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第41話 待つ①

飛鳥井のフロアのソファーに座り、康太はPCを操作していた 神野がやって来ると、康太は真野千秋を呼び出した 「康太、お呼びですか?」 康太の意思で飛び回っていた真野が、康太に挨拶して入って来た 「神野、真野千秋だ! 真野は宮瀬建設の元社長の懐刀だった男だ 物凄い切れ者だ! お前の事務所の役に立つだろ」 そう言い、やっとこさ神野に真野を合わせた 真野は神野に挨拶をした 「真野千秋です! 僕は飛鳥井康太の持ち物です 貴方の会社に勤めますが、康太が動けと言えば 僕はそちらを優先致します それだけ了承して下されば、僕は誰よりも戦力になります!」 仕事が出来る真野ならではの台詞だった 自信に満ちあふれ、生かされてる男の台詞だった 神野は真野の手を堅く握り 「宜しくお願いします」 と頭を下げた 「康太を第一優先で構わない」 そう言った 「康太、事務所の名前変えるんでしたよね?」 「おう!九曜プロダクションにしてくれ」 「解りました! 僕の初仕事は事務所の名義変更からですね 白馬に来たばかりで申し訳ないが 僕を会社に連れて行きなさい そしてメインPCを管理するので教えなさい データーを立ち上げ、タレントのスケジュールも一括管理します もっと能動的に動けるように一度見直します」 真野に言われれば……神野はとんぼ返りするしかなかった 神野は須賀の意識が戻るまで…… 康太の側で過ごそうと想っていた   だが、こんな切れ者のを……託されれば動かざるを得なかった 「康太、俺は真野を連れて帰ります 何かあれば連絡下さい」 と念を押した、神野は帰って行った お盆休みに突入して、飛鳥井の家族は白馬にやって来た 笙もやっとこさ休みを貰い白馬にやって来た なのに……… 康太は部屋から出る事は…… なくなった 榊原が康太の好きなアイスを買い込んで部屋に戻ろうとする そこを捕まえて、瑛太と笙は 「康太はどうしたのですか?」 と問い掛けた 「喧嘩したんですか?」 まさかと思い……聞いてみる 榊原は部屋のドアを開けて、瑛太と笙を招き入れた 「康太、義兄さん達が気にして来てます」 声をかけると康太は笑った ベッドの上で……上半身裸で…… 康太は座っていた その体躯には……惜しみなくキスマークが着いていた 榊原はアイスを冷凍庫にしまい 瑛太と笙をソファーに座らせた 榊原は康太の服を取り出すと着せた 「何か飲む時はPCから目を離しなさい」 榊原はそう言い康太の体を触った 「べた付きませんか?」 「……う~体躯が甘ったるい……」 「後で洗ったげます」 康太は服の中に顔を突っ込み……匂いを嗅いでいた 榊原は諦め……服を脱がした 瑛太と笙の疑問の視線を感じて、榊原は苦笑する 「康太は最近…PCと携帯を離さないんですよ」 あまりにも突拍子もない言葉に……????となった 「トロピカルジュースが飲みたいと言った癖に… PCの画面を見ながら飲むから…零したんです」 笙は「最中……じゃなかったの?」と問い掛けた 「…………残念ですが…… 一生も聡一郎もいます…」 榊原はテラスの方を指さした 言われテラスの方を見ると一生も聡一郎いた 一生は榊原の方に来て 「PC見てる時は何も与えるな…それしかねぇぞ」 と苦言を呈した 榊原はため息を吐き出し…… 「……そうします」 瑛太は榊原に 「ジュースを零したの?」と問い掛けた 「ええ。口じゃなく体躯がトロピカルジュースを飲みました」 「………康太は何をやってるの?」 と問い掛けた 「僕は知りません」 榊原が答えると一生も 「俺らも知らねぇぞ!」 とボヤいた 聡一郎は「口を割らねぇ康太を探るのは至難の業ですよ」と苦言を呈した 「伊織、美味しいオレを食べて!」 ニコッと微笑み康太が危ない台詞を吐く 榊原は康太を抱き上げ 「一生、一回で終わらせて来ます」 と告げた 一生は「あいよ!」と言い康太のPCをロックした 笙と瑛太は居たたまれなくなり…… 康太の部屋を後にした 一生はそれを見送り、テラスへと行った 聡一郎はテラスに寝そべり 「康太が部屋に籠もれば…気にしない奴はいないか…」 と呟いた 「待ち人………来ないからな……」 一生も呟いた 「…………来ねぇな……どっちもな……」 暫くして榊原は全裸で浴室から姿を現した 「洗って来たのかよ?」 一生は康太を受け取りバスタオルで拭いた 「ええ。