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第22話 想送歌

戸浪が目を醒ますと枕元に康太が座っていた 何も言わず康太は戸浪の頭を撫でていた 何時からそうしてくれてるのか…… 戸浪は胸が熱くなった 「目が醒めたのかよ?」 「ええ。目が醒めました」 「飯食ったらオレ等も向かうな」 「お手数をかけます」 「源右衛門も共に行く 友の別れを言う者が今日は戸浪に訪れる 大変だろうけど宗玄に別れを言わせてやってくれ」 「解っております」 「若旦那、桜林学園と言うのはな 結び付きがすげぇんだよ 桜林学園OB会に伝令を出したかんな 桜林学園のOBや生徒が別れを告げにやって来る 宗玄の友も源右衛門が呼んだからな来るぜ 惜しまれて散る華になれ……宗玄は惜しまれて逝く事となる」 「康太……私は祖父が羨ましいです 私は桜林学園には、進みませんでした こんな結び付きが見えるのならば…行けば良かった……と何時も想います…」 「それも定め……若旦那は若旦那の道を逝けば良い」 「身支度をします」 「おう!オレはキッチンにいる 慎一にキッチンに連れて来て貰うと良い」 康太はそう言い和室を出て行った 和室は既に片付けられていて昨日の様相はなかった 戸浪はキチンと吊されたスーツを着た 和室を出ると慎一が洗面所を案内した 身支度を整えネクタイを絞めると、慎一に案内されてキッチンに向かった キッチンに行くと全員揃っていた 康太は良く咀嚼してゆっくりと食事をしていた こんな食事風景は初めてだった 「朝はパンで宜しいですか?」 「ええ。お願いします」 慎一が戸浪の食事を用意する 珈琲を立ててパンとサラダと置く 戸浪は用意された食事を取っていた 物凄く穏やかな気持ちでいられた 「若旦那、宗玄の魂は弥勒厳正が黄泉へとお連れする為に魂を導く 果ては歪む事はない‥‥ しかもオレは源右衛門の付き添いとして向かう その時、力哉を連れて行く事だけ許してくれ……」 「力哉は私の弟です! 席は親族の方に座って戴いて構いません」 「………陰ながら見送れれば良い 力哉は戸浪とは関わりなき者…だかんな…」 「………康太……私の弟だと言う事実は……なくなりません 私は力哉を弟だと想っています 可哀相な事をしたと……悔いています」 「迷惑でなければ……力哉を……頼む」 「解っております」 後はもう何も言わなかった 戸浪は食事を終えると立ち上がった 「一足先に帰りまして、皆様を迎えるべく準備を整えたいと想います」 戸浪はそう言い深々と頭を下げた 「父、宗玄は祭儀場で見送ろうかと想っていました ですが、生まれ育った家から送り出してやります 我が家で葬儀を執り行います ですから一足先に準備をして参ります」 「ならば、オレ等は戸浪の家に向かえば良いのか?」 「はい。宗玄が愛した我が家に起こし下さい」 戸浪はそう言い帰宅の徒に着いた 安曇達も一度、支度をして戸浪の家に向かうと、食事を終えると帰って行った 康太は榊原に「伊織、オレは真贋としては参列は出来ねぇ‥‥ 源右衛門の付き添いとして逝くかんな、飛鳥井の家紋が入った喪の着物を出してくれ」と言った 榊原は頷いて後片付けを慎一に頼み自室へと向かった 榊原の手により裸にされると純白の襦袢を着せられた 慣れた手付きで康太に着物を着せてゆく 「伊織は何着て行くんだよ?」 「礼服で良いですよね?」 「ん。礼服で構わねぇだろ?」 