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「……お兄ちゃん」  智治の手が光伸の頬に触れ、流れる涙を拭っていく。熱を感じる掌がじっとりと濡れそぼる。 「僕を……抱いて」  智治の腕が首の後ろに回り、唇が重なり合う。智治の言葉に心が激しく乱され、光伸は夢中で智治の口腔を弄った。 「智治、本当に良いのか?」  光伸は唇が離し、最後の理性を掻き集めて問う。 「僕はきっと……お前を抱いたら噛んでしまうかもしれない。だけど僕達は兄弟だ。何事もなく番になる保証はない」  拒絶反応が出て智治の身に、危険を及ぼすことも否めない。その恐怖が光伸の僅かばかりの理性を保っていた。 「いいよ」  光伸の不安をよそに、智治は躊躇いもなく頷いた。 「お兄ちゃんと番になれるんだったら、死ぬのも怖くない」  智治は身体を起こすと光伸に背を向け、自ら帯と着流しを落としていく。淡く光る白い肌。細い項から繋がる美しい背。見慣れているはずが、今は艶かしく光伸の目に映る。 「僕はずっと、お兄ちゃんと番になりたかった。でも……お兄ちゃんに嫌われるのが嫌で、言えなかった」 「嫌いになるわけがないだろ。僕だって、お前を番にしたいと何度も思っていた」  背後から智治を抱き、光伸は項に唇を落とす。 「もしお前が死んだとしたら……僕もすぐにお前の後を追うからね」  光伸は智治の臀部に指を這わせ、濡れた後孔を弄る。人差し指を差し込めば、すんなりと飲み込んだ。

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