軽く流して来ただけです」 榊原もバスタオルで体躯を拭く 聡一郎が康太の髪をドライヤーで乾かし 榊原の髪も乾かして行く 一生は康太に服を着せた 聡一郎は榊原に着替えを取ってやった 支度を整えると、康太はPCを開いた 「………一生、貴史が踏ん張ってるぜ」 康太は三木から送られて来た兵藤の近況を一生に声をかけた 一生はPCを覗き込んだ   聡一郎も榊原も覗き込む 「………貴史じゃ……手に余るか……」 康太が言うと一生は立ち上がった 「俺が出向こうか?」 「行くか?一生? オレは動かねぇぜ」 「お前は動くな 動く時は呼びに来い! 俺を置いてゆくな! 本当なら……行きたくねぇ……」 康太を置いて行きたくなんかない だけど……兵藤の先が狂うのは…避けたかった 「まぁ少し待て一生 お前はオレの側を離れたくないんだろ?」 「でもお前の果てを狂わすのは…… もっと嫌だ……なら行くしかねぇじゃねぇかよ!」 康太は一生を抱き締めた 「宿題待ちだ それを待つしかねぇ」 「………もう一つは……まだ来ねぇのかよ?」 「…………まだ来ねぇな……」 根回しは総て軌道に乗って、邪魔者は排除した 記者会見の反響は大きかった 記者会見の後に今枝浩二が書いた真実が…… 反響を広め、絶対のモノにした 今枝浩二は真実を書いた   自分の目で見た真実を書いた 退院した後、東都日報の社長、東城洋人が白馬まで尋ねてきた 今枝の足を引っ張っていた社員は退職させました 今枝は新しく立ち上げた部署の責任者に据えました ………と。 康太は東城に言った 責任者に据えたらそれで終わる 今枝は現場に出てこそ光り輝く 康太に言われ、東城は改めて己の浅はかさを知った 「今枝は第一線を走らせろ! 止まらせるな!走り続けさせろ!」 康太はそう言い東城を送り出した 反響の相乗効果はデカかった 須賀直人に同情が集まり…… パパラッチは暴いてゆく 須賀芹那の子供は愛人の子で……DNA鑑定で真実がバレると…… 何も手に入らないと焦った芹那が、須賀直人を無き者にしようとした 連日放送合戦は繰り返され…… 総ては白日の下に曝された もう、須賀を脅かす存在はいない 須賀を傷付ける事なく幕が下ろされた なのに……… 須賀は今もなお…… 意識が戻らなかった 須賀の脳の損傷は酷かった そのまま意識を戻せば…… 脳が受けるダメージは……計り知れなかった 須賀は入院した翌日には、低体温療法が受けられる病院へ転院させられていた 脳外科のエキスパートの病院へ転院させ治療を受けていた 意識が戻ったと言うのはリークだ 噂を流せば…… 須賀を邪魔だと言う者が動き出す 完全に尻尾を掴む為に流した噂だった もう半月……須賀はその治療を受けていた 飛鳥井義恭は、そろそろ意識を戻す為に体温を上げて様子を見てゆく と言っていた なのに………連絡は入って来なかった 死んではいない…… だが意思を持たねば…… それは人には在らず… 康太は須賀直人を何年経とうとも、元のステージに乗せてやるつもりだった 還る場所は用意する 後は須賀次第 須賀…… 還って来い…… オレの前に…… 還って来い! 康太は天を仰いだ ドアがノックされ、榊原がドアを開けに行った するとそこには兵藤美緒と兵藤昭一郎夫妻が立っていた 「康太、兵藤夫妻です」 「伊織、フロアで良い。」 康太が言うと榊原は部屋の外のフロアのソファーに兵藤夫妻を座らせた 慎一がお茶を用意して夫妻の前に置く 康太は部屋を出ると、フロアのソファーに座った 「宿題の答えを、言いに来たんだろ?」 康太は問い掛けた 兵藤美緒は立ち上がると康太に深々と頭を下げた 「……貴史を預かって立ち直らせてくれて…… 本当にありがとう御座いました! もう……貴史は……駄目かと想いました…… なのに……還って来た貴史は強靱さに磨きをかけて… 後援者を唸らせた 本当に……なんと言って良いか……」 美緒は康太のくれる無償の愛に…… 応えるべき動く息子を想い言葉にした 「美緒、貴史はまだまだこれから叩き上げて行かねば脆い……諸刃の剣だ 繋ぎ合わせて叩き上げて強靱な刃にする その第一歩にしかならなねぇぜ!」 「その第一歩を貴方はくれた 貴史の指針に一本曲がらぬ杭を打ち込んだ 立ち直らせてくれた……感謝は言いたいのだ……」 感謝の言葉や礼は受け取らない…… 康太を知っているが…敢えて美緒は言葉にした 「美緒、答えを聞かせろ」 「貴方の前に座っている事が答えで御座います」 美緒が言うと康太は爆笑した 「一万円で何日暮らせたよ?」 