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第30話 現実

救急車は横浜で一番大きい総合病院へと走って行った 一生も救急車を追って車を走らせた 康太は胸ポケットから携帯を取り出すと 「東青、須賀事務所の株を凍結してくれねぇか?」 『株の凍結……ですか?』 「筆頭株主を無視した臨時株主総会は無効にしてくれ! その上で株を凍結してくれ」 『解りました!やってみます!』 康太は電話を切ると… 「あの命…この世に繋ぎ止めてくれ…」 と、頼んだ 『あの命は堪えやしない… 案ずるでない…康太…』 紫雲龍騎の声だった 「須賀は白馬に連れて行く そこで治癒させるつもりだ! この夏の白馬は譲れねぇ…果てが狂う 一つ狂えば…双子の魂が…行き場を失う…」 『医者ごと白馬に移せば良いではないか! 我は何としてでも康太の果てを守る!』 康太は何も言わず微笑むと… 紫雲の気配は消えた 運転中の一生に康太は声を掛けた 「一生おめぇに一足先に白馬に行けと言っても… オレの側を離れる気は皆無だよな?」 「あたりめぇの事を聞くんじゃねぇ!」 「瑛兄に頼むか…」 「向こうには朝宮がいるだろ? 朝宮を酷使すれば良いだけの話じゃねぇかよ!」 「朝宮では役不足…」 と、康太は思案した 思案して携帯を取り出した 「オレだ!」 康太は何処かへ電話を掛けた 『オレって何処のオレよ? オレオレ詐欺のオレ様でしょうか?』 電話の向こうは…容赦のない熾烈な言葉が飛び交って来た 「佐伯…お前の主を忘れたか?」 『忘れるかよ!言ってみただけじゃねぇかよ!』 佐伯は豪快に嗤った 「佐伯、頼みがある」 『貴方の頼みなら、この佐伯、瑛太さんの仕事を放り投げても完遂する!』 佐伯が言うと、瑛太の声が…おいおい…と聞こえた 「白馬に医者と器具を用意して飛んで欲しい 出来るか?」 『医者は?何処の医者だ!』 「飛鳥井義恭!飛鳥井家の主治医だ 義恭を総合病院へ派遣する 病状をしらねぇとな! その後にお前に連絡をつける お前は義恭の指示をそった医療器具を用意して 義恭を白馬まで連れて来てくれ 白馬まで来れば、少しは休め だが…白馬からは還るのは許さねぇ…」 『どっち道暇だからな、白馬で骨休めする! お前の兄は仕事ばかり溜めやがるからな!』 康太は笑い 「瑛兄に変わってくれ」 と、告げた 佐伯は無言で社長室の電話を瑛太に向けた 瑛太は苦笑して電話を受け取った 『康太?どうしました? 怪我でもしましたか?』 心配性の兄が…弟の心配をする 「怪我したのはおれじゃねぇ! 須賀直人…極秘だぞ!」 『他言する訳などないのを解ってて言ってますか?』 「うん!」 康太は笑いながら言った 『須賀直人…見つけ出したのですか?』 「おう!黒い物体と化してた」 血が乾き…黒くなる 須賀の状態が…それだけで解った 『白馬に連れて行きますか?』 「そう。だから佐伯を動かしてる」 『なら兄も動きます!』 「……………瑛兄…仕事…たまるぞ」 『秘書も白馬に行くなら、そこで片付けます!』 瑛太はしれっと言った 『義恭を動かすなら私が連絡を取りましょう』 「オレが入院した総合病院に運んだ」 『では、義恭をそこに差し向けます!』 「悪いな瑛兄…」 『お気にならなくて結構ですよ! では、連絡を取り、私は仕事を片付けて一足先に白馬に立ちます』 瑛太は電話を切った 康太はため息をついた 「これで佐伯が変わらぬ駒に嵌まった…」 と、呟いた 後は目を瞑り… 何も言わなかった 総合病院の駐車場へ車を停めると、病院の中に入って行った 慎一は康太が駐車場の方から来ると踏んで待ち構えていた 「康太!オペに入りました!」 と、慎一は告げた 須賀直人を守り久遠医師に託し、久遠医師は直ちにオペ室へと直行してオペに入った 滞りなく済ませたと慎一は告げた 康太はオペ室の前の椅子に腰を下ろし清史郎を見た 「清四郎さん仕事に差し支えませんか?」 