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7.邪魔者はとことん邪魔をする(1)
週明けから、学校は中間テスト一色になった。
昼休みだというのに、教室のあちこちで、教科書片手に話し込んでるやつらがちらほら。
「要~、今日は図書室で勉強していこうぜ~」
「な、何?ヤス、お前、熱でもあるんじゃねぇの?」
思わず、ヤスの額に手をやる。
「ばかやろー!俺だって、ちゃんと勉強するときは、するんだいっ!」
ペシッと教科書で俺の頭をはたく。そう言っても、日ごろの行いが行いだけに、図書室にどれだけ我慢していられるのやら。
「あ、佐合さんは、勉強してく?」
帰りのことを考えると、彼女もいっしょのほうが無難なんじゃないかと、声をかけてみた。
「あ、一緒に勉強してもいいの?」
少し頬を染めながら、俺たちのほうを見る。
「いや、むしろ、ヤスは佐合さんから教えてもらったほうがいいんじゃねぇの?」
正直、授業中は睡眠時間と化しているヤスを見ているだけに。俺なんかよりは佐合さんのほうが頭が良さそうだし。
「あ、茜ちゃんっ!お願いしまっす!」
まるで"つきあってくださいっ!"と告白でもしているかのように、頭を下げて、手を伸ばしている。ヤスと佐合さんのやりとりを目の端におさめつつ、スマホを見ると、LINEのメッセージ……柊翔からだ。
『部活が休みだから、一緒に帰ろう』
あ。そうか。でもな。
『ヤスたちと図書室で勉強していきます』
と、返事をしたら、すぐに既読がついて、返事まできた。
『それなら、俺も勉強していく』
……だったら。
「ねぇ、鴻上さんも図書室きて勉強するって。ついでに、勉強みてもらおうよ」
勝手に話を進めてしまう。
「えぇぇっ!それは、是非に!」
目を輝かしている佐合さん。同時に、周囲の女子たちもざわめきだした気がするのだけれど……気のせいだろうか?
そして、放課後。
「要……図書室、入れるかな」
どんよりした顔になっているヤス。
……俺も心配になるほど、図書室へ向かう廊下に、人が溢れている気がするんだけれど。
「き、今日って図書室でなんかイベントでもあんのかよ」
顔をひきつらせながら、俺に聞いてくるヤスに、
「知るかよ」
ボソボソと答える俺。このままじゃ席があるかわからない、と、急いで図書室のドアを開ける。案の定、図書室の中は……女子がうじゃうじゃ……。
「どうなってんだよ……」
呆然としていると、
「お。要、ヤスくん、来たね」
柊翔が自習用の机から、手をあげて俺たちに声をかけた。
"きゃぁぁぁぁ"
声にならない叫び声が、空気を伝うように広がっていった。
"?????????"
俺たちが、顔を左右に見渡すと、女子たちの視線は柊翔のほうに向けられていた。
「あ」
「あ」
「そういうこと」
「そういうこと」
げっそりした顔の俺たちの脇に、佐合さんが並んで立つ。
「そういうことみたい」
と、言いながら、少し優越感のある笑顔で柊翔に挨拶している姿が目に入った。そしていくつもの氷点下な視線も。
……女子、怖い。
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