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58❤︎③※

 ふかふかで弾力のあるマットレスとは違い、膝をつくと微かに畳のかたい感触がある。  此処に到着してすぐ、聖南はやけに雰囲気のある室内を見て回ったのだが、布団が二組敷かれたこの寝室には異様に興奮した。  あらゆる番組で、VTRとしてならもちろん見たことはある。出演した旅番組で和室なるものが紹介されていた事も知ってはいるが、それはいつもインサート映像で実際に聖南がそこへ赴く事は無かった。  これまでの人生を振り返ってみても、今日が正真正銘、初めてだったのだ。  畳の上に直に敷かれた布団というものが、こんなにも興奮を煽るものだとは知らなかった。  風呂上がり、揃いの浴衣で葉璃と横になった瞬間なぜかいつかの再現VTRが思い起こされ、『これは手を出さずにいられないな』と笑ってしまったほどである。  番組自体は法律を扱った堅いものだったのだが、その再現VTRというのが、いわゆる上司と部下の同室での不倫行為を上司の妻が知って……という決して笑えない内容だった。  ただ、聖南は思った。  実際にこんなシチュエーション下で二人きりになれば、セックスしない方がどうかしている。 「……なんつーか……眼福、としか言いようがねぇな」  薄い敷布団に組み敷いた葉璃を跨ぎ、聖南は眩しげに目を細めて恋人の裸体を見詰めていた。  ひとまず大事な話を終えられた二人は、何とも分かりやすく欲情した瞳で互いを見ている。 「聖南さん、そんな見ないでください……」  うっとりと見上げてくる葉璃の視線は、今日も順調に聖南の心臓を撃ち抜いてくる。  あまりにも凝視されて若干の恐怖を感じていそうな視線だが、構わぬ聖南は見惚れていたのだ。  可愛らしく中性的な顔も、きめ細やかで真っ白な肌も、控えめに色付く二つの小さな乳首も、ダンスで鍛えられた薄い腹も、いやらしくくびれた腰も、身長のわりに長い足も、下腹部にある小ぶりの男性器も、葉璃のすべてが聖南の欲情対象だ。  この異常なほどに興奮するシチュエーションで、そんな魅力的という言葉一つでは片付けられない彼から願ってもない台詞が飛び出しては、鼻血の心配が現実味を帯びてくる。 「葉璃、……俺鼻血出てねぇ?」 「えっ? いや……出てなさそうですけど……。ていうかそれ、久しぶりに聞きました」 「俺も久しぶりに言った気がする」 「ふふっ……」  大真面目な顔で鼻に触れる聖南は、儚く微笑む葉璃にまたも目を奪われた。  華奢な体に跨ったまましばらくそうしていると、ムズムズを放置されている葉璃が微かに身動ぎし始める。 「聖南さん、……もう、……」 「あぁ。ありがと。充分堪能した」 「え? んっ……」  左手を柔らかな頬に添え、おもむろに口付ける。舌で唇をツンと押すと、薄っすら開いて聖南を迎え入れてくれた。  ゆっくりと、だが確実に葉璃の舌を捕らえた聖南は、そのままぎこちなく絡ませる。  粘膜のまざり合う音が互いの耳に届くと、触発された葉璃は聖南の首を引き寄せるように抱き締め、二人はより激しく舌を絡ませ合った。  薄目を開けている聖南に対し、ぎゅっとまぶたを閉じている葉璃は一見ツラそうにも思える表情で、必死に聖南の舌を追っている。 「葉璃、唾液ちょうだい」 「……っ、んっ……んんっ……」  お決まりの台詞で葉璃を硬直させた聖南は、まずは自身の唾液を嚥下させ、その後に葉璃の口腔内を舐め回して僅かな唾液をかすめ取った。  しかし飲み下すには足りない。もっとくれ、とばかりにもう一度葉璃の口腔内を舌で犯し、漿液性の粘液を呼吸諸とも奪い取る。 「んむっ……んんっ、んんっ……!」  眉間が険しくなった葉璃は、いかにも苦しげだ。足をジタバタと動かしているので、本当に苦しいのかもしれない。  けれど聖南はやめてやらず、幾度も角度を変え悪戯な舌で葉璃の口内を蹂躙した。  最中、右手をそっと首筋に這わせ、平らな胸を揉む。