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58❤︎⑥※

 入り口も中もきちんと慣らした。とはいえ先端を埋めるだけでもたっぷりと時間をかけなければ、葉璃に苦痛を強いてしまうかもしれない。  狭く熱い襞をじわじわと感じながら、葉璃の表情に細心の注意を払い、聖南は崩れかけそうな理性を保ち性器を埋めた。  ゆっくりじっくりと、万が一にも一気に挿入してしまわぬよう慎重に腰を動かしていく。 「……ライブ内容詰めて、チケットいくらで売るか、考えんだけど、これがマジで、時間かかる」 「んっ、あぅ……っ、あっ、んっ……」 「新曲も、挙げなきゃだし。でもまずは、特番用、仕上げるつもりなんだ。頭ン中では、完璧に出来てんの。聞いて驚け、ジャンルはロックだ」 「んっ!? んっ……んんっ……!」  腰を動かし葉璃の体を小さく揺する度に、薄く開いた唇から尊い声が漏れる。  自身でもうるさいと分かっている。  わざわざこんな時にする話ではない。  おそらく挿れられる側の葉璃はそれどころではないという事も分かっていて、そうはいっても口を動かしていなければ理性が飛んでしまうと無意識下で聖南はそれと戦っていた。  特番用に書き下ろす曲のジャンルは、ポップスや通称EDMと呼ばれるダンスミュージックを得意とする聖南には異色である、ロック調のダンスナンバーだ。  だがしかし、聖南の構想に一瞬驚いた様子で反応を見せた葉璃のまぶたは、少しずつ侵入されている凶器の物々しさに再び閉じられた。 「葉璃、次は家で、密会しよ」 「あっ……えっ? で、でも……っ、んんっ、家、は……っ」 「一週間でそれ、仕上げるから。仮録り付き合って」 「えぇ!? ぁん……っ、……んっ、んっ……!」  パチッと開いた瞳が、聖南を捉えた。  まともに会話が出来る状態でないのに、なぜ今そんな事をペラペラ喋るんだと言いたげな視線である。  ひとまず先端を埋め終えた聖南は動きを止め、両手を細い腰の方へと移動させた。  初めの挿入には、充分過ぎるほど時間をかける。暖房が効き過ぎる室内で、早くも聖南の額には汗が滲んでいた。  コンドーム越しにも分かる、内襞の熱と窮屈さ。締め付けられて痛いといつも思うのだが、その痛みこそが毎度心地良くてたまらない。  すべてを挿入し終えた時のフィット感を想像するだけで、背中に震えが走るほど興奮する。 「……葉璃、大丈夫?」 「ん、……はい……っ」 「痛くない?」 「……だい、じょぶ、……」 「そっか。このままゆっくり挿れるからな。痛かったらすぐ合図して」 「は、はい……。今って、半分くらい入ってます、……?」 「いや先っぽだけ」 「え!? そんな……っ」 「いやいや、そんな唖然としなくても」  どれだけ体を重ねても、葉璃は初々しさを失わない。  挿入っているのが亀頭部分だけだと知って愕然としたという事は、聖南が感じている窮屈さを遥かに超える圧迫感を、葉璃は今まさに体感している。  他を知らないので何とも言えないが、一般的な日本人男性の平均とは言い難い聖南の性器は、華奢な葉璃には少々ツラいものがあるだろうと持ち主でさえも苦笑に値する。  葉璃は、自身の腰に回った聖南の手のひらにそっと触れながら、困り顔でぼやいた。 「だ、だって……なんていうか、……一週間空くと忘れちゃうんですよね……。聖南さんの大きさ……ぁんっ」 「そりゃ大変だ。早く思い出してもらわねぇと」 「ひぁっ、……っ! んんっ……!」 「コラ、息詰めるな。深呼吸しろ、深呼吸」 「んっ……ん、ふぅっ……んっ」  ──無自覚怖ぇ……。  男ならば誰しもがキュンとする台詞を吐く葉璃に、突然心を鷲掴みにされた聖南は腰を動かす他なかった。  滑りは問題無い。表情から察するに、強い圧迫感はあっても痛みは感じていないはずで、それならばとどんどん性器を埋め進めていく。  ようやく半分ほどを挿入したところで一度休憩を挟んだ。  腕を伸ばして葉璃の頭を撫で、それから頬もさらりと撫でて「大丈夫?」