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6.素直になりなよ(18)
二人の試合が終わっても、団体戦の準決勝の次は個人の決勝戦。
"はぁっ"
大きくため息をつきながら、座ったまま頭を抱え込む。
終わった。柊翔が勝ってくれた。
これで、俺は、気持ちが切り替えられるのか?本当に?
「獅子倉くん、外に出ようか」
真剣な顔で、俺の肩に手を置いた太山さん。頷いて、太山さんの後をついていく。途中でコーラを買うと、俺にも渡しながら、休憩用の椅子に座った。
「何があった」
心配そうな顔の太山さん。
「……鴻上さんから、何か……聞いてますか」
「……少しだけ」
「そうですか……」
コーラを口に含むと、やっぱり、口の中を切ってたのか、少ししみる。
「……また、襲われたんです」
「っ!?」
「知らない人たちに、助けてもらったんですけどね」
太山さんの顔が歪む。
「悪い、俺が一緒にいれば……」
「いや、太山さんのせいじゃないです」
簡単に捕まえられた俺が悪い。
「……できれば、鴻上さんには知られたくないんです。特に試合が終わるまでは」
「……わかった」
「決勝は見たいけど……俺、太山さんの車で待っててもいいですか」
ちょっと疲れてしまった。気持ちも身体も。
太山さんの車の助手席。リクライニングを倒して、横になった。
窓から見える空は、すっかり青い部分は見えなくなって、グレーの曇り空が広がっている。太山さんは、俺だけ残して、会場に戻っていった。
なんで、俺って、こうなんだろう。
何が、ああいう男たちに狙われる原因なんだろう。
考えても、考えても、全然思い浮かばない。
そもそも、なんで、加洲高のやつが俺なんか狙うんだよ。
ぐるぐると頭の中で考えているうちに、睡魔に襲われて、いつの間にかに、眠ってしまった。
誰かが、俺の頬を撫でている。
優しい大きな手が。
『要……怖かっただろ……ごめんな……』
柊翔?
俺は……大丈夫だよ……。
無意識に俺の手が、頬を撫でていた大きな手を掴むと、ゆっくりと目を開けた。
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