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第3話
今日から悠真は中学1年生になった。
金持ちが行く学校とはどんなものかと思ったが案外普通の学校みたいで、少し安心する。普通と言っても悠真にとっては金持ちの私立であったが・・・。
1年A組となった間口悠真の席は窓側の後ろから2番目。
後ろは山内という男の子の席らしい。今はまだ、先生となる人やクラスの子が来ていないため、教室内も新しく友達を作ろうと色々な子が歩き回っている。
悠真はそっと首元を触った。癖だ。
突然だがこの世界には男女以外に第2性がある。エリートであるα、一般人のβ、そして落ちこぼれのΩだ。
悠真はΩである。本当は中学生になって学校の健康診断で分かる事だったが、何を思ったか父 に検査を受けさせられたのだ。小学生で結果が出る子は少なく、悠真も結果を知ることは無いと思っていた。
『息子さんはΩですね』
だが現実とは上手くいかないもので、悠真は自身が落ちこぼれであることを知った。と、同時にαの父 に更に虐げられるようになった。
勿論、身体が発育途中なので発情期はまだ来たことがない。それが悠真にとってせめてもの救いである。
要するに、Ωであるということは気安く身体を触れさせてはならないし、番になったら終わりだ。そのために悠真の首には太めのチョーカーが付けられている。見ようによっては首輪にも見えるだろう。ただ、学生服のおかげで見えなくなっているため、他の生徒は気づかない。
「なあなあ、キミが間口悠真くんって子?」
突然後ろから声をかけられる。悠真はちらっと後ろをみて、あまり大きくない声で返した。
「そうだけど」
「へー! キミが間口の子かあ。あ、俺、山内浩輔 って言いますー。よろしゅう頼むわ」
西日本の訛りだろうか、ニコニコと悠真に笑顔を向けてきた。
「あのさ、一応間口の子で間違いないけど・・・。俺に取り入ったっていい事ないから」
間口の名前に関わりたいなら意味が無いと、こちらから拒否をする悠真。山内はそれを見てさらに笑った。
「そんな気はなかったんやけど・・・・・・ってキミめちゃくちゃおもろいやんけ! 」
そんな風に言う子初めて見たわーと山内が声を出して笑う。
「うるさい」
少し大きな声で笑われたため、悠真はビシッと山内に声で制した。
「ごめんごめん。クッ、ホンマにキミとなら楽しめる気がしてきたわ。これからの学校生活よろしゅう頼みますー!」
悠真は眉を寄せる。
苦手なタイプだと。
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