「この宿題がこれ程までに難しいとは‥‥想い知らされました 貴方の処へ来るのが遅れたのは…… 不本意でしたから……やり直しました」 「何回やり直したよ?」 「8回に御座います」 「で、納得いけたのかよ?」 「はい。安いと言うスーパーを回り1週間 かなりスーパーを回りました 値段がスーパーによって多少の誤差があった 特売と言う魅力的なセールを我は知らなかった 人は……こうして日々工夫して暮らしているのを… 我は頭では解っているつもりでも……現実を見てはいなかった そして役に立たない……この男に荷物を持たせ 汗をかかせました 掃除一つ出来やしない 情けない……何処まで……霞を食ってるんだと言いたくなった」 美緒のボヤきに康太は爆笑した 「ワーキングプアと言われる低所得者は、日々格安を求めて生きて行くしかねぇんだぜ 誰もそんな生活望んじゃいねぇ! でもなそんな生活でもしねぇと生きていけねぇ! それを知らず為て庶民を語るな!」 「我は腹を据えた! この人も命を懸けた! 戦場を国会と定め生きてゆく その為に生きてゆく それが答えだ!」 美緒は康太に答えを言った 兵藤昭一郎は覚悟をの瞳を康太に見せた もう昼行灯していた男の瞳でなく 泥臭く生きてゆく男の顔つきになっていた 「貴史は踏ん張ってるぜ!」 「知っておる。後援会の者も唸らせる程に…… 貴史は血反吐を吐き…踏ん張っておる」 「だが、まだ役不足は否めない……」 「子供でいさせてやりたいと思った…… だが、そんな想いが…… 貴史を駄目にしておったのだな…」 「美緒、堂嶋正義って知ってるか?」 …………っ!美緒は息を詰めた 内閣総理大臣の懐刀 切れ者の堂嶋正義…… 彼は容赦のない死に神……と威名を持つ 国会に身を置くなら…… 関わり合いになりたくない存在だった 「…………知っておる」 「勝也が堂嶋正義を貸してくれる それを借りて打って出ろ!」 「………え?………真贋は堂嶋正義を知っておいでか?」 「少し前にな堂嶋正義に動いて貰った オレの知らねぇ土地だったからな… 勝也が貸し出してくれたんだ それ以来昵懇にさせて貰ってる」 美緒は信じられない想いで一杯だった 「貴史は堂嶋正義が預かってくれる あの男は容赦がない……三木はまだ甘い 叩き上げて戻る日まで、少し待て それまでは兵藤昭一郎! おめぇが踏ん張らねぇとな!」 昭一郎は姿勢を正し「はい!」と返事した 「おめぇの後援会の奴等も、堂嶋正義が応援演説に駆け付けてくれるなら、文句は言わねぇよな? 堂嶋正義は誰かの応援演説に行かねぇからよぉ!」 康太はそう言い笑った 「貴史は堂嶋正義が来た時に連れて行く 半年預かって叩き上げてくれる お前らは貴史の血反吐の苦しみの上を逝くのを忘れるな!」 堂嶋正義は大阪…… ならば半年は逢えないのか…… 美緒は、立ち上がり姿勢を正すと、康太に深々と頭を下げた 「真贋、本当にありがとう御座いました 貴方が動けば何億と差し出さねばならぬのに…」 今の兵藤では何億と差し出す余裕もなかった 「貴史から取り立てるからな構うな! 総ては貴史の果ての為だ 取り立ては容赦なくして行くからな お前等は貴史の果てを築いて行け!」 「はい!」 「兵藤貴史と言う男には何億という価値がある オレは貴史の果てを見届ける義務がある 今此処でお前等が倒れたら共倒れだ そうならねぇ布石は打つ! それだけだ!」 康太は、そう言うと部屋へと戻った 榊原は兵藤夫妻に 「貴史の処へ戻りなさい!」 と告げた 兵藤夫妻は榊原に礼を言い、兵藤貴史の処へ…… 還って行った 榊原は部屋に戻ると 「帰られましたよ。」 と告げた 康太は怠いのかベッドに寝っ転がっていた 榊原は康太の横に座り、康太の頭を撫でた 「怠いの?」 「………少しな…」 「昨夜は何もしなかったのに?」 「悪い……昨日は……途中で意識がなくなった…」 「………僕はお預けで、良い子して康太を寝かせましたよ?」 「暑いと怠いんだもんよー」 榊原はクーラーをあまり着けない つけてくれても……あんまし涼しくない キンキンに冷えた部屋にいたかった 「冷凍庫の中に入りてぇ時がある……」 「…………解りました」 榊原はクーラーの温度を下げた 康太は涼しい風に服の前をはだけ 「めちゃくそ涼しいやんか」 と涼感を肌で感じていた 一生はそれを見て…… 「旦那……」 と榊原の肩を叩いた 冷やしすぎは体躯に悪いのに…… 康太は涼しくてベッドの上で飛び跳ねていた そこへ笙がやって来て 「何喜んでるの?」 と、問い掛けた 榊原は兄を見て…… 「クーラーの涼しさに喜んでます……」 と言った 笙は…………え???