と問う。それに小さく小刻みに頷いた葉璃は、まるで猫のマーキングのように、頬に触れていた聖南の手のひらに懐いた。 「はぁ……かわいーな、葉璃ちゃん」  愛らしいその愛情表現に聖南は目尻を下げ、ついつい溜め息が漏れた。  極端に他人が苦手な葉璃が、甘えてくれている。無条件に愛し、愛させてくれている。  聖南の性器が埋まっている途中で苦しくてたまらないだろうに、ゆっくりと事を進めている聖南に感謝さえしているかのような行動に胸がいっぱいになった。  ただ、すべてがまる見えの聖南には目に毒な光景が視界に入ってくる。 「それにしても……何回見てもやらしーよな」 「んぇ……っ? あっ……」 「葉璃ちゃんのお尻に俺のが刺さってる」 「さ、刺さってる、って……!」 「ちょっ……おい、笑うなよ! 締まる!」 「ふふっ、んっ……だって……っ」  見たまま思った事を口にしただけなのだが、笑いのツボが謎である葉璃には可笑しかったらしい。  クスクスと笑う振動が性器を伝うのは構わないが、腹に力が入ると必然的に後孔にもそれが加わる。  亀頭部をギュッと締め付けられた聖南が声を上げても、頬をぷにっと摘んでみても、葉璃のクスクスは止まらない。 「痛えっつの!」 「ごめ、なさ……」 「謝んなくていいけど。刺さってる俺のがちぎれそうになるから今は笑うな」 「んふふふふ……っ!」 「コラッ、笑うなって! メッ!」 「んぁ……っ、やっ……んん……っ!」 「顔隠すなよ。どうせなら笑顔見せて」 「あっ、だめ……! ひどい顔してる……っ」 「どこがヒドイ顔なんだよ。こんなにかわいーのに」 「かわいくないです、俺なんか……あぁっ……!」  両腕をクロスして顔を隠していた葉璃の盾を解き、彼にとっての常套句に目敏く反応した聖南は瞳を吊り上げた。  お仕置きの意味を込め、グンと腰を動かす。それからすぐに、油断していた葉璃の唇をチュッと音を立てて奪った。 「葉璃。俺なんか、メッ」 「聖南さん……っ、それ、気に入ったの……っ?」 「うん。気に入った。かわいくてな」 「ふふっ、そういう聖南さんがかわいい……ひぁ……っ! あっ、あぅ……っ」 「葉璃には俺がかわいく見えてんの?」 「んっ……んっ、はいっ。せなさんはかっこいいし、あっ……、キラキラしてて素敵ですけど、んっ……、俺の前ではかわいい、とこもいっぱいある、から……ぁあっ」  一語で叱れるのは手間が省けていい。それも発音的に大袈裟にならず可愛く済ませる事が出来、空気が重たくならない。  葉璃が聖南をべた褒めしている間も、いつまた〝メッ〟の出番がくるかと待ち構えていた矢先の事だった。  少し抜いては勢いをつけて僅かに挿れる〝無言のお仕置き〟を地道に繰り返し、ひとまずの奥にようやっと辿り着く。  毎度の事ながら、まだ聖南のすべてを挿入出来ているわけではないので、葉璃の限界に到達したという意味だ。 「ふぅ……やっと入ったよ、葉璃」 「はぁ……っ、んん……っ」 「挿れただけなのに気持ちいいの? 葉璃ちゃん元気になってる」 「えっ、あっ……ちょっと待っ……」  挿れているうちに葉璃の中心部がぷるんと頭をもたげ始めたのに気付いた聖南は、後孔に刺さった自身を眺めるフリで、その可愛らしい生き物めいた性器にも釘付けだった。  苦痛だけならば、こんな反応は示してくれない。  甘い声を上げながら自ら腰を浮かせてくれたり、魅惑の瞳を薄く開いて見てきたり、葉璃の小ぶりな性器はそれらと同等に聖南をずっと誘惑していた。  手のひらで覆うように触れると、ピクピクッと揺れてまた一段と可愛い。 「イイとこいっぱい擦ってちゃんとイかせてやっから、もうちょい我慢な」 「ん、……っ」  中に馴染ませる時間は取る。けれどそう長くは聖南も保たない。  ムギュッと強く抱き締められているような挿入感に腰が落ち着きを失くすまで、そうそう余裕は無いと自らが一番よく分かっている。

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