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第12話 年末年始 ①

戸浪はぐっすりと眠っていた 康太の胸に顔を埋めて甘えて眠っていた 榊原はそれを見て 「妬けます……奥さん……」 と呟いた 康太は笑って 「妬ける?」と聞いた 「ええ!君は僕だけのモノですから!」 「伊織だけのオレだ安心しろよ!」 戸浪は康太の声を聞いていた 夢かと想った でも笑う康太の声が耳元で聞こえた そして何時もの愛してる伊織の台詞も聞こえて…… 戸浪は目を開けた 寝ぼけ眼の戸浪の頬に康太は口吻けを落とした 「………康太……」 名前を呼ぶと康太はニカッと笑った 「目が醒めたかよ?」 「すみません……寝てしまいました」 「若旦那、後で送って行く 今日は大晦日だろ?家族で迎えるんじゃねぇのかよ?」 「ええ。家族で迎えます ですが私は家庭向きではないので役には立ちません……」 「役に立たなくても父親がいてくれれば子供は嬉しいんだぜ! オレはずっと家族には近付けなかった でも父ちゃんは何時もオレを心配して見てくれていた 解るんだよ子供は……ちゃんと見ててくれるって知ってる」 「………康太…… 君に渡すモノがありました……」 「今度食事に誘ってくれ!」 「ええ。その時君に渡します その前に……君に食べれるモノを差し入れします! あ!今日は三木に迎えに来て貰うので大丈夫です!」 「なら慎一に連絡させるな」 戸浪は起き上がった 康太は全裸の戸浪を浴室に連れて行くと、身躯を洗ってやった そして仲良く湯に浸かり、出ると髪を乾かし支度を始めた 支度を終えると榊原は慎一を呼んだ 「御用ですか?」 「三木に飛鳥井に若旦那を迎えに来てくれ……と伝えてくれ」 「解りました」 「………多分……康太は逢いません…」 慎一は榊原を見て 「……納得しませんよ……あの方は…」 とため息を着いた 「康太が望まない事をしたくはないのです……」 「………そう言って貴方は電話を出られませんよね?」 「……慎一 」 「解りました!でも阻止出来なくても……」 「ええ。解ってます」 慎一は一礼すると寝室を出て行った 榊原は康太を抱き上げると戸浪を促しリビングへと向かった 三木に連絡を取った慎一がリビングに姿を現した 「三木に連絡を取りました 直ぐに来るそうです! 丁度飛鳥井に来ようと想っていたそうです! 今一生が迎えに行ってます」 康太は慎一を見て 「こっちに向かって来てるのか?」と聞いた 「ええ。あ!お見えになられました」 玄関がガチャッと開く音がして慎一は訪問を告げた 一生は三木を応接室へ連れて行こうとした だが、三木は康太達の部屋のリビングのドアをノックした 慎一はドアを開けに行った 康太は榊原の胸に顔を埋めた 榊原は三木の視線から守る様に……康太を隠した 一生は三木の暴挙に合い…躊躇した瞬間にリビングに行かれて焦った 多分…康太は三木に逢いたくないのが解っていたから… 一生は康太の前に立ち塞がった 「康太…何で逢ってくれないんですか?」 三木は訴えた 「………今は逢いたくねぇ…」 康太が言うと三木は 「若旦那には逢うのに…? 私には何故逢ってくれないのですか?」 と泣きながら……訴えた 榊原は「若旦那には僕が逢わせたのです…」と告げた 「……伊織にとって私は康太に逢わせられない存在なのですか?」 「違います! 三木は康太の為に生きてる議院! 蔑ろにした覚えはありません!」 康太は榊原の胸から顔を上げた 「繁雄……お前にこんな姿は…見せたくなかった……」 康太は結婚祝いを持って行った頃より痩せて弱っていた 「………康太…」 康太は榊原の膝から下りると横に座った 「来い!繁雄」 康太が言うと三木は康太に飛び付いた 「………康太…何でこんなに痩せて……」 「そう言われるからな…元気になるまでは… 逢いたくなかったんだよ 伊織は電話だけでも……と言ってた でも電話すれば逢いに来るだろ? オレはこんな姿は見せたくなかったんだよ」 「食べれないのですか?」 