榊原も服を脱ぎ捨て、糊の効いたYシャツに袖を通した 喪服に袖を通し着てゆく 康太が黒のネクタイを手に取ると榊原に結んだ 曲がってないか確かめて、支度を終えた 支度が終わると寝室を出て、応接間に行くと瑛太と清隆と玲香が待ち構えていた 清隆は深々と頭を下げると 「私達まで行けばご迷惑になります これを、戸浪さんに渡しておいて下さい」 と言い香典袋を康太に渡した 瑛太も玲香も康太に香典袋を渡した 瑛太は「私達は陰ながらご冥福をお祈りさせて戴きますとお伝え下さい」と榊原と康太に伝えた そして会社へと向かった 康太は源右衛門の支度を待っていた 源右衛門は一生に手伝って貰って和装の喪服を着ていた 「待たせたな」 言葉少なげに言うと源右衛門は玄関に向かった 「じぃちゃん、玄関で待てろ! 伊織が車を地下駐車場から動かすからな」 源右衛門は玄関で待っていた すると榊原がベンツを運転して玄関の前に停めた その車に喪服を着た一生と力哉と源右衛門が乗り込んだ 「聡一郎、後は頼むな」 「解っております」 「聡一郎、苦しむなら一弥の所へ行けよ 何度も逢って決めても誰も文句は言わねぇ 一弥にも一弥の妻にも話しはしてある」 「………康太……」 「おめぇが北斗や和希、和馬や他の子を……苦しそうに見ているのは知ってる 育てる覚悟がねぇなら手放せとは言った 苦しむなら……一度自分を見直してみろ」 「………康太……解りました……」 聡一郎の肩を叩くと康太は助手席に乗り込んだ 榊原が車を走らせる 康太はナビに戸浪の自宅の住所を打ち込んだ 榊原はナビに案内されて戸浪の邸宅へと向かった 戸浪海里の家は純和式の神社の様な造りだった 木々が生い茂り聳え立つ日本家屋は威厳をましてそこに建っていた 榊原は戸浪の家の横の駐車場に車を停めると、車から下りた 車から下りると戸浪が待ち構えていて深々と頭を下げた 「此方に停めて構いませんか? 本来でしたらタクシーで来ねばなりませんが…… 康太も源右衛門も体長が完璧でないので車でこさせて戴きました」 「そちらで構いません どうぞ、此方へ」 戸浪は着物を着ていた 康太が何時も戸浪の事を若旦那……と呼ぶのは…… こう言う姿が見えていたから? と榊原は想った 着物姿は板について隙がなかった 康太が車から下りると源右衛門が並んだ 一生と力哉はその後ろを歩いた 和装に身を包む飛鳥井康太は威厳があって近寄り難かった 榊原と康太が源右衛門をエスコートして寄り添う様に歩いた 戸浪は玄関を開いて康太達を待った 戸浪は源右衛門に頭を下げ 「我が父の最期の顔を……見てやって下さい」 源右衛門は頷いた 戸浪沙羅が康太達を迎え入れ案内する 戸浪宗玄は和室に敷かれた布団の上に眠るように……横たわっていた 源右衛門は宗玄の側に寄った シワシワの手で友の頬を触る 「お疲れ様だったな宗玄……」 源右衛門は宗玄に労いの言葉を掛けた 戸浪の家には宗玄の訃報を聞き駆け付けた盟友が集まった 宗玄の枕元で校歌を歌う…… 故人を偲び……歌う校歌は……涙で声が詰まっていた 沙羅は康太に 「本当にありがとう御座いました」 と礼を言った 「宗玄の最期を見とれなかった友は悔しいだろうな…… 何故呼んでやらなかった?」 と悔しそうに言った 沙羅は泣いた…… 悔やんでいたのだ…… 「辛い時も哀しい時も我ら桜林の仲間は分かち合い生きて来た それは今の世も昔の世も変わりはしない 口惜しいな……それだけが……」 「……申し訳ありませんでした……」 「沙羅、今日は宗玄の友が来る 桜林のOBを偲んで生徒が来る 我ら桜林はそうして繋がって生きている 総て受け入れてやってくれ」 「解っております……」 沙羅は涙を拭い、そう答えた 康太は沙羅に向き直ると 「沙羅、お前に逢って話があった…」と話をした 「お子の事ですか?」 「そうだ……覚悟は出来てるのかよ?」 「出来ております 私は戸浪の女で御座います 戸浪が続く為ならば、我が子より愛して育てる覚悟はとうに出来ております」 康太は懐から紙を取り出すと沙羅に渡した 沙羅はその紙を貰った 「………これは?」 