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第40話 休養

瑛太は一生に 「康太は?」と問い掛けた 「オペ室に入ってます」 「何処が悪かったの?」 「盲腸かも……左下腹部を押さえてました」 瑛太は「盲腸……」と呟いた とんでもない大病かと想い飛んできた 「………そう言えば飛鳥井の家族は誰一人… 盲腸はやってません……そうですか…盲腸ですか」 「伊織は……盲腸で倒れましたよね?…」 「そうですね。 夫婦だと似るんですかね? 伊織は盲腸と過労で入院しましたね」 「瑛義兄さん、家族には言わないで下さい 言えば駆け付けて来る 康太はそれは本意ではない」 「ええ。黙ってましょう 白馬から駆け付けてしまいますからね……」 「………この夏1ヶ月白馬にいるのは源右衛門が、この暑さが堪えているから… 源右衛門が一人白馬に残る訳がない…」 「解ってます…… 源右衛門は高齢…この暑さが堪えてます 何がなんでも黙ってます」 心配して待ってると、オペ室のライトが消えた オペ室から久遠医師が出て来て 「虫垂炎です! 破裂寸前まで頑張る所は夫婦で一緒か!」 と笑った 「康太は!」 「3日は入院しとけ! 丁度良い、そこの坊主の検査してやる 飛鳥井瑛太も、この機会に検査して行くと良い」 鴨が葱を背負ってやって来た! とニャッと笑った そして兵藤と瑛太を引っ張って奥へと行った 暫くすると康太が出て来た 看護師が押すベットの横に榊原が張り付いて… 看護師は榊原を貼り付けたまま、病室へと運び入れセッティングした 榊原は、康太の横に座り、康太の手をずっと握っていた 「旦那……」 多分自分を責める榊原に、一生は声をかけた 「僕は康太の不調を……見抜けませんでした」 「俺等も同じだ! 康太は相当痛くならねぇと言わねぇ」 「記者会見……康太らしさが出てませんでした」 「もう痛かったんだな……」 「こんなんなら記者会見なんかさせなきゃ良かった!」 榊原は康太の手を握り締め……顔を埋めた 「旦那、それは言うな! 何時だって康太は妥協しねぇ! 倍速で生きてんだ! 多少体が辛くても康太は耐える それを見極めろと言うのは……無理がある まあ調子が悪いと解っていても康太は行く それを止めるのは……無理だよ旦那…… おめぇが止めれば康太は止まる だがそれは…不本意にしかならねぇ! 旦那、自分を責めるな!」 榊原は康太の手に額を着けて呟いた 「一生……時々…総てを放り投げ康太と逝きたい時があります 康太の総てを守ると決めたのに…… 康太を一人で送り出したくなんかない……」 一生は榊原を抱き寄せた 「俺等だってそうだ! 何もかも投げ出して……康太と逝きてぇ! でも……康太は一人で行って闘わなきゃならねぇ そこにいられないのが……悔しくて… 堪らねぇ…… もう良い!と言って康太を止めてぇ時もある それが出来ねぇのは解っているけどな」 「一生……」 「旦那……戸浪の若旦那も三木も……神野もいる 康太を案じて……帰れねぇでいるんだ 彼等が一番康太の不調は解っていた筈だ 同じ壇上に立っていても…… 康太を止めれねぇ…… こうして心配するしか出来ねぇんだ」 「一生……ごめん…」 「旦那、大丈夫だ!」 一生は榊原の背を撫でた 戸浪は……こんなに憔悴して……傷付いて弱った榊原は目にした事はない 一生に弱音を吐く榊原は18の年相応の男にしか見えなかった 戸浪は榊原の側に行き、榊原を抱き締めた 三木も榊原を抱き締め……励まそうとした 戸浪は 「腹が立つ様な質疑応答を、康太は平気な顔してやり過ごしてました 私は頭に来て……あの記者は許せないと思った こんな時、康太なら記者を黙らせるのに… 今日の康太は何も言わなかった 体調が悪かったのですね…… 横に座ってた私も、康太の体調には気付かなかった 唯……康太が静かすぎて…逆に怖かったです……」 康太が遠くに感じられた 何を考えてるか解らない…… 側にいて若旦那、微笑んでくれた康太とかけ離れて… 怖かったのだ 三木も榊原に訴えた 「伊織、今日の康太は絶不調だった 東城洋人が出て来て仕切っていた辺りから…ペースを掴めずにいた こんなに踏ん張って堪えていたなんてな…… 体調が絶不調だったんだな 気付かなかった……俺も回りも、あの場にいた全員が……だ!お前だけじゃない」 榊原は皆の優しさに触れ……… 「ありがとうございます。」 康太の手を握り締め……何とか言葉にした 今回も康太は個室に運ばれた 聡一郎は戸浪と三木をソファーに座らせた 「何か飲みますか?」 聡一郎が声を掛けると戸浪も三木も首をふった 聡一郎は「慎一、何か買ってきて」と言った 慎一は、部屋を出て行った 三木が慌てて慎一を追おうとするのを押し止めた 「慎一は康太からカードを渡されてるんです 何かあればそれを使い買って来るので気にしなくて良いです」 飛鳥井康太がカード預ける存在、それが緑川慎一だった 飲み物を買って病室に帰ると増殖していた 瑛太が兵藤と共に康太の病室に帰っていた そして今枝浩二が東城洋人を連れて見舞いに来ていた 慎一は一生を見た 「記者会見の後、康太に逢いに来たら旦那が康太を抱き上げ走って行ったから気になって後を追って来られたんだ」 と説明した 東城洋人は榊原を見て深々と頭を下げた 「本当に申し訳ありません」 と、東城は謝罪した 「謝罪は要りません 謝られたら康太がした事が無駄になる 謝らないで下さい」 榊原は言い切った 誰の謝罪も要らない 謝罪など受けたら康太が苦しんで立った… 軌跡が……無駄になる 慎一は東城と今枝に座るように促した そして今買って来た珈琲を皆の前に置いた 「これは下に入ってる専門店が出してる珈琲です 味は良いので冷たいうちにどうぞ!」 