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7.邪魔者はとことん邪魔をする(6)
剣道部の朝練も、試験の前ということで休みになっていたので、朝も駅で待ち合わせをすることになった。高校までの沿線に、いくつかの高校があるせいか、サラリーマンよりも、学生の数の方が多い。でも、俺一人の時は、そんなに気にならなかったのに、ホームに柊翔と一緒に立っていると、なんだか人の視線が集中しているのを感じる。
そして、後ろを振り向いてみると。
……俺たちの後ろに、いろんな高校の女子たちが並び始めている……。
「おい、電車入って来たぞ」
そんなことを気にもしない柊翔の声で、正面を向く。電車が止まり、ドアが開いたので入ろうとしたら。
"きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!"
黄色い声とともに、俺と柊翔は電車の中に押し込まれた。
"な、なんだよ、これ!?"
あまりの圧力に、顔が歪む。"きゃあ、きゃあ"言ってる女子たちは平気なのか?ていうか、女子なのに、この圧力って何なの!?そう思いながら、鞄を抱え込んでいると、気がついてしまった。
……柊翔が俺を……抱えてる?そのせいで俺の目の前には柊翔の唇が。
「大丈夫か?」
唇がそう動くのと、声が同時に聴こえる。それに目が離せなくなる。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ
俺、やっぱ、おかしい。
カッと顔に熱が集まって、顔が赤くなっているのを気づかれたくなくて、俯いたまま、頷き返すのが精一杯。周りの人は、俺が抱きしめられてるっていう状況に気づかないのか……。
ドキドキドキドキ……。
こんなにドキドキしてるのを、柊翔に気づかれたくないっ!周りの女子たちは、俺がこんなに困ってるなんて、思いもしない(当然)。できるだけ柊翔の近くにいたいってことなんだろうけど。ぎゅうぎゅうと柊翔に寄りかかってくるから、柊翔もそのまま俺を守るように体重をかけてくる。あんまり身体が密着するから、いつもならほとんど気にもしない柊翔の整髪料の香りを感じてしまう。
もうっ!
余計に変に意識してしまうじゃないかっ!早く、次の駅に着いてくれっ。
長くもない一区間が、永遠にも感じられる。
俺、やっぱ、おかしいのかな。
こんなに柊翔のことを意識してしまうなんて。こんな俺のこと、柊翔に気づかれたら、どう思うだろう。それを考えたら、すーっと血の気がひいていった。
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