「………今は少しは食べれる様になった…」 三木は榊原を見た 「何度も吐血して貧血状態になっているんです 本来なら入院すべき容態だと言われました 久遠先生にお聞きしてるんじゃないんですか?」 「あの狸親父は詳しくは教えてはくれません!」 狸親父………榊原は苦笑した 「……狸親父って久遠先生の事ですか?」 「そう。久遠譲!」 「………三木…」 「康太は今、食べれないのですか?」 「……全く食べれない…と言う訳ではありません… ですが吐血し過ぎて…粘膜が弱まっているので……少しずつしか食べれません」 「康太が食べれるモノを差し入れします」 三木は戸浪と全く同じ台詞を言った 「それ……若旦那も言った…」 「君を大切に思う想いは一緒ですからね!」 戸浪は三木に 「三木、君を呼んだのは、その話をしたいと想いました! 私は今日は足がない…どうしたら良いか話し合いましょう! ですから送り迎え宜しくお願いします」 「解りました!若旦那! 行きますか?時間が惜しい」 三木に言われて戸浪は立ち上がった 「そうですね!行きますか!」 「康太、今度はちゃんと逢って下さいね」 三木は訴えた 「解ってる!逢いたくなったら来いよ オレは当分動きをセーブするかんな あんまし動き回る事はねぇかんな」 「解りました、お邪魔しました! 康太、また来ます!」 三木が言うと戸浪も 「康太、また来ます! 無理せず…いてくださいね!」 「解ってる若旦那」 戸浪も三木も康太を抱き締めると、帰って行った 榊原は康太を膝の上に乗せて 「……康太…姫始めが危うくなりそうですね…」 とため息を着いた 「大丈夫だよ伊織! 年明けと同時に来てもエッチしてっからな! と慎一に言っとけば良いんだよ」 康太はそう言い榊原に向かい合わせに跨がり口吻けを落とした 「……康太……姫始めまで待てません 今から君を抱きます!」 「おう!良いぞ!」 「年越しは慎一に頑張って貰います 僕は君を抱くのを頑張ります!」 「おう!何時でも良いぞ!」 康太は笑った 久しぶりに見る康太の元気な笑顔だった 「年明けてから姫始めも頑張ります!」 「………オレの身躯が持たねぇよ オレはお前を満足させてやれねぇな きっとオレじゃなきゃ伊織は満足するまで抱けたのにな……」 「君じゃなきゃ勃起しませんよ? 君だから僕は勃つんです? 解りませんか? 君に触れば僕は欲望に駆り立てられる それは君だから……です 他の誰かじゃ意味がありません! 僕は何時も満足してるって言ってるでしょ? 君を抱けば僕は満足なんです!」 「……伊織……」 「君は余分な事を考え過ぎなんです 僕は満足してます! 君は僕で満足してますか?」 「満足してる…伊織が触れば感じまくって訳が解らなくなる… だから満足させてるか……解らねぇ…」 「君だけが欲しいんです 君も僕だけが欲しいんですよね?」 「当たり前じゃねぇかよ! 伊織じゃなきゃ……死にたくなる…」 「康太、朝食を取りましょうか?」 「ん。食う」 「その後、君を抱きます」 「……ん。伊織……」 康太は榊原の頬に手を当て唇に口吻けを落とした 康太を抱き上げたまま立ち上がると榊原はキッチンに向かった キッチンには家族が全員揃っていた 康太を椅子に座らせると、榊原は康太の食事を用意した そして食べれる様にすると 「食べて良いですよ」と告げた 榊原も横に座って慎一に用意して貰った食事を取った 康太は慎一に 「メシ食ったら部屋に篭るわ」 と告げた 瑛太が心配して 「具合が悪いのですか?」と尋ねた 「違う……伊織とエッチして来る」 瑛太はポロッと箸を落とした 「今夜は押しかけて来るかも知れねぇかんな…… 姫始め出来ねぇかんな……伊織と犯って来る事にした」 「………今夜誰かおみえになられるのですか?」 「………オレは今力を使わねぇ 伊織が泣くからな……力は使わねぇ でも力を使わなくても……解る 今夜は押しかけて来るかもな…」 「どなたが?」 