と理解不能と謂う顔をした 康太は前をはだけたまま榊原に飛び付いた 「伊織、めちゃくそ涼しい」 榊原はため息をつき 「そんなに暴れたら……余計暑くなりますよ」 と嘆いた 「伊織はケチだからクーラー着けてくんねぇし」 「君の体躯の為ですよ」 「時々は冷やして欲しいもんよー」 康太はそう言い榊原の唇を舐めた 「………時々冷やしても康太は熱いって言うじゃないですか……」 そりゃあ………エッチの最中に……冷やされても…… 「あれは伊織が熱いから……」 康太は頬を染めて言った 笙はヤバい……と、要件を言った 「康太、飛鳥井の家族と榊原の家族が逢いたがってます… 何故同じ白馬にいて逢えないのですか?」 「………悪かった笙 オレはやらねばならぬ事が山積してた 盲腸で入院したりしてな……更に貯まっていたんだよ」 「………え?盲腸で入院してたんですか? 何時の事ですか?知りませんでした」 「言ってねぇかんな! 言えば白馬から駆け付けて来る そしたら源右衛門も来るだろ? それは避けたかったんだよ」 「………僕だけにでも言って下さい……」 「………悪いな……盲腸だったからな 言う程じゃねぇかんな!」 康太は笙を見た 「オレは今、携帯とPCを離さねぇ… 待ってるからな…携帯は離せねぇ… それなのに……家族の側に行くのは気が引けた」 「…………それでも良い……顔を出して下さい…」 笙はそう言い榊原の上にいる康太を持ち上げた 「君達に倦怠期はないんですから… 少しくらい家族の処へ来て下さい」 「つい最近まで伊織は俺を避けてたぞ」 康太は榊原に腕を伸ばした 榊原は康太を奪回して抱き締めた 「………え?あり得ないでしょ?」 「有り得るんだよな!伊織」 康太は榊原に問い掛けた 榊原は何も言わず康太を抱き締めたままスタスタ歩いて行った 笙は一生に「……何があったの?」と問い掛けた 「目の前で康太が倒れたからな…旦那は悔やんでいた その前日に熱を出させた そして倒れた……記者会見も不調だった 旦那は自分を責めて…康太と距離を取っていた」 聞けば……榊原の想いが痛い…… 笙は堪らなくなった それを口にするのは憚れる… 口に出来る程……軽くないのだから…… 笙は康太を追った 一生達はその後をゆったりとした足取りでついて行った 榊原はエレベーターに乗ると康太を下ろした 別邸に行くと瑛太がドアを開けて康太を迎えた 応接間に行くと皆揃っていた 康太はソファーに座ると一生に手を伸ばした 一生は康太の手にPCを置いた 携帯をテーブルに置いて、視野に入れたまま 康太は家族を一瞥する事なくPCに視線を向ける 清隆は………榊原に   「康太は……何時もですか?」 と問い掛けた 「………ええ。ここ最近は……食事中もこんな状態です……」 瑛太が無駄だと解っていても 「康太は何をしているのですか?」 と問い掛けた 「僕には解りません……康太のPCを覗き見したって莫大な情報量に…計り知れません」 榊原はため息をつき…… 「多分……聡一郎も一生も解りません」 と誰も解らないと言った 「慎一は?………最近見ませんね?」 清四郎が問い掛けた 一生が「慎一が動くとしたら康太の命令だろ?」と言い捨てた 「あの男は主の為にしか動かねぇぜ……」 一生が言うと聡一郎が 「僕達は適材適所配置されている 康太の命令を違える事なく動く 慎一を動かしてるのだとしたら、僕達には解らない」 と言い切った その時別邸の玄関の呼び鈴がならされた 康太はPCから顔を上げて立ち上がった 一生が玄関まで出迎えて連れて来たのは 桐生夏生、その人だった 朝宮一輝が夏生を連れてやって来た 「康太様、滞りなく夏生様は総てを引き継がれました」 と朝宮は康太に報告した 「朝宮、ご苦労だったな」 「いいえ……私が……役不足でしたから…… 貴方を動かさねばならぬ状況になりました」 「気にするな朝宮 オレは見てええ捨てておいた」 「………康太様…私の処分は……」 朝宮は覚悟を決めていた 新社長の桐生夏生が来た今……朝宮は処分されるべきだったから…… 「朝宮」 「……はい。」 「藍崎に食わせて貰うのかよ?」 康太はニャッ嗤って朝宮に声をかけた 「…………康太様……」 「オレは藍崎を幸せにする義務がある 若旦那に託された時から、見届ける責任がある」 「………解っております」 「なら、踏ん張って働け! 妻を守って、頑張らねぇとな!」 