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6.素直になりなよ(16)
「はい。そこまで~」
そこに現れたのは、黒のスーツを着た男たち。
「な、なんだ、お前らはっ」
ハルカとまさにコトを始めようとしていた男は、かなりみっともない状態で、男たちに怒鳴った。反対に、妙に冷静な顔をしているハルカ。
「君たちに説明する必要はないね。さぁ、警察に行こうか」
「なっ!?」
「……これは合意の上のだから、警察に行く必要ないと思うけど」
ハルカは気だるげな表情で、黒いスーツの男たちに向かって言い放つ。
「そうは見えないけど」
リーダー格のような年長者の男は無表情で、チラリと俺を見た。急な展開に、ついていけずに、呆然とする俺。
「いやだなぁ、こういうプレイでしょ。プ・レ・イ」
そう言いながら、何事もなかったかのように服を着だすハルカ。
「まったく、趣味悪いよね。途中で邪魔するとかって」
リーダー格の前に行くと、その男の唇に指をのせ、
「それとも、代わりに抱いてくれるの?」
妖艶に笑って立ち去ろうとした。
「お望みならな」
「っ!?」
言うが早いか、ハルカの腕を捻りあげて、ひざまづかせた。
「おい、こいつは任せた」
仲間にハルカを任せようとしたとき、残ってた二人が、逃げ出そうと窓際に向かったが、黒いスーツの男たちにあっという間に取り押さえられてしまった。
「獅子倉くん、大丈夫ですか。」
リーダー格の人が声をかけてきたので、涙でボロボロな状態だったけれど、なんとか頷いて応えた。そして、仲間の中で一番大柄な人に、指示を出した。
「おい、彼を早く会場に連れていけ。」
男たちは、さっさとハルカたちを連れて出て行く。俺の方は、腕が自由になって、口からハンカチを吐き出すと、途端に、嗚咽が止まらなくなった。
「大丈夫、大丈夫……」
大柄な人は見かけによらず、優しい声で、俺の背中をなでながら、涙で濡れた俺の顔を、綺麗なハンカチで拭ってくれた。
「急がないと、鴻上くんと馳川くんの試合が終わってしまうよ?」
「えっ、は、はいっ」
だけど、なんとか涙を止めたいのに、なかなか止まらない俺。
「とりあえず、会場に向かうね」
そう言うと、こんな状態の俺を抱き上げて走り出した。まさにお姫様抱っこ状態で。
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