慎一はそう言い榊原にも渡した そして康太が意識を戻した時に欲しがるプリンを冷蔵庫へとしまった 慎一は皆の前に立つと感謝の意を込めて 「我が主は無理ばかりします それでも動きを止めはしない 廻りは……ハラハラドキドキ……です 本当に今日は主の為にありがとうございました」 胸を張り飛鳥井康太を主と定めた男は、深々と頭を下げた 戸浪は「今夜は此処に泊まっても良いですか?」と問い掛けた 三木も「家に帰っても気になって……帰れない」と告げ 神野に至っては「康太が元気になるまでいる」と言う始末だった 慎一は笑顔で 「康太は弱ってる時は伊織に甘え倒します それに耐えられるのであれば……どうぞ! 始めそうなら……席を外す事をお勧めします」 慎一がそう言うと 三木が「慣れてますから大丈夫です」と言い 「伊織は俺らがいようが始める時は始める… ヤバければ出るんで大丈夫です」 と帰る気は皆無だと告げた 戸浪も「傷が開くから……止めなきゃ…」と苦笑して 「私は止めるために頑張ります」と告げた 慎一は苦笑して 「ではお好きにどうぞ! 個室ですから適当に寝て下さい」 と諦めの境地で言った 東城は絶対の絆で結ばれた戸浪海里と三木繁雄を見ていた 数年前に見た戸浪海里は頑なな実業家で、人の為に動くような人間ではなかった 三木繁雄に至っては……弱点も弱味もない 正統派の政治家として一目置かれていた 今枝は「康太君が起きたら見せる為に働いて参ります」と言い病室を出て行った 東城も「またお見舞いに参ります」と頭を下げ病室を後にした 康太の病室に顔を出した兵藤に一生は 「診察はどうだった?」と聞いた 「肺に損傷が見つかった……」 と兵藤はぶっきらぼうに言った 「入院しなくても良いのかよ?」 「……………この部屋の隣に……入る事にした」 康太が気になるから…… 「なら寝て来いよ」 一生は叫んだ 「何かあったら呼びに来てくれ……」 兵藤の台詞に一生は困った 盲腸で何があるというの? 「…………解ってる! お前が治さなかったら康太はもう、おめぇに逢わねぇぞ!良いのかよ?」 「……それは嫌だから……寝てくる……」 一生は兵藤の腕を掴むと 「行くぞ!」 と隣の病室へと向かった パジャマは持ってきてないから、病院からレンタルパジャマを、借りた それに着替えて、兵藤はベッドに寝た 聡一郎が顔を出し 「貴史、良い子してなさい!」 と釘を刺した 「なぁ…」 兵藤は一生と聡一郎に声を掛けた 「アイツの精神力はすげぇな…… 俺はアイツに比べたら甘いな… んとに……まだまだアイツに追い付かねぇ…」 聡一郎は兵藤の肩を撫でながら 「君は君なりに進めば良いんです」 と言葉を掛けた 飛鳥井康太にならなくて良い 自分の道を逝けば良い………と。 「康太に着いてなくても良いのかよ?」 「君も目を離すと無茶ぶりしますからね」 聡一郎は零した   一生も「頼むから俺らの仕事を増やすな…」とボヤいいた 「寝てるよ! 治るまでは動かねぇ!」 「動いたら息の根止めますよ」 聡一郎が迫った 康太ならば喜んで止めてくれと言いたいが…… 聡一郎では嫌なのだ 「お前に止められたくないから……動かねぇよ」 「康太なら笑顔で喜んで止められるのにね……」 聡一郎がボヤく 「良いじゃんか……」 と兵藤が拗ねると聡一郎は兵藤の唇にキスを落とした 「僕達が見張ります! 良いですね?」 兵藤はうんうん!と頷いた 一生は医者を呼びに行き 久遠医師は点滴を持って兵藤の病室にやって来た 兵藤は康太と同時に退院すべく治療に入った 久遠医師は兵藤の点滴を終えると、康太の病室に顔を出した 康太はまだ眠りから醒めなかった 「まだ寝てるのか?」 麻酔の醒める時間はとうに過ぎていた 「ええ。目を醒ましません…」 「相当、疲れもたまってたな 放っておいても、そのうち目を醒ます エッチは禁止だぞ! 破けたら傷が深くなり治りにくいからな!」 久遠は釘を刺しとく なんたって肋骨折ってもエッチする 傷害で切り刻まれた体躯でもエッチするから…… 「大事をとって3日は入院させる 退院すれば無茶ぶり発揮するからな! その間に検査もする!良いな!」 久遠はそう言い笑った 榊原はたらーっとなり、うんうん……と頷いた 消灯の時間になり部屋のライトを落とした 三木と戸浪はソファーで眠っていた 瑛太は久遠に入院するか家に帰るか治療をするか?迫られ…… 瑛太は聡一郎に付き添われ家に帰った 兵藤の病室に一生が付き添い、ソファーで眠る 慎一は空いたソファーで眠っていた 神野は明日早く隼人のロケがあるから…小鳥遊と隼人を連れて一旦帰った ロケを終えたら直ぐに来るから! と念を押し帰って行った 夜明け近く……康太は目を醒ました 側に疲れ果て窶れた榊原の顔があった また心配掛けた 康太は榊原の髪を撫でた 点滴のない方の手で榊原を撫でた 榊原はその手の感触に目を醒ました 「康太……痛いですか?」 