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「〝最中はずっとちゅーしててください〟ってお願いは最高にかわいかったから、そういうのだったらいくらでも」
「こ、今回は違います!」
「……聞いてみようじゃん」
主張の激しいモノを見て見ぬフリして息巻くと、ちょっと不満そうな顔であぐらをかいた聖南の足の上にぴょんと乗せられる。
俺が何をしてようが「かわいー」が口癖の聖南は、必死でお願いした一つ目の妥協案をその一言で片付けていたと知っても、全然驚かない。
この事については何よりも俺のために譲らない聖南だから、足がガクガクしちゃってまだ自力で立つこともできない俺も、仕方なく妥協するしかなくて。
一つ目のお願いと同じくらい守ってほしいことなんだって伝えるために、意識なく最終兵器を使って聖南を見上げた。
「あ、洗う前に、……」
「ん?」
「その……お尻洗う前にいっぱいいじくるの、や、やめてください……」
「……ん?」
言ってるうちに恥ずかしくなって、声が小さくなる。
なんてことをお願いしてるんだろうと思いながら、聖南に見つめ返されて負けてしまった俺はだんだんと目線が下がっていった。
俺には無い男らしく突き出た喉仏、なんだかやらしい鎖骨の間のくぼみ、六つに割れた腹筋、……まで目線を下げると、ギンギンに勃ってる聖南のモノを直視することになって慌てて目を瞑る。
首を捻って黙り込んだ聖南は、俺を抱えたまま腕を伸ばしてシャワーのお湯を止めた。
何を考えてるのか分からないけど、裸で密着してるだけなのに萎えないなんてすごい。俺のなんて、洗うので疲れちゃってもうグッタリヘナヘナだよ。
大きさも長さも俺のちっちゃいのとは比べものにもならないから、全体的に平均越えの聖南が絶倫なのも頷ける。
「俺、そんなにいじってた?」
「え? ふぁっ……!」
さも意外なことかのように問われて顔を上げると、いきなり穴に聖南の指が触れた。
ビクッと肩を揺らした俺は、反射的に聖南の二の腕を持って腰を浮かせてしまって、どうぞ触ってくださいとばかりに積極的な格好になる。
「葉璃が感度良すぎるからそう感じるんじゃねぇの?」
「えっ……ちょっ、聖南さ……んんっ」
いつの間に濡らしてたのか、聖南の中指がぬるぬるになっていた。俺が「待って」と言う前に、片腕だけで俺の体を支えた聖南は、洗ったばかりの穴にぬるぬるの中指をぷちゅっと挿れてくる。
最初は遠慮がちだった指が、じわじわ奥に進んでくごとに動きが大胆になっていく。俺の反応を試すみたいにクチュクチュ音を鳴らして、聖南はニッと八重歯を覗かせた。
「ほら。ちょっと指入れただけで喘ぐじゃん。自分で腰浮かせてんのは誰かなぁ?」
「だ、だって……やっ、聖南さん……っ」
「さっきのはいじったって言わねぇよ。甘イキ一回でクタクタになんのも、葉璃が感じやすいだけ」
「あっ……あっ、……っ」
「リラックスして無事洗えてんだから、聖南さんはあれは必要だと思うけどなー」
「んんっ! んっ……!」
二本に増やされた指に翻弄されていると、もう言い負かされ始めてることに気付いて愕然とした。
ぺたんと聖南の足の間に収まってたはずが、自分から膝立ちになって聖南に寄りかかってる時点で俺に反論する余地は無い。
いじくらないでって言ってるそばから、俺は聖南に抱きついて甘えちゃってる。
だって気持ちいんだもん……っ!
「てか俺ら何日禁欲してんだっけ? 葉璃、最後に抜いたのいつ?」
「あ、うっ……く、クリスマス……っ」
「だよな? 俺も。てことはつまり、俺らは一週間以上禁欲してるんだ」
「そ、そうですね……?」
「今日は特別感じやすいってのも当然だと思いません?」
お、思います、思いますけど……!
ナカをグチュグチュ擦って堪能していた指が、聖南のモノを受け入れさせるための動きに変わっていく。入れられた二本の指が別々に蠢いて、ナカをグニグニ拡げられた。
「あっ、で、でも、……っ! いっつも、ヘトヘトになるんです……! 聖南さんが、洗うと……っ」
腰をゆらゆらさせて聖南にもたれかかってた俺だけど、かろうじてまだお願い続行の意思があった。
音が反響するバスルーム内に、俺の喘ぎ声とお尻をいじくられてるやらしい音が響く。
少しずつ柔らかくなってるナカが物足りなく感じる前に、俺はこの話を終わらせたかった。俺ばっかりトロトロになって、執拗にいじくってくる聖南が冷静だと、普段以上に勝ち目はゼロだからだ。
「自分でやってた時はそんなこと無かったって言いたいの?」
「そう、です……んぁっ」
「へぇ……」
ヤバい……聖南が笑った。
グチュっとお尻から指を引き抜くと、俺を抱っこしたまま立ち上がる。そしてみんなを虜にするような笑顔を浮かべ、「あのな葉璃ちゃん」とほっぺたを撫でた。
「やっぱ俺らのセックスには洗浄が必要不可欠じゃん」
「なっ、なんでっ? あっ……!」
「洗う前にいじんなってのは無理だろ。全部前戯なんだから」
「えぇっ! ちょっ、聖南さ、……っ」
ここに連れられた時と同じく、問答無用でバスタオルに包まれる。完全に聖南のペースで話が進んでいた。
俺の最終兵器と同じくらい威力抜群の笑顔と、巧みな話術であっという間に言いくるめられ……結局二つ目のお願いは却下されたんだ。
ヘトヘトになるのは、俺が感じやすいから。(しかも今日は禁欲中)
そもそも洗うのも込みでセックスだと言い張る聖南にとっては、すべて前戯のうちに入るってことらしい。
お尻をいじくられて誤魔化された気がしなくもないけど、バスタオルで包んだ俺を大事そうに抱きしめてきた聖南に、これ以上の議論は無駄だと観念して白旗を上げた。
「……聖南さん、……今日は何時間ですか」
「それは俺のムスコに聞いて。一週間も禁欲してっから制御出来るか自信ない」
「え、でもさっき負担かけないようにするって……っ」
「言ったけど、それは今日に限らずいつも思ってる」
「…………っ!!」
そ、そんなぁ……!
ベッドに横たえられた俺は、濡れた体を手早く拭いてる聖南をギョッとして見上げた。
聖南の下半身は、あんまり持ち主の言うこと聞かないよね? ていうか絶倫だって自覚が無いもんね?
俺を労ってくれてた一週間、〝禁欲〟してたことになるなら……もっと早く俺から誘っちゃえば良かった。
今日はいったい何時間、暴れん坊な恋人から泣かされちゃうのかな……。
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