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7.邪魔者はとことん邪魔をする(26)
裏門から帰るようになって1週間は、無事に帰れるようになったようで、安心していた。それでも、練習の休憩中、部室に戻ってスマホを確認するのが、日課にかってしまった俺に、佐合さんから、
『まだ、あの人いるみたいです。先輩、頑張って!(泣き顔)』
なんていうLIMEが届く始末。ほんとにしつこい、とげんなりしていると、潤が俺のスマホを覗き込む。
「お前、休憩中だからって、わざわざ部室に戻ってまで、スマホなんかみてんじゃねぇよ」
「あ、わりぃ……」
そういうお前はどうなんだよ、と思いつつ、鞄にスマホを戻そうとしたら。
「ま、獅子倉のことでは、お前も心配ごとが多いってことなんだろうけどな」
ボソリと言ってくる。
「えっ!?な、なんのこと・・・」
一瞬、ヒヤリとする。学校で一番親しいのは潤で、剣道のこと以外でも、よく話はしてはいるけど。要のことは……。
「んなの、見てればわかるってーの」
えっ!?
「どんだけ一緒に行動してるかっての」
呆れた顔で、汗をぬぐってる潤。それに、反応できずに、口をあんぐりとあけている俺。
「お前、いっつも獅子倉のことばっか目で追ってるのわかってねぇだろ。いやぁ、妬けるねぇ」
クスクス笑ってる潤は、心底楽しそう。
「い、いや、でも……お前……気持ち悪くねぇ……?」
誰もいない部室なのに、つい、ボソボソと潤の耳元でしゃべると、
「うわっ、お前、耳くすぐってぇだろっ!」
顔を真っ赤にして、俺の頭を叩いてきた。
「ってぇ……っ!」
「ったく、そういうのは獅子倉にやれってのっ」
「っ!!」
潤の顔をまともに見られない。
「……うちは、遼子(妹)がバリバリの腐女子だから、免疫あるっての。まぁ、獅子倉のことは遼子からも言われてたから、ピンときたってのもあるけどな」
ふいに真面目な顔をした潤が、俺の胸を指で突いた。
「獅子倉、またなんかヤバイんだったら、一度ちゃんとしたほうがいいんじゃねぇの?……お前の弱点、あいつだろ。うちのエースが不安定なのって、困るんだよねぇ」
部室の入口で振り向きながら、俺に向かって言い放つ。
「とりあえず、今日はもうあがれよ。んで、今すぐ、行ってこい。お前、心配で死にそうな顔してるぞ」
静かに部室の扉が閉まった。
俺、そんなにわかりやすかったか?
そう思うと、顔が赤くなる。でも、要はそんな俺のことに気づきもせずに、いつも同じように接してくれてる・・・と思ってた。
でも、最近。
少しだけぎこちなく感じる瞬間が、何度かあった。もともと、そう積極的に声をかけてくるヤツじゃなくて、むしろ俺の方から声をかけることばかりだった。それでも、気づけば自然に微笑んで、普通に会話もできてたのに、ここのところ、目があうと、視線をそらされることが増えた気がする。俺の方が気にせずに話しかけるから、いつも通りの会話をしていた気になっていたけど。
要は……俺の気持ちに気づいているんだろうか。
潤にわかるなら、もしかしたら。
それを考えだしたら、ドキドキしてきた。このまま、ずっとそばにいられるだけでいいと思っていたけど。
今、無性に要に会いたい。
そう思ったら、自然と要にLIMEでメッセージを送っていた。
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