「大丈夫だ…ギリギリまで此処にいて…見届けねば行けない」 と、清四郎は覚悟を伝えた 「巻き込みましたね…すみません」 「康太、須賀直人と言う男は皮肉屋で取り付く島もない無愛想な男だった 撮影現場で顔を合わせても人を食った様な顔をして他の事務所の役者見る そんな男だった 私は…須賀直人は嫌いだった 関わりたくない…男だった だが最近は私の顔を撮影現場で見れば近寄ってきて頭を下げた そして舞台で須賀の事務所の役者と重なるは、必ず挨拶と差し入れを忘れない 物凄く笑顔で清史郎さんと声を掛けてくれる 私は、そんな須賀直人が大好きなんですよ 須賀直人を変えたのは君だ、康太 須賀の口癖は『私は飛鳥井康太に還す為に生きてます!』なんだよ 私は須賀直人を助けてやりたいんです」 清四郎は刹那い胸の内を話した 相賀も清四郎話し聞き口を開いた 「須賀直人と言う男は戦略を駆使して一歩先を行く 私の様なレトロな売り方は古いと一笑した 私も須賀直人が大嫌いでした ですが神野の事務所の一件で須賀と出逢い、須賀は変わった 相賀さん、相賀さんと慕われ仲良く酒を飲んだ 須賀の父親は…折檻するばかりで…よい父親ではなかった ……と、須賀は話してくれました 相賀さん、私は父ほどの年の人が苦手でした… と、須賀は言った なのに…慕ってくれ…父のように慕われた 私は…須賀が可愛い 柘植と旧知の親友みたいに飲む姿は…愛おしい… 須賀は我が子と変わらない存在…許しはしません!」 相賀は顔を覆って…堪えるように震えた 清四郎も相賀も1歩も引く気はなかった 神野も康太に 「須賀は俺の兄の様に世話を焼いてくれた 俺は兄弟はいない… 父親は良き父でなかった…と言うと、同じですね と、オレの背中を撫でてくれた! 提携してからは何かと世話を焼いてくれた まるで兄が出来た様に…俺は須賀に甘えた 須賀を消し去ろうとする奴を…俺は許さない!」 神野はそう言い泣いた 一生が神野を支えて座らせた 祈るような気持ちで… オペを待つ 1分が… 凍りつく程に長かった 飛鳥井義恭がツカツカとオペ室の前に来て 康太を見ると、オペ室の中に入って行った 暫くして瑛太と佐伯が病院にやってきた 「康太!」 瑛太が康太に近寄る 康太は上を向いて瑛太を見た 「瑛兄…」 「手筈は兄が整える! お前は何も心配しなくて良い」 「ごめん…瑛兄…」 「気にしなくて良いです 義恭が来ましたか?」 「オペ室に入って行った」 「義恭が出て来たら手筈を整えて行きたいと想います」 康太は瑛太に手を伸ばした 瑛太は康太を抱き上げた 「君のものでしょ?」 「おう!果てに組み込ませた存在だ」 「なれば、寸分違わず君に返す義務がある」 「瑛兄…」 康太が瑛太に抱き付くと、佐伯の容赦のない言葉が飛ぶ 「社長、白馬にPCを運び込ませます そこで、仕事を片付けて下さい! 副社長!貴方は長期の不在でしたので 仕事が裁けばませんでした! 貴方も仕事が沢山おるのをお忘れなく!」 と、佐伯は榊原に釘を刺す 榊原は…苦笑して 「解ってます!白馬に行くまでに片付けます」 と、言った 「白馬に行ってから片付けても構いませんよ?」 「白馬は康太と欠かせない定めがあります… ですから…仕事は介入させたくないのです」 「でしたら明日から馬車馬の如く頑張って下さい」 佐伯は容赦のない女だった 夜の10時過ぎには運ばれてオペになった なのに日付が変わってもオペ室のドアは開かなかった 朝も明けようと言う時 オペ室のドアが開いた 康太は立ち上がり久遠医師に近付いた 「一命は取り留めました 後数時間遅ければ…助からなかった 一命は取り留めた…後は回復して行かねば解らない 脳も…致命的なダメージを受けて…どうなるか解らない 予測もつかない病状だと言っておこう!」 