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第3話
そうして僕は、行動に出た。
アイツが刑務所から出てくるタイミングを見計らい。スタンガンで眠らせた後、僕の部屋へと連れ込んだ。
手首は手錠で拘束して、足首にはある程度の移動ができるように少し長めの鎖を巻き付けた。
勿論それから目を覚ました尾白は、殺気立った顔で僕に向かって殴りかかろうとしたり。汚い暴言ばかりを吐きまくっていたけれど。あの例の薬を飲ませた数分後、αだった尾白が本当に発情し。殺気立った態度が嘘のように、恍惚とした表情に乱れ。本能的に僕を求めようとしてきた。
「本物……だったんだ」
ようやくこれで僕は、今まで溜まっていた憎しみを発散することが出来たのだ。
「やった。やったよ双葉。ハハッ……アハハハ!!」
それからは毎日のように僕は、泣き叫ぶ尾白を気を失うまで無理矢理犯し続け、気が済むまで何度も何度も殴っては蹴り飛ばしてやった。
アイツが、双葉にやったことと同じように。
尾白の顔が苦痛に歪んでいくたび、僕は今までにないくらい心地いい気持ちになった。
αだったアイツがΩにされた挙句。αの僕に無理矢理犯され、嫌なはずなのにそれでも快感に乱れしまう尾白の可哀想な姿を見るたび、僕の心は満たされていった。
そんな生活が続いて、一か月。
あんなに騒がしかった尾白も、今では抵抗する力も暴言を吐く気力も残っていない。
「ふっ、ふふっ」
尾白は今、どんな気持ちなのだろうか。
プライドを傷つけられ、僕に殴られて犯される恐怖に震えているのだろうか?
最近は睨むことさえしなくなってきたし、そういえば身体も大分痩せ細ってきた気がする。傷の治りも前より遅いし。
「……ちょっと、やりすぎたかな」
いやいや、そんなことはない。
だって、半年間も監禁されていた双葉はもっと酷い事をされたはずだ。
なら、迷う事はない。
「ただいま。尾白さん」
「んっ、うっ……ぁ?くろ、さき……」
家に帰ると、尾白は僕の服を大量に床にばらまき。その上に寝転んで匂いを嗅ぎながら自慰行為をしていた。
「やっぱ手錠だけでも外してやるんじゃなかったな」
大分脆くなっていたので新しい手錠にしようと今日だけ外してやっていたら、このザマだ。
発情しても、僕の帰りを待たないと発散出来ない姿がそそるというのに……。
「あらら~また発情しちゃったんですか?二日前にしたばかりですよね?尾白さん?」
尾白から漂う甘い香りに、僕は吸い寄せられるように部屋の中へと入る。
「ふっ、うっ……わ、かんねぇ。ただ、不定期な奴もいるって、聞いたこと、あるっ」
「しかも僕の服をこんな敷物みたいにして……はぁ~~全く…………皺になるだろうがッ!!」
「ウッ!!??ゴホッ!!ゴホッ!!」
腹部を思いっきり蹴り飛ばし。その場で苦しそうに咳き込む尾白の髪を鷲掴みにした僕は、そのまま頭を持ち上げながら、勃起した僕の股間部分へ顔を持って来させた。
この状況で何をしなければいけないくらい、尾白も分かっているだろう。
「しゃぶれ」
これは命令だ。
尾白に拒否権なんてない。
「やり方は知ってますよね?女遊び激しかったなら。どうせ自分のもしゃぶらせてたんでしょ?なら今度は貴方が、その女の人と同じように僕のを舐めてください」
Ωの匂いに負けてしまわないよう、なるべく挑発させるような言葉をつらつらと並べる。
ここでもし僕がΩの誘惑に負けて自我を失えば、尾白の首筋を噛んでしまうかもしれない。それだけΩの匂いというのは強いだけあって油断できない。まるで麻薬のようだ。
「ほら、早く」
かちゃかちゃとベルトを外して、ズボンとパンツを下ろし。大きく膨らんで反り返っていた僕の性器を尾白の鼻に擦りつける。