「ごめん……伊織 心配掛けた……」 「痛いなら言って…… 辛いなら、ちゃんと言って!」 「痛かったけど、暫く我慢すれば収まってた 今回も我慢すれば治ると思ってた でも痛みが引かなくて……」 「調子悪いなら、早めに言って」 「やる事が山積してた 今寝込む訳にはいかなかった……」 「それでも! 辛いなら……ちゃんと言って! その為に僕達がいるんじゃないの?」 「ごめん……伊織……」 「君を無くせば……僕は生きてはいけません」 「伊織、愛してる」 「僕も愛してます! 狡いですよ……もう何も言えないじゃないですか」 「伊織だけ、愛してる」 「康太だけ愛してます 僕の命です、君は」 榊原はそう言い康太にキスを落とした 「まだ寝てて良いですよ」 「もう寝れねぇ…」 榊原は康太を撫で、康太の体温を確かめるかのように 頬にキスをした 榊原は目を醒ました康太に 「若旦那と三木が、病室に寝泊まりしてます そして貴史が隣の個室に入院しました」と経緯を話した 「貴史……入院する程悪かったのかよ?」 「肺に穴が空いて呼吸がぶれてたみたいです」 「まぢかよ…誰か見張ってる?」 「一生が見張ってます」 「なら無茶ぶりしねぇな!」 「君もね!無茶ぶりはダメですよ!」 「退院して良いって言うまでは寝てる その後は白馬に行って少し休む 過酷すぎたかんな! 春からこっち……気の休まる暇もなかった」 飛鳥井が標的にされ、家族と離れて暮らした 気負って 気張って 乗り切ってきた それらを乗り切り魔界に行ったり…… 休む暇もなく駆け抜けて来た 「康太、白馬で少し休みましょ?」 「家族には……黙っててくれた?」 「一生が義兄さん辺りには釘を刺してますよ 源右衛門も来ちゃいますからね…… 骨休めにならない…… またこの暑さの横浜に戻したくはないですね」 「おう!かなり体躯を酷使してるからな……」 榊原は康太の頭を撫でて 「君もね酷使し過ぎですよ 事件の傷も癒えないうちに……酷使し過ぎですよ」 「伊織がいてくれる 仲間がいてくれる だからオレは走れる 立ち止まらねぇで動ける それは皆がいて伊織が支えてくれるからだ」 「康太……」 「伊織…側にいて 離れないで……」 康太は榊原を腕を伸ばした その手を握り締め安心させた 「離しませんよ ずっと側にいます」 榊原は康太の額にキスを落とし 「康太、愛してます」 愛を囁いた 康太は嬉しそうに榊原の手に擦り寄った 「伊織」 「何ですか?」 「繁雄も若旦那も寝たふりも出来なくて困るからな… この辺にしとくか?」 「ええ。そうですね。」 榊原は笑って立ち上がった 「若旦那、三木、康太が起きてます 顔を見て安心したら、少しでも寝て下さい」 三木は「解ってる」と言い起きると康太の側に行った 「繁雄、悪かった…」 「体調悪いなら休む! んとにこの子は無茶ぶりばっかしだからな…」 「休んでたら……白馬は乗っ取られ 須賀は息の根止められてた…… 動き出したら……止まれねぇかんな」 三木はため息を零した 「君が言えば動きます 体調悪い時位、人を動かしなさい」 「………それは無理だ」 「なら早めに医者にかかりなさい!」 心配してるのは解る 「繁雄……」 康太が名を呼ぶと三木は康太の手を握り締めた 顔を埋めて……肩を震わせた 「若旦那も済まなかった…」 「体調悪いなら言って下さいね 目の前で倒れられたら帰れません」 「……ごめん……」 「でも君の意識が戻って良かったです 寝ている間に会社に行ったら……仕事が手に付きませんからね……」 「若旦那も少し休んでくれ……」 「ええ。この前倒れてからは健康には気を付ける様にしてます」 だから心配しないで……と戸浪の指が康太を撫でた 三木と戸浪は朝まで康太の側にいて 三木は事務所へと帰り国会へ繰り出す 戸浪は会社へと帰って行った 康太は少し眠り…… 榊原は康太の横で目を閉じていた 一生は病室に戻りそれを見て、安堵した 康太は3日間入院した 4日目の朝、検査を受けて退院の許可をもらい 白馬へと向けて帰って行った 瑛太も康太を見送ってから会社に戻った お盆までは手が離せない…… 意識を切り替え仕事に向かった 兵藤は康太と同時に退院した その足で親の所へ帰ると言った 側で自分を追い込み、酷使しても尚立ち上がる康太を見れば…… こんな所で……臆病に守られていてはいけないと思えた 康太に言うと 「おめぇはおめぇの道を逝け! オレは見届けてやる 最期は看取ってやるから闘い続けろ!」 と餞を貰い、兵藤は戦場へと向かった 白馬に帰ると、飛鳥井の家族も、榊原の家族も待ち兼ねていたと康太の帰りを喜んだ 白馬に帰り悠々自適に過ごす 康太は血色も良く陽に焼けて元気になった 唯……榊原が気にして…… 康太と少しだけ距離を取った以外は   穏やかな日々を過ごしていた 源右衛門も元気を取り戻していた 夕飯を食べた後康太はベッドに寝っ転がり、ゲームをやっていた アロハの前ははだけて…… 短パンをはいた生足が……スラッと伸びていた 寝そべり、脚を折り曲げゲームをやってる康太を榊原は見ていた 短パンの隙間から……康太の…… 股が見える…… その脚に吸い付いて…… 犯してしまいたい衝動に駆り立てられた 康太が白馬に帰ってきて以来…… 触れてなかった 倒れる程……酷使させた 病み上がりの康太を…… 抱き潰せなくて…… 榊原は……欲望を隠して側にいた だが……限界を超えて…… 康太が欲しかった 榊原はベッドに座ると…… 寝そべる康太の脚に…… 接吻を落とした チクッと傷みが走る程吸われた 「……え?