康太はそう言い榊原に抱き着いた 榊原は康太を、抱き締めた 康太は夏生を優しい瞳で見た 「夏生、此処は空気が綺麗だ そして青龍の家の前に在った湖を真似て作った湖がある 暫く此処で過ごせ 体調が悪いんだろ?」 「………康太……君の役に立たない…… 僕など要らない……」 康太は腕を広げた 夏生はその腕に飛び込んだ 「このホテルを曲がらぬように導いてくれ」 「はい……貴方の目になって… この地を守りたいと想います」 「お前はここに住め」 「はい。」 「朝宮、夏生のサポートをしてやれ」 「解りました! 夏生様のサポートを致します」 康太の指が夏生の髪を撫でる 銀色の妖炎が喜んで流れてゆく 榊原の指が夏生を撫でる 夫婦で撫でられ夏生は嬉しかった 夏生は立ち上がると康太に深々と頭を下げた 「必ずや、貴方の目になってこの地を護ります」 そう言い夏生は朝宮を連れて出て行った 康太は再びPCに目を向け…… 家族は見なかった 榊原は 「こうなるのが解っていましたから…… 部屋から出なかったのです…」 と、康太の想いを代弁した 榊原や一生達も知らぬと言う そして慎一は不在だった 静かに……時を過ごす康太は…… 家族にとったら驚怖だった…… 家族を見ない 清四郎は………妻を抱き締めて…… 泣いた 外は……雷鳴が轟き… 激しい雨が打ち付ける 別邸の真上で………雷鳴が鳴く 康太は窓を開けると駆け出した 裸足で外へと下りる 打ち付ける雨は痛い程だった 康太は天を仰いだ 泣きながら…… その時を待った ごめん… ごめん……友よ…… 康太は祈りながら…… 天に両手を広げた 榊原も一生も庭に出た 「黒龍ー!!!!」 康太は叫んだ 康太の前に黒龍が姿を現すと 康太は黒龍に飛び付いた 「……ごめん……」 康太は謝った 黒龍は康太を抱き締め、肩に顔を埋めた 土砂降りの中…… 何時までも……… 黒龍と康太は抱き合っていた……… 榊原と一生は… 動く事も出来ず……… 二人を見て立っていた 絶対の信頼関係が…… そこに在った 誰も割り込めない…… 揺るぎない関係 黒龍は康太を胸に抱き締めたまま… 弟達を見た 「赤龍、青龍、家の中に入れろ!」 と黒龍が苦笑して言う 「兄さん…康太は離れないですからね そのまま上がって下さい」 聡一郎が玄関に回りバスタオルを用意した 玄関に姿を現すと、聡一郎がバスタオルを渡した 黒龍はバスタオルを受け取ると自分を拭かずに康太を拭いていた 長年世話を焼いて来た光景が伺える 榊原は黒龍を拭いた 水滴を拭うと榊原は部屋の中に案内した 誰も使ってない部屋へと連れて行った 康太は黒龍から離れなかった 黒龍に縋り付いて……泣いていた 「泣くな……炎帝…」 黒龍は困り果て康太に声をかけた 「6通夜契って参った 見事孕ませて、近年稀に見る生命力を持った嬰児だとお墨付きも貰ってきた」 黒龍は役目を終えて… 苦しんでいる炎帝の処へ来たのだ 黒龍を送ったのは… 閻魔だった 友に過酷な試練を与え…… 炎帝が平気で過ごせる訳はないと……心を痛めていた 「黒龍………ごめん………」 「もう謝るな! 謝らなくて良い! 俺は頑張った! お前が与えてくれる四龍の存続だ 精一杯頑張った!」 黒龍は優しく言い聞かせた 「黒龍……黒龍……」 「泣くな炎帝……」 黒龍は康太の顔を上げさせて涙を拭いた 「黒龍…ありがとう」 「八仙の処へ行った時虹龍に逢ったぜ」 「元気してた?」 「………地龍と言うよりは…青龍に酷似してたな」 「オレの蒼い龍の方が男前だ!」 黒龍は苦笑した 「………昔から…青龍一筋…… 夫婦になっても…まだ惚れるか?」 「オレの蒼い龍程男前はいない」 康太の台詞に……… 一生は……目医者に行きなはれ……と思った 「お前は蒼いのしかみないからだろ? 魔界にはもっと男前もいるぜ!」 「要らない! オレは青龍だけいれば生きて逝ける」 黒龍は康太の頭を撫でた 「変わらねぇなおめぇは」 「青龍しかこの目に映らねぇかんな!」 惚気だ…… 榊原はクラッとした 聡一郎は爆笑してソファーの上で転がった 「オレの蒼い龍は鱗一枚にしたって綺麗なんだ オレはあの鱗に触りたくて…焦がれていた」 うっとり呟く康太の頭を黒龍は撫でた 「閻魔が一晩くれた 今宵は皆で過ごそうぜ」 黒龍はそう言った 康太は黒龍に抱き着いて放れなかった 聡一郎が 「康太、抱き着く相手が違うでしょ?」 とボヤいた 榊原は「良いんですよ」と割り込めない仲に割り込むのは諦めていた 「黒龍、産まれたら八仙がお前の所に連れて来てくれる……」 「俺は1度に……三頭の父親かぁ…」 少しだけ情けなく……ボヤいた 「大丈夫だ! 