康太は深々と頭を下げた 「ありがとうございました」 久遠は康太の肩をポンッと叩くと、帰って行った 暫くして飛鳥井義恭が出て来た 義恭は康太の所へ行くと 「今は動かせん…」 と、告げた 「オレは白馬に行かなきゃなんねぇ…」 「お前は白馬に行ってろ! ある程度動かせる様になったら白馬に連れてゆく」 康太は頭を下げた 「無理を言ってすまねぇ…」 「頭を上げろ! 飛鳥井家の真贋に頭など下げさせられるか!」 義恭は慌てた 「須賀直人の命、飛鳥井義恭命に代えても真贋に渡します!」 「ありがとう」 義恭は康太を抱き締め、ICUへと向かった 康太は息を吐いて…椅子に座った 清四郎が康太を抱き締めた 「白馬には必ず行かねばならぬのですか?」 「あぁ…神野に身内を逢わせてやりてぇんだ」 康太の言葉に神野はギョッとなった 神野の身内はもういない この世に存在などしない 神野の母は…首を吊り死に絶えた その後父、神野譲二は病に倒れ… 死んでいった この世の身内と言えば… 一条隼人だけだった だけど一条隼人は神野は社長で良い オレ様の人生に関わるな…と言われた …………なのに身内?? 「神野を完全に解き放つ…時が来た」 「そうですか…ならば貴方は貴方の定めに則って遣りなさい! 貴方の変わりに私達がいるんですよ?」 清四郎は優しく康太に言った 「清四郎さん…」 康太は覚悟して清四郎の手を取った そして「こっちに来て…」と清四郎を呼ん 康太は人気のない場所に行き、清四郎に話をした もう替えのない軌道に乗った話をした 清四郎は黙ってそれを聞き 康太を抱き締めた 「それが定めなら…康太は苦しまなくて良い 定めでも…決めるのは…本人 本人が決めるんですよ! 私は何も言う気はないです! 妻も受け入れると想います! だから気に病まなくて良いです」 「白馬は何としてでも行く…」 「ええ。私も何としてでも家族で行きます!」 清四郎はそう言い康太を皆のいる方に連れて行った 清四郎は息子に康太を渡した 榊原は康太を受け取り膝の上に乗せて抱き締めた 瑛太が 「ICUに入ったと言う事は見舞いも出来ませんね 今日は帰りますか?」 と全員に問い掛けた 「帰る前に義恭に病状の説明を受けて帰りましょうか」 瑛太は、そう言うと立ち上がり佐伯に義恭に聞いて来てくれと頼んだ 佐伯は瑛太の言葉を受け、飛鳥井義恭の所へ向かった 佐伯が戻ってくると 「カンファレンスルールに来てくれとの事だ」 と告げた 「全員…大丈夫か?」 康太が聞くと佐伯は 「そうなると思って一番デカいカンファレンスルールだそうだ!」 と告げた 康太は立ち上がり佐伯の後に着いた 康太の後に瑛太と榊原が着いて行き 一生と慎一が清四郎と相賀を促して後を追う 総一朗が神野の腕を掴み、スタスタと後を追った カンファレンスルールに行くと 久遠医師と飛鳥井義恭が待ち構えていた 全員椅子に座るのを待って 久遠医師が「飛鳥井直人さんの病状をご報告します」と告げた 榊原は飛鳥井?と不思議に想ったが…何も言わなかった 「飛鳥井直人さんは肋骨、腕、足の骨が折れて 頭蓋骨は陥没する程の暴行を受けていました 出血も大量にしていて輸血をしました 本当に後数時間発見が遅れたら…生存率は0に近い状態でした」 「全治何ヶ月になるんだよ?」 「…………見通しはつかない…」 久遠医師は苦しげに眉を顰め…言った 「取り敢えず一命は取り留めたんだよな?」 「ええ…でも油断は出来ない状態だ…」 「白馬には連れてけねぇか…」 康太が言うと久遠医師は 「無理だな!動かすこと事態無理だ」 と告げた 飛鳥井義恭が康太に 「お前等は白馬に行くが良い この者はわしが見よう わしの病院への転医なら…どうだ?」 と、久遠医師に告げた 久遠医師はそれを受けて 「ICUを出たら叔父貴の病院に連れて行くと良い ICUに入ってるうちは…諦めてくれ」 と答えた 「どの道…意識が戻らねぇと無理か…」 その意識も…戻るか解らない… 戻っても…この暴行だ… 記憶障害か何かおきても不思議ではない状態 様子を見るしかなかった 病状説明を聞き、皆病院を後にした レンタカーで飛鳥井の家まで行き 皆を下ろすと慎一はレンタカーを返しに行った 相賀は「康太、動く時はお声を掛けて下さい!」