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《4》
「ん…………」
身体に不快な何かが触れていることに気付き、シオンは目を覚ました。手も足もロープのようなもので縛られて固定されているようで動かせず、視界も布地で隠されて何も見えなかった。
(なんだ、これ……)
縛られた手は頭上から吊るされ、引っ張ってもビクともしない強度でギリギリ立てる高さの位置に引っ掛けられていた。シオンには見えていないが、衣服も全て脱がされ、産まれたままの姿を晒していた。
「目が覚めたみたいだね?」
「その声は……和久井ケントか?」
「あたり。ボクの声は忘れてなかったみたいだね、嬉しいな!」
ケントの腰まで伸びた金髪をポニーテールに結んだ髪が、同調するように揺れる。半妖の証でもある赤系のオッドアイが、まっすぐシオンを見つめていた。
「なんのつもりだ、和久井ケント」
「相変わらず嫌いな奴はフルネームなんだね。変わらないなぁ、水上シオンくん」
「……やっぱりオレの名前も知ってたか」
「当然。捕まった時に、親切な警察官に教えて貰ったんだ」
ケントは慈愛に満ちたような目でシオンに近付き、その輪郭をなぞって撫でた。シオンは首を回して逃げようとし、ロープがギシリと音を立てた。
「てめーはもう殺処分が決まってる。人間扱いじゃなくなったから司法は適用されない。妖たちと同様、俺に殺されるんだ。半分人間だからって半年のお勤めだけで済んだのに、また余計なことしたな」
「そうだねぇ……でも、シオンくんどうするの? そんな状態じゃ、ボクを殺せないでしょ。シャッターも閉めちゃったよ?」
「うっせー黙れ。死んでも殺す」
「あはは、おーこわ!」
シオンがどうにかロープから抜ける方法がないかと画策していると、突然身体が熱くなった。まるで風邪の引き始めのように、背筋がゾクゾクと震え、ほんのり顔が赤く染まった。
「……?」
「ふふ、効いてきたかな?」
「……何を飲ませた?」
「やだなぁ、命に関わるようなものはあげてないよ?」
「でも、何かしら飲ませたんだろ?」
「うん! 口移しで」
「うげぇ」
「シオンくんの唇、柔らかくて気持ちいいねっ」
ペロリと舌なめずりをして笑うケント。全くその気がないのに、シオンの中心は固くそそり立っていた。熱くて甘い吐息が漏れ、少しづつ肌が汗ばんでいく。その汗を舐めとるように、ケントはシオンの肌に舌を這わせた。
「っあ、」
「可愛い声出すんだね」
「や……めろ……っ」
「どうして? キミも気持ち良さそうな顔をしてるのに」
「っん!」
「ほら、乳首も真っ赤に膨らんで固くなってる。写真撮ってあげようか?」
「いらねー、よ……っ」
ギチギチとロープが軋む。しかし、しっかりと結ばれていていくら暴れても、外れも切れもしなかった。薬のせいなのかケントが触ったせいなのか、立ち上がった雄蕊(ゆうずい)の先端から僅かな先走りが垂れた。
「ほら、ここは嬉し涙を流してるよ」
「ちが――っ!」
「あはっ、また出てきた。シオンくん、虐められて喜ぶタイプ?」
「っく……」
ケントはその液体を指ですくい取り、それを舐めた。
「シオンくんが飲んだお薬、感じる度にどんどん気持ち良くなるやつなんだって。麻薬みたいなのだったかな? ボクたちが売ってる周りでは、男女関係なくパーティとかでお酒とかに混ぜて飲むんだ。乱交にスワッピング、ハレンチなことやり放題で楽しいよ!」
「っはぁ……っん」
「シオンくんもハンター辞めて、ボクたちの仲間に入ってみない? 喰わないで生かしてあげるからさ。セックスドールになってくれたら皆きっと喜ぶよ」
「ふ、ざけんな……っ」
ケントの手がシオン自身を包んだ。そのまま乱暴に上下に擦られ、息が漏れた。グチュグチュと淫靡な音が倉庫内に響き、それだけで段々シオンの熱も上がった。
「やらしいなぁ……めちゃくちゃ感じやすいんだね。イってもいいよ?」
「だ……め……あぁあああっ!」
シオンがビクビクと身体を震わせてケントの手を汚した途端、重い音を立てて倉庫入口のシャッターが開いた。そして――――
「何を、してるんだ?」
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