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 呟いた聖南が、俺の見えないところで何やらゴソゴソしている。  薄っすら目を開けて振り返ろうとした俺は、出しっぱなしのシャワーでまんべんなく床に敷かれたお湯と蒸気で、早くものぼせそうだった。  聖南……何してるんだろ……。  この待ってる時間もすっごく恥ずかしいんだけど……。  恋人にお尻を向けて、裸で四つん這いしてる俺って一人で羞恥プレイしてることになってない……?  聖南はこの状況さえ楽しんじゃうタイプだからなぁ……。俺が恥ずかしくなってるの分かってて放置してるんだとしたら、さすがに怒ってもいいよね……? 「ひぁっ……!」  いろんなドキドキに襲われて耐えきれなくなる直前、ゴソゴソしていた聖南がふと俺のお尻に触れた。 「葉璃、ゆっくり挿れるけど痛かったら言って」 「えっ!?」  久しぶりで今日はキツそうって意見が合ったばっかりなのに、もう挿れようとしてる……!?  ゴソゴソしてたのって、もしかして挿入の準備してたっ?  聖南のモノはちょっと慣らしたくらいじゃ入らないから、いつも念入りにほぐしてくれてるよね……っ?  む、む、ムリムリムリムリ……! ゆっくりだとしても、いきなり挿れるなんてムリ!!  俺のお尻壊れちゃうよっ! 「そ、そそそそんなのムリです! ま、まだ聖南さんのはとても入らな……っ」 「誰が俺のを挿れるって言った? 指な、指。葉璃ちゃんのココ、全然リラックスしてくんねぇんだもん。慣らさねぇと無理だ」 「あたりまえですっ! こ、こんな状況でリラックスなんて出来ませ……っ、あっ!」  俺はまだ、無謀な口での勝負に挑んでる途中だった。でも強引な聖南は待ったナシで、お尻の穴に指をプチュンっと入れてきた。 「んっ……ん、っ……」 「うーわ……ヤッバ……」  さっきよりぬるぬるに濡れてる指が、円を描くようにして少しずつ入ってきている。  聖南がゴソゴソしてたのって、こういうシチュエーションで使う時用のローションを準備してたのかぁ……俺が痛みを感じないように。  なーんだ、そっか……やっぱり聖南は優しいや……なんてすぐに許しちゃうから、俺はみんなから「聖南に甘い」って言われちゃうんだ。 「あっ……」  うっ、だめだ……どんどん入ってくる指がもう、気持ちいい……。  ぬめり足りないナカを指一本で犯されると、聖南が支えてくれない腰がゆらゆら動いてしまう。  すると自分から気持ちい場所をねだってるみたいになって、聖南の指が途端にいじわるをし始めた。 「あっ、聖南さ、……っ」 「どした、気持ちよくなっちゃった?」 「うぅ、……っ、……っ!」 「腰動いてるぞー、葉璃」  分かってるけど、聖南がいいとこをグリグリしてくるから我慢できなくなるんじゃん……っ!  聖南の長い中指が、まだ洗ってもいないナカをグチュグチュ擦ってくる。指の腹を下に向けて少し曲げられたら、あっという間にイッちゃいそうだ。  四つん這いで悶えてると、自分の勃ってる性器が見えて余計に恥ずかしい。  ぷらぷら揺れて何かをはしたなく垂らしてるけど、それは聖南がしつこくソコばっか狙ってくるからで……。  先っぽスレスレまで抜いたり、根元まで入れたりしてるのが聖南のモノだったらな……って、そんなやらしいこと俺は考えてないんだからっ。 「聖南さん……っ、せな、さん……! そこばっか、やめ……っ」 「フッ……葉璃ちゃんかわいー。ここ気持ちいなぁ? 強めに押したらどう?」 「んやっ……やだっ……やだ、あぁっ」  いじわるモードな聖南が、落ち着かない俺のお尻をわざと支えてグリッと前立腺を押してきた。  その瞬間、逃れられない波がゾクゾクゾクッと背中を伝う。腕の力が入らなくなって、ぺたんと上体が倒れた。  肘で体を支えながら瞳をギュッと瞑っても、聖南のいじわるな指は俺が甘くイッたあとも遠慮なく出たり入ったりしていて、まるで容赦がない。  小さく上下に揺れる腰を支えたまま、聖南は俺のお尻にチュッとキスまで落とした。それはそれはご満悦なんだろうけど、それだけで体がビクンッと反応する俺はほっぺたが熱くてしょうがない。 「かわいーお尻ゆらゆらさせちゃって。やだって言うなら自分で抜いてみな?」 「え、っ? なん、で……」 「俺は別に、このまま中イキさせ続けてもいんだけど? ナカ洗いてぇんだよなー?」 「うぅ……っ! 聖南さんのいじわる!」 「自分で抜いてみて、俺の指」  やだよっ、そんなのできない!  振り返って聖南にほっぺたを膨らませてみても、「かわいー顔♡」とデレデレした笑顔を向けられて何にもならなかった。  俺が動かなきゃ、〝自分で〟抜けないじゃん……。  よちよちハイハイして、気まぐれに指を曲げていいとこを押してくる聖南の指を……自分で、抜く。  そんな恥ずかしいことを、聖南は平気で、むしろニコニコで要求してるんでしょ、どうせ……。 「ふぇ……っ、う……っ」  聖南のモノより圧迫感が無いからって、簡単には出来なかった。  恥ずかしくて穴が力んじゃって、無意識に聖南の指を締め付けてしまう。狭いナカが擦られてく気持ちい感覚も久しぶりで、声が抑えられなかった。 「はぁ……っ、んっ……!」 「はーい、よくがんばりましたー」  それでもなんとか、ほふく前進をしていじわるな指を抜くことに成功した。シャワーの音に紛れてクチュッとやらしい音が響くのと同時に、聖南が俺のお尻をいい子いい子って撫でてくる。  なんで……なんでお尻なの。俺は頭ナデナデの方が嬉しいんだけど……。  それに……聖南、全然キスしてくれない。  俺はずっと四つん這いで、気持ちいのと恥ずかしいのがんばったのに……ご褒美くれないの。 「よーし、そんじゃ葉璃ちゃんがのぼせる前にやっちまわねぇとな」  そろそろいじけてもいいかな、と寂しい唇を尖らせた俺の背後で、すでに次の段階に進もうとしてる聖南が意気揚々とシャワーヘッドを手に取った。

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