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「智治、僕は今からこの男を埋めてくる。だから此処で待っていてくれ」
そう言って光伸は立ち上がろうと、腰を上げる。すかさず智治が光伸の腕を掴んだ。
「お願いだから行かないで! 置いていかないで」
「大丈夫だ。すぐ戻るよ」
光伸がきっぱりと告げるも、智治は首を横にふる。
「嫌だ。一人にしないで……傍にいて……」
今まで口にしなかった我が儘に、どれほどまで我慢を強いていたのか思い知らされる。初めて智治に縋り付かれ、光伸は諦めて膝をつく。
「わかった。そばにいる」
どちらにしろ今の状況が好転することはない。それならば少しでも、智治が望むことをしてやりたかった。
「……お兄ちゃん」
胸にしがみ付く智治の震える身体を支えてやり、光伸は優しく抱き竦める。智治の身体は激しい熱を放ち、唇からは荒い息遣いを零していた。
距離が縮まったことで、益々匂いが濃く香る。沸き起こる劣情に、光伸は奥歯を噛み締め耐え忍ぶ。だが、どんなに堪らえようと足掻いても、刻一刻と光伸の身体を欲情の熱が襲いくる。
「智治、すまない」
堪え切れない劣情に智治を押し倒し、光伸は覆い被さった。見上げる智治の目は涙に濡れ、月明かりに光っている。
「智治」
小さな唇を貪るように口付け、穢れの知らぬ滑らかな肌に掌を這わせていく。
失われつつある理性と罪悪感に、光伸は何度も謝罪の言葉を口にした。それでも智治の身体を弄る手は止めることは出来ない。
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