と約束して車に乗り込み帰って行った 「清四郎さん、お時間がありましたらご飯を一緒に食べましょう!」 と言うと、清四郎は喜んで康太とマンションのエントランスを潜りマンションの中へと入って行った どう言う訳が兵藤も一緒だった 「貴史、飯食うのかよ?」 「飯くらい食わせろ! 差し入れの弁当で足りるか」 兵藤は吠えた 康太は笑って兵藤と共にエレベーターに乗り込んだ 飛鳥井の家に行き、キッチンに出向く すると玲香が朝食を作っていた 「…………今帰ったのかえ?」 と、玲香は問い掛けた 「長いオペでな…帰れなかったんだ…」 「誰のオペなのだ?」 「………内緒…」 康太はそう言い教えなかった 英太は部屋に戻ると着替えをした 真新しいYシャツと下着を取り替えてからキッチンに向かった 慎一は昨夜のデリバリも持ってきてテーブルの上に置いた 一生や聡一郎、榊原はそれを食べていた 康太は何時ものように沢庵とご飯と言う和食をポリポリ食べていた 英太は「康太、私は明日、一足先に白馬に佐伯を連れて立ちます 動きがあれば直ぐに手が打てる様に出掛けます」 と告げた 「瑛兄…」 「君は明後日予定通り白馬に来れば良い」 康太は頷いた 慌ただしく食事をして瑛太は会社に出勤して行った 清四郎も今日、撮影が終わると言った 「康太、私も今日で撮影が終わります そしたら一足先に白馬に行って、何かあれば動ける様にしておきます!」 と告げ、帰って行った 兵藤も康太に釘を刺し 「何かあれば声を掛けろ!」と念を押し帰って行った 康太は食事を終えると自室に帰って行った リビングのソファーで腰掛けてると榊原がやって来た 「伊織、今日は会社か?」 「顔を出さないと…怖い状態ですからね…」 1週間の不在は大きい 片付けねばならぬ仕事なら山程ある 「康太は? ねぇ、康太はどうするの?」 榊原は心配で仕事が手に着かないかも…と康太を抱き上げ、膝の上に乗せた 「オレは今日は戦略を練る んでもって善之介と逢う、若旦那とお茶して 四季の所へ行く 予定は白紙にしたけど根回しは欠かせねぇ」 「離れたくないのですが…」 榊原が弱音を吐く 康太は榊原を抱き締め 「オレも離れたくねぇよ!」 と本音を吐露する 「無茶はしないで…」 「オレが無茶する前に慎一が捕獲する 最近の慎一は…時々容赦がねぇ…だろ?」 榊原は慎一を思い浮かべ 「主を解って来た男ですね」 と、クスッと笑った 「伊織、今日は人と逢う それ以外に動く気はねぇよ そして、明日は白馬に行く 予定は変えねぇ…だから仕事を片付けて来いよ」 康太榊原の唇に軽くキスを落とした 離れようとする康太の後頭部を押さえ込み… 榊原は執拗な接吻へと変えて康太の口腔を舐めた 「……ゃ…伊織…触らないでぇ…」 「何でですか?」 「欲しくなる…伊織が欲しくなったら…離せねぇ…」 「僕も康太を欲しくなったら離す所か止まりません…」 でも…不在は大きかった 仕事を片付けねば…と言う責務が…榊原を押し留めた 「康太…仕事さえなければ…」 「………今夜…」 夜まで…お預けは否めない 離したくないけど… 目の前には遣らねばならぬ事が山積みだった 榊原は名残惜しく体を離した 「動く時は…僕を呼んで… 何かあったら、僕を呼んで 何かなくても、僕を呼んで!」 「伊織…」 こんなに愛しい男はない 男前の顔を翳らせて… 心配しまくる男が愛しい もうこんなに愛せない 伊織しか愛せない 「伊織だけ愛してる 伊織しか愛せねぇ」 康太は榊原の背を抱いた 榊原も康太の背を抱いた そこへ一生がやって来て、ため息をついた またこの二人は… 二人だけの世界をやって… 「旦那、支度をしないと遅刻でっせ」 一生は声を掛けた すると榊原は一生を見て 「離れたくないのです」 と、しれっと答えた 「旦那、仕事ため過ぎ…佐伯が怒ってたって聡一郎が言ってた」 お留守番だった総一朗は毎日会社に出向き、康太の仕事の代打をしていた 佐伯と聡一郎は案外気が合い 佐伯は聡一郎に愚痴を言うようになっていた かなりのお怒り… これで出社せねば… 「旦那、白馬で仕事してぇなら…止めねぇぞ」 榊原は、え??