伊織……」 「………康太が欲しい……」 榊原は熱い吐息を吐き出した 「オレに触らねぇからな……飽きたのかと思った……」 「そんな事!あるわけないでしょ?」 「………退院して白馬に来た夜……誘ったよな?」 「……ええ……」 「………でもお前は……寝ましょう…って言って寝た それからも……オレに触らず……避けていた」 「触れば無理をさせる……無理をさせたい訳じゃない……」 「………じゃあ触るな!」 康太は叫んだ 「………我慢できるなら……オレに触るな… オレは伊織に触られたら我慢出来ねぇ…」 「………康太……僕は君に触れば止まれません」 「……だからもう良い」 康太は榊原から離れようと足掻いた 「………逃げないで! 逃げるなら……息の根を止めます……」 榊原はそう言い康太に執拗な接吻をした 「………伊織……」 咀嚼出来ない唾液が康太を濡らした 榊原の指が、康太の乳首を引っ掻いた 「………んっ……ゃ……」 赤く染まる康太が艶を秘めて色付く 短パンの横から榊原は指を忍ばせた 「………君……この短パン……誘ってましたか?」 「………誘うなら……短パンなんてはくか!」 康太が叫んだ 諦めてたのだ もう榊原は触らないなら仕方ない でも榊原の側にいられれば…… それで良かった 榊原がいてくれれば……生きてゆけるのだから… 「連日連夜君を抱いて……熱を出させた 病み上がりだから我慢してました…」 魘された様に榊原は康太を求めた 短パンの上から……指がなぞる 榊原を受け入れる部分を執拗に、触られ 康太は榊原に縋り付いた 「もう伊織は……興味がなくなったのかと思った…」 「そんな筈ないでしょ! 康太が欲しくて……狂いそうでした……」 「伊織……脱がして……」 「久し振りだから…君を舐めさせて…」 そう言い榊原は康太の短パンから出た脚を舐めた キツく吸い…痕を着けて行く 康太は榊原のズボンのファスナーを下げて ズボンを開け、下着から顔を出した亀頭を舐めた 「………ぁ……康太……出してません…… 直ぐにイッてしまいます……」 榊原は康太の短パンを下着ごと脱がせ脚を広げた 久し振りに康太のお尻の穴を目にして…… 吸い付いた 舐めて……指でこじ開け…皺を伸ばして行く 久し振りの康太の秘孔は固く閉じ…… 慎み深く閉じていた 「君のココ……堅くなっちゃいましたね…」 クチュッ……グチュッ… チュパッ……淫靡な音が部屋に響く 「伊織…奥を触って…… そしたら想い出す…お前のカタチを想い出す…」 榊原は指を深く差し込んだ そして掻き回す すると康太は身を震わせた 「……ぁっ……ぁぁ……伊織……イッちゃう……」 「今イクと辛いですよ?」 ペロペロ康太の蕾を舐めて解す 舌を挿し込み指で掻き回すと、康太は   「……伊織……挿れて……ねっ……願い……」 と哀願した 榊原は康太の脚を持ち上げ内股に吸い付いた 「久し振りですから……解さないと……ね」 足の指まで舐めて……丹念に全身舐め上げる 康太は息も絶え絶えに……喘いだ 「伊織……伊織……一つになりたい…… お前の全部が欲しい……ね……伊織…」 汗だくで一つに絡まり縺れ合いたい 「康太…1度イキなさい………っ……ぅ……」 榊原は康太の蕾に熱い飛沫を飛ばした 康太は榊原の腹に……白濁を飛ばした 「伊織の総て欲しいのに……」 康太が残念そうに呟いた 「幾らでも注いで上げます…」 激しく康太を突き上げ、腰を早める 余裕なんてなかった 唯…欲しくて…… 欲しくて… 夢中になって求め合った 何度も何度も……繋がり……果てた なのに……榊原は止まらなかった 気絶した康太の穴に吸い付いて舐めていた 康太が不足していた 康太が足らない…… 気が狂いそうな欲望に駆り立てられた 止まれない 止まれば………狂う 康太を離せなかった 抱き潰すと解っていたから…… 距離を取ったのに…… 康太の短パンから出てる脚に……悩殺された 執拗に康太の内股を舐め上げ吸う 紅い……花が散らばっていた 榊原は康太の性器を舐めた 美味しそうに舐めて、お尻の穴に指を挿れ掻き回した 気絶した康太が、その快感で目を醒ます 「……伊織……」 「…今夜は止まれません… 君が気絶してもね……止まれません」 余裕もなく康太を貫き犯した 何度も何度も康太を突き上げ……止まらなかった 「伊織…俺に飽きてない?」 触られないのは…… 飽きたのだと思った 「飽きる筈などない 君を何度抱いても欲しくて…欲しくて… 中毒にかかってるみたいに…止まれません」 榊原は苦しい胸の内を吐露する 「……君を抱き潰し…熱を出させた 君の側で……誰よりも側にいたのに…… 僕は……気付けなかった……」 「……伊織……オレはお前のもんだ オレは何時だって伊織が欲しい…… 触られないと… 飽きたのかと……苦しかった……」 榊原は康太……康太……と魘された様に抱き締めた 「君が……治るまでは自制しようと…… 我慢してました」 「我慢なんてするな!」 