「…………勝也とか繁雄とか……善之助とか 色々と来るかもな…… 伊織にお預けさせてたんだよ 年明けと共に姫始めしょうねって我慢してた このまま我慢はさせとけねぇかんな 飯食ったらエッチして来る」 「沢山愛して貰って来なさい」 瑛太は苦笑した 「おう!頑張るかんな! 伊織を食い尽くしてやるもんよー」 康太はニカッと笑った 瑛太は榊原を見た 「………伊織……頑張って下さいね…」 「………頑張ります…」 これからエッチするもんよー!と宣言されて…… 頑張って下さい……と言われても……困る 榊原は苦笑した 「慎一、エッチしてる間はドアをノックしても出ねぇかんな!」 「解りました! 伊織と思う存分頑張って下さい!」 エールを送られても……困る 康太は食事を終えると榊原を見た 「さぁ伊織!家族も応援してくれてるし 頑張ってオレを抱けよ!」 ほれ!ほれ!と康太は笑う 「………解りました! 家族の期待に応えて頑張りたいと想います!」 もぉヤケクソだった 榊原は康太を抱き上げるとキッチンを後にした 一生や慎一達は手を降って見送った 聡一郎と隼人に至っては…ハンカチをフリフリ別れを惜しんだ 一生は「………濃いわ……」と呟いた 慎一は「一生……」と止めた 「ま!あの二人はあぁでねぇとな! エッチ出来ねぇ程に弱ってなくて良かった… でも旦那……可哀相に…あれじゃ種馬扱いじゃねぇかよ」 瑛太も「………ですがね、返答に困ったので……」と苦笑した 慎一は「伊織に言われてます!お節料理を仕上げて、今夜の料理を用意します」と告げた 一生は「おう!手伝うぜ」と名乗り 聡一郎は「僕は容器を用意します」とワクワクして 隼人は「オレ様は味見する」と言った 力哉も忙しく動いて回っていた 喉かな大晦日だった 寝室に向かった康太はサクサク服を脱いだ 榊原も寝室に鍵を掛けると服を脱いだ 康太はベッドに上がった榊原をベッドに押し倒した 押し倒した榊原の上に、康太は跨がった 「……康太?」 「伊織、オレの体力が多分持たねぇかんな……悪い先に出させて貰う」 「………康太…嫌です……」 「たまには良いだろ? 何時も好き勝手させてやってる たまにはオレに好き勝手させろ!」 「………なら……康太の好きにして良いです」 康太は榊原に接吻した 榊原の口腔を犯し、ねっとりとした接吻を贈る 榊原の唇から離れた唇が榊原を舐める 榊原の首筋を舐め…耳を甘噛みした 乳首を舐めて指で摘む そしてヘソへと下りてゆく 榊原の括れた腰骨を舐め上げ下へ行くと 聳え勃つ榊原の肉棒があった 康太は躊躇う事なく榊原の性器を掴むと口に咥えた ペロペロ先っぽを舐めてエラを咥え舌で擦る 肉棒に舌を這わせ陰嚢を揉んだ 「……っ……康太……ぁ……」 榊原は康太が齎す快感に悶えていた 肉棒を舐める舌が陰嚢まで下りると、康太は袋を咥えて吸った 「康太……イクっ……飲んで……」 康太は榊原の亀頭を咥えると肉棒を擦り上げた 夥しい量の精液が康太の口に飛び散った 康太は嚥下しきれなかった精液を口から零していた 康太は淫猥な顔をして榊原を見た 康太は口に残った精液を掌に吐き出した すると榊原の目の前で、その精液を自分のお尻の穴に摩り込んだ 指を挿し込み榊原を誘う 自分で乳首を摘み…… 「伊織……吸って…」と誘う 榊原は言われるまま康太の乳首の吸い付いた 指は蕾を弄り穴を広げて動いていた 榊原は康太の腰を掴もうとした が、スルッと康太はすり抜けて榊原の上に跨がった 康太の腰が妖しく動き榊原の性器を誘う 康太のお尻の穴に擦り付け挿れそうになるのに… すり抜けて出て行く 焦れったくて…榊原は康太を抱き締めた 「康太…康太……頼むから……」 「挿れたい?」 「……挿れたい!挿れさせて…… 君の下のお口で食べて……」 「伊織はもう少し疲れねぇとな」 康太は笑って焦らした 榊原は康太の身躯を抱き締めると、押し倒して脚を抱えた 抱えた脚が折れ曲がり榊原の目の前に…… 康太のお尻の穴を見せ付ける 榊原はピクピクと蠢く秘孔に触った 「欲しそうですね」 「………欲しい……焦らすな……」 「焦らしたのは君でしょ?」 