金龍と銀龍が子育てしてくれる 次代の四龍を一族が育てる」 聡一郎は「黒龍はよいパパになりそうですね」と言った 「司命……お前1度に三頭のパパになってみる?」 「黒龍、今世では僕は既に一児パパです」 まさかこんな、切り返しが来るとは…… 康太は携帯を操作して写真を取り出した 黒龍に携帯を渡した 画面一杯に笑っている子供がいた 何処となく……赤龍に酷似してると…感じた 「この子は?」 「赤いのの子だ」 康太が言うと黒龍は「………流生…」と呟いた 「次代の赤龍になる子だ! 赤いのは、これで子は終わる」 「………赤龍に似てるな……」 「だろ?力は女神を凌ぐ……」 黒龍は言葉をなくした…… どんな想いで…… 「黒龍、今夜は飲み明かそうぜ…… と言いてぇが……オレ等は今世は未成年だ 従って飲めねぇんだ」 「………解ってるって! 飲まぬともよい!」 「皆の所に行って飲ませて貰うと良いかんな!」 康太が言うと一生が走って行った 一生は応接間に顔を出した 瑛太が「どうしたんですか?」と問い掛けた 「食わせて欲しい、もてなして欲しい そして飲ませて欲しい!」 「……一生、飲ませて欲しいはダメですよ 君はまだ未成年ですからね」 「違う!康太が庭に走ってて抱き着いた男…… 見ましたよね?」 瑛太は「………ええ。ですが他言はしませんよ?」と一生に返した 「その男に酒を飲ましてくれ! 今夜しかいられねぇからな…… 飲ませてやりてぇんだ」 と頼んだ 清四郎は一生の肩を抱き締め 「では料理を運び込ませましょう! お酒も買い込んで来ます!」 と一生を励ました 「酒は俺等も買い出しに行くから!」 一生が言うと笙が 「ならお酒の買い出しは僕が付き合います」 と言った 清四郎は 「なら料理は私が御用意します!」 と言った 聡一郎が奥から出て来て 「清四郎さん、僕がご一緒します」 と言い外へと出て行った 応接室の奥にある和室にテーブルを並べ用意をする 榊原も現れて用意をしていた 瑛太は「康太は?」と問い掛けた 「今来ます」と言い準備に余念がなかった 康太は黒龍に抱き上げられ、応接室にやって来た 瑛太は、驚いた 榊原が良く許したな……と想い榊原を見た 清四郎も真矢も……清隆も玲香も源右衛門も…… 何も言えずに見ていた 榊原はやはり康太を奪回すると抱き締めた 「君の夫は僕でしょ?」 「伊織しか要らねぇもんよー!」 康太は榊原の胸にスリスリした 康太は榊原の腕から下りると皆に 「この男は訳あってオレに逢いに来てくれた 今夜一晩いる 迷惑はかけねぇ…… 今宵一晩だけだ…… 駄目なら…奥に行くから言ってくれ……」 康太が言うと瑛太が 「今、おもてなしの準備をしてます 今宵は飲もうではありませんか! 康太に取って大切な方なのでしょ? でしたら飛鳥井にとってもお客様です しかも私とは初対面ではありませんよね?」 と瑛太が言った 康太の命が潰えてしまいそうな時 弥勒と共に現れた時の男だと覚えていた 飛鳥井義恭は彼等を龍と呼んだ 「瑛兄……」 康太は瑛太に腕を伸ばした 瑛太は康太を抱き上げ 「飛鳥井は飲める理由さえ在れば 細かい事は気にしない 酒を交わせば皆知り合いです!」 と言い笑った 清四郎が聡一郎と共に料理を運ばせた 清四郎は瑛太の腕の中の康太を受け取ると 「お友達を紹介して下さい」 と声をかけた 「人としての名はない」 康太が謂うと清四郎は 「人でない位、もう飛鳥井にいれば慣れてしまいます、誰も気にしません! 勿論、私も気にしませんのでお教え下さい」と優しく促した 「黒龍だ!四龍の一柱だ」 「では黒龍、飲み明かしましょう!」 清四郎は、そう言い座席に招いた 黒龍は座席に着いて、酒を飲んだ 飛鳥井の家族も榊原の家族も楽しそうに酒を酌み交わしていた 黒龍は楽しそうに酌を受けていた 人間界のお酒って…… 結構イケるかも!! グビグビ酒を飲む黒龍はご機嫌だった 康太はガツガツメシを食った テーブルの上に携帯を置くのは……辞めなかったが… それでも笑顔で家族を見ていた 「瑛兄、飛鳥井の家の建設は蕪村が取ったそうだな」 「ええ。蕪村がご挨拶に来てくれました 康太……白馬からトンボ帰りで……逆に申し訳なかったです……」 「真壁の土地の方は? 何処が取ったんだよ?」 「宮瀬建設でしたね! 蓮司さんがご挨拶に来てくれました」 「会社は飛鳥井がやるんだよな?」 「自社ビル建設は我が社でやります」 「瑛兄、駅前開発もピークを迎えるしな」 「………ええ。