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7.邪魔者はとことん邪魔をする(8)

* * * 「カワイイじゃない」  妖しい眼差しで赤い唇をペロリと舐める姿は、先ほどまでの清純なものとは違う。  "妖艶な女" 「アレをなんとかして」  要たちの後ろ姿を顎で指す。 「ククッ。久しぶりに祥吾から電話してくるから、てっきり抱いて欲しいのかと思ったら」  祥吾の髪を撫でながら、見上げる百合。唇は物欲しそうに、艶やかに光っている。しかし祥吾は、立ち去っていく柊翔の後ろ姿から目を離さない。 「ふ~ん」  同じように柊翔を見る百合は、つまらなそうに祥吾の髪を引っ張った。 「イテッ!」 「私の好みは、あっちのデカイほうなんだけど」  自分の顔の近くまで祥吾の頭を下させると、意地悪く祥吾の耳元で揶揄った。 「ダメ」  その体勢まま、冷ややかな眼で睨みつけた。百合はクスクス笑うと、掴んでいた手を離すと再び祥吾の髪を撫ではじめる。 「クスクス……あんた、あんなデカイヤツに突っ込むつもり?」 「……うるさい。ああいうのをヒーヒー言わせたいんだよ……わかるだろ」  百合の厭らしい笑いに、同じように厭らしく笑い返す。この二人の周囲だけ、空気が少し重い。 「……まぁね」  自分の長い黒髪を指でいじりながら、妖しく笑う。 「で。アレを落とせばいいわけね。それによる私のメリットは?」 「百合のお願い、なんでも聞いてやるよ」 「なんでも?」  訝し気に見る百合。 「……1か月以内に、落として、ボロボロにして。その間に、俺はあの人を落とすから」 「そんなこと言っていいの?」 「俺ができることに限るけど」  にーっと笑う祥吾に、ゾクッとする百合。そして、同じように、にーっと笑うと、祥吾の耳に口をよせる。 「楽しみにしてるわ」  二人とも、同じような厭らしい目で見つめあった。

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