「……伊織………その穴にお前の硬いの…挿れて……」 「もっと卑猥な言葉を言わせたいんですが… 僕も余裕なんてありません…」 榊原は康太の中へ挿入した 挿入して暫くは榊原は動かない 康太の身躯が馴染んで欲しがるまで待つ 腸壁が蠢き出したら合図だった キュッ……キュッ…キュッと腸壁が榊原を締め付ける それを掻き回す様に腰を使う 「……ぁっ…あぁん…ぁっ…あっ…」 康太の喘ぎが部屋に響き渡る 湿った……グチュッ…グチュッ…と言う音も響いていた 康太の脚は榊原の肩に乗せられていた 身躯をくの字に曲げられ…串刺しにされていた お尻には榊原の赤黒い性器が突き刺さっていた その赤黒い性器が康太のお尻から出し入れされていた 康太は榊原を抱き締めた 抱き締めて……自分の性器を榊原の腹に擦っていた 「……ぁ……気持ちイイっ…イッちゃう…」 康太がそう言うと榊原は康太の性器の根元を掴んで絞めた 「まだです…焦らされた分付き合って下さいね」 「伊織…手を離して…ゃっ……イキたい…」 「下のお口は……はしたなく僕を食べてますよ?」 「……ゃ……言わないでぇ…」 康太は涙で潤んだ瞳を榊原に向けた 「伊織……愛してる…… 伊織しか愛せない…」 「…狡いです……そんな事言われたら…」 榊原は康太を離した 根本を解放されて康太は……イッた あっ……あぁっ……とのけ反る康太のツンっと尖った乳首に吸い付いた イッた締め付けに合い榊原も康太の中に総てを弾け飛ばした 「………っ…康太…締め付け過ぎです…」 榊原は呻いた まだイキたくなかったのに…… 不本意にイカされ絞られる 本当にタチが悪い 榊原の総てを知ってる身躯は… 纏わり着いて締め上げる 本当にタチが悪い腸壁に……身も心も囚われる 康太を抱いた瞬間…麻薬の如くの快感に脳髄まで犯され…狂わされる また……その快感を得たくて…… 細胞が騒ぎ出す 細胞レベルで求め合い……互いを束縛し合う 失ったら…… 死んでしまう 失ったら…… 狂う 「康太……愛してます」 榊原はそう言い康太に口吻た この身が滅ぶ瞬間まで… 魂が消滅する消滅まで… 愛して……愛して……愛し貫く! 榊原は康太を求めて……硬さを増した 「……ゃ…伊織……硬い」 「君の好きな硬さでしょ?」 ドックン……ドックン… 脈打つ肉棒が中で存在感をアピールし始める ピクンッと震え……康太のトロッと出た腸壁を引っ掻く 余韻を味わう榊原は余裕があった 中を刺激されて康太は快感に震えていた 「……伊織……あぁん……」 榊原は康太の中から抜くと、康太のお尻の穴を見た 榊原のサイズまで広がった穴が…… 精液を零しながらピクピク痙攣していた 榊原はお尻の穴を舌で舐めた 切れてないか確かめて舐める 「………伊織……ゃっ……足らない…」 「摩耗しちゃいますよ?」 榊原は笑って康太に言う ペロペロとお尻の穴を舐められ… 火の点いた身躯は…刺激を求めてヒク付く 康太は身躯をよじって榊原の性器に触れた 亀頭の口は開き切り赤い中が見えていた エラは開き……エラの下のイボイボが見えていた 康太はイボイボを指でなぞった ピクンッと榊原が震えた 亀頭の口から出ている先走りを擦り付けると榊原は腰を引いた 「オイタはダメでしょ?」 「伊織の……舐め尽くしたい……」 「そんな事をしたら君の中には挿れられなくなりますよ?」 「………それは嫌だ…」 「康太……互いが互いを欲しがり過ぎです」 榊原はクスッと笑うと康太を抱き上げた 膝の上に乗せて執拗な接吻を贈った 「僕も……君の可愛いココ…… 舐め尽くしたいです…… 僕を食べてるお口も舐めたい この乳首も……吸ってと僕を誘ってます」 刺激で赤く尖った乳首に榊原は吸い付いた 「……ゃ…吸わないでぇ……感じちゃう…」 服の刺激でも感じてしまう すると榊原が欲しくて奥が蠢く…… 榊原は康太の中に挿入すると…… 一気に奥まで貫いた 「……ゃ…深い…伊織……深い……」 かなり奥に榊原を感じて康太は喘いだ 