それは写真だった ニコッと笑う赤ちゃんの写真だった 「神楽煌星、お前が育てる子供だ」 沙羅は写真に釘つげになった その写真は……母親が撮ったのだろう…… 信頼しきった瞳が輝いていた 「………煌星……ですか……」 「後のトナミ海運の社長になる男だ お前が曲がらず育てれば……の話だが…」 「……曲げたりなど致しません 煌星はお母さんが好きなんですね…… この子のお母さんは手放したくない筈です こんなに愛に満ちた写真を撮るお母さんが……我が子を手放したい筈などない 私はこの子を愛して育てます お母さんに変わって育てさせて戴きます」 「お前は本当にトナミの女だな……」 康太は呟いた 「詳しい話は貰いに行く前に総て話す 貰い受ける子は人であって……人にはなれねぇ存在 育てる側にも覚悟が要るかんな」 沙羅は康太に深々と頭を下げた 戸浪の家に安曇や三木、堂嶋、相賀、須賀、蔵持、神野が集まって来た 皆礼服を着ていた 戸浪海里は和装の喪服に身を包んでいた 戸浪万里、千里も喪服に身を包み 戸浪沙羅も和装の喪服に身を包み、まだ首の座らない乳飲み子を抱えていた 宗玄の生まれ育った家で葬儀をあげる 友や桜林のOBや生徒に見送られ しめやかに葬儀は始まった 戸浪の家の和室を開け放ち、葬儀を執り行った 沙羅は気丈に葬儀を見届けていた 戸浪宗玄の葬儀は……親しい友人や桜林の関係者に見送られて進んでいく 形式ばった葬儀より、戸浪宗玄には相応しかった 桜林学園の学長の神楽四季も葬儀には参列していた 惜しまれ偲ばれ……嗚咽が響き渡った 旧友は校歌を歌い宗玄と供に生きて来た時間を偲んだ 葬儀に来てくれた人たち全員に献花をして貰った 宗玄に声を掛けて貰い……最期を見届けて貰った 全員の献花が終わると戸浪海里の喪主の挨拶となった 「今日は我が父、戸浪宗玄の葬儀に足を運んで下さり、本当にありがとう御座いました 我が父、戸浪宗玄は享年76にして この世を去りました 仕事ばかりの仕事人でした その祖父に私は育てられました 両親を早くに亡くし、私と弟の力哉は祖父に育てられました 暴君で怖い祖父の事は好きではありませんでした 昔の私ならば、祖父の死は悼む事はなかったでしょう でも今は違います…… もう少し……長生きして欲しかった… 悔やまれてなりません 祖父は良き友に恵まれてこうして送られて……本望でしょう 祖父が羨ましい位です 祖父が興したトナミ海運はこれからも続きます 祖父の意志を継ぎこれからも在り続けます 今日は本当に祖父宗玄の為にありがとう御座いました」 戸浪海里は参列者に深々と頭を下げた 出棺の時間になり、斎場へと向かう 戸浪海里は祖父の遺影を掲げ、車に乗り込んだ それを参列者は並んで見送った 何処までも続く行列が出来ていた 戸浪は父の母校、桜林学園を回って斎場へと行くつもりだった 桜林学園の前を通ると…… 生徒が道路脇に整列して、戸浪宗玄の車を見ると深々と頭を下げ見送った 戸浪は目頭を押さえた 康太の言葉が記憶に蘇る 惜しまれ散る花になれ…… 祖父は皆に惜しまれて散った…… 戸浪は羨ましく想った 桜林学園の絆を見せつけられて…… 宗玄を見送った康太は家に帰ろうとした すると田代に止められた 「康太さん戸浪が精進料理を食べましょうと言っております 皆様も料亭のバスが来ますのでお待ちください」 選挙を控えた安曇と三木と堂嶋はスケジュールが詰まってて帰って行った 経団連会長の蔵持善之助もスケジュールが詰まってて帰って行った 相賀と須賀も予定があると、康太を抱き締めて帰って行った 康太は田代に「今日は忙しいだろうから、帰るわ」と言い車に乗り込み戸浪の家を後にした 飛鳥井の家に帰ると、慎一が塩を巻いた そして家の中へと入った 康太は寝室に向かい真贋の喪の衣装を脱がして貰った 着物を脱がすと康太は帯の後をポリポリ掻いた 「こら、傷になるでしょ?」 