「目の前で君が倒れれば…… 抱き潰したんじゃないかと……悔やみます」 「オレはこの息が止まる瞬間まで伊織が欲しい…」 「康太……目の前の君の脚が……美味しそうで……」 「このまま……抱かれなかったら…… どうしょうかと想っていた……」 「そんは筈ないでしょ? 僕はこんなに君が欲しいんだから…」 「……伊織……愛してる」 「僕も愛してます」 榊原はそうした康太に貪る接吻を送った 「……ぁ……伊織……ぁん……またクる……」 「明日は寝てれば良いです」 起き上がる事を端っから諦めさせ、榊原は腰を使った 一つに繋がり、康太の乳首を吸った 赤く尖った乳首は敏感になり…… 痛い程だった 「伊織……伊織……全部溶け込んで一つになれば良いのに……」 離れたくないのだ 離したくないのだ 全部一つに溶け込み…… 繋がれれば良いのに…… 康太は榊原の背を抱いた 隙間もなく抱き合い 互いを求めた 朝が明けても…… 淫靡な音が部屋に響き ベッドは軋み…… 康太は意識を手放した 榊原は康太を胸に抱き上げ髪を撫でた 止まらなかった 見事に…… 一晩中…抱き潰した 榊原も怠かった 久し振りに……限界まで腰を駆使した 榊原は康太の中の精液を掻き出すと… 康太を抱き締めたまま…… 意識を手放した 気持ちの良い……疲れだった 腕の中に掛け替えのない…… 愛する存在を抱き締め…… 榊原は眠った 目が醒めた時… 部屋は夕陽に染まっていた 康太を朝まで抱いた そして意識を手放した 榊原が起きた気配を感じ、康太も目を開けた 「康太……ごめん 暴走しました……痛くない?」 「……怠いな…… でも抱いて欲しかったからな」 「……康太愛してます 康太を抱き潰したから自制してました」 「…………オレは飽きられたのかと思った」 「…………まさか…僕が君を飽きる日なんて来ませんよ」 「誘っても抱いて貰えねぇとな…… 色んな事を考える……」 榊原は、ごめんね……と言いキスした 「君……あの短パン……本当に誘ってませんでしたか?」 「あんで短パンで誘うんだよ? 誘うなら服脱いで…誘うだろうが」 「短パンの隙間から…見える先を想像して… 止まれませんでした…今後短パンは僕の前以外ではくのは禁止ですね」 「え………暑いやんか……」 「……僕をこんなに誘って……」 「…………知らねぇよ…… 誘った時には……寝られて…… ゲームやってたら……何が始まったのか… 解んねぇうちに……だもんな」 「……君の短パン姿に……ムラムラしちゃいました」 かなり変態が入ってたかも…… 榊原は自嘲した 「起きれますか?」 「……ん。なぁ伊織……」 「何ですか?」 「……お前なオレを押した時は午後10時前だったよな?」 「………ええ。もうゲームを止めようかと…… 君の短パン姿に……やられましたからね」 「……今は……どう見ても夕方か?」 「…………ええ。認めたくないですけど… 半日は寝てました……」 榊原は時計を取り出し確認した 「………腹減った……」 「………なら起きて支度しますか?」 「…………起きれるかな?」 「…………抱き上げてお連れするから大丈夫ですよ」 榊原は苦笑した 「止まれませんでしたからね……」 「昨日の伊織はすげかったな」 康太は笑った 「………余裕もなかったんです」 「オレを欲しがって…」 康太は榊原の首に腕を回した 「欲しいですよ…君が……」 「もっと欲しがれ……オレだけを見ろ!」 康太はそうした噛み付く様なキスをした それを受け取り榊原は笑った 榊原は康太の胸に頭を押しつけ…… 「………僕だけ愛してください… 他は見ないで……」 哀願した 無くしたくないのだ…… 「伊織だけしか愛せない 昔も今も愛するのは青龍、お前だけだ」 「触れば……抱き潰してしまいますよ?」 「オレだけ抱くなら許せる」 「康太……」 「おめぇに触られない方が…… オレは苦しいんだ!解りやがれ伊織!」 榊原は康太を強く抱き締めた 「………康太……愛してます」 「お前に愛されるオレなら…… どんな事でも耐えられる」 「……少しだけ……無くしたくなくて臆病になってました…」 「伊織はオレの短パン姿に……クラクラになるなら もっと早く短パンはいてりゃ良かった」 康太は笑った 「……ショタコン……みたいに言わないで……」 「あたりめぇだろ?オレは……ガキじゃねぇ…」 「康太なら……どんな姿でもメロメロです」 榊原は康太を抱き上げ浴室に向かった 中も体躯も綺麗に洗い上げてゆく そして康太と湯船につかり体躯を休める 浴室から出ると髪を乾かし、康太の支度をしてゆく 何時もしている事だった 自分の支度をすると榊原は康太を抱き上げた 「奥さん、食事をして来ましょうか?」 「おう!下のレストランに行くしかねぇよな?」 「ならお連れします」 榊原は部屋を出て鍵をかけると…… フロアのソファーには一生と聡一郎と隼人が退屈そうに……寝ていた 一生は康太の姿を見つけると立ち上がった 「おっ!やっとこさ出て来たよ!」 そう言い康太の側に寄った 「…旦那……最近康太を微妙に避けてたからな… 心配してたんだよ……」 一生達は知っていて…… 見守っていたのだ 「でも旦那……もう夕方ですがな……」 「………一生……康太がお腹を空かせてます」 「そりゃあ……飲まず食わずで…犯ればな……」 一生は苦笑した 聡一郎は「伊織、レストランに行きますよ」と促した 隼人も「一生は欲求不満か?」