榊原は乳首を舐め吸っていた ペロペロと乳首を舐められ…イキそうになる 「……伊織……舐めないでぇ……ねがっ……」 涙目で頼まれれば…聞かない訳にはいかない 「……解りました……」 「……伊織も……乳首がどんだけ感じるか…… 教えてやんよ……伊織も知りやがれ」 康太はそう言うと榊原の乳首に吸い付いた ズクンッと康太の中の榊原が嵩を増す 康太は榊原の乳首を摘んで舐めて吸った 痛くて……感じる様になるまで吸って… そのうち喘いで……イッた 榊原も康太の中に一滴残らず注ぎ込む 康太は途中で意識を手放した 榊原は康太の中を堪能して…… 何時までも康太を手放さなかった 自分の精液で濡れた康太が愛しい 榊原を康太を強く抱き締めた 抱けば無理をさせる なのに康太は榊原の総てを受け止めて…離さない 意識はなくしても、榊原を搦めて離さない腸壁に、康太の愛を感じずにはいられなかった 榊原は康太を抱き締め……余韻に浸っていた 朝陽を浴びていた部屋は……何時しか夕陽に染まっていた 榊原は康太を抱き上げると浴室に向かった バスタブにお湯を溜めてる間に 康太の身躯を綺麗に洗う 中も外も磨きあげる 康太をバスタブに入れて湯に浸けてる間に自分を洗う そして泡を落として康太を、抱き上げお湯に浸かる 身も心もホカホカになると、榊原はバスタブを出た 康太を拭いて椅子に座らせる そして自分も身躯を拭くと、康太の髪を乾かした 楽しい作業だった 意識はなくても康太は榊原の成すが儘だった 髪を乾かすと康太を抱き上げ、寝室のソファーに座らせた クローゼットから服を取り出し、下着も取り出すと康太に履かせた 康太の下着は……高校生サイズより小さい でも子供用のを買うと拗ねられるから紳士もの1番小さいサイズを買ってる 今は小学生も大きい 戦隊もののパンツでも似合いそうなんだけど…それをしたら… 口もきいてくれなくなるから……しない 康太の服を着せて、靴下まで履かせる 何から何までしてやる 榊原がいなきゃ生きて行けなくなれば良いのに…… ズブズブに愛して……… 何も出来なくする 榊原がいなきゃ生きいけなくする 榊原は自分の中の狂った執着に、苦笑し 康太をリビングのソファーに寝かせて、榊原はベッドのシーツを剥がした そして掃除をする 康太の部屋から掃除機の音がすると一生はリビングに顔を出した ソファーの上に眠る康太に…… お疲れさん……と労いの声を掛ける 寝室の掃除を終えてリビングを覗いた榊原は、一生の存在に…… 罰の悪い顔をした 「……どうしたんだよ?旦那」 「………僕の想いをぶつければ……康太を気絶させてしまいます」 「体力差は否めねぇだろ? 康太は嫌だって言ったのかよ?」 「………言ってません……」 「康太が嫌だって言うかよ! 死ぬ瞬間まで、おめぇの為に股を開くぜ それが康太だろ?気にするな! 手を抜けば康太は怒るぜ! なら常に本気で抱くしかねぇだろ?」 「………一生……」 「青龍の情けねぇ顔って……見た事なかったな おめぇは常にポーカーフェース決め込んでいたからな…… そんな顔も出来るんだって……お前と暮らす様になって知った 今のお前の方が断然良い 掴み処のねぇ…完璧なお前より良い」 「………兄さん……」 「お前らは仲良くイチャイチャしてろよ」 「………貴方って……本当に……」 榊原は一生に抱き着いた 「……腹立つ程に兄さんです」 「……それはどう言う意味よ?」 「甘えてるんです……君に」 一生は笑った 康太は意識を取り戻して、兄弟のやり取りを見ていた ソファーの背もたれに顔を乗っけて見ていた 兄弟だった 同じ龍の魂を持った兄弟だった 榊原は康太に気付くと一生を離した 「康太……辛くないですか?」 「お前等って本当に兄弟なんだな」 康太はそう言い笑った 一生と榊原は顔を見合わせ…… 一生は「今世は他人だけどな」と言った 榊原と「……兄弟ですね…腹が立つ程に」と笑った 榊原は康太を抱き上げた 「龍の魂は美しいな」 「力は使ってませんよね?」 