と言う瞳を一生に向けた 「佐伯は白馬に行く気満々だった…そうだ! そこで仕事を片付けさせる! 終わらねば休みなんてやるか! って言ってたってよ…」 榊原は眉を顰めた 「康太…会社に行って来ます…」 至極残念そうに榊原は言った 康太は笑って榊原の上から降りた 「一生、僕は会社より康太が大切です!」 「解ってる!康太が暴走したら必ず呼ぶ! 俺は今まで違えた事はねぇだろ? お前と康太は切り離せねぇ! なれば離せない様に動いて来た筈だ、違うかよ?」 「違わないです。 頼みますよ一生 何と言っても康太ですからね…」 「解ってる! でも今日は多分根回しで終わる 旦那が心配する事はねぇだろ?」 流石、康太の動きの先を行く男の言葉だった 「でも心配なんですよ」 「おめぇを心配させねぇ様に逐一メール入れてるやろが!」 「ええ。貰ってます」 「それでも不安かよ?」 「一生、康太ですからね… メール入れた後には違う事態…もあるでしょ?」 「………旦那…それを言ったら康太は動けねぇ…」 「動きを止める気はないですよ! 唯、釘を刺しとかないとね!」 釘を刺しても… 効果はあまりないかと知れないけど… 「康太の変わりになる覚悟は出来てる! 心配するな!」 一生の言葉に…榊原は一生の頭を叩いた 「刃の前に出る子は…冗談にもなりませんよ!」 と、一生を怒った 「冗談じゃねぇ!」 「一生、君も無茶は辞めて下さいね!」 心配した瞳が一生を見る 暴漢の刃の前に出て怪我した一生だから… 「旦那…」 「一生、支度をして来ます でなければ本当に遅刻です」 榊原はそう言い康太と共に寝室に入って行った 軽くシャワーを浴び、康太の支度をする そして自分の支度をして、慌ただしく榊原は会社に出勤して行った 出掛ける瞬間まで釘を刺し、榊原は会社に出向いた 一生はため息を着いた 「アレはもう病気でっせ」 一生が零すと康太は爆笑した 「言うな一生 愛する男だ!目を瞑れ」 「役務に着きたくない…と、駄々をこいていた金龍かよ…」 一生が言うと康太は腹を抱えて笑った 「赤いの言うな…」 「言いたくもなる…」 「お前がわざわざ怪我しに行ったからな…」 康太が言うと一生は怒った 「あ~それ言うか?」 「言う!」 康太が言うと一生は康太の唇を摘まんだ 「そんな事を言うのはこの口かよ?」 「ゃめ…一生…」 うりうり…と康太を虐めてると、頭をはたかれた 「痛ぇな!」 一生が怒ると…… そこには大魔神の如く恐ろしい顔した聡一郎が立っていた 「康太は今日も忙しいんですよ!」 なのに…何うりうりしてるんですか! 聡一郎の逆鱗に触れる 一生は肩を竦めて…康太から離れた 「聡一郎、許してやれ」 康太が言うと聡一郎は康太に抱き付いた 「一生ばかりに甘い…」 と、聡一郎は愚痴を言った 「お前にも甘くねぇかよ?オレは」 聡一郎の頭を撫で康太は言った そこへ慎一が来て聡一郎を、剥がした 「サクサク根回しに行きましょう! でないと明日の白馬が遠退きますよ?」 「それは困った…なら動くとするか!」 康太は立ち上がるとリビングを出て行った 応接室に出向き携帯を、取り出した 蔵持善之助の電話をしてアポを取り 戸浪海里に電話を入れて時間を作って貰い 神楽四季に逢えねぇか?と電話を入れた 『365日康太に逢えるなら時間はつけます!』 と、四季は言うから前の二つが終わり次第電話を入れると約束を取り付けた

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