と聡一郎に話した 「どうなんでしょ? 僕は一生の下半身はどうでも良いです!」 と、言い捨てた 「おい待てよ!」 一生が叫ぶ 聡一郎は無視して歩き出した 康太が榊原に抱き上げられた先から、一生の頭を撫でた 「……康太……」 「飯食うぜ!」 レストランへ全員で向かった レストランへ下りてく途中で、清四郎が真矢と夕方の散歩に出る所に出くわした 「あら、康太……何処へ行くんです?」 真矢が怠そうに歩く康太に問い掛けた 「下のレストランにメシ食いに行くんだよ」 と康太は説明した 「…………朝から見ませんでしたね……」 真矢は………もしや……と問い掛けた 「おう!目が醒めたのがさっきだ!」 やっぱし……真矢は榊原を見た 最近康太を避けて……距離を取ってるのが解っていた 何も言わなかったが…… 気になっていた 康太はゆっくりと歩き出した 榊原は康太を追い、一緒に歩いて行った 真矢は一生に 「………最近康太を避けてましたよね?」 と問い掛けた 一生は仕方なく…… 康太が盲腸で倒れて入院した事を話した その前は熱出して寝込んだり…… だから気にして…距離を取ってたんじゃないか……と話した 真矢は息子の気持ちが痛い程に解った 康太の不調に気付けなかった…… 不甲斐なさ…… それで自分を律して……距離を取っていたのだ 一生は「流石と…犯り過ぎな気もするけどな…」と笑った 康太を追い掛け、レストランへ向かう 康太は一心不乱に食べていた 榊原も静かに食べていた 真矢と清四郎はその前に座った 一生達は適当に座った 「康太、ビックパフェ食べますか?」 真矢が康太に声をかけた 「今日はいいや……メシ食っちまったからな…」 「この前康太が注文したビックパフェ…… 私と清四郎と清隆と玲香も参戦してくれましたが……完食は無理でした」 あの甘さに……辟易になり……残した 「腹減ってたら食えねぇ量じゃねぇ オレは疲れてくると甘いのが食いたくなるからな でも今はパフェよりメシだな」 豪快に食べてゆく康太を見つめた 首は……もぉ凄いキスマークだった 短パンから出てる脚も……チラッと見たら凄かった どれだけ息子が康太不足だったのか…… 伺える 「………伊織、怠い…」 「食べたら寝に行きますか?」 「……いい。寝てても怠いし…… そう言えば父ちゃんや母ちゃんは?」 と康太は聞いた 清四郎が「会社ですよ」と答えた 「……え?会社?何かあったのかよ?」 「何もないですよ 源右衛門をお連れする為に来ただけで 源右衛門の所に厳正が来てる今 安心だからじゃないのですか?」 清四郎は康太に説明をした 「厳正来てくれたんだ」 「弥勒もおみえになってますよ?」 「弥勒も?」 「ええ。源右衛門の所におみえです」 康太は榊原を見た 榊原は「後で顔を出しましょうか?」と問い掛けた 「あの親子…電車で来たのかよ?」 あの親子は車の免許は、取らなかった 向いてない……と言い、免許を持つのを拒否っていたのだ 真矢は「清隆が迎えに行ったのですよ」と答えた 「え?父ちゃんが?」 珍しい事もあるな……と呟いた 「源右衛門が淋しそうでしたからね……」 康太は忙しく……白馬にいなかった 家族もお盆前に……そんなにいられない お盆にはまた来るとして…… 一旦、横浜へと帰って行った 「あ!そうそう、悠大が夏合宿から帰って来ましたよ」 真矢に言われ……すっかり忘れてた康太は焦った 「誰が悠大を連れて来てくれましたか?」 清四郎が「学校からホテルに連絡があって、私が迎えに行きました」と教えてくれた 康太は清四郎に「すみませんでした」と謝った 悠大の事は康太がする なのに最近康太は悠大をほったらかしだ…… 清四郎は笑って   「気にしなくて良いですよ 悠大と話をしました 悠大は大人びてて、落ち着いてるから… 気づきませんでしたが…… まだ高1なんですね……少し驚きました」 肩を竦めた 「悠大はまだ高校一年生です ……ナリは瑛兄みたいにデカいですが 中身はまだまだ子供ですよ」 「………でも悠大が帰りの車の中で読んでた本は…… 建築のド太い本でした……子供なのに偉いなと思った位です」 清四郎が言うと康太は笑った 一生が「悠大は年齢不詳だからな」とボヤいた 聡一郎は何も言わなかった 「オレの可愛い弟だからな!言ってやるな」 と康太は一生を止めた 「で、悠大は?」 康太が問い掛けると一生が 「部屋にいるんじゃねぇか?」と、返した 「喧嘩でもしたのかよ?聡一郎?」 「してませんよ? 喧嘩する前に……顔見てません」 「………嘘……見てやれよ……」 「康太が気になって……後で見てきます」 康太が優先来るから……後回しになるのは否めない 「オレは今日は動かねぇぜ」 動きたくても怠くて……無理だった 「ええ。解ってます。」 「なぁ、ビックパフェ、みんなで食うか?」 康太が言うと皆嫌な顔した 慎一が注文に行き、暫くするとビックパフェが置かれた 取り皿を人数分置いてもらい、取り分けて行く 榊原に至っては…… 甘いのは苦手で…康太が食べた 「君の体躯に塗りたくるクリームなら食べますがね……」 それでないのなら……甘いのはご免だと…榊原は言った 一生は…なんちゅう事をなさってるのぉ~と心で叫び… 無視して食べていた 真矢は苦笑して 清四郎はやはり……と諦めた 結局康太が残り全部平らげ、完食した 「腹いっぱいではち切れそうだ」 ご機嫌で言う康太は可愛かった 「伊織、別邸に行く」 「怠くないですか?」 