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 口いっぱいに頬張って、舌先で割れ目をちろちろと舐めながら、俺の唾液が伝う竿部分も拙く扱いていく。  亀頭を吸い上げてみたり、性器全体を丁寧に舐めてみたりしてるけど、怒ってるからかいまいち反応が薄い。  眉を顰めたヤンキー顔で俺を見下ろす聖南の表情からは、気持ちいいのかどうなのか分からなかった。  でも、舐めさせてもらえて嬉しい。 もちろん、悪い事してる気になんてなってない。  これがいつも俺の中に我が物顔で入ってきて、お腹までみっちり埋まって、何時間も内側も擦り上げて、たっぷりと欲望を注いでくると思うと……お尻がきゅっとなる。 「んむっ……っ……」 「それだけしか口開かねぇんだろ? 奥までなんか無理だって」 「できまふっ」 「喋んなっつの!」 「あ、っ……ごめんなひゃい」  意地悪な聖南の声にドキッとした俺は、咥えたままなのを忘れて反論した。  歯先が亀頭をいじめてしまったらしく、それがまた火に油を注ぐ事になる。 「喉開け」 「……っっ? ……っっ?」  手のひらで俺の後頭部に触れた聖南は、そのままググッと押してきた。  含んだそれが、舌の上を這うようにして口腔内に深く入り込んでくる。 「ん、…………っ!」  く、苦しい……っ。  ほんとに、嘔吐いちゃいそう……っ。  舌に乗った聖南のものが、ビクビクと脈打ってるのが伝わる。  喉に流れ込んでくる先走りを飲み込むにも、舌を動かせないからどんどんそれは口の中に溜まっていった。  ……動けない。 これじゃ、舐めたり扱いたりも出来ない。 こんなに口いっぱいに入ってきてるのに、まだぜんぶじゃないんだよ。  根元を持った俺は、後頭部に置かれた聖南の手のひらを感じながら嘔吐きたいのを必死で堪えて、もう少しだけ進んでみた。 「はぁ……。 全然入っていかねぇなぁ? 真面目にやってんの? 俺いつイけんの?」 「…………っっ」  そんな事言われても……!  俺は、俺は、ただめろめろしたかっただけなんだ。  苦くてそんなに美味しくない先走りを舐めて、飲み込んで、聖南のものがピクピクっと喜ぶのを見たかっただけなんだ。  好きなんだよ、ふぇ、フェラっていうやつが。  でもこれは、俺が好きなやつじゃない。  俺様な聖南に命令されて嬉しかったけど、こんなので聖南が気持ちいいはずないよ……!  喉まで到達しそうだったそれから少しだけ顔を浮かせて、俺は視線だけで聖南を見上げた。  聖南は、天井を仰いでいた。  ……気持ちよくなかったんだ。  こいつこんな事も出来ないのかって、昔の女達は余裕でしてくれてたのにって、イラついてるんだ。  ……上手くなるには、どうしたらいいの?  奥まで咥えるって、どうやったら出来るの?  ほんとに俺、練習させてくれる人を探さなきゃ……聖南に愛想尽かされたら嫌だ……。  性の不一致で別れるなんて、嫌だ……。 「───だぁぁーーっっ! やっぱ無理! 俺には無理! 葉璃、離せ!」 「んーんっ、んーんっ……!」  最悪の事態まで想像して悲しくなった俺は、聖南のものを咥えたままいっぱい涙を流していた。  するといきなり、黙り込んで天井を見上げていた聖南が叫んだ。 「もういい、分かったから! そこまでしなくていいって! 俺が悪かったよ!」 「む、ぁっ……」  取り乱した聖南が大慌てで俺のほっぺたを押し、じゅぽっと性器を引き抜かせると目一杯抱き締めてきた。  別れ話まで想像して涙した俺は、まさしく副総長からヤンチャな恋人に変わった声色を間近で聞いて心臓がバクバクした。  まだ唇の端が痛い。  けれど今は、きつく抱き締められている体の方が痛いかもしれない。 「ごめん葉璃ちゃん……! 俺、葉璃にキレたりすんの無理だって! 知ってんだろ、俺が大根役者なの!」 「え、……っ?」  大根役者……?  なんの事言ってるの、聖南……? 「……俺が下手くそだから、呆れてたんじゃ……?」 「そんなはずねぇじゃん! こんな事させるつもり無かったよ! うわ、泣いてんのか、……マジでごめんな……?」 「じゃ、じゃあ、……別れ話は……?」 「はっ!? なんで俺が葉璃の口車に乗ってやっただけで別れ話になんだよ!」 「え、っ……!? 気付いてたんですか!?」  う、嘘がバレてた……!  上手に聖南をけしかけられたと思い込んで、頑張って頬張った自分が淫ら過ぎて……溢れて止まらなかったはずの涙があっという間に乾いた。  恥ずかしくて恥ずかしくて、聖南の胸元に顔を押し付けて濡れたほっぺたを拭って誤魔化す。  いつもの聖南が俺を太ももの上に乗せて、優しく髪を撫でてくれた。  ヤンキー聖南は、こんな事してくれなかった。 「あんな得意気に下手な芝居、誰でも気付くって。 俺らが大根カップルだって事がよぉぉく分かった」 「それ……それ……、めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど! なんで乗ってくれたんですか!」 「いや……そこまでしてフェラしたいんだ、って……なんかかわいく見えて」 「………………っ」  もうやだ……穴があったら入りたい。 どこでもいいから身を隠していたい。  俺、全然嘘が上手くなってないじゃん……むしろ大根役者のレッテル貼られたよ……?  未だ反り立つ聖南のものが俺の唾液でツヤツヤしてるのを見ると、勿体無い事したなぁという後悔しかない。  自分の中の悪魔にゲンコツしてやりたい気分だ。 「葉璃、普通にやって。 したいなら、葉璃の思うようにしてくれ」 「あ、え、……舐めてもいいの?」 「いいよ。 今日は譲らなそうだし?」 「……へへ、やったー」 「…………っ♡」  お願い、さっきの恥ずかしい嘘は忘れてください。 俺も忘れるから、聖南も記憶から抹消しといてください。  今度こそちゃんとしたお許しを得た俺はそんな事を思いながら、いそいそと四つん這いになった。  俺のしたいように、めろめろしていいんだ。  愛おしい聖南のものを握って、下手くそなりに舌先を使って全体をくまなく舐めていく。  先端は優しく、くぼみや裏筋はちょっと強めに。  聖南から教えてもらったり、俺がいつもしてもらってる舌使いを思い出して、……聖南の恍惚とした表情を盗み見ながら。 「……っ……、はる、……っ」 「………………」 「やば、……出そう。 葉璃、離せ、飲まなくていいから……っ、……葉璃!」 「もっと早く動かした方がいい?」 「はっ? ……い、いや、もう出そなんだって……!」 「イってください。 聖南さんの、……飲みたい」 「なっ……、ちょっ、マジで……っ……! ……っ……!」  喉までは無理だけど、限界まで咥え込んで一生懸命扱いた。 あったかく張り詰めた玉も一緒に揉みしだいて、聖南の吐息を誘った。  ビク、っと性器が揺れたのを見計らって、俺は扱きながら痛くないように吸い上げてみる。  …………きた。 独特な風味が鼻に抜け、ドロっとした液体が口の中にへばりつくこの感じ。  聖南の粘液が俺の中に入ってきた。 やっぱり美味しいとは言えないけど、……聖南から放たれたと思うと何よりも美味しく感じる。  彼の性癖がうつってしまった俺は、体内に取り込んだ生温かい精液をも愛おしく思った。

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