中央に小さな突起を見つけると、それをより育てるために指先でクリクリと摘んだ。  キスはやめられなかったので、両手を使って両方の乳首を弄った。  はじめは小さく楚々としていたそれも、聖南が指先で摘んでは捏ねてを繰り返しているうちに、だんだんプクッと膨れてくる。  そろそろ頃合いかと、聖南はようやくキスをやめて胸に移動した。育った乳首を舌先で舐め、時折唇で食んでみる。 「あっ……あ、っ……んっ……」  食される勢いだったキスで早くも息が上がっている葉璃は、胸の突起を甘く舐められて顎をのけ反らせた。 「寒かったんだな。乳首小さくなってた」 「んんっ……んっ、んぁ……っ」 「今は舐めやすくなったけど?」 「あっ……だめ……っ」  甘噛みまで出来る、とは言葉にせず、実際に前歯で膨れた乳首をやわく食んだ。一方はそうして歯先や舌で、もう一方は指先や手のひらを使って愛撫していく。  腰をくねらせて悶える葉璃は、わりとはじめから乳首が感じる質だった。  反応は初々しく、聖南の髪をまさぐって小さく啼き、「だめ」とうそぶく。  両方の乳首を思う存分味わうと、薄い腹に何度も口付けていった。  脇腹から腰にかけての微妙な位置には、濃いキスマークも忘れない。ジュッと強く吸って離れて見ると、形の定まらない鬱血の痕がくっきりと残った。  聖南の所有物だという証を、至るところに残せないのが残念で仕方が無い。  秘密の関係である証拠の位置から、次に右の脇腹へと手のひらを伸ばす。ここには二年前の傷跡が薄く残っており、葉璃はこれを完全には消さないと断言した。  これを受けた時、葉璃にどれだけの痛みが走ったのか想像も出来ないが、聖南はこの傷跡を見るたびに切なく不甲斐ない気持ちになる。  聖南の傷とお揃いである事に喜びを感じている葉璃へ、何年経っても詫び尽くせぬ思いを込めてじわりと唇を当てた。 「あ、……せなさんっ、だめ……っ」  しかし葉璃は、贖罪の気持ちで下腹部に到達した聖南の行動を誤解し、「もう舐めないで」と斜め上の発言をした。  聖南と同じく性器を口で愛撫されるのが苦手らしく、やや強めに髪を引っ張られて顔を上げる。 「……葉璃、慣らすのどっちがいい? 前から? 後ろから?」 「んっ……うし、ろ……から……っ」 「了解」  舐められない事に安堵した葉璃は素直だった。  先程散々ぱら強いていた四つん這いになるよう、さり気なく葉璃の体を起こしくるりと返す。  今度は欲望のままに弄っていいのだと思うと滾ってしょうがないが、臀部に触れ後孔を目視すると、そうそう乾かないローションでいやらしく艶めいていた。  枕元に手を伸ばし、近頃専ら活躍してくれる個包装のローションをいくつか手のひらに出していく。 「なぁ葉璃、ここ朝メシ運んでくれるらしいんだ。食うだろ?」 「へっ? 朝ごはん、ですか?」 「もちろんスタッフが来んのは扉の前までだから安心していいいよ」 「えっ、あ、はい……?」  手のひらの上でとろとろとローションを混ぜ温めている間、四つん這いの葉璃が退屈しないよう話し掛けてみた聖南だったが、肝心の葉璃はうわの空である。  朝はあまり食べないと知っているけれど、窓辺で緑いっぱいの景色を眺めながら優雅な朝食を摂るのもいい。きっと、束の間かもしれないが忙しない日常を忘れられる。  ──ンな世間話は要らねぇってか。  ムズムズを抱えた葉璃は、聖南の〝さっきの指〟を今か今かと待ち望んでいる。  それも致し方無い。  ねばつく液体を混ぜているとどうしてもネチャネチャと卑猥な音が出てしまい、聖南も葉璃も気分がのってくる。  不要な配慮だったと笑みをこぼす聖南は、はやる気持ちを抑え中指に液体を纏わせた。そしてそのぬるつく指で後孔の周辺をふにふにと押し、窄んだそこに覚悟を決めさせる。 「指挿れるぞ。力抜いてろよー」 「あぁ……っ! やっ、聖南さん……っ」

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