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「……葉璃、このまま柔らかくすっから、痛かったから言って。 気持ち良かったらいっぱい啼いて教えて」 「ん……、んんん……っ」  葉璃が簡単に甘やかな啼き声を上げてしまうようになった原因は、他でもない聖南のしつこい愛撫によるものである。  優しくされるのも荒々しくされるのも好き、それ以前に「聖南さんからなら何されてもいい」とのたまう葉璃は、言葉通りまったく暴れてくれない。  括られた両手に拳を作り、襞を突き進む聖南の指先に耐えている苦悶の表情で、聖南はイきかけた。  頭の片隅で、聖南は自身を叱咤する。  どうすればこの愛おしい敏感な体をそうでないように出来るか───そんなもの、聖南が葉璃を手放すのと同等に無理な話だ。 「聞こえる? ぐちゅぐちゅしてんの」 「んっ……んっ……んっ……」 「んまそー……舐めていい?」 「んーんっ! んーんっ!」 「ダメか」 「ん、んっ」  ローションで解れてきた秘部が、ヒクヒクと聖南の指を締め付ける。  そこを舐められるのは嫌だと首を振る葉璃に、うっそりと笑う聖南の胸中は言葉に出来ないほど満たされていた。  自由を奪われても、汚れた下着を履かされたままにされても、本当に嫌だと思うならば聖南の股間を蹴り上げて逃げ出す事は容易なはずだ。  一度目の射精を終えても、再びむくむくと膨らみつつあるそこは孔を弄ばれて喜んでいる証だった。  弱々しく開かれた両足もされるがままで、ぷらぷらと宙を舞う。 「てか葉璃ちゃん、もっと抵抗しろよ。 俺つけあがっちまう」 「んんっ? ん、っ……」 「寂しくないようにちゃんと抱き締めとくから……バックで挿れてい?」 「んぅっ……っ……っ……」  温かな孔から指を引き抜くと、滑りを自身に塗りつけながら葉璃の耳に囁く。  葉璃は首を振らなかった。  括った両手首の力が抜け、葉璃自らうつ伏せになろうとする。  聖南は薄い腹を持ち上げて四つん這いにさせた。 この時すでに手首の拘束はやめていたが、ベッドに両手をついた葉璃は聖南を受け入れるためにやや上体を倒してジッとしている。  その光景は、またもや鼻血を気にしなければならないほど卑猥だった。 「葉璃……俺つけあがっちまうって言ったばっかじゃん……」 「ふぅ、っ……ぅんっ……っ……!」  嫌がりもせず積極的に体位を変えて待ち望む葉璃は、一体どういうつもりで聖南を煽っているのか。  聖南が与え続けてきた快楽に負けているのは明白で、そして恐ろしいほどに葉璃が従順な様を見ていると、胸が締め付けられそうなほど愛おしくなる。  下着で制限のかかった足はいつもより開かない。  だが聖南も色々と限界で、孔にあてがった性器の先端をむにむにと上下に動かし葉璃に覆い被さった。 「葉璃ちゃん、喘ぎたい?」 「んぅっ? んっ?」 「俺ちゅーしたいんだけど、これ外していい? 葉璃も喘ぎたいよな?」 「…………っっ?」  間近で振り返ってきた葉璃の瞳には、「自分でしたんでしょ!」という怒りが見て取れた。  声の我慢をさせたいが、聖南はキスが我慢出来ない。 唾液の交換をしなくては落ち着かない。  ぐぷっと先端を挿れ込むと、葉璃がポケットチーフを噛み締めた。  熱過ぎる内襞が聖南の動きに合わせて蠢き、強く締め付けながらも難無く受け入れてくれる。  刹那、葉璃の全身がぞわぞわっと波打った。 「なぁ、外してい? ちゅーしたい。 声聞きたい」 「んんんっ……んん、んんっ……っ」  葉璃が悶えながら文句を言っている。  お仕置きのはずが、堪え性の無い聖南の方がお伺いを立て葉璃の頬に口付けて甘えた。  ぐにぐにと内襞を潜る度に葉璃の喉は仰け反るが、肝心の声が抑えられている。 これを何度も繰り返し、公開AVの二の舞いにならぬようにしたかった。  聖南は確かに、そう目論んでいた。  けれどグッと奥を突いても「んっ」としか言わない。  それも当たり前なのだが、自身が行ったお仕置きでだんだんと不満を感じ始めるとは焼け石に水である。  最奥まで性器をねじ込んだ聖南は、とうとうポケットチーフを解いてしまった。 「葉璃、舌。 唾液ちょうだい」 「んあぁっ……んっ……っ」  細い顎を取り、動きを止めた聖南はたっぷりと葉璃の舌を舐めた。  聖南のセックスは性器で悶えさせるだけでは飽き足らない。 葉璃と初めて体を繋げた日から、唇と舌でも同等の快楽を得られる事を知った。  体液を貪り、自身の体に取り込む。  それだけで射精に似た充足感があり、毎回脳内がパンクしそうになるのだ。 「はぁ、……これだよ、これ」 「ぷは……っ」 「文句言いたい?」 「……っ、言いたい! いっぱい!」 「終わったらいくらでも聞いてやる」 「やっ、待っ……! せなさんっ、待って、……っ、パンツ脱ぎたい……っ」 「それは無理」  葉璃の体液が体内に補充され、大好きな声で「せなさん」と呼ばれた事で腰が止まらなくなる。  まるで物足りなかった。  恋人は喘がせてなんぼではないかと今さら気付いてしまうと、聖南の「お仕置き」がいつも失敗に終わっている事をも気付かされて、それにはそっと蓋をした。  突いても抜いてもひっきりなしに喘ぐ葉璃の背中に舌を這わせ、汗ばんだ肌を舐め上げる。  公開AVは未だに許せないが、葉璃をこのようにしてしまったのは聖南だ。  聖南も、そして葉璃も、所詮我慢など出来るはずがない。 「なんっ……あ、っ……あっ……あっ、せな、さんっ……んん───!」 「おぉ、二回目?」  容赦なく突き上げ続けていると、葉璃が高く啼いて上体をベッドに沈め、ぶるぶるっとお尻を震わせた。 同時に、聖南も眉間に皺を寄せる羽目になる。  性器に触れずに射精するのは容易くない。  嬉々とした聖南の言葉に、力無く葉璃が振り返る。 「ちが、う……」 「ん?」 「さんかい、め……」 「……それマジ? 二回目いつイったんだよ」 「んっ……ゆびで、なか、ぐちゅぐちゅ、されてる、とき……」 「…………ッッ♡♡♡♡」 「あぁぁっ……んっ、あぅっ……うぅぅ……っ」  たまらず、聖南は一度ぐしょぐしょに濡れた性器を下着の上から鷲掴み、確かめてみた。  今度こそ鼻血が出ただろうと鼻に触れてみるも、何も出ていない。  毎度失敗に終わる聖南のお仕置きだが、これだけはかなりの収穫があった。  我慢はしない。 いや出来ない。  けれど、辱める行為だけは両者共に喜びを見出していた。

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