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7.邪魔者はとことん邪魔をする(3)
彼女たちの話からすると。
まさか、柊翔と"河合くん"は付き合ってたの!?
その手の情報に、まったくといっていいほど疎い俺は、何気に軽くショックを受けた。
え?柊翔って、そっちの人?マジで?
呆然と本棚の本に手をかけたままでいた俺の肩に、手が置かれた。
「うわっ!?」
つい、声をあげてしまった俺の口を、大きな手が抑え込んだ。
「しっ!声、でかい」
し、柊翔!?
いつの間に後ろに立ってたのか、全然気づかずにいたことが恥ずかしい。その上、さっきの女子たちの話が頭をよぎったせいもあって、一気に顔が赤くなる。
「どうした?そんなに顔を赤くして」
心配そうな顔で覗き込んでくる。
ち、近い、近いんだけどっ!
離れようとして、逆に背中が本棚に当たって、行き止まりなのを思い出させる。思わず、ワタワタしていると、柊翔に"クスッ"と笑われてしまった。
「本、見つかった?」
いつも通りに話しかけてくる柊翔に、俺だけが焦ってる状況に、自分の中でも納得いっていない。それでも、頭と心が一致しないのは、どうしようもないくて。
「え、えと。まだ……です」
「何探してたの?」
「い、いやぁ……」
ただ、あそこにいるのが居心地悪かった……とは、言い出しにくく。
「……うちで勉強する?」
へ?
ニッコリと笑う柊翔に、いつもなら素直に返事ができるのに、一瞬、声に詰まってしまう。
「ここじゃ、落ち着いて勉強できないだろ?」
……気にしてない顔してたけど、やっぱり、柊翔も居心地悪かったのかな。
「返事しないってことは、肯定と見なす!ほら、席に戻って、鞄とったら帰るぞっ!」
そういうと、俺の頭をポンとたたいた。
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