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第39話 記者会見

朝早く康太は目を醒ました 康太の横で眠る榊原の胸に顔を埋め 愛する男の匂いを嗅ぐ すると力強い腕が康太を抱き締めた 「気分はどうですか?」 「………腕が痛ぇ……」 「点滴と注射をしましたからね」 榊原が言うと康太は、榊原の胸から顔を上げた 「熱を出したんですよ」 榊原が康太に教える 「最近怠かった… 伊織とエッチのし過ぎかと思った」 「熱があったんですよ」 「成長期じゃねぇのかよ?」 「…………隼人は成長期みたいですよ? また身長が伸びたと言ってました」 「オレは?」 ねぇ、ねぇ、オレは?と康太が聞く 「……康太の成長期は終わったでしょ?」 伸び悩みに……康太は唸った 「唸らないの…」 「オレも身長が欲しい…」 「僕の腕に収まる君でいなさい」 榊原は、そう言うと康太にキスを落とした 「伊織が愛してくれるなら……このままで良い」 「起きますか? 記者会見出来る様に久遠先生が点滴と注射を打って下さったのですよ」 「……え?久遠先生?何故?」 「主治医の所におみえになられてたみたいです」 「なら起きて支度をするか」 榊原はベッドから起き上がると康太を抱き上げた 浴室に向かい体躯を洗い綺麗に磨き上げる 自分の体も洗い、慌ただしく支度をしてゆく 康太の髪を乾かしてセットしてラフな服に着替えさせる そして自分の支度をすると、寝室を後にした 「起きてますかね?」 榊原は応接室を覗いた すると兵藤は目を醒ましたばかりだった 「目が覚めました?」 榊原は兵藤に声掛けた 「俺、寝てた?」 「ええ。寝てたので動かせませんでした」 兵藤はソファーから立ち上がった そして客間を覗く 客間には…… 隼人が寝ていた その横で全裸で絡み合う様に寝ている…… 一生と聡一郎がいた 兵藤は目のやり場に困った 康太は一生の上に乗り 息もつかない接吻をした 「……んっ………ゃめ康太!」 一生は抗った 「目が醒めたか?一生」 目は醒めた そして股間も元気に目覚めた 「元気だな!」 触ろうとする康太から逃げて……一生は服を着る 「本当にこの子は危ないわ」 「抜いてやるぜ!」 「…………良いです!」 「オレのもんだろ?」 「…………この子は危険ですわ」 一生はそう言うと榊原に返した 聡一郎も目覚めて 「何ですか?騒がしい…」 と低血圧丸出しで唸った 「起こしに来たら……全裸で寝たからな オレと伊織は何もしてねぇと想ってるけど  貴史は……誤解してんぞ!」 康太は笑った 「添い寝してやったんですよ 親孝行しておかないと……ね。」 康太は聡一郎の隣に座って、聡一郎の頭を撫でた 「一生は子供に孝行してもらえて幸せだな」 「僕程親孝行者はいませんよ! 昨夜は優しく抱き締めて寝てやりました 昔一生がしてくれたように、キスして寝かせてやりました」 「素直じゃねぇからな」 「たまには親孝行者しておかないとね」 聡一郎はそう言い起き上がった 全裸の体躯に服を着けてゆく 兵藤は目のやり場に困った 「今日は記者会見ですね! 一波乱あるので腹拵えは確りして行きましょう! 康太は病み上がりですからね 無理しないで下さいね」 「おう!聡一郎はオレにも返してくれるのかよ?」 「僕を繋ぎ合わせたのは緑川一生 僕を生かせてるのは飛鳥井康太 二人に返すのは必然であり生きる指針ですからね」 康太は笑った 聡一郎は康太を抱き上げ頬にキスをした 「サクサク行きますか!」 「おう!サクサク行くとするか!」 聡一郎は榊原に康太を渡した そして隼人を起こして支度した 隼人が聡一郎にチューをする 聡一郎はそれを受けて笑った 「狡いのだ! 一生ばっかにチューして!」 と拗ねる 聡一郎は隼人にもチューしてやり 「隼人、愛してますよ」 と言った 「聡一郎、オレ様も愛してるのだ」 聡一郎に懐く隼人を、慎一が促し客間を出る 「まずは腹拵えですね!」 慎一は瑛太を呼びに行き、ファミレスへと向かった ファミレスで腹一杯、腹拵えをして 飛鳥井の家に戻る 自室に戻り着替えをしようとする榊原に 「伊織、一足先に出るぞ」 と告げた 「記者会見の前に何かしますか?」 「おう!東都日報へ行く!」 