「………怠いけどな…今もおめぇが挟まってるみてぇだけどな…」 康太は危ない台詞を、サラッと吐き出した 「でも顔出さねぇ訳にはいかねぇだろ?」 「ですね。父さん達はどうします?」 「ご一緒して迷惑でないなら…」 清四郎は答えた 「迷惑な訳ねぇじゃん! じぃちゃんは息子やその家族と過ごせて 嬉しいに決まってるじゃんかよぉー」 康太に言われて清四郎は胸をなで下ろした 康太は清四郎に頭を下げた   「この夏は源右衛門と一緒にいてくれて 本当にありがとうございました!」 清四郎は慌てた 「康太、頭を上げて下さい 謝られたら……困ります」 「この暑さは本当に源右衛門は堪えていた お気づきでしょ?側にいれば…… 医者に涼しい場所に連れて安静にしとけ…と言われる程に、じぃちゃんは堪えていたかんな」 「はい。源右衛門はクーラーの風が嫌いですからね 暑さが身に堪えて来てるのは解りました」 「少し元気になったしな 厳正なら…何か薬でも持って来てくれてそうだし 伊織、行くもんよー」 康太が言うと榊原が伝票を持ち支払いに行った 一足先を越され…… 清四郎は「康太……」と情けない顔をした 「たまにはね、良いでしょ? 伊織の稼いだお金で支払う。 伊織なりの親孝行ですよ」 「……え?」 「清四郎さん達にこれから返してゆく 伊織なりの親孝行です 貴方達の息子ですからね伊織は。」 清四郎は康太……と涙ぐんだ 真矢もハンカチで目頭を抑えた 「康太、立てますか?」 「おう!大丈夫だ」 康太は怠惰な動作で立ち上がると歩き出した その後を一生達が立ち上がりついて行く 清四郎と真矢を促し榊原も康太の後を追った 別邸に行くと源右衛門は庭に出ていた 厳正と弥勒と夕涼みをしていた 弥勒は康太を目敏く見付けると、飛び付いた 「……康太……無茶するな!」 弥勒が怒った 「高徳……重い……」 「愛されすぎだからだろ?」 弥勒は笑って康太を抱えると縁側に座らせた その横に座って弥勒は康太を抱き締めた 源右衛門と厳正は苦笑した 厳正はこんなにも骨抜きの息子は…… 目の当たりには見た事がなかった 厳正は伴侶殿を見た 榊原は静かに両親と立っていた その関係が不思議だった 一頻り康太を抱き締めていた 「あの記者……消し去りたい位に……腹が立った!」 弥勒はあの記者会見での、腸が煮えくりかえる程の怒りを口にした 「………濁った記者魂の奴には興味がねぇかんな! 捨てておいただけだ!」 「お前の目は……驚異などではない!」 弥勒はそう言い康太の目蓋を舐めた 「弥勒……気にするな オレは気にしてねぇ」 「お前が気にしなくとも…… 我や龍騎は気にする! お前は貶されて良い存在ではない!」 弥勒は叫んだ 悔しくて…… 悔しくて…… テレビを見ていて……唇を噛み切った 飛べるなら康太の側に行き…… 康太を貶した記者を消し去りたかった すれば康太が許さないから…動けなかった 気になって…… 気になって…… 康太が倒れた 飛んで行きたかった だが側で見ていた榊原の方が辛いだろうと… 耐えた でも耐えきれず… 源右衛門に会いに行くと言う厳正と白馬に来た 康太と榊原の微妙な……すれ違いに…… 弥勒は出るのは諦めた 「伴侶殿に愛されたのだな……」 弥勒は良かった…… と、安堵の吐息を吐いた 榊原は微笑んでそれを見ていた 弥勒は康太を抱き上げると榊原に返した 榊原は康太を返してもらい、その腕の中に強く抱き締めた 康太は源右衛門に 「じぃちゃん体調はどうよ?」 と、声をかけた 榊原の腕から下ろしてもらい源右衛門の側に行く 「白馬はまだ涼しいからのぉ… 横浜にいた頃よりは楽に過ごせるのぉ」 「無理すんな、じぃちゃん 来年は家が先に完成する そしたら子守が忙しくなるぜ」 「此処へ来る途中で、京香を見舞ったぞ どの子も大きく成長して楽しみだわ」 「じぃちゃんの孫だ ある程度道筋が出来るのを見届けねぇとな」 「解っておる! わしは誰よりも甘いじぃじになるのじゃ」 妻、清香と約束した だから約束を果たす それにはまだまだ、弱ってなんかいられない! 「じぃちゃん、家に入ろうぜ!」 康太が言うと、皆、家に入った 「メシ食ったのかよ?」 康太の質問に答えのは弥勒だった 「食う気がしねぇと、そこの老人二人は酒で終わらせる算段だぜ!」 と答えてやった 康太がじとーっと源右衛門を見る 「清香に見離されっぞ!」 亭主を待って、輪廻の輪に入らぬ祖母を思って口にする 「………康太……喰うから…」 源右衛門が情けなく言うと、清四郎は 「父さん、今運ばせますから、ちゃんと食べて下さいね」 と念を押した 源右衛門は、うんうん、と頷いた 源右衛門は情けなく……厳正を見た 厳正は笑って 「世話を焼かれる内が花だ! 喜んで世話を焼かれとけ!」 と返した 康太は厳正に「悪かったな」と謝った 「…………坊主……あの記者会見だったからな…… 今にも飛び出しそうな倅を……行かせる訳には行かなかった 孫も出来た今、あやつの責任は大きい なのに……倅はそれさえも要らないと逝こうとする 困ったものよのぉ…」 と厳正はボヤいた 弥勒はバツの悪い顔を康太に向けた 「………言うな………言いたい事なら解っておる」 「解ってるなら、その身を闇に堕とすな!」 