華は顔を覆って…泣いた 「おめぇの父親もおめぇの幸せを誰よりも願い…冥土を渡った おめぇの父親は…おめぇを護り撃たれた おめぇの命は両親の愛で護られた結晶なんだよ!忘れるな!」 蓮華は…何度もはい……と言い涙した 閻魔は優しく妻を抱き締めた 「兄者、蓮華を大切にしてやってくれ 蓮華の両親の愛を教えてやらねば…と思いつつ話せなかった 親の愛を知れば蓮華はもっと愛に満ち聖母になれる筈だ 誰よりも慈愛深い女神の娘だからな!」 「炎帝、解っておる ……もう泣かせはしない 不幸な女は…一人で良い…」 愛してやれなかった女神を想う 愛してやれなかったから…赤龍の愛に生き… 総てを捨てた そんな哀しい女を…もう生み出すつもりはない そんな事したら…もう二度と炎帝は魔界の地に降り立ちはしないだろう 弟の気質は誰よりも知っている だから全身全霊かけて愛すと誓った 「兄者…」 閻魔は妻を抱き締めたまま炎帝を見た 「来世は赤龍は魔界に還る 女神の軌道を変えておいた 来世、女神は…誰よりも幸せな… 愛に生き…その生涯を終えるだろう それで女神の…生は終わりにする 無限連鎖の鎖を断ち切り…昇華する それが女神の望みだから…そうしてやる 女神は…記憶をなくしていても女神だった 誰よりも気品高く…強い だから望みを叶えて昇華する」 「総ては…お前の思い通りに…」 閻魔は瞳を閉じた 美しい それは美しい女神を妻に娶った だが愛してやれず…放っておいてしまった 次に逢った時には…美しさを強さに変えて… 身籠っていた あなたの子では御座いません 総ての罪は受けます…ですから… この子だけは産ませて下さい 哀願され… 叶えてやった そして…女神である自分を消してください と言う女神を… 人の世に落とした せめて…人の世で幸せに暮らせ… と、愛してやれなかった女神を… 人の世に落とした 閻魔のせめてもの償いだった まさか…人の世に赤龍が落ちて…再び愛し合うとは思いもしなかった 愛し合う心が求め合うならば…それで良い と、想っていた だが…人の世においても二人は許されぬ愛だった 女神の落とし子の銘を我が子同然に可愛がった だが…銘の力が…唯の子にはしてくれなかった 女神の落とした宝なのに… 閻魔の跡を継がせろと…担ぎ出す一派に利用されそうになった 炎帝が魔界に降り立ち、銘を女神の泉に住まわせ、結界を張った 銘は女神から託されてるかんな! と言い銘を護ったのは炎帝だ だが…今は違う 妻を守るのは自分の勤め 誰よりも護って幸せにする それが泣かせて来た…女神と銘に報いる為だと日々努力している だが…浮き名は流したが… 青龍の様に振る舞うのは至難の技だった 然り気無くサポートして愛しまくる青龍の凄さが…解る だが青龍にはなれない 全身全霊かけて愛には生きれない 護るべき魔界が在る 弟が還って来る場所を護る これ以上に…大切なものなどないから… 少しだけ愛情は気薄になる…のは仕方がない 「蓮華、おめぇは両親に愛され今生きてるんだ!忘れるな!」 炎帝が言うと蓮華は胸を張りはい!と返事をした 「やっとこさ伝えられたぜ!」 炎帝はやっと蓮華の親から託された想いを伝えられ肩の荷を下ろし、息を吐いた 「炎帝…貴方には返しきれぬ恩があります」 「んなん貘にでも食わせとけ!」 