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7.邪魔者はとことん邪魔をする(12)
* * *
中間試験が終わるまで、柊翔と一緒にいる時間がいつもより長くて、変に意識しちゃってる自分がいた。気づかれないように、冷静でいようとしてるのに、気が付けば柊翔を目の端で追ってる。そして、ヤキモチを焼いてる自分に気が付いて、自己嫌悪に陥る。
女子から話しかけられてるところとか。
副将さんに腕を絡まれてるところとか。
ああ、この人は、男女関係なくモテるんだよな、って思い知らされる。
そして思い出す。亮平のこと。
あいつも。あいつも、俺のこと、こんな気持ちで見てたのかなって。亮平のこと否定してたくせに、自分はどうなんだよ、と、思ってしまう。試験が終わると、柊翔は高校最後の夏の大会が待っている。俺と一緒にいる時間は、元に戻る。
一緒にいなければ、そうすれば、少しは気持ちが落ち着くんじゃないか、と、淡い期待の反面、寂しく思う気持ち。
「要っ!今日は一緒に帰ろうぜっ!」
中間試験最終日。ヤスが久しぶりに、帰る気満々で俺の目の前でふんぞり返ってる。
「ああ、いいよ」
「久しぶりに、○○バーガーに寄っていこうぜっ」
「あ、私も食べたいっ!」
すっかり、ヤスと佐合さんは二人セットになってる。しかし、付き合ってるわけではないらしい。
ヤスの努力は報われないな……。
試験はどうだったか、と、しゃべりながら、駅に向かう。三人で話しながら歩くのは久しぶりで、ファストフードの店に行くのも久しぶり。
「何食うかな」
俺とヤスがメニューに顔を寄せて悩んでいると。
「あ、あれ?獅子倉くん?」
聞き覚えのある声。
「あ。副将さんの……」
「副将?あ~、祥吾ね」
ニコリと笑う百合さんは、お友達と一緒に、俺たちのところにやってきた。
「試験、終わったんだ?」
「あ、はい」
この前も思ったけど、綺麗な人だな……。
ぼーっとしてると、ニヤニヤしながらヤスが脇を押してくる。
「誰だよ」
「剣道部の人の従姉だって」
こそこそと二人で話してると。
「ねぇ、獅子倉くん」
俺たちの間に入ってきた。
「は、はい?」
……なんというか、思ってたより、強引な感じ?
「試験終わったんだし」
少し低いところから上目遣いに見てくる百合さんは、なんだか色っぽい。
「私とデートしない?」
……は、はい?
「ダブルデートでもいいけど」
そういって、百合さんの友達のほうを振り向いて、「ね?」なんて確認してる。お友達の方は、突然なのに"仕方ないなぁ"なんて顔。
佐合さんもいるのに、彼女を完全無視状態の発言に呆然としてると、ヤスが
「いや、俺はいいです」
きっぱり断ると、俺たちの後ろにいた佐合さんの手を取る。
「要、がんばれ」
「え?え?」
ニヤッと笑うと、俺の言葉も聞かず、戸惑う佐合さんを引っ張って店から行った。
「クスクス……獅子倉くん、置いてかれちゃったね」
楽しそうに笑って、友達に何か小声で話すと、友達のほうも笑いながら、「じゃあね」と言って去っていった。
「さてと。せっかくだから、ここは私が奢ってあげる。何が食べたい?」
そう言いながら、メニューを見だす百合さん。
「あ、いや、そんなっ。ていうか、お友達はいいんですか?」
女の子とデートなんてしたことないし、そもそもいきなりすぎて、困惑するばかり。
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