「オレの眼は特別だかんな 力を使わなくても魂の存在は見えるんだよ お前等兄弟は絶対の絆で結ばれてるな」 「そうですか? 最近の赤龍は愛と平和の神には程遠いですがね……」 サラっと酷い事を言われて一生は吠えた 「おい!」 「一生、カルシウム足りませんか?」 「……足りてる」 榊原は笑ってリビングを後にした 「一生、お昼の用意をお願いします」 一生は「あいよ!」と言いリビングを出て行った 「切れてませんか?」 「大丈夫だ……切れてねぇけどな、おめぇが挟まってる感じは…抜けねぇな」 「愛が募り過ぎました」 「オレの身躯で満足した?」 「しましたよ!奥さん」 「オレも満足した! 伊織を沢山補充出来たかんな!」 だから心配するな……と康太の言葉は言っていた キッチンに向かい、康太を何時もの席に座らせる 榊原は「………遅すぎる昼ですが……皆さんお昼は食べましたか?」と尋ねた 聡一郎が「まだです!」と応えた 隼人が眠そうに……座っていた 慎一は「時差が抜けないのです」と変わりに答えた キッチンに瑛太が現れ、清隆や玲香も現れた 源右衛門も現れて、皆で遅すぎる昼食を取った 家族で年末を送っていた ゆったりと寛いでテレビを見ていた テーブルには料理が並べられ、家族はお酒を飲んでご機嫌だった 源右衛門も今日は少し多めにお酒を飲んでいた 清四郎と真矢も飛鳥井の家に来ていた 康太は眠そうに榊原の膝に頭を置いていた 「伊織、眠い…」 「寝て良いですよ」 康太は起き上がって榊原に跨がった 榊原は笑って康太を抱き締めた 榊原の胸に顔を埋めうとうとしていると飛鳥井のインターフォンが鳴り響いた 慎一が応接室を出てカメラを作動すると 一階のエントランスに見知った顔が並んでいた 「夜分にすみません」 「今、迎えに行きます」と慎一は言い家を出た 康太は榊原を見た 「………伊織…リビングに行くか?」 「その方が良いですね」 榊原は康太を抱き上げたまま立ち上がった そして家族や清四郎達に 「すみません来客ですので、席を外します」と言った 清四郎は「話を終えたら皆さん此処へお連れしては如何ですか?」と榊原に問い掛けた 「大晦日ですからね……ご家族の元へ帰すのが筋かと想います……が、帰りますかね?」 榊原は苦笑した そして応接室を出てリビングへと向かった 一生と聡一郎も出て来て、来客を迎える 「一生、リビングにお通しして下さい」 「解った……康太は大丈夫なのかよ?」 「お薬を飲んでますし、心配事は少しだけ片付きました 年が開けたらまた通院させます」 一生は頷いた 榊原はリビングに入って行った ソファーに康太を座らせると、その横に座った リビングで待っていると慎一が下まで下りて迎えに行った人達を連れて来た リビングのドアをノックすると榊原が顔を出した 「お連れしました お招きして宜しいですか?」 「ええ。宜しくお願いします」 榊原が言うと慎一は皆を招き入れた ぞろぞろと入って来る人の中に須賀直人を見付けた 康太は「須賀…?」と名前を呼んだ 須賀はニコッと笑って康太に頭を下げた 須賀は退院して事務所に戻っていた その報告を受けた時には康太の様態がかなり悪く、逢うのを先伸ばしにしていた 飛鳥井のマンションにあった荷物は、事務所の横の住居に移した 須賀は一度も飛鳥井のマンションに来る事はなかった 『……貴方に甘えて…その中で生きていたら…外に出られなくなります』 と言い須賀は退院して精力的に動いた その須賀が何故? 康太には訳が解らなかった リビングは三木と戸浪 相賀、安曇、蔵持……そして堂嶋正義の名代として兵藤貴史がいた 神野の名代として小鳥遊がいた 康太は……困った顔を皆に向けた 「大晦日位家族で過ごしやがれ!」 康太が言うと相賀は 「君が全然逢ってくれないのがいけないんです! 電話にも出てくれない…… 伊織や慎一も……康太に逢わせてくれないどころか…… 電話も繋いでくれません!」 「………相賀……悪かった…」 安曇も口を開いた 「此処最近は電話すら出てくれませんよね? 