炎帝はそう言い笑った 「兄者、明日は何がなんでも失敗は出来ねぇかんな!」 「解っておる!」 「兄者、オレ達が還った後に、崑崙山へ黒龍と出向いてくれ」 「崑崙山?何をしに?」 「黒龍の子を産む…相手を授ける為だ」 「妻ではなく…?」 閻魔は疑問を口にした 「妻ではなく子を産む相手だ 黒龍は…三つ子を作る定め… 龍は一回の妊娠に一体の子供と決まってるかんな… 三つ子は皆無に等しいんだよ」 炎帝の説明に…やっこさ意図が見えて来て 成る程と唸った 「黒龍には悪いけど…三つ子は無理だかんな 3人の蛟と性行為してもらう! 3人の蛟は黒龍の子を産む それで四龍の存続は確かなものになる!」 3人の蛟と… 閻魔は心の中で… 黒龍、頑張れ…と拝んだ 「でも炎帝、蛟が龍を産むのですか?」 と、疑問を口にした 「蛟が千年生きれば竜になる 龍を孕むのは容易い事だ! しかも…普通の蛟じゃねぇ! 三つ子の蛟だ! 蛟の三つ子は奇跡に近い存在 その蛟が子を産む」 「もう龍が出るのは決まっているのですか?」 「総ては決められし理なり! 虹龍が出た時から黒龍は蛟とまぐわり 子を成すと決められている 蛟の産む子でなくば、次代の四龍には役不足 四龍を継ぐにはそれなりの力を秘めてねぇとな」 決められし理なり… 総ては定めに則って…その軌道の上を行く 「解りました。 お前が人の世に還ったら 黒龍を崑崙山に連れて行く」 「3人の相手は大変だけどな 永遠じゃねぇ…6日間だ 一人と二通夜まぐわう 蛟は淫靡な毒を吐く…その気にならねぇ奴はいねぇ 6日間天国だと…想うぜ!」 天国…ですか? 閻魔はため息混じりに呟いた 「仕方がねぇじゃねぇかよ! 黒龍は性欲が足らねぇ… 四龍の兄弟は…性欲が青龍以外は足らねぇんだよ! 青龍の性欲を3人に分けられてればな 次代の四龍に困る事はなかったのによぉ!」 炎帝はそう言いガハハッと笑った 閻魔は…笑えず…やはり心の中で…拝んだ 黒龍 我が友…黒龍よ 耐えて見事次代の四龍を頼みますよ 「オレが今回魔界でやらなきゃいけねぇ事は 統べてやり終えた! 布石を打つって礎を残す! 総て起動に乗せたからな、オレは還る」 今回魔界に来たのは目的があったからだと解る こんなに長く魔界に滞在する意図を…思わなかった訳ではない 意図がなければ…魔界になど足を踏み入れる事はない やらなきゃいけねぇ事を片付ける それが終わったら人の世に還る 人の世にいながらにして魔界を見続ける その図り知れぬ力に… 閻魔は…炎帝の背負う重さを知る 「お前は今は人の子 魔界になど関与せずともよい」 「それじゃぁオレの存在理由はねぇだろ? そろそろオレの存在理由を掲げて、混沌のした魔界を掃除しねぇとな! 今のオレは揺るぎねぇ! 青龍の愛があればこそ、オレは生きて行ける 神がな、そろそろ在るべきカタチになれとうるせぇしな」 炎帝はそう言い笑った 「神…?」 閻魔は訝しんで炎帝を見た 「そう神!絶対神、創造の神だ! 天と地と引き裂いて人の世を創りし神だ」 「……我には存在すら解らぬ」 「総ては決められた理なんだよ! 