お盆明けは大変ですね…」 「このホテルと、この別邸は悠大が引いた」 「…………え?………本当に?」 瑛太は、信じられなかった   「おう!誠一が少し見直しただけだと太鼓判を押してくれた」 とニカッと笑った 料理も上手く黒龍はご機嫌だった 清四朗も真矢も笙も、黒龍とご機嫌で話していた 玲香も清隆も黒龍と酒を酌み交わす 源右衛門もご機嫌で黒龍に酌をして貰った 夜更けまで……飲みまくり 騒いだ 康太は榊原の膝の上で丸くなって寝ていた 夜が明ける頃…… 皆が潰れ……黒龍はちびちびと一人で飲んでいた 榊原は黒龍に 「人の世のお酒はどうですか?」 と問い掛けた 「うめぇな! めちゃくそ美味くて飲み過ぎた…」 榊原は笑った 「兄さん……炎帝はずっと……気にしてました」 「だから逢いに来た…」 でなければ炎帝は罪悪感ばかり抱いて…… 還っても友を避けるだろうから…… 「兄さん……ありがとうございます。」 黒龍は笑った 「青龍、妻を大切にな…」 「ええ。大切にします」 「仲良く還って来い」 「兄さん……」 黒龍は笑っていた 「さてと、そろそろ還るな」 黒龍は、そう言い笑った 夜が明ける その前に魔界へ還る 龍は時空を超えて魔界へ逝ける 黒龍は立ち上がった 康太も榊原の膝の上から起きた 「黒龍、オレが送ってやる!」 康太は首をコキコキ動かして、立ち上がった 「炎帝が?」 送ってくれるというのか? 黒龍は嬉しそうに聞いた 「おう!時空を切り裂き閻魔んちの庭に繋いでやんよ」 「…………それはそれで……畏れ多い…」 「気にすんな! どうせ兄者は解ってて待ち構えてると想う」 メラメラ康太の体躯から焔が上がる 部屋の温度を確実に上げて…… 康太は外へと出て行った 庭に五芒星の円陣を出すと呪文を唱えた 康太の瞳が紅く染まる 髪の毛を風に靡かせ…風を熾す 炎帝の剣を出すと時空を切り裂いた 切り裂いた向こうに…… 閻魔の邸宅の庭が見えた そこには閻魔が立っていた 「黒龍、逝け! 暫しの別れだ黒龍……」 「炎帝、我が友よ! 俺はお前と共に逝く! 待っているからな炎帝!」 「黒龍、また逢おう!」 康太はそう言い片手をあげた 閻魔は還って来る友を笑顔で迎え入れた 裂けた時空は… 黒龍を飲み込み………閉じた 康太は黒龍を見送ると榊原に抱き着いた 「伊織、まだ寝れる 適当に部屋に入って寝ようぜ」 康太がそう言うと榊原は別邸の中へと入って行った 部屋に行こうとすると、応接室のドアが開いた 一生が顔を出していた 「寝るのかよ?」 「ええ。まだ少し眠れます」 榊原が言うと一生は 「この後……犯る予定?」 と問い掛けた 「寝るだけですよ」 榊原がそう言うと一生は付いてく気満々で出て来た 「なら俺も混ざる」 「あ~狡い一生! 僕も置いていかないで下さい!」 聡一郎はボヤいた 榊原は和室に向かい、そこに布団を敷く事にした 和室に布団を敷いて寝ていると 飛鳥井の家族も、榊原の家族も狡い……と入って来た ぎゅーぎゅーの雑魚寝となり…… 寝た 酔っぱらいは……即ダウンして 夢の国に旅だった 翌朝、かなりの被害者を出して…… 皆が目を醒ます事になる ぅ……ぎょぇ…… うっ! い………たい 暑いと落ち着きのない……康太だった 日の光が差し込み眩しくて榊原は目を醒ました 横を見ると康太はいなかった 「………康太……」 榊原は起き上がった キョロキョロと周りを見渡した あれ?何処にもいない…… 榊原は慌てた 「康太!康太!」 探し回るけど……康太はいなかった その時一生が 「旦那…」 と言い指を指した 「……え?一生…何ですか?」 「あれ!」 指差す方を見ると康太がいた 榊原は廊下に出た 廊下に出て康太を抱き締めた 一生がため息をつき…… 「暑いからな……」 冷たい場所を求めたんじゃないのか? とボヤいた 「今回は……無差別で……被害大だぜ旦那…」 「…………え?そんなに?……」 こんな遠い廊下までゴロゴロして来たのだ… 通路になった人は… 無傷ではいられないだろう…… 「………皆さん……起きてます?」 榊原は恐る恐る……声をかけた 全員起きていて…… 何処かしら押さえていた 「伊織……蹴り上げられました……」 と瑛太が苦笑して言った 何処を?………とは聞けなかった 一生は「股間?」と聞いた 榊原は……あちゃぁーと顔を覆った 「…………そうてす。 潰れたかと想いました…」 一生は心の中で拝んでおいた 清四朗も起きて 「ドスッと乗られました… 息が止まるかと想いました…」 と情けなく……訴えた 「……皆さん……康太との雑魚寝は辞めましょう」 命が幾つあっても足らないかも…… 榊原が言うと清四朗は 「厭です!