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7.邪魔者はとことん邪魔をする(20)

 次の日の朝。 「要~!無事だったか~!?」  教室についた途端に、なぜだか盛大に抱き付いてきたヤス。 「な、なんだよ。無事って」  慌てて、引きはがそうとしている俺の隣に、心配顔の佐合さん。 「だって、あの人、強引そうだったし」  まぁ、確かに、かなり強引だったのは認める。 「いやぁ、途中で鴻上さんと会ったんで……なんとか凌いだというか」  "アハハ"と苦笑いしていると、二人が顔を合わせてニパッと微笑む。 「そっかー。間に合ったんだー。よかったー」  佐合さんが、すごく嬉しそうな顔をして、その顔を見たヤスもデレデレになっている。 「なに?もしかして」 「そ、茜ちゃんが鴻上先輩にLINEで連絡したんだよ。ね?」  そう言いながら、見つめあってる二人。なんか二人の距離が、前よりも近くなってる……?  思わず、ヤスと佐合さんをを見比べてしまう。 「あ、えっと」 「ムフフ。昨日から……ちょっとな」  真っ赤な佐合さんに……蕩けんばかりのヤス……見てられん。 「ま、よかったな……リア充め……」  ジロリと睨んでも、俺の睨みなど跳ね飛ばされそうなくらいのラブラブモードの二人。 「ったく、朝から暑いっての。クククッ」  つい、俺も笑ってしまった。 「でも、あの人、しつこそうだったけど……」 「うーん。"また明日"とか言われちゃって……正直、困ってる」 「す、すとーかーかっ!?」 「い、いやぁ、そうは思わないけど……」  でも、それに近いものがあるのか。綺麗な人だとは思うんだけどな……。 「今日は、私も部活ないから、早くに帰ろうよ」 「そうだな。どうせ、あっちだって学校終わってからだろうし、花咲からここまでって、歩くとけっこうあるんじゃねーの?」  そういえば、昨日、送って行ったとき、途中に彼女の学校があったのを思い出した。あの時は歩くと20分くらいかかったか。 「万が一ってこともあるからさ、裏門から帰ろうか」  心配そうに俺のことを見てる佐合さん。まるで女子扱いだな、俺ってば。 「い、いや、そこまでやらなくても」 「いや、裏門から帰れ。」  え!?  背後から、柊翔の声がした。 「鴻上先輩っ!昨日は間に合ってよかったです!」  パーッとステキな微笑みで柊翔を見上げる佐合さん。ヤスとラブラブなんじゃなかったっけ? 「こ、鴻上さん……なんで、ここに」  顔が真っ赤になっていくのがわかる。たぶん、今は耳まで真っ赤だ。 「ん、要の顔を見たくなって」  ニコッと笑った柊翔は、鬼だと思う。どうして、こんなに俺の胸を苦しくさせるんだ。 「ま、また~、冗談ばっかなんだから」  ヒラヒラと手を振って、気持ちを誤魔化そうとしてるのに。 「こんなこと、冗談なんか言わないよ」  真顔で顔を寄せてくるから、完全に固まってしまった俺。"きゃぁぁぁぁぁっ!"という叫びで、我に返って、今の状況に気づく。周囲は(腐)女子たちが頬を染めて期待の眼差しで俺たちを囲んでいて……その中には佐合さんと……ヤスまで含まれていた。  お前ら……俺の友達じゃなかったのか……。 「ち、近いっす!」  鴻上さんの胸を押しかえす。  "チェッ"と小声が聞こえたような気がしたけど、気のせい?

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