「なら記者会見用のスーツは持って行きましょうか 向こうで着替えさせてあげます」 「伊織」 「何ですか?」 「清四郎さん達が白馬に来てるのに……ごめん」 「構いませんよ 君から離れる気はないですからね」 「何か……毎年白馬に行く頃……あるよな?」 去年は隼人が暴行に遭い……一時は再起不能かと危ぶまれた 「そうですね……」 「今年は白馬に行く前に片付けたからな…… 遊べると想ったのに……」 榊原は康太を抱き締めた 「またネズミの国に行きましょうか? それともUFJ? 僕は君がいれば、どこでも天国です」 「その台詞本当の天国で言ってみるか?」 康太は笑顔で言った 榊原は「冗談…」と康太を離した 「サクサク行くぜ!」 康太は気合いを入れた 榊原は康太の着替えを持つと、寝室を後にした 康太を促し外へ行こうとすると一生が   「もう行くのかよ?」 と声をかけてきた 「東都日報に行くんだよ!」 康太が告げると一生は着いて行く気満々だった 「慎一!俺は康太と行くからな! 記者会見場の準備頼むな!」 慎一は応接室から出て来て 「貴方…着いて行く気ですか?」 「おう!康太と一足先に行く! 後は頼めるかよ?慎一」 「……何を言っても無駄ですね」 慎一は諦めて康太に声を掛けた 「貴史はどうします?」 「連れて歩くわ」 「解りました。呼んできます」 慎一は兵藤を連れてやって来ると 「聡一郎と隼人は連れて会見場に行きます」 と告げ忙しそうに奥へと行った 康太は一生と兵藤を連れて家を出た 地下駐車場へ向かい榊原の車に乗り込む 一生と兵藤は後部座席に乗り込んだ   「康太、車はどうしましょうか?」 東都日報はオフィスビル街にあった 榊原が言うと康太は思案した   一生が下調べしておいて 「東都日報の近くにコインパーキングがあるぜ!」 と教えた 「ならそこに停めて歩きますか?」 「そうだな」 榊原は一生の道案内でコインパーキングに車を停めると、皆車から降りた そこから東都日報へと向かう 社内へ入って行こうとすると 「東都日報に何か用ですか?」 と声掛けられた 振り向くと、飛鳥井清隆位のダンディーな男の人が立っていた 康太はその姿を見ると   「用がなくば行く場所ではない!」 と返した 「御用件を伺っても良いですか?」 男はそう言い康太の側に行った 「……良いぜ!」 「ではお茶でも飲みながら…」 と康太達を促して、1階フロアにあるカフェへと向かった 男は注文を入れると康太達の前に座った ウェーターが全員の前に飲み物を置き礼をして消えた 「東都日報に何のご用があってお見えになられたのか、御聞きして宜しいですか?」 男は改めて問い掛けた 「東都日報の社長辺りに逢えたらラッキーだと想ってた」 「社長に?……どう言った御用件で?」 「東都日報は社内に愚か者を飼ってる あまりにも愚かで馬鹿げた行為をしてくれた所為でな 命を落とす所だった奴が出た 責任を取らせるだけじゃ腹の虫が修まらねぇ! いっそ、東都日報を潰してなろうかな……とな 想ったりしてたんだよ!」 「…………え………詳しく話して貰えませんか?」 「話してやっても良いぞ! 東城洋人!」 康太は男の名を呼んだ 男はフルネームで言われ、康太に頭を下げた 「流石、飛鳥井家 真贋 恐れ入りました 東都日報 社長をしております東城洋人に御座います」 「飛鳥井康太だ!」 「詳しく話を聞かせて貰えませんか?」 「良いぜ! お前の会社の社員がしてる事だからな!」 康太はそう言い榊原に手を差し出した 榊原は昨日久遠から受け取った書類と三木が康太に渡した書類を康太に渡した 康太はその書類を東城に渡した 東城はその書類を手渡して貰い、目を通した 「………なっ!…」 驚愕の事態が記載されていた 「飛鳥井康太が記者会見を開く それを広めたのは、おめぇの所の記者だ 今枝を失脚させる為に須賀の事まで聞き付け噂を流した 須賀が生きているのが邪魔な一族が……病院に入り込み 須賀の息の根を止め様とした 情報漏洩は意図的に悪意を感じて流された 報道に携わるモノがすべき行為ではない! その様な会社に今枝を置いておく気はない」 「貴方は何故? そこまで今枝に?」 