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第13話 三度目の対面

 母親の事が分かって、なんとなくだが俺の中では気持ちの整理がついた頃。 雅也からの連絡を貰って少しだけホッとした俺は、塾の帰り道にある行きつけのスーパーへ寄った。  思ったよりも早く連絡が来た事に驚いた。あの家の中の雰囲気が重苦しくて、アイツをどんどん堕としているんじゃないかと気になっていたから、違う空気を味わうのもいいだろうと考えていた俺。急にアニキ面かとふてぶてしく笑う雅也に反論はしない。何処かで血の繋がりを持った弟がいる事に戸惑いと安堵を覚えた。  尾道の父が亡くなって、母親も未だ行方知れずで途方に暮れていた頃に比べたら、雅也の出現は初め不快感を持ったものの、自分が独り取り残されたのではないと思わせてくれる。 雅也もまた俺と同じ孤独の中に居たのだと、そんな事で共感を得た俺は勝手にアニキ風を吹かせてしまったのかもしれない。  明日は二人とも休みだという事で、今夜は俺が料理を振舞う事となった。 そんなに大したものは作れない。でも、尾道の父と二人暮らしでそれなりに料理には慣れていた。毎日欠かさず手料理を作っては、父と息子二人で囲む食卓も10年を迎えて遂に俺ひとりとなってしまったが、今夜は腹違いの兄弟である雅也が向かいに座ってくれる。  食材を抱えて家に着くと、すぐに料理に取り掛かる。 作る物はポトフ。9時を回った夜に食べるには丁度いい。 父が病気になってから、少しだけ健康には気をつける様になった。俺も父と同じ病気になるかもしれない、なんて......。 遺伝とか、気にしていた自分が今となっては情けない。あの頃は実の父だと疑う事もなかったから。でも、俺を育ててくれた。そこは本当に感謝している。  昔の情景を思い浮かべながら料理が終わる頃、玄関のインターフォンが鳴る。 俺はそのまま玄関に向かうとゆっくりドアを開けた。 「こんばんは、......遅くに来てしまって.....」  そう云いながら下を向く雅也に、 「よく来た。むさ苦しい所だけどあがって。丁度用意も出来た所だし。」  自分でも可笑しくなるくらい、ちょっと興奮気味に出迎えると雅也を部屋へと招き入れる。  三度目の対面は、ぎこちないながらも温かい雰囲気で始まった。弟を迎える兄の気持ちを初めて味わうと、自分の出自も忘れて雅也を愛しいと感じる。 ―兄弟ってこんな感じなんだろうか この時の俺は、じっと背中に注がれた視線に何の違和感も感じてはいなかった。 そして.........、

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