康太は叫んだ 「…………ごめん……康太……」 弥勒は康太を抱き締め 「許して………ねっ………康太……」 と哀願した 「闇に墜ちるならオレが昇華してやる 来世も再生出来ない位に綺麗に逝かせてやんよ!」 それは嫌かも…… 共に在りたいのだ 「………康太……」 もぉ情けなく泣きそうな弥勒を引っ付け 料理が来ると康太はまた食べ始めた 一生が「………おい……まぢかよ……」と呟いた 「弥勒、邪魔だ! おめぇも食いやがれ! 食わねぇと……覇道を切るかんな!」 弥勒は康太から離れて慌てて食べ始めた 清四郎と真矢は静かにお茶飲んでいた 榊原もその横で静かにお茶を飲んでいた この親子は……こんな風にしてると良く似てた この夜は皆で雑魚寝した 静かに更ける夜更けに…… ぎゃぁー! うっ! いだぁぁ~い! と叫ぶ声が…… 響き渡った 重い……… 苦しい……… 弥勒は……身動き取れない重みに…… 金縛りか? と思案した だが、霊的なモノは感じない ならば、呪詛か……神経を研ぎ澄ます …………が、呪詛ではない ならば…… この重みは……何なんだ…… 身を起こそうとして……蹴り飛ばされた 「………っ!何なんだ?」 弥勒は呻いた その声に榊原は起き上がり康太を探した そして弥勒の上に乗り上げてる康太を回収した 「………弥勒……康太に乗り上げられてました……」 弥勒は慌てて飛び起きた 康太の布団と弥勒の布団は遠くに敷いてあった 康太の横に榊原、そして一生、聡一郎、隼人に慎一が寝ていた それを超えて来たと言うのか…… 信じられない想いで一杯だった 「康太は暑がりですからね……」 源右衛門はクーラーを嫌う そうすると……部屋の中は暑かったりする 布団で寝ていても……暑いと康太はコロコロしちゃう 飛び出て……コロコロ涼しい場所を求める 一生も起き上がり榊原を見た  「う~痛ぇ……んとに……この子は寝てても落ち着きがない…~」 一生は脇腹をさすさす擦っていた 「蹴られましたか?」 「おう!今回もな蹴り上げられた…」 一生がボヤくと…聡一郎も起きた 「さっきまで僕の上にいましたよ 重くて…金縛りか?と想いました……」 聡一郎がボヤいた 隼人は顔に蹴り痕を着けながら寝ていた 慎一は「死ぬかと想いました……」と息を吐き出した 弥勒の横に寝ていた すると急に重くなった…… 不意にのし掛かられると……身動きが取れなくなる 弥勒は榊原に 「康太と寝るのも命懸けで御座るか……」 とため息をついた 「今回も被害者を出しましたね……」 こんなに皆騒いでるのに…… 康太は榊原に抱き締められ…… 淀を垂らして……「……もう食えねぇ……」と何かの夢を見ていた 一生は「夢の中でも食ってるよぉ~」と呟いた 榊原は「………目を醒ませば……腹減った……ですがね」と起きた時を想い……言った 「おう!この子は腹減った……と腹減りさんだからな」 一生は、起き上がり布団を畳み始めた 慎一が康太と榊原の分も畳んでゆく そして弥勒を起こして、厳正と源右衛門の分も畳んだ 清四郎は、起きてそれを見ていた 真矢も起きて息子達を見ていた 「……隼人起きなさい」 慎一が隼人を起こす  「………痛いのだ…慎一」 隼人はボヤいた 「………蹴られてますからね」 今まで寝てたじゃないか……と想いつつも 慎一は隼人を撫でた 榊原は康太を、起こした 目を醒ますなり康太は 「メシ?」と榊原に問い掛けた もう食えねぇ……言ってたんじゃないんですか? 心の中で苦笑して 「そうですよ。 食べに行きましょう! 後で買い出しに行きます 明日からは僕が作ります」 「なら起きるもんよー」 康太は首をコキコキ動かして起きた 起き上がった康太の短パンの隙間から…… 夥しい紅い痕を目にした 散らばる紅い痕の数だけ…… 榊原の愛を身に纏っていた 康太はニカッと笑った そして軽やかな足取りで別邸を出て、ホテルに朝食を食べに行った 相変わらず朝食を食べながら鳴り響く携帯に康太は出ていた 「神野、来るなら来いよ この前おめぇには真野を紹介出来なかったからな」 『康太、当分ご厄介になって良いですか?』 「居てぇならな居れば良い』 康太はそう言い笑った 電話を切ると、直ぐさま電話が鳴った だが康太は電源を切る事はしなかった 着信相手を確かめて出る 誰かの連絡を待っているのは解った 弥勒は康太に微笑み何も言わなかった 「伊織、神野が来る」 「部屋はあるでしょ?」 榊原は静かに珈琲を飲みながら言った 「だな……」 康太は携帯をテーブルに出して視線は何時も携帯に向けられていた ブーと音が鳴ると視線を向け 無視する その繰り返しだった 瑛太も今は横浜に戻っていた 佐伯も横浜に瑛太と共に戻っていた 白馬には本当に源右衛門を休めるためだけに来ていたのだ 皆が来なきゃ源右衛門は来ないから…… 朝食が終わると康太はホテルへと引き上げた 源右衛門と厳正と弥勒は別邸へと向かった 清四郎と真矢もホテルへと引き上げた もうじきお盆に突入すると言う事もあってホテルは盛況だった 活気に溢れ、康太の描いた絵図に乗った白馬の姿が、そこに在った

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