東城には解らなかった… 「今枝浩二の記者魂は美しい オレはあんなに光り輝く記者魂を見たことがない 潰したくねぇんだ そのうち今枝は誰もが知る記者になる 真実を伝え続ける今枝の姿は、後に日本になくてはならない存在になる 今枝の活躍の場所は……別にここでなくても良い そうだろ?東城洋人!」 飛鳥井康太にそこまで言わせる記者を みすみす手放す気はなかった 況してや…報道に携わる世界に生る者が…… 足を引っ張る為とはいえ…… 情報漏洩をして良い訳ではない 「社内で内部調査を徹底的にします 報道に携わる者が、やって良い事でない 少しの綻びを見過ごせば…取り返しのつかない事態へ突入する」 東城は深々と康太に頭を下げた 「今枝は今、苦しい立場に立たされていると言う訳ですね」 「カメラの蓋を開けられたりして写真をボツにされたり 書こうとしている記事をリークされたり… 遣ることはセコく胸くそ悪い こんな会社に今枝を置いておく気はなかった」 「改善いたします! 二度とこの様な事態がおきない様に致します」 「東城」 「はい。」 「お前何で玄関で待ってたんだよ?」 「蔵持善之介様の秘書は私の弟に御座います 善之介様の意向で失礼のない様に……と申されたので お迎えする為に出ておりました」 「東城、オレは記者会見をしねぇとなんねぇんだ オレをこれ以上足止めすんじゃねぇ!」 「はい!解っております! 記者会見には私も同席致します!」 「………そう来るかよ?」 「お連れ致します! お車はどこに入れられました?」 「そこのコインパーキングだ」 「ではお車はホテルまで運ばせます キーをお貸しください」 言われ榊原はキーを東城へと渡した 東城に連れられ地下へと降りて行く 地下駐車場のまっ黒けの車の前に立つと、東城はロックを解除した ドアをスライドさせて 「どうぞ!お乗りください」 新聞社の社長をしてるから凄い外車に乗ってるかと想ったら… ヴォクシーだった 康太は車に乗ると榊原と一生と兵藤も乗り込んだ 東城は慣れた手つきで車を走らせた ワシントンホテルの車寄せに車を着けると 後部座席のドアをスライドさせて開けた 「このホテルに御座います」 言われ康太は車から降りた 榊原は車から降りると東城に 「記者会見に着る服が車のトランクに入ってます」 と告げた 「では、社の者に直ぐに取りに行かせます 車はこのホテルの駐車場へ停めてキーはお返しします」 榊原は納得し康太と共に東城と共に行く 東城はフロントは通さずにホテルの中へと入って行った 「このホテルの1番大きな部屋で記者会見を開くつもりで御座います これから控え室にご案内致します」 東城は康太の為の控え室に案内し部屋のドアを開けた 「今、社の者に取りに行かせてます しばしお待ちください」 東城はお辞儀をすると部屋から出て行った 康太はソファーに座ると息を吐き出した 「番狂わせ……」 と呟いた 「東城氏?」 「そう。まさか出て来るとは……」 控え室で康太の着替えを待っていると東城自ら着替えを持って来た 榊原はそれを受け取った 「後30分以内にお願い致します」 東城が頭を下げて出て行くと慎一が戸浪や安曇達とやって来た その後に相賀和成が姿を現した 「康太、今日は相賀和成、非力ながら貴方の役に立つように頑張ります」 そう言い康太を抱き締めた 三木繁雄がやって来て 「康太、そろそろスタンバろうぜ」 と声を掛けた 力哉が総ての段取りを今枝と終わらせ今枝と共に康太を呼びに来た 「康太、時間です」 力哉が康太を呼ぶ 康太は榊原を見た 「行ってくるな伊織」 「ええ。僕は此処で見ております 見事、君の思いのまま記者会見が終わるのを見届けます」 康太は榊原に微笑んだ そして断ち切る様に背を向けると控え室を出て行った 戸浪が康太の横に立つ 相賀がその横に立ち 安曇と蔵持は康太の後へと続いた 記者会見の席は康太を中央に右に相賀和成、蔵持善之介が座った 康太の左側に戸浪海里、神野晟雅、そして東都日報社長 東城洋人が席に着いた 東城洋人はマイクを持つと 「東都日報社長をしております東城洋人に御座います!」 