全宇宙の管理をする管理人だと思えば良い その管理人が軌道から外れると、それを軌道に乗せようと動き出す オレは魔界の駒だからな、動けと声を送ってくる」 魔界の…駒… 閻魔は言葉をなくした 「オレは在るべきカタチに収まる それが神が望む所存だからな! でなければオレなど抹殺されて存在すらしてねぇよ」 使命を与えてこそ生かす命だと 炎帝は言った 「オレが産まれた事が驚異になれば オレは消されるぜ! 跡形もなく…オレを消し去る算段なんて出来てるんだからよぉ! 天と地を引き裂き在るべきカタチにした神が、オレの存在を知らねぇ筈ねぇだろ?」 閻魔は妻から離れると炎帝を抱き締めた 「お前は我の弟だ!」 他の何者でもない 閻魔の弟 炎帝だ 強く強く抱き締められ…炎帝は兄の背中に腕を回した 「兄者…心配するな…」 「お前は我の弟! お前が意地悪を言うから…」 閻魔の腕が震えていた 「兄者、オレは青龍がいれば生きて行ける 兄者の護る魔界をオレは正して行く 兄者の子に継がせるまでオレは絶対の存在として君臨する だが、その前に人の世を終えて来ねぇとな」 「人の世を全うされる事を影ながら…お祈りしております!」 「おう!オレは今 飛鳥井康太!人の子だ!」 炎帝はそう言い笑った 「炎帝…お前は我の弟」 閻魔が炎帝の頬を撫でる 「兄者…オレは愛されて育った だけどオレの存在は、自分自身が恐怖だった 青龍がいなくば、オレは何もかも未練などない…それが怖かった」 「お前には青龍がいる!」 「おう!オレは青龍に愛されてる! だから曲がる事なく生きて行けるんだよ」 炎帝の想いが…痛い 青龍の想いが…重い 互いを束縛し合い、愛し合う恋人同士が巡り逢ったのは必然か…偶然か… 解る事は、青龍の変わりはいない ………と言う事だけだった 「兄者、心配するな」 炎帝の言葉に閻魔は、炎帝を離した 席に着き給仕を呼んだ 「八仙が持参の甘露酒を。」 給仕は言われた通り甘露酒を持って来ると封を開けた グラスに甘露酒を注いで行く 全員に注ぎ終えると閻魔はグラスを持ち上げた 「乾杯しましよう」 閻魔が言うと、閻魔のグラスにカチンっとグラスを重ね乾杯をした 「炎帝…嫌、飛鳥井康太 お前の命の焔が潰える瞬間まで幸多からんを。」 「ありがとう兄者」 「青龍…榊原伊織 君の命の焔が潰える瞬間まで幸多からん事を。」 「ありがとうございます」 青龍も閻魔のグラスにカチンっとグラスを重ね 祝杯をあげた 炎帝… 炎帝… 誰よりも幸せな時を送れ 兄は何時までも… お前の幸せを願おう 晩餐を終えると、炎帝は自分の家へと帰ってきた 寝室のドアを開ると、青龍が背後から炎帝を抱き締めた 「僕を置いて行かないで下さいね」 抱き締められた先から熱を孕む 「置いて行くなんて勿体ない事するかよ!」 炎帝はそう言い、青龍の腕に頬を寄せた 「君をなくして生きては行けません」 「オレもお前をなくして生きていけねぇ… お前をなくせば生きて行く気がしねぇ お前をなくせば…跡形もなく消された方がマシだ!」 「炎帝…」 青龍は右での中の炎帝を自分に向け 抱き締めた 「このまま…寝かせてあげなきゃダメなのに…」 青龍は魘された様に言葉にし炎帝を抱き締めた 合わさる体躯が熱を孕む 見つめ合う瞳が…引き寄せ合い…唇が重なる 舌が滑り込み、歯列を掻き分け口腔を掻き回す 搦まる舌が口腔で暴れる 咀嚼出来ない唾液が…流れだし顎を濡らした 激しい接吻に、炎帝の膝はカクンッと崩れた 青龍の腕が素早く炎帝を抱え… 「愛してます!」