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6.素直になりなよ(13)

「やっと一人になってくれたのね~」 「ったく、お姫様かっての」  いきなり、俺の両腕に手を回してきたのは、まったく知らない男、二人。俺よりも少し大きな二人に、ガッチリと掴まれて、身動きが取れない。 「え、あ、あの、なんですか。いきなり」 「動かないでねぇ」  そう言うと、脇腹のあたりに、何か尖ったものを当ててきた。 「動くと、刺しちゃうかも~」  楽しそうに三人でしゃべっている風を装いながら、俺を引きづるように、会場から連れ出された。今日は、よくよく、人に引きづられる運命にあるのか。  男たちの運のほうが、俺の運よりもいいみたいで、悲しいかな、俺の知り合いとは出会うことなく、運動公園の中を歩かされた。微妙な天気のせいで、運動公園の中を歩く人の数も少ない。 「あんたたち、誰ですか。なんで、こんなことっ……」 「うるせぇなぁ。ぷすっと刺さないと、わかんない?」 「っ!?」  脇腹に、チクリと痛みが走る。 「黙ってろ」  一人が、冷たい目で俺を見下ろした。急に恐怖がこみあげてきて、膝に力が入らなくなる。 「おっと……ちゃんと、自分で歩けよ」 「なんだよ、お姫様抱っこでもしなきゃだめかよ」  こいつらの目つきが、気持ち悪い。  あの時の。あの時の亮平の、ギラギラした目つきを思い出させる。  どこまで、俺を連れていくつもりなのか。怖いと思いながらも、キョロキョロと周りを見るけれど、だんだん、木が生い茂ってるほうへと歩かされる。  完全に人気がなくなった頃、古い建物が見えてきた。昔使われていた管理棟か、何かか。両開きのガラス戸の片方は割れていて、足元がガラスが散らばったまま。ドアを開けて入ると、電気もない状態で薄暗い部屋が、いくつか見える。奥のほうの木製のドアが、少し開いているのか、薄く明かりが漏れていた。  男の一人が、そのドアを開けた。

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