新聞社の社長をしているのに、マスコミ嫌いの東城洋人の初めての公の姿だった 一斉にフラッシュがたかれる 「これより須賀プロダクション社長、須賀尚人さんに関する記者会見を開きたいと思います」 と、声高らかに宣誓した 「今回、我が社が記者会見の場を開かせて戴けたのは 飛鳥井家真贋と我が社の記者が一献にさせて戴いたので、総てを任せて戴ける事になりました 須賀氏の件は、皆様に資料をお配り致しました それを参照なさって質疑応答したいと想います」 東城洋人は有無を言わさぬ存在感で、毅然と言い放った 皆、資料に目を通していた 「毎朝新聞の柿谷蒼甫と申します 飛鳥井康太さんに質問します 何故、須賀氏を救出出来たのですか?」 康太は何も答えなかった 「その何でも見える瞳で須賀氏を見つけ出したのですか?」 康太が何も言わないと……柿谷はエスカレートして質問してゆく 「見えてるなら何故、そうなる前に助け出すとか出来なかったんですか?」 戸浪海里がキレて マイクを掴もうとすると 「悪意のある質問はお辞めなさい! 貴方の会社の品位に関わります」 と東城洋人が言い捨てた 皆が押し黙ると……フラッシュの音だけが響いていた 康太は手を差し出した 戸浪はその手にマイクを渡した 「今日はわざわざ須賀直人の為にお集まり下さいまして、大変ありがとう御座いました 須賀直人の須賀エンタテインメントは一時閉鎖致しました 社長の須賀直人が暴行され殺されかかりました 犯人は父親の後妻と愛人でした 今は警察に捕まって調書を取られてる頃だと想います」 康太が言うと、ざわめきが広がった 「須賀の事務所の横領、殺人未遂、暴行、監禁、余罪は幾つもあるので、当分出ては来れないでしょう! 須賀の事務所のタレントは今、相賀和成が預かってくれてます 何時か……戻って来る日まで……相賀が育ててくれると約束してくれました」 康太のマイクを渡してもらうと相賀は話し始めた 「須賀エンタテインメントのタレントは相賀が預かった 勿論タレントをお預かりしているので、ギャラは須賀にお支払い致します 私は預かって仕事させる管理を任された 須賀が帰って来る日まで、私は須賀の変わりにタレントを育てて行こうと想っております」 相賀がそう言うと 「大同テレビの常陸邦明と申します」 と手を上げた 「須賀氏の状況は……ご報告願いませんか?」 康太はマイクを持った 「意識不明の重体でした 暴行の限りを尽くされ……死ぬのを待たれていた 生きてるのが不思議だと医者には言われました それ位の病状だと申しておきます ですが総てを明らかにすると命を狙われかねない 実際…情報漏洩があり……狙われたのは事実 明らかにするのは避けさせて戴きます」 ざわざわ会場がざわめいた 東城洋人はマイクを渡してもらうと 「我が社の社員がリークした模様です 足を引っ張る方法にしては報道に携わる人間としては稚拙すぎる よってその者はこの会見後処分いたします この度は本当に飛鳥井家真贋には申し訳なく思います。」 東城洋人は深々と康太に頭を下げた 「東都日報は改革を迫られている 自覚無き者は切る! 報道に携わるというプライドを持たぬ者は 東都日報には要らぬ! どの会社でもそうですが、社員の行動を見れば会社が解る! そう言われない為にも東都日報は社員教育に力を入れて行きたいと想っております この場をお借りして、お詫びと今後の方針を示させて戴きました」 東城洋人は深々と頭を下げ詫びた 戸浪はマイクを持つと 「我らは須賀直人を生かしたいと想い 今日の記者会見に参加しました! 我等を繋ぐは飛鳥井康太 我等は彼の為ならば、この命を擲って闘う! それを此処に宣誓する!」 言い放った そしてマイクを相賀和成に渡した 「須賀直人を死なせはしない 我等は須賀の命を狙った輩を許しはしない! 我等は飛鳥井康太の道を邪魔する者なれば 薙ぎ倒して逝く所存! 我等は共に在る それを此処に宣誓する!」 相賀はマイクを安曇に渡した 「須賀の還る場所を我等は用意する その為の記者会見です 必ずや須賀直人は還る! 我等は飛鳥井康太と共にそれをサポートする それを此処に宣言する!」 マイクは三木繁雄に渡された 「何者であろうとも! 飛鳥井康太の逝く道は邪魔をさせない 明日の飛鳥井に続く場所を俺は護る その一部を俺等は命を懸けて護る それを此処に宣誓する!」 