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第5話 記憶(4)

 あれから一週間。ロウと僕は、めでたく一緒に住むことになった。もともと僕が使っていた部屋という選択肢もあったが、そこは知り合いの天使を招いていたりしたので、やめることにした。 「さ、ロウ。ここが僕たちの新しい家だよ。家具は僕の好みで置いてみたけど、欲しいものとか替えたいものとかあったら言ってね。」 「ん。」  結局、少し都会から離れた所にある一軒家を買って住むことにした。マンションだと勝手な仕掛けをしにくいから。 (ロウ以外に反応する悪魔除けと・・・あとは結界と、侵入者用のトラップと・・・) 「わあ。」  僕が考えごとをしていたら、ロウが感嘆の声をあげた。 「どうしたの、ロウ。」 「いや、思っていた以上に部屋が豪華で・・・」  そう言いながら、ロウは少し恥ずかしそうに顔を赤らめていた。その反応が可愛くて、おもわず頬が緩んでしまう。 「なんだよ・・・」 「え?」  そんなに緩みきっていたのだろうか。ロウがすこしムッとした表情でこちらを睨んでくる。ちょうど、ロウ用の寝室に入ろうとした時のことだった。 「何が?」  大方の予想はつきつつも、聞き返してみる。 「だから、その緩みきった顔だよ!!俺を見た瞬間に顔崩しやがって・・・」  やはりそのことらしい。どうやら僕はロウの前では素直になってしまうようだ。だって、天使には、古い付き合いでもないと、「無表情すぎて考えていることがわからなくて怖い」と口をそろえて言われる。一時期氷王というあだ名があったくらいだ。結構笑っていたこともあったのに。まあ、幼馴染にそれを言ったら、「お前は笑っているつもりでも、表情筋がほとんど動いてないんだよ。」と返されたが。・・・解せない。それとも、ロウがただ敏いだけなのか。 「ごめんって。だってロウの喜ぶ顔があまりにも可愛くて、つい。」  素直に思ったことを口にだすと、 「かわっいくねえ!!」  ゴッ。鳩尾を強く肘で打たれた。 「いっった!ひどいよロウ!」 「うるさいっ。」  バタッ。そう言って手近な部屋に籠ってしまったロウは、耳まで真っ赤になっていた。

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