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14♡6※
俺をムラムラさせちゃった聖南にも原因があるよね。
優し過ぎるし、甘やかし過ぎるし、俺に悪い事させてる気になるっていうのも、聖南にとっては本気も本気でそう思ってるんだろうけど、見た目はさておき俺だって男だ。
聖南の事が大好きなら、聖南のものがどれだけ凶器染みていたって愛おしい事に変わりはない。
精液は不味いけど聖南のものだったら平気で飲めちゃうくらいだ。
聖南のものから溢れ出る先走りを舌で味わう感覚も、先はぷにっとしてるのに竿は固い性器独特の感触も好きで、味わうごとに聖南が気持ちいいって顔をしてたら俺は最高の気分になれるんだ。
何もしてあげられない俺だけど、少しは聖南を狂わせられてるかなって、こっそり窺う事でその醍醐味を味わえる。
俺は、聖南を見詰めた。
思ってもない事……ウソを言う直前で心臓がバクバクだったけど、真剣に見詰めた。
「…………上手になったらさせてくれますか?」
「いや、だからな、葉璃が下手だから嫌だって言ってんじゃねぇんだよ。 何回も説明してんだろ?」
「でも舐めさせてくれないです。 聖南さん、俺のアソコはめろめろ舐めるくせに」
「くせにってなぁ……」
俺の体を抱き上げた聖南が、目の前で説教するみたいに腕を組んで苦笑した。
駄々をこねてる俺を、どう言って説得しようかって考えてる。
清々しい朝陽がカーテンの隙間から差し込んで、いつでも清潔なフローリングがキラキラしていた。
空気清浄機もまだ静かで、各部屋毎に置いてあるキューブ型のお洒落なガラス製のアロマランプからは、絶えずウッディー系(聖南曰く)の香りが室内を包み込む。
いつもと変わらない毎日のベッドルームなのに、揃って休日の今日に限っては静かな攻防戦が繰り広げられていた。
「いいです。 ……分かりました」
「……何が?」
「聖南さんが唸るくらい、上手になってきます」
「……は?」
ちょっとだけ考え込むフリをして、俺はそっとフローリングの上に降り立つ。
聞き捨てならないとばかりに、聖南の瞳がやっと細まった。
……狙い通りだ。
「聖南さんがそんなに嫌がるなら、他の人で練習、してきます」
「おい! なんか前もそんな事言って……!」
「すごくすごくすごくすごく嫌だけど、目を瞑って、その人のことを聖南さんだと思えば、出来ると思うんです」
「おまっ、お前、自分が何を口走ってるか分かってんの?」
分かってる。 聖南じゃない人のものを咥えたり舐めたりするなんて、考えたくもないよ。
だけど聖南は優し過ぎるから。
俺には甘過ぎるくらい甘いから。
ちょっとくらい強引なとこ見せたっていいんだよ。
滅多に俺に向かって「お前」と言わない聖南が、キレ始めてる。 これでいいんだ。
罪悪感なんて感じなくていい。 俺はどんな聖南でも好きなんだから。
眼光を鋭く光らせて、口調の強い俺様な聖南にドキドキする理由が今分かった。
俺の知らない、ヤンチャだった頃の聖南を見てるみたいなんだ。
今にも胸ぐらを掴まれちゃいそうなくらい、聖南が眉を顰めて怒ってる。
「おい、聞いてんのか」って、そんな聖南に見惚れてた俺に向かって言うこの表情に、もっとムラムラした。
「だって……っ、聖南さんがさせてくれなきゃうまくなれないもんっ。 だったらさせてくれる人見つけて、上手くなって、聖南さんが罪悪感を感じないようにしたらいいんですよねっ?」
「…………上等じゃねぇか」
「やっ、うわわわ……っ」
迫真の演技で聖南の怒りに火を付ける事には成功したものの、俺を睨み付ける眼力はちょっと……いや、かなり怖い。
こんな瞳、された事ない。
「俺に向かって浮気宣言するなんてな。 そんなに言うなら舐めろよ。 嘔吐くまで咥えて舐めたらいいだろ。 その小さくてかわいー口でそこまで出来んのかよ」
俺を軽々と抱いてベッドに上がらせた聖南の心が、まさしく嫉妬に狂っている。
自分で言うのも何だけど、嘘が上手くなったかもしれない。
聖南の小さな器量と溢れんばかりの嫉妬心を利用した俺は、悪魔にでもなった気分だった。 ……あとからたくさん謝ろう。
「……やらせてくれますか」
「────うるせぇ。 やれ」
……か、かっこいい……っ。
聖南の据わった目に怯えながらも、強引で俺様な発言に俺は盛大に胸を高鳴らせた。
言ってほしかった台詞まで、言ってもらえた。
嬉しい。 いつもよりドキドキする。
───俺、やっぱり変なのかな。
「歯立てたらその場でお仕置きな。 顎が疲れたとか泣き言言ってもお仕置き。 他の男に奉仕する気満々だったみてぇだし? 耐えられるよなぁ? 葉璃」
「…………はい……っ」
もちろんですっ。
力いっぱい頷いた俺に、聖南は意地悪く笑った。 ネックレスとピアスをヤンチャに輝かせて、前髪をかき上げる動作に聖南の過去を見た気がした。
お許しが出た事で、俺は恐る恐る下着の上から聖南のものに触ってふにふにしてみる。
…………大きい。 ……これ完全に勃起してるのかな。
下着をずらすと、触れて取り出す前からぶるんと存在感を顕にした。
まずは両手で、俺のものより倍は長さのある竿を握る。 人差し指で柔らかな先端を押してみると、ピクッと反応を示した性器の質量が増した。
……まさに凶器だ。 今は俺だけを愛してくれている、愛おしくてグロテスクな凶器。
「……おいしそ……」
無意識に呟いた俺は、四つん這いの体をさらに縮めて聖南の股間に顔を埋めた。
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