と告げた 「オレも青龍しか愛せない…」 何もない炎帝に授けてくれた唯一無二の存在 焦がれて… 欲して 夢にまで見た存在 「大人しく寝れませんよ」 「大人しく寝られたら襲う」 炎帝はそう言い青龍に縋り着いた 「寝室に行きます…そこで…」 寝室に行くまでが遠い 玄関で抱き合い…その気になった 炎帝は青龍に支えられ、寝室に向かった ガクガク震える足を叱咤激励しながら移動する 寝室のドアを開け部屋に入ると、青龍が炎帝を抱き上げた 抱き上げベッドに向かう 炎帝の指は青龍の服を脱がせにかかり…ボタンを外した 露になった素肌に…炎帝の舌が這う 「炎帝…落としますよ?」 青龍はそう言いベッドに座らせた 「お前がオレを落とす筈がねぇ!」 炎帝はそう言い服を脱ぎ始めた ザバザバ服を脱いで行く その姿に色気は皆無だった 青龍は苦笑しつつ、服を脱いだ 炎帝の指が、青龍の聳え立つ肉棒を狙って触れる 青龍を見上げる上目遣いの瞳が欲情して濡れていた 青龍の股間にズキッと…快感が走る 総てを脱いだ青龍の肉棒に手を伸ばし…舐めようと舌を出す それを寸前で押し止めると、炎帝は青龍を見上げた 「キスする前に…こっちを食べるのですか?」 「……あ…欲しい…ねぇ…青龍…」 「ならば僕にキスして…」 炎帝は青龍の唇をペロッと舐めた 「オレの青龍…」 「ええ。君の僕です。 そして君は僕のものです。」 ペロペロと青龍の唇を舐め 「おう!オレの総てはお前のモノだ!」 と、挑発的に嗤った この顔、この瞳にやられた 脳髄まで侵食し骨まで食い尽くされ 骨抜きにされる 炎帝は青龍の頭を押さえ込み 貪る接吻をした…そしてその後に 唇を形取り舐めた 「オレの蒼い龍…」 炎帝の腕が…青龍を掻き抱く 青龍は熱く滾る股間を押し付け、炎帝にその欲望を訴えた 「解りますか?」 ビクンッ…ビクンッ…と脈打つ青龍の肉棒の熱さに…炎帝は身震いした 「解るよ…熱い…物凄く熱くて… お前の熱で…焼き尽くされそうだ…」 魘された様に口にすると…手で青龍の熱を確かめた 炎帝は青龍から離れると、青龍の熱に唇を寄せた 握り締め…熱を確かめ頬を寄せる 青龍の熱だ… 炎帝は舌を出し舐めようとした 「炎帝…舐めるならお尻をこっちに向けて…」 青龍は自分の体に乗って…お尻を青龍の顔に向けて… と、哀願した 寝そべる青龍の体躯の上に乗り お尻を青龍に向け、炎帝は青龍の肉棒を舐め始めた 熱くて、硬くて、燃え滾る青龍の肉棒 舌を這わすと…ビクンッビクンッと震える エラを大きく開き膨張させ、鈴口は先走りと炎帝の唾液で濡れて…妖しく光っていた エラを引っ掻く様に逆撫でしながら、舌を這わす 鈴口を吸ってす鈴口に舌を差し込むと、握り締めた肉棒がギチギチに硬くなり 小刻みに震えた 「……ぁ…炎帝…イキそうです…」 「イケよ…」 チュッ…と先っぽにキスを落とす その刺激すら…辛い チュチュと吸い上げ…陰嚢を揉む 陰嚢の奥の筋を指でなぞり…射精を促す 「ぁ…ぁ…炎帝…」 青龍は炎帝のお尻の穴を舐め、指を挿し込んだ 皺を伸ばし…舐めて解す 時々、炎帝の性器に触れると…限界を迎え震えていた それを根本で締め付け握る 射精できない様にして秘孔を解す 皺を捲り上げ、赤く艶めく腸壁を指で引っ掻いた 「あん…あぁん…はぁ…ぁん…青龍ぅ!」 