慎一に聞いても言葉を濁すばかりで何も教えてはくれません 此処一ヶ月、完全に君の状況が解りませんでした!」 「……勝也……悪かった」 善之助も口を開き 「何故逢えないのか慎一に聞いても 『今逢うのは不本意な結果となるので…』と教えてはくれませんでした 伴侶殿は電話にすら出なくなりました」 「善之助…オレが血を吐いたりしたからな… 伊織はオレに付き着っきりだった…」 須賀もここぞとばかりに口を開き 「血を吐いて弱った身躯を見せたくないと想うからなんでしょうが…… 私も何度も電話しましたよ? なのに……逢ってもくれない…… 君には返すべき事ばかりなのに…」 「直人……返さなくて良い オレは返して貰う為にしてねぇ」 小鳥遊は神野に変わって口を開いた 「何故無茶ばかりする? あの馬鹿も、貴方も!」 小鳥遊は怒っていた 静かに怒られて…康太は少し怖いやんか……と想った 「晟雅はどうよ?」 「あの馬鹿はまだ退院出来ません もう帰らなくても良いです」 「……小鳥遊 …言ってやるな‥‥」 「あの馬鹿は康太の事を聞いて、あの足で来ようとしたのですよ! 三木が止めてお灸を据えてくれなきゃ来てました」 「………オレのせいかよ?」 康太が呟くと三木が康太を抱き締めた 「皆、君に逢えなくて心配のゲージはMAXになっていました どんな君でも顔を見せて下さい 私達は君を支えられるなら支えたい! してもらうばかりじゃ嫌なんです! 君に無償の愛を貰って……生かされてるけど……君が死にそうだと言うのに……黙ってられません! あの狸親父……康太を直せなかったら殺してやる」 「………繁雄……」 「後13年?ふざけるな! みすみす私達が、君を逝かせる訳ないでしょ!」 三木は興奮してそう言った 黙って見ていた兵藤が康太に 「血を吐いたのかよ?」 と尋ねた 「……貴史…あんでお前がいんだよ」 兵藤は立ち上がると康太に深々と頭を下げた 「堂嶋正義の名代で参りました兵藤貴史です 堂嶋は弟が熱を出して寝込んでるので来れませんでした でも常に貴方を気にしておいでです 電話も繋がらなくなった時、仕事を放り出して行きそうになって、何度もお止め致しました………当然恨まれましたがね! 今回も熱出してる弟を連れて車を走らせ様となさってるので、止めました そしたら変わりに行って、無事だと電話させろ!と言われました ささっ!堂嶋に電話を入れて下さい」 兵藤は畏まって康太にそう伝えた 「お前が電話しとけよ」 「………そんな事をしたら夜通し熱出した弟を乗せて横浜まで来ますよ?」 康太は榊原に手を差し出した 榊原は康太の掌に携帯を乗せた 慎一がその携帯を掴むと、堂嶋を電話帳から呼び出して着信ボタンを押して、掌に返した ワンコールで堂嶋は電話に出た 「正義?幸哉の具合はどうよ?」 堂嶋はブチッと切れた 心配して兵藤まで使いに出させて待ってるのに…… 第一声が人の心配かよ! 『………何か横浜に向けて車を走らせたくなった……』 堂嶋はボヤいた 「あに言ってんだよ! 幸哉を寝かせてやれよ!」 『お前さ……俺がどんだけ心配したか解ってる? ずっとお前は口もきくなと無視して来たよな? 最近は……口はきいてくれる様になったが、新幹線で逢っても無視しようとしたよな?』 「……正義……それはお前の為……」 『そんな事されても俺は嬉しくねぇんだよ! 何時かお前の力になりてぇ…… それが無償の愛をくれたお前に返す恩だと想って幸哉と二人生きて来た 今の俺はお前が作ったんじゃねぇかよ! やっとお前と交流が持てると想ったのに… お前は俺を弾くんだな』 「………正義……オレなんかと関わらねぇ方が良いんだ…… お前だって飛鳥井家真贋の噂なら嫌と言う程に知ってるだろ?」 『別に構わない! 言いたいヤツには言わせとく! 俺はもう無関係な位置にいる気はねぇんだよ! それで議院生命が終わっても俺は構わねぇんだ!』 「………正義……」 『お前を死なせる気はねぇから! 坊主!死ぬのは100年早ぇんだよ!』 