穏やかな顔の三木繁雄しか見ていないマスコミは 毅然と言い放つ三木の姿に驚きを隠せなかった 三木はマイクを神野晟雅に回した 「須賀をもう一度、皆の前に立たせる 俺等はその為に努力を惜しまない 飛鳥井康太の守るべきモノを我等は護る 此処に宣誓する!」 神野はマイクを康太に渡した 「この次の会見は須賀直人本人を交えてやるつもりです 何年後になろうとも、我等は須賀を生きて皆の前に立たせる その為に日々を使ってゆくつもりだ 今回会見をしたのは、須賀直人の命の保証をしたい為だ 騒がれなければ……闇から闇に葬り去ろうとする それを阻止する為に我等は動いた 絶対に死なさない そしてもう一度皆の前に立つ! それを此処に宣言する! 本日は本当にありがとう御座いました」 康太は立ち上がると深々と頭を下げた 三木や相賀、戸浪、神野も康太と共に頭を下げた 康太は、席にすわると 「今枝、最後はお前が締め括れ!」 と声を掛けた 今枝浩二は隅から見ていた 呼ばれ会見場に姿を現した 姿を現し、今枝は記者達に深々と頭を下げた 東城洋人は今枝にマイクを渡した 「東都日報記者、今枝浩二です 今回真贋にお声を掛けて戴き、会見を取り仕切る事となりました この会見後、密着取材しました記事は公表したいと想います 真贋は私に真実を書けと申されました 私は今後も真実だけを追究して精進して逝く所存で御座います 何があってもお前は真実を伝え続けろ!との言葉を胸に抱き、指針として生きて逝く覚悟で 今後の記者人生を送ろうと想っています 真贋、今日は本当にありがとう御座いました」 誰が見ても一際輝く姿だった 誇りに満ちあふれ 凛として立つ姿は曲がらない指針が窺い知れる 東城洋人は誇らしく今枝を見ていた 飛鳥井家真贋の目は本当に確かだと…… 思い知らされる 今枝を最後に喋らせたのは 東城洋人に今枝の姿を見せる為 そして真実を伝えるべき者の姿を広く公表する為だった 会見は無事終わり 康太は控え室に帰って行った 控え室に行くと康太はソファーに座って息を吐き出した 安曇が「立派な会見でした」と康太を抱き締めた 蔵持善之助も「誠に立派な会見でした」と康太を抱き締めた そして忙しく次の予定を入れて帰って行った 戸浪は康太の横に座ると 「とても良い会見でした」 と康太に賛辞の言葉を贈った 康太はありがとうございます。と頭を下げた 「今度は白馬でお逢いしましょう」 と言い立ち上がった 立ち上がって直ぐ、クラッとバランスを崩した 素早く榊原が抱き留めた 「伊織……腹が痛い……」 康太は右下腹部を押さえて蹲った 「何時からですか?」 「ずっと……痛い時もあるし… 痛くない時もあった… 今日は痛い……」 康太は脂汗を流して堪えていた 戸浪が「盲腸ですか?」と榊原に問い掛けた 「かも知れません……… この子は……相当痛くならないと言いませからね」 榊原は康太を抱き上げると一生に 「久遠先生に、これから連れてくから見えもらえないか頼んでください」 と頼んだ 記者会見のスーツを脱がせラフな服に着替えさせる その間も康太は脂汗を流し呻いていた 「ずっと熱が引かなかったんですよ…… 痛いのをずっと堪えて熱を出してたのですね」 榊原は戸浪に話した 「旦那!直ぐに連れて来い!って!」 康太の荷物を慎一に託して、榊原は康太を抱き上げ走った 自分の車に康太を寝かせ、運転席へと乗り込んだ   一生は後部座席に滑り込み着いて行った 榊原はアクセルを踏み込み……総合病院へと走った その後を戸浪が田代に運転させ後を追った 三木も兵藤を乗せて走った 神野も小鳥遊と共に急いだ 慎一は聡一郎や隼人を乗せ急いだ 一生は車の中で、瑛太に連絡を入れた 瑛太は急いで病院へ向かうと言った 病院へ着くと康太を抱き上げ、榊原は走った 久遠はストレッチを持って待機していた その上に乗せて看護師がオペ室へと康太を運ぶ 榊原は康太の手を握ったままオペ室へと入った 久遠は離しても無駄だと、榊原を椅子に座らせ 康太の手を握らせていた 麻酔医が入り、康太に麻酔をする そのまま久遠はCTの中へ康太を通し 疾患部の確認をする 一生達はオペ室の前に座っていた 戸浪も三木も神野も帰らずに座っていた 瑛太が駆けつけ、一生に声をかけた

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