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14♡8※
「出せ! ほらっ」
聖南は俺がふぇらをすると、いつも両手でお椀を作って口の前に持ってくる。
そんな事してくれなくても、飲みたいって言ったもん。 ちょっと濃かったからサラサラとは入っていかなかったけど、唾液いっぱい使ってちゃんと飲んだもん。
「もう飲んじゃいましたよ。 あんまり美味しくないですけど、聖南さんの飲めて嬉しい」
「…………葉璃ちゃん……煽るなよ……」
ぎゅっと抱き締めてくれる聖南の腕が、すごく優しく感じる。
精液を飲まれると余計に悪い事させてる気になる、のかな。 耳元でボソッと「ごめん」って謝られたからたぶん、また少し落ち込んでるのかもしれない。
俺様な聖南も、この優しくて甘々な聖南も、俺はやっぱりどっちも好きだ。
「聖南さん、ちゅーしましょ」
「いっ? マジで? いま俺の飲んだばっかだよなっ?」
「聖南さんがいっつも俺にする、仕返しです」
「………………」
「……んっ……」
分かったよ、と呟いた聖南が少しだけ唇を開いて迫ってきた。
顔を傾けると、聖南の前髪が少しだけ俺のほっぺたにかかる。
くすぐったいからそれを耳にかけてあげると、見慣れた輪っか状のピアスが視界の端で光った。
舌を甘噛みされてピリピリっと体に微かな電気が走る。 腰がむずっとして、くねらせてしまう。
もっと気持ちよくなりたい俺は、しっかりと抱き留めてくれる聖南にしがみついてとことん甘えた。
キスの最中まで喘ぐのを止められなくなったのは、聖南の舌が俺の口内を絶え間なく蠢いてやらしい波を引き寄せてくるせいだ。
「……さすがに変な気分なんだけど」
「ふふ……っ、……美味しくないですよね」
「あぁ、葉璃の唾液ちょーだい、って今は言えねぇ。 一時間後に貰うわ」
「なんで一時間後?」
「俺の二発目が葉璃の中に出される頃だろ。 ここにな」
「あっ……」
「今度は俺の番な、葉璃ちゃん。 今日は夜までコースだから覚悟しろ♡」
「わわわわ……っ! で、でも、聖南さんっ、ケーキ! ケーキ食べなきゃっ」
言いつつも早速乳首を甘噛みされて、背中がしなった。
押し倒された俺の体をペロっと舐めたりはむはむ食んだり、好きに弄び始める聖南の肩を掴んで巨大なケーキの存在を思い出させる。
もちろん明日に持ち越しても良かったんだけど、あれだけ大きいと明日中に食べきるのは不可能だ。
せめて今日と明日に分けないと……って思っただけで、乳首を味わう舌にたちまち翻弄されていく。
エッチな事に関しては器用過ぎる聖南が、ローションで濡らした指を孔に添えた。
「あぁ、言い忘れてたんだけどな。 あのケーキは食べらんねぇよ」
「えっ!? ぁんっ……なんでですか! 俺なら食べられそうって……!」
「夜中に帰ってきて、葉璃の願い事して、いい雰囲気になって風呂入って、……食べる暇なんてあるわけねぇじゃん。 俺も葉璃も無駄を嫌うし? あれは上のフルーツだけ本物で、土台のケーキは超精巧な食品サンプルだ」
「ぇえええ……っっ!? あっ……そこ、っ」
力んだそこに、くぷっと第一関節を挿れられてすぐだった。 ケーキの正体を知らされた俺は驚いて、さらに孔を締め上げる。
ちょうどいい場所に聖南の指先があって、自分で見事にぐにゅっと押したような形になった。
聖南は呑気に笑い、「おぉ、いい締め付け」なんてニヤニヤしてるけど……どうしてそんなものを用意したんだろう?
俺の誕生日だから何か用意しなきゃって思ってくれたのは分かる。
でも……。
「俺と付き合ってるからには、誕生日当日に願い事しないのはナシだろ。 ケーキもご馳走も今夜仕切り直すつもりで別に用意してる。 もう一つ願い事考えとけ」
えぇ……っ! そんな理由があったの……!
て事は俺、今夜も誕生日……!?
まさかそこまで「誕生日の願い事」を大事にしてくれてるとは思わなかった。
たくさんの任務を抱えて自分の誕生日すら忘れてたっていうのに、聖南は覚えていてくれた上にこんな気配りで何回も俺を喜ばせようとしてくれたんだ。
そんな……そんなの……大好き以外無いよ。
「…………聖南さん……っ、どこまでかっこいいんですか……」
「ん~~葉璃にとっては宇宙一?」
「……まさしく。 ……その通りです。 ……一生ついていきます」
「当たり前じゃん、来年には俺の名字になるんだから」
「…………っ」
「 "日向 葉璃" ……今からゾクゾクする」
内側を解している指をぐにぐにと巧みに動かしながら、恍惚とした表情で瞳を瞑る聖南。
去年のプロポーズを思い出してるのかな。
『同じ名字になってください』
って、言ってたもんね。
男女の結婚という形ではないけど、聖南はそこにこだわった。
"一緒に暮らす事" と "同じ名字になる事" は、聖南の中では特別な意味がある。
それは彼の中で最も欲している、『家族』の形───。
たっぷりと解された内側を、根元まで挿れ込んだ指が一度ぐるっと円を描く。 くちゅっと出て行った指の代わりに、熱い先端をあてがわれた感触を孔に感じた。
「 "倉田 聖南" でも、いいですよ……っ」
「あはは……っ、そうだな。 もうどっちでもいいや。 葉璃を縛れるなら日向でも倉田でも」
「……聖南さん……好き、です……っ、聖南さん……っ」
「俺も。 愛してるよ、葉璃」
「ん、あっ……やっ、奥、あたってる……っ、あぁぁっ……」
俺の足を抱え上げた聖南は、太ももの裏側を持って素早く奥を突いてきた。
どっちでもいい。 聖南と俺が家族になれるなら。
俺も、聖南の意見に賛成だ。
こんな時に、聖南がずっと前に言ってた事が脳裏に浮かぶ。
『俺も葉璃に教えてもらわねぇといけない事ある』
聖南に唾液を攫われながら、俺はこの時ふと思ったんだ。
俺が聖南に教えてあげられる事なんて無いよ。 ……そう思ってた、けど……。
「聖南……っ、さん、……」
愛が欲しかったんだよね、聖南。
俺と紡げる愛で幸福に浸りたかったんだよね。
教えてもらうって言い方してたのは、聖南には分からない『家族』がどんなものか、俺と一緒に築いていきたかったって事なんだよね。
腰を動かし、中での快感を追う合間、聖南はたくさんハグを求めてくる。 ぎゅっと抱き締め返さないと、俺がどれだけ飛んでても「葉璃」って呼ばれて催促される。
気持ちいいのは体だけじゃないって、最近は特にそう思うよ。
聖南に愛されている実感を、毎日毎日上書きしてるみたいに。
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