「着物は脱いだ後が痒いんだよ!」 榊原は笑って抗生物質の入った軟膏を塗って 「君はこの後何をしますか?」と問い掛けた 「オレか?オレは会社に出向いて馬関連の仕事をする」 榊原は康太にスーツを着せた そして一緒に会社へと向かった 一生と慎一は大和のファームに出向き 力哉はまだ戸浪にいた 康太は精力的に会社の見回りをして、管理して動いた 康太が仕事から帰ると源右衛門の姿がない…… と家族は騒いでいた 「じぃちゃんがいねぇって……」 康太は呟いた 聡一郎は「飛鳥井に帰って来て疲れたと良い部屋に行ったのは知ってます…… 夕飯だと呼びに行ったら……いないのです」 とオロオロになり言った 康太は天を仰いだ 「弥勒、じぃちゃん……何処よ?」 『神楽四季の許可を得て、桜林の校庭におる』 「………桜林かよ?」 康太は呟いて胸ポケットから携帯を取り出した 「悠太、おめぇ今何処よ?」 『康兄、俺は今まだ学園にいます』 「今すぐ校庭に出て源右衛門がいないか確かめてくれ」 『解りました!見付けたら電話します』 悠太は電話を切った 暫くして悠太から電話があった 『源右衛門は友と校庭の桜の木の下で飲んでます 学長が許可したみたいです』 「友といるのかよ? どんな姿をしてた?」 『喪の衣装のままです』 「解った!悪かったな悠太」 康太はそう言い電話を切った 慎一は「源右衛門に上着を持って行きましょうか?」と尋ねた 「頼めるか?後、何か食うのも買って行ってくれ」 慎一は解りましたと言い源右衛門の部屋に向かった 上着を持つと飛鳥井の家を後にした 寝室に着替えに行きキッチンに行こうとすると、インターフォンが鳴り響いた 康太がカメラを作動すると戸浪海里が立っていた 康太は慌てて解錠すると玄関を開けた 「若旦那、どうしたんだよ?」 「今日は本当にありがとう御座いました 香典返しも、精進料理も断って帰られたと田代に聞きました で、香典返しをお持ちしました 飛鳥井家の方々には心配り、本当にありがとう御座いました」 「若旦那、疲れてるんだから気にしなくても構わないのに……」 「何か康太の顔が見たくて仕方がなかったのです」 「それなら仕方がねぇわな」 康太はそう言い笑った 「飯食ってけよ若旦那」 「いえ……申し訳ないので帰ります」 「構わねぇし、桜林の校庭にいるじぃちゃん達も見せてやりてぇし、飯食ってけよ」 「では、ご馳走になります」 康太は戸浪の手を掴むとキッチンに出向いた 席に着くと聡一郎が食事の用意をした 食事を終えると康太は戸浪と出掛けた 「若旦那、家から桜林までは歩いてゆける 歩きだけど良いか?」 「構いません 康太と歩くのは初めてですね」 戸浪と共に桜林学園へと向かう 戸浪は康太に想いを吐き出す様に喋り始めた 「私は祖父が桜林に行けと決めつけるから反発して他の学校に進みました 祖父の繋がりを見せ付けられて……後悔しました」 「若旦那、縁(えん)を繋いで縁(えにし)を結わえるんだよ 若旦那の今後に生かされる存在を見付ければ良い そんな人たちと縁を繋いで縁を結べば良い」 「康太、人の縁の大切さを知りました 私は切り捨てるばかりでした 今は繋いで結わえる先を信じられました」 「若旦那は変わった 本当に出合った頃と変わられたな」 「康太が変えたのです」 「殻を破るのは本人の意思だ 若旦那が見る視線を変えたから見方が変わったんだよ」 康太と話をしていると、桜林学園に到着した 康太は校門隣の通用口から校庭の中へと入った 校庭に向かって歩いて行くと、桜林学園の校歌が聞こえた まだ蕾の桜の木の下で、源右衛門と5人の仲間は校歌を歌っていた 「じぃちゃん、まだ寒いかんな 飛鳥井に来て貰えよ」 康太が声を掛けると源右衛門は立ち上がった 「今宵は宗玄を偲ぶ時間を送る」 「家にはアルバムもあるし偲ぶのに1番な場所だろ? こんな寒いのに外で風邪でも引いたらどうするんだよ? 