「何ですか?」 欲情した青龍の声は掠れていた 「イクっ…離して…ねぇ離してぇ…」 「離すとイッてしまうでしょ?」 「あっ…ぁ…ぁ…イキたい…」 「なら飲んであげるます。 君も溢さずに飲んで下さい」 「ぃや…ねぇ…そんなんじゃ…嫌だ…」 「ならどうして欲しいんですか?」 「挿れて…なぁ…お前の熱くて硬い… ちんちんを挿れて…」 炎帝はそう言い青龍の肉棒を舐めた 「炎帝…そのまま…ねぇ…そのまま挿れてみて…」 青龍の上に乗ったまま、自分で挿れてみてと言う 炎帝は体躯を起こすと、自分の性器を硬く握り… 青龍の体躯の上に乗った 手を離すと…イッてしまうから… 炎帝はアナルに照準を合わせて…青龍のぺニスを当てた 「炎帝…挿れずに擦り付けて…」 グチュッ…グチュッ… 青龍に言われるまま、お尻の穴に青龍の性器の先を這わせる ヌチャッ…グチュッ… 湿った音が部屋に響き渡る 青龍は炎帝の肉棒に触れると、炎帝の掌ごと握り締め…動かした 「ぁ…ぃや…動かしたら…ィちゃう…あぁっ…」 炎帝は仰け反った 青龍の掌をしとどに濡らして…炎帝はイッた 青龍も炎帝の性器を濡らして…射精していた 青龍は自分の性器を掴むと 「良い具合に濡れましたね…」 と、熱い精液で濡れる秘孔の皺を捲った 挿し込まれる熱い肉棒の衝撃に… 炎帝の力なく項垂れていた性器が立ち上が 「ぃ…イイっ…青龍…気持ちイイ…ぁぁ…」 炎帝が快感に艶めき…赤く染まる 汗で濡れた青龍の背中を掻き抱き…指を這わせた 「僕も気持ちイイです…ぁ…君の中が… 僕を締め付け…離さない…ぁ…ぁ…」 腰をグラインドさせ抽挿させる 下から突き上げ、早めて行く 焦れったくって、青龍は体躯を起こすと、炎帝を押し倒した 腰を掴み、足を腰に巻き付かせ 激しく抽挿する 青龍の陰嚢が炎帝の尻に打ち付けられ… パンッ…グチュッ… パンッ…グチュッ… と、湿った音と、打ち付けられる音が入り交じった 「ぁ…ぁ…んっ…イクっ…ねぇ…イクぅ…」 「イッて…僕もイキます」 青龍は炎帝の奥まで挿し込んだ もう入らない…と言うギリギリで押し込み 一番奥で… 射精した 炎帝の腸壁を青龍の熱く滾る精液が濡らして行く その感触に… 炎帝は触られる事なく精液を噴き上げ…果てた はぁ…はぁ… 荒い息遣いだけが部屋に響く 汗を滴らせ…青龍が炎帝の上に重なった 「愛してます…炎帝」 答えは解ってるとばかりに、執拗な接吻をしながら唇を吸い上げる 指は…尖った乳首を詰まんで転がした 「ゃ…イッたばっかりは…」 敏感になる 敏感に…総てが性感帯になったかのように感じる 青龍は炎帝の中から抜くと…愛撫を再開した 執拗な接吻をする唇は…下へと這う 鎖骨に噛み付き 舐め上げた 痛みすら…快感に変換され…炎帝は仰け反った 「ぁぁ…ダメぇ…噛まないでぇ…」 「僕のものでしょ?」 「青龍のぉ…全部…青龍の…ぁん…」 「なら何しても…イイですよね?」 