康太の寝相は……凄いけど 皆で寝るのは楽しいので…… 辞めたくないです こんな時間は滅多とない… だから一緒に寝れる時は ご一緒したいです」 と訴えた 「……父さん…大丈夫ですか?」 「大丈夫です 康太は廊下で寝てたのですか?」 「………ええ。暑いと……ゴロゴロして冷たい場所を求めて移動しますからね……」 「ある意味……凄いですね…」 榊原は何も言えなくなった 「旦那、康太を起こして食事にしようぜ!」 一生に言われ康太を起こす 「………伊織……暑い…オレを冷やせ……」 「熱?……」 「違う。力を半端に使ったからな… メラメラしてんだよ……」 不完全燃焼だと康太は訴えた 「………お水は……厭なのでクーラーで冷やしましょうか?」 「あんでも良い……」 榊原は康太を抱き上げると一生に 「少し冷やして来ます 食事してて構いません 一生、食べに出かけて構いませんからね」 と言い置いて、和室の客間を後にした そして開いてる部屋に入り、鍵をかけた 榊原は康太をベッドの上に置くと クーラーをつけた 「…康太、燃えてるの?」 榊原は問い掛けた 「おう!メラメラしてんのに…寝たからな熱くて…」 「なら君の中…熱いんでしょうね」 榊原は康太の耳に囁いた 耳の弱い康太は逃げ腰だった 「………ゃ……伊織…よけい熱くなる…」 「燃え尽きてしまえば熱さは終わりますよ?」 服の中に手を差し込み… 既に立ち上がった乳首に触れると、康太は震えた 「……ゃ……伊織……ぁぁ…ダメ……」 首筋を執拗に吸い上げられ… チクッと痛みが走る 乳首も執拗に引っ掻かれ……敏感になり…痛い程だった 熱いのに…… その熱に更に火を点ける…… 「……ゃめ………伊織……ぁ……」 「やめて良いんですか?」 つーっと康太の乳首をなぞる そして指は…… へそを辿り…… 器用にズボンを寛げ…脱がした 草むらに聳え立つ性器をなぞった 「こんなんにして……やめますか?」 「……ぁっ……あぁ……らめ……」 「じゃぁ、やめますか?」 指は更に下へと這ってゆく ヒクヒク戦慄く穴をなぞる 「物欲しそうですよ?」 「………伊織……いじめるな……ぁん……」 「いじめてませんよ? 君のして欲しい事しかしないつもりです」 触るだけ触って…… 康太が望まない事はしないと言う 焦らされ…脳髄まで焼け尽くされる…… 「……伊織……触って……」 「どこをですか?」 康太は……羞恥に耐えて…… 榊原の指を……蠢く穴に導いた 「触って……」 「どんな風に? 君がやって見せて下さい」 意地悪モードの榊原になっていた 康太は涙目になりながら……股を開いた でなければ、このまま生殺し……にされる 康太は自分の指を舐めた ペロッと……指の根元から先まで舐めて濡らす 榊原は視覚に犯され……下半身が疼いた 俯せに膝を付かせて、お尻を高く上げさせた 舐めて濡れた指を…… お尻の穴の中に挿し込んだ…… ゆっくりと、中へ潜らせ……動かす 榊原は康太の指ごと舐めた 欲しがる指は刺激を求めて蠢く だが榊原はするっと避けて 背中に唇を這わせ…吸い上げて行く 「伊織……ねぇ…ぁっあぁ…」 康太が決定的な刺激を得られずに榊原を見た 涙で潤んだ瞳で榊原を焚きつける 榊原は服を脱ぐと康太に重なった ベッドに腰を高くして…這う康太上に重なり 熱くて滾った肉棒を押し当てた 「欲しいですか?」 榊原は挿れずに、蕾みの入り口を行ったり来たりした 「……欲しい……伊織!」 康太が焦れると榊原は康太の中へ押し入った パンッ…… パンッ…… と榊原が打ち付ける音が部屋に響く シーツを握る手が白くなると 榊原は康太を抱えて膝の上に置いた 「熱い……伊織…ぁん……イッちゃう…」 「君の中……本当に熱いです…」 燃え滾る腸壁が榊原を搦め取る 榊原は翻弄され…… 思い切り腰を使った 揺れる…… 視界も… 世界も揺れて 榊原と一つになる 康太は榊原の背中に腕を回した 何度も繋がり果てて…… 熱は引いた 「熱は引きましたか?」 榊原はそう言い寝そべる康太の背中にキスを落とした 「おう!メラメラ燃えてたかんな 今はメラメラはなくなったけど……熱い」 榊原は少しだけクーラーの温度を下げた 「伊織、腹減った…」 朝も食べず…… メラメラ熱かった康太を抱いた 二人とも熱に魘され…… 求め合った

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