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第12話 変態だな

そのパソコンを立ち上げ、向けられた液晶画面。 そこに映し出される──映像。 『……あっ、ぁん、……おに、ちゃ……っあ、……』 『心桜……っ、……ぁあ、……』 ──瞬間。 僕の喘ぎと彼の呻く声が、この異質な空間に響き渡る。 「……」 彼との行為を汚された──そう思い嫌悪を感じるのに。この身体は、素直にあの時の情交を思い出し、後孔が疼き……先端から劣情が溢れて濡れてしまう。 「……変態だな、心桜」 濡れた僕の陰茎を、兄が嘲笑しながらジロジロと眺める。 そして、徐に僕のその肉傘のくびれ部分を三本指でつまみ、食い込ませるように深く爪を立てる。 「自分のAV観て、濡れるなんてな」 「──ッッ、!」 言い切るか切らないうちに、爪を強く食い込ませたまま──捩って引っ張る。 「───っ、っ、!!」 抉り取られ、引き千切られたような激痛── 前に伏して、必死に股間を押さえる。 「………、っ、う″ぅ…っ、」 「オイ。誰が()めていいっつったよ」 髪を乱暴に鷲掴まれ、グイッと引っ張り上げられる。 ブチブチと、髪が抜け切れる音。 無防備に曝された喉元。そこに兄の顔がスっと寄せられ…… 「──この、ド変態がッ!」 口を大きく広げ、舌を舐り出し、その首筋をねっとりと舐め上げると…… 「………ッあ″、っ!」 容赦なく歯が立てられ、歯形が付く程に強く噛み付き──食い抉られる。 「う″ぅ、あっ、……、、ッ」 本能だけで身体を捩り、漏れそうになる呻きを必死で堪えながら、その激痛から逃れようともがく。 そんな僕を無理矢理押し倒し、前髪辺りを鷲掴んで、ガンッガンッと二度程強く後頭部を床に叩きつけ──痛みと脳内の揺れに、頭が痺れる。大人しくなった僕の上に跨いだ兄が、両手でゆっくりと僕のシャツを裾からたくし上げる。 「お前の『彼氏』も、相当変態だな」 纏めたそれを紐に見立て、端と端を両手で握り締めたまま、僕の喉元に当てて上から押し潰す。 喉が絞まり、苦痛に顔を歪めた僕を見下げながら、兄が強引に僕の内腿の間に片膝を捩じ込む。 ………そう、変態だった。 僕に優しくしてくれた彼は、僕だけを見てくれているものだと信じていた。 だから剃毛も含め、プレイの時に『お兄ちゃん』と呼ばせる事も受け入れたし、ビデオ撮影も嫌がらなかった。

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