「イイ…お前のだから…何しても…イイ…」 青龍の舌が…へその窪みにたどり着き 舌を差し込んだ ピチピチ…沖に打ち上げられた魚の様に 炎帝の体躯が…跳ね上がる 青龍の舌は…恥毛を掻き分け…勃ち上がる性器に触れた 精液でしとどに濡れた性器が震えていた 青龍は肉棒を舐め愛撫を施す 「ゃ…ねぇ…またイッちゃう…」 「何度でもイケばイイですよ」 口に咥え喋られると、その刺激だけで… イキそうになる それを許さず根本を締め付け…更に深く吸う 炎帝の体躯は小刻みに震え…汗を吹き出していた 足を開き…持ち上げると さっきまで青龍を咥え込んでいたお尻の穴が一望となる 炎帝の秘孔は、まだ開いて…閉じてはいなかった 開いたお尻の穴から赤い腸壁が蠢いて…誘う ピクッ…ピクッ…と震えて蠢く 青龍が指を挿し込むと、嬉しそうに咀嚼を始める その貪欲さに…青龍は更に指を増やした パクっ、パクっ 貪欲な炎帝の穴は青龍の指を3本食べても足らないと飲み込もうとする 「ねぇ…ねぇ…ぁぁん…ねぇ…」 「何ですか?」 「焦らすな…ゃ…欲しい…ねぇ欲しい」 「まだ我慢しなさい」 青龍は炎帝のお尻の穴から指を抜くと… 愛撫を再開する 内腿を舐め上げ 指先を咥え、吸った 全身余す所なく舐め尽くし、食べ尽くす 「青龍…もぉ…なぁ…」 とうとう炎帝は泣き出し… 青龍は炎帝に重なると、優しいキスを落とした 「苛め過ぎましたか?」 青龍が問うと、炎帝は首をふった 涙で濡れた瞳を青龍に向け 「オレが我慢が足らねぇんだ…」 炎帝はそう言い…涙を拭った その手を押し留め、涙を舐めた 「僕に触られたら欲しくなるんでしょ? 欲しくなってくれないと困ります」 「でもオレは大きくなっても堪え性がねぇかんな…」 「堪えなくても良いですよ」 「青龍…」 「欲しいだけあげますから…」 青龍はそう言い炎帝の中へ押し入った 「ぁっ…あぁん…はぁん…イイっ…」 「君の中、締め付けつけられ咀嚼され…気持ちイイです」 「青龍…青龍…ぁ…ぁぁ…オレの…」 指先が白くなるまで青龍を掻き抱く 青龍も炎帝を抱き締めた 隙間もない位に体躯を合わせ…腰を動かした 離さないで… 誰よりも愛してるから… 炎帝の願い 離しません 誰よりも誰よりも愛してます 青龍の想いが1つに溶け込み… 流れ出す 二人は…幾度も幾度も愛し合い… 果てた 求め合う分だけ愛が生まれる 朝方まで…部屋に淫靡な音が鳴り響いた 「大丈夫ですか?」 青龍はうつ伏せに体躯を横たえている炎帝の背中にキスを落とした 「おう!大丈夫だ! でも怠いな…」 「立てますか?」 「大丈夫だと思う」 「素敵でしたよ。奥さん」 「大きくなってもオレは、お前を満足させれてるか… それだけが不安だ… 小さいからお前を満足させれてないのかと想っていた でも大きくても…何ら変わらない事に気づいたかも知れねぇ…」 青龍は炎帝の背に重なり、強く抱き締めた 「満足してますよ。 どんな君も僕にとっては愛すべき存在 どっちの君にも僕は満足してます」 「本当に?」 「君にしか欲情しませんからね… 満足してるに決まってるでしょ? 君は?満足してますか?」 「満足してる… 青龍に触られると我慢出来ねぇから… 楽しませてやれてるのか…不安になる」 「不安に思わなくても良いですよ 我慢しなくて良いと言ったでしょ?」 不安がる炎帝を青龍の愛で包み込む 背中にキスを落として…耳を舐めた 「青龍… 」 「触って…」 青龍はそう言い力を取り戻した性器を触らせた 昨夜の勢いはないが…硬く熱く滾る肉棒だった 「君を触れば僕は…何時もこんなになる…」 青龍は炎帝を起こすと、目の前で性器を扱き始めた 「炎帝、解ってますか? 