他の人の体調も考慮しねぇとダメだろうが」 「康太……」 「じぃちゃんの部屋に招けば良いんだよ 誰も邪魔はしねぇかんな!」 源右衛門は頷いた 「今宵は我の家で偲ぶとしようか?」 源右衛門が言うと仲間は立ち上がった 源右衛門は戸浪を抱き締めた 「宗玄は何時も悔いていた 厳しさだけで育てた孫の事を…… 飲めば何時も悔いていた わしも……妻の亡き後に康太を育てた 厳しさだけで康太を育てた…… わしも宗玄も悔いていた 悔いて……悔いて……幸せだけを祈っていた 幸せに……宗玄の想いし子よ」 戸浪は……初めて耳にする言葉に…… 呆然となった 源右衛門の匂いは祖父の匂いに酷似していた 戸浪は祖父に抱き締められている気分になった 頭を撫でられると涙が出た 「祖父は…貴方と友になれて幸せな時間を送れたのですね」 「わしの時間も残り僅かだ でも悔いなく終えようと想う 宗玄もそうであったろうな…… 宗玄も悔いのない日々を送れたに違いない わしの命が在る限りは宗玄に変わって見届けようぞ!」 「………源右衛門……」 『海里、わしには源右衛門と言う無償の愛をくれた友がいる 友は宝だ! どんな財宝よりも友は尊い宝だ だから友を持て海里』 それは祖父宗玄の口癖だった 戸浪は今なら……その言葉に意味が解る 宗玄を偲び友が集まる…… 羨ましい想いで一杯だった 康太は源右衛門を促して飛鳥井の家へと向かった 飛鳥井の家に帰ると榊原が迎えに出てくれた 源右衛門は自室に友と行き 戸浪は帰って行った 榊原は康太を抱き上げた 「伊織、何時帰ったんだ?」 「康太が家を出て直ぐの頃です」 榊原はまだスーツを着たままだった 「待ってたのか?」 「ええ。君の顔を見なきゃ……落ち着きません」 康太は榊原に腕を伸ばした 榊原は康太を抱き上げた 「オレはもう飯食ったかんな」 「聞きました! 着替えたら食べて来ます 君は僕の横でプリンでも食べてなさい」 「おう!そうする」 榊原は康太を抱き上げたまま寝室に向かった 寝室のドアを開けると康太をベッドに座らせてスーツを脱いだ 「康太、明日は午前中は仕事をして来ます 午後からは一緒に弥勒の所へ行きましょう」 「ん。伊織と一緒に行けるのは嬉しい」 康太は嬉しそうに笑った 「今日は疲れましたね…」 「……ん、もう寝てぇな…」 「今宵は大人しく寝ましょうか」 「ん……多分犯っても意識を早くなくす…」 「僕も疲れました でも君は抱けますよ?」 榊原はそう言い笑った 「伊織、愛してるかんな…」 「僕も愛してます、奥さん」 榊原は康太を強く抱き締めた 自然と合わさる唇が康太の口腔を犯してゆく 「……んっ……伊織…飯…」 「解ってます…… 君に触るとつい……止まりません」 榊原は康太を離すと、一緒にキッチンに向かった そして夕飯を食べ始める 康太は榊原の横でプリンを食べていた そこへ瑛太が仕事から帰って来た 「康太……体調悪いのですか?」 榊原の横でプリンだけ食べてる姿に瑛太は心配した 「瑛兄、オレは若旦那と一緒に先に食ったんだよ 伊織はさっき帰って来たばかりだからな今なんだよ」 「そうなんですか……ちゃんと食べましたか?」 「少し食った……疲れたかんな 食欲もなくなった……」 「なら早く休みなさい」 「そうする……」 目をこする康太は本当に眠そうだった 榊原が食事を終えると、康太は榊原と共に3階に上がり寝室に戻った そして眠りについた

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