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7.邪魔者はとことん邪魔をする(23)
* * *
ついこの前、亮平から連絡が来た。この前の要が襲われた事件のことで。どんな方法で聞きだしたのか、主犯格の奴が黒幕の名前をはいたらしい。
それが、まさか、俺が部活で可愛がってる祥吾だというのだ。何言ってるんだって思った。そもそも、祥吾がそんなことをする理由がわからない。
「鴻上先輩っ!」
いつも通りの笑顔で、俺にかけよってくる祥吾。
「おう、なんだ」
「今度の大会なんですが……」
「ん?それは俺よりも潤と話した方が……」
「いえ、柊翔さんに相談したいんです」
ふっと亮平の言葉を思い出す。
『お前のせいなんじゃないのか』
ジッと祥吾を見ると、"ん?"という顔で、ニコリと笑う。こいつがそんなことするわけがない。
祥吾のことは気になったけれど、それ以上に、要のほうが気になる状態になってきた。祥吾の従姉の百合が、要にちょっかいを出してきたのだ。あの日、着替え終えて帰ろうとしていた時、佐合さんからLIMEがきた。
『獅子倉くんが、知らない女子に連れ去られそうです!』
"知らない女子"ですぐに頭に浮かんだ。初めて会った時の、彼女の目つきを。要だって男だ。あんな美人に迫られれば、流されるかもしれない。
いや、"流される"じゃない。"獲られる"気がした。
俺には、要を引き留める資格なんかないのはわかってるけど、やっぱり、嫌なんだ。要が俺意外のやつの隣にいるなんて。
そう思ったら、部室から飛び出していた。
「……要っ!」
追いついた時、あの女は要に抱き付いていた。顔を赤くしている要を見て、ああ、もうダメかもって思った。
「ご、ごめん、邪魔だったかな……」
「い、いや、これはたまたまっ」
「うん、邪魔」
……この女。明らかに俺を敵視してる?
呆然としていると、要の目が俺に助けを求めてる気がした。女は、要を強引に家まで送れと、腕を絡めている。怒りでクラッとしそうになるのを、なんとか抑え込んでいると、
「それじゃ、鴻上くん。またね!」
要を引きずって行こうとするから。
「じゃあ、俺も一緒に送っていくよ」
そう言って、睨みつけた。
要は、お前なんかに渡さない。
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