君は何時も僕をその気にさせる… 僕は君が欲しくて…欲しくて… 止まれなくなってしまうんです 後から…突っ走り過ぎたか…と後悔して でもその時は欲望の赴くまま…走ってしまうのです…ぁ…炎帝…見てください」 青龍の扱く先から赤くなり、血管が肉棒を取り巻き…浮き出してくる エラは開き、鈴口は開いて…口を開けていた 鈴口からは白い透明な液体が、ダラダラと流れて…先っぽを濡らしていた 「君を抱いてる僕は思い遣りがありませんか?」 「違う…そうじゃねぇ…」 「僕が触って何も感じないなんて…考えたくないです… 僕が触れると感じまくる君でいて…ねぇ… 僕で感じて…僕しか感じないで…」 荒い息遣いの元、哀願する青龍が愛しい こんなに愛せる存在は… 青龍しかいない 「炎帝…炎帝…愛してます…っ…ぁ…ぁ…」 青龍は腹筋を引き締め…開き切った鈴口から精液を飛ばした 炎帝の手を青龍の精液が濡らして行く 勢いはないが…青龍の体内から出された精液を、炎帝は舐めた 「青龍…愛してるは起きてるおめぇにしか言わねぇよ!」 「炎帝…僕にだけ言って下さい」 「青龍にしか言わねぇよ」 「起きなきゃいけないのに…君を手にすると離したくなくなります」 「オレもお前の腕の中で…ずっといたいと思う」 青龍は炎帝に接吻した 舌を搦め…舌を吸う…縺れ合う舌は、口腔で暴れて…執拗な接吻となる 「もう出ません…そして今日は魔界大集会ですからね… そろそろ起きましょうか?」 「おう!起きてしたくするもんよー」 青龍は立ち上がると炎帝を抱き上げた そして浴場へ向かい湯を使った 浴場で炎帝を綺麗に洗い、湯殿で体を休めた そして、湯殿から上がると支度を始めた 魔界大集会 当日 炎帝が魔界に降り立って行う集大成 失敗は出来ない 炎帝の支度をする手に力がこもる 炎帝の支度を終えると、青龍は自分の支度を始めた 魔界の法の番人 青龍の服に袖を遠し 身支度を始める 正装の青龍の衣装を、炎帝は懐かしそうに目を細め…見ていた 秩序と規律と法律で織り成す青龍の衣装 その姿の青龍に恋をしていた 長い 長い 片想いだった 支度をすると、青龍は炎帝に優しい瞳を向け微笑んだ 「行きますか?」 「おう!腹拵えしたら本番だ!」 「ええ。君が創る魔界を僕も護ります」 青龍は炎帝に、手を差し出した 炎帝はその手を取り、強く握り締めた 何処までも一緒に 炎帝の願いだった 絶対に離れないで 青龍の願いだった 「君の行く所が僕の居場所です」 「オレはどんな所でも、青龍がいれば生きて行ける!」 「何があっても、僕達は一緒です」 「この命が尽きようとも、オレは青龍を離さねぇ!」 「離さないで下さいね! 僕も君を離しません!」 「離れるなら息の根を止めてやる!」 「それこそが、本望です」 「オレ達は一緒じゃなきゃ生きられねぇんだからよぉ! 共に在ろう…青龍!」 「ええ。共に在りましょう! 僕の奥さん!」 見つめ合う瞳は揺らぎはなく 覚悟に似た想いで溢れていた 「青龍…このオレと心中してくれ!」 「望む所です!」 炎帝は青龍の指を握り締めたまま… 部屋を出て行った 覚悟なら… とっくに出来てますよ…炎帝 共に… 君と共に… 君へと続く場所に… 僕はいたいのですから

ともだちにシェアしよう!