「………降参……」 康太は……降参した 電話の向こうで堂嶋は笑っていた 『お前を食わせるプロジェクトに俺も加わるからな! 年が開けたら幸哉と横浜に住む事にしたから』 「………正義……それはダメだ……」 『ダメだと言うなら正当な理由を聞かせろ』 「……今は言えねぇ……」 『なら聞かねぇ! ならな、坊主!無茶すんなよ! また電話するから今度は出ろよ』 「…解った……」 康太は電話を切った そして思案する 榊原は何かあると想ったが聞かない そしてやんわり釘を刺す 「今考えねばならぬのは、目の前の強者のことでしょ?」 「………もぉな降参だ… オレに叶う訳ねぇじゃねぇかよ! しかも何時からプロジェクトになったんだよ ちと壮大過ぎだろ?」 康太が言うと榊原は笑った 榊原は立ち上がると深々と頭を下げた 「今日は康太の為に本当にありがとう御座います 康太は弱った姿を貴方達に見せたくなかったのです 僕は康太が不本意だと言う事をしたくはなかった……」 安曇は榊原に 「教えて下さい 総て話して下さい」と迫った 榊原は総てを話した 「康太は遥か昔は神と呼ばれし存在でした…… 人の世に落ちても…人の身躯に神の力を秘めていた 康太は焔を使います… その焔が康太の身躯の新陳代謝を早めて…… 内臓の働きを弱めて行く…… 今は胃液も出ない程に胃が弱り……吐血を繰り返し……貧血を起こしました」 「……伊織……康太は?」 安曇は戸浪に聞いた事を確認しようと問い掛けた 「康太は前世で総て20代で命を落としてます その命……総て短き人生でした… 今世はそれに13年プラスされました 13年も増えたのです 医学は進歩の一途を遂げている 僕は諦めてはいません 康太をこの世に生き長らえさせるつもりです でも康太は動けぬ真贋など要らぬ……と力を使います 医学は進歩を遂げても……康太はその力を使い果たしてしまいます 僕は……時々……康太の動きを止めてしまいたくなる… それは不本意だと解っていても…… 康太を死なせたくないんです…… 康太を一分一秒でも生きさせる為なら 僕は何だってします……」 榊原は泣いていた それを聞いた全員が涙した 信じたくなんかない…… 康太の人生が…… 残り13年しかないなんて…… 戸浪は康太に笑顔を向けた もう泣くのは辞めた 泣いて康太の命が繋がるなら幾らでも泣く そうでないのなら……泣いてる暇なんてない 「康太、君の周りは諦めない強者ばかりだよ? 私も諦めなさい……君のいない場所では息も出来ない だから諦めなさい!」 「若旦那……今日は大晦日じゃねぇかよ! あんで家族と過ごさねぇんだよ……」 須賀は引きずる足で康太に近づいた ゆっくりだが歩ける様になっていた 杖は手放せないが自分の足で歩いて康太を抱き締めた 「……康太……貴方を何もせず死なせると想ってるのですか? 我等は貴方にしてもらうばかりで何も返せてない 君は返して貰う為になんてしてねぇ…と言われますが、私の命をこの世に引き留めたのは君ですよ 私は君がいるなら生きていけます どんなに辛い事だって……あの日……君が助けに来てくれた……命だから……乗り越えられるのです 君がいなきゃ……嫌です! 逝かせる訳ないでしょ? そんなに早く……君を失いたくなんかない!」 「直人……」 康太は須賀を抱き締めた 安曇は「康太、諦めなさい」と康太の髪を撫でた 「勝也……」 「初詣に行きませんか? 皆で繰り出してお詣りに行きましょう! その後は飛鳥井で飲み明かします お正月位は飲んで笑って過ごしたいじゃないですか!」 康太は頷いた 榊原は「応接室に行きますか?」と問い掛けた 皆は快く賛同して立ち上がった そして榊原は思い付く 「犬アレルギーとかの人……いますか?」 榊原が問い掛けると戸浪は 「飛鳥井にはコーギーがいましね」と思い出した 榊原は困った顔をして 「………今はコーギーだけじゃないんです シュナウザーのイオリもいます……」

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