きっと発情なんてしていなければ、尾白は今頃嫌悪感に顔を歪ませ、僕のモノを吐きそうにしながら咥えていただろう。
だが今の発情している尾白は、恐る恐るではあったが。うっとりとした眼をしたまま、唇をそっと付けた後。そのまま僕の性器をずぶずぶと咥えていった。
「っ……」
口いっぱいいっぱいに咥えているせいで尾白の表情は少し苦しそうにも見えるが、意外と上手い。
尾白はどんどん僕の性器を根元まで飲み込んでいき、そのまま舌を使ってゆっくりと啜りながら、舌先で先端や玉を舐めまわしていく。
これじゃあまるで、僕のモノを好きで咥えているみたいじゃないか。
「ふっ……んっ」
溢れる僕の液を舐めまわしては、喉元に先端が当たるまで咥え、何度も苦しそうに吐く尾白の息が、僕の胸をざわつかせる。
「うっ……」
口の中の熱を感じてしまうたび、目眩にも似た感覚が僕を襲う。
「ぁっ、はぁ」
吐き出される液と流れ出る唾液が交じり合いながら濡れていく音が、僕の耳を犯す。そして気が付けば、その音の中に僕と尾白の官能的な声が重なっていた。
「っ……」
これは駄目だ。
互いが互いを求めて、気持ちよくなってしまっている。
これじゃあ、ただのセックスと同じじゃないか。
「ウッ!!ゴホッ!!」
もっと酷く。
コイツの心を追い詰めるようにしないと。
「吐き出すな。全部飲め」
痛めつけるようにしないと。
「っ……ゴクッ」
「よ、よしよし。ちゃ~んと全部僕の飲めましたね。偉いですよ尾白さん。じゃあ今から、飲み込んだ僕の精液を吐き出さずに耐えれたら、後で貴方のケツに僕のを入れてあげますよ」
「……えっ、ウッ!!」
僕は尾白の腹を蹴りつけ、何度も何度も腹部を中心に拳を振り落とす。
尾白は飲み込んだものを吐き出さないように、必死に両手で口を塞いで、涙を流しながら耐え続けていた。
そう、これでいい。
このくらいしないと、復讐にならない。僕は満たされない。
その、はずなのに……。
「はぁ、ぁっ」
この感情は、前とはどこか違う。
尾白の涙で潤んだ瞳や、苦しそうに吐息する恍惚な姿に、明らかに僕は戸惑っている。
これ以上は駄目だと、叫んでいる。
この感情は一体、何なんだろうか?
どれだけ殴っても蹴っても、前みたいに満たされない。スッキリしない。
これは……飽きてきた。という事なんだろうか?
それとも……。
「いや。そんなことあるわけない!!」
「ウッ、グッ!!」
そうだ。そんなことあるわけがない。
尾白への憎しみが、絶対に消えることはない。
「あはっ……ははは……あははははは!!!!」
自分の手が血だらけになるまで殴り続け、何度も腹部をめがけて蹴りつける。
そして気が付けば、尾白の顔や身体には痛々しい傷や腫物が出来ていた。
「これでいい!!これでいいんだ!!あははははは!!」
この訳が分からない感情を誤魔化すように、僕は馬鹿みたいに笑った。
まるで、痛快で爽快な気分であるかのように。
「ほらほら、まだまだこれからですよ。尾白さん」
血だらけになり。もう声を出す気力もなくなってしまった尾白の足を引っ張って、ズボンと下着を乱暴にはぎ取った。
これだけ痛みつけても、発情しているおかげで尾白の性器はしっかりと反り立っており。精液で濡れていた後孔は、もの欲しそうにヒクついている。
「っ……ふぅ」
口元を手で押さえ、今にも尾白に食いつきそうになる自分を落ち着かせる。
大体、こんな姿の尾白を目にして興奮するのは可笑しいことなんだ。
今から尾白をヤるのは、Ωの匂いに負けたからでも。尾白が好きだからでもない。
双葉と同じ目に合わせるために犯す。ただそれだけなんだ。
そう何度も自分に言い聞かせるように、僕はその日。ひたすら尾白を犯し続けた。
まるで、自分を騙すように。
隠すように。
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