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第31話 適材適所

「……ぁん……伊織……ゆるして……」 「……ぅ……食いちぎる気ですか? 緩めて下さい……康太……愛してます」 「……無理……伊織……イカせてぇ……ぁぁ…」 榊原は康太のイイ部分を擦り上げた すると康太の亀頭から精液が飛び散った 「……あぁぁ………んっ……」 康太の身躯が弛緩した すると更に奥に榊原の肉棒は潜り込んだ 激しい抽挿に榊原の陰嚢がお尻に当たる パンッ…パンッ…と激しい音と共に…… ぬちゃ……ぐちゅ……… と言う湿った音が部屋に響き渡っていた 康太は背後から榊原に挿入されて、シーツを掴んで喘いでいた もう何度目の挿入か……解らなかった 榊原は康太の脚を抱えると膝の上に乗せた 子供が後背位から足を抱えられ………排尿させられるポーズは……恥ずかしさもある だって………自分の勃起した性器を見なくちゃならないから…… 榊原に背後から犯され激しく抽挿されるとはち切れそうになる性器…… 亀頭の口は開ききって……愛液は流れっぱなしだ 「君の……イキっぱなしですね」 榊原が耳を舐めながら囁いた それさえも刺激に変換され康太は仰け反った 仰け反る康太の唇に…… 執拗な接吻で塞ぎ、腰を揺する 喘ぎが榊原の口の中に呑み込まれていく…… 「ほら、触らずにイク自分を見てなさい」 榊原に言われて、自分の性器を見させられた 榊原の肉棒が康太のイイ所を擦り上げると…… 康太は精液を放った…… 擦らなくても……イッてしまえる自分を見せ付ける 榊原の性器させあれば逐情してしまえた…… それを改めて思い知らさせれた 「伊織……イッちゃった……」 「僕もイッたので大丈夫です 解りませんか?……」 康太の中の榊原はドクッドクッと脈打って熱い飛沫を噴き上げていた 「………解る………伊織の……熱い……」 「君だから熱くなるんですよ 君にしか勃起しません」 「……伊織……愛してる…」 「僕も愛してます」 榊原の唇が下りてきて、執拗な接吻が送られて…… 行為は再開される 一旦、康太の中から抜いて、今度は康太を上に乗せて…… 榊原は康太を食べ尽くす…… 康太は榊原の齎す快感に…… 身も心も溺れて縋り付いた 「……あぁん……またクルっ……ゃあっ……」 「何度でも感じて下さい 僕で感じてイッて下さい」 榊原はそう言い乳首に執拗に貪り着いた 吸って赤く尖らせた乳首を摘まんで……引っ張った 「……ゃ……伊織……乳首はいや……」 「何でですか? こんなに美味しそうなのに?」 「服着てても感じちゃう……あぁっ……んっ…」 「僕だけの康太です 僕だけの愛すべき康太を総て舐め尽くしたいのです」 榊原はそう言い乳首をペロンっと舐めた 「……あぁん……ぁん…あぁんっ……」 榊原の齎す快感に翻弄され……訳が解らなくなる 康太は榊原に縋り付いて…… その熱に浸った…… 榊原の欲望の続く限り、求められ与えた 榊原の自分でいたいから…… 榊原に愛される自分でいたいから…… そして意識を手放した…… 榊原の齎す快感に……意識を奪われ…… 気絶した 力の抜けた康太を寝かせて、榊原は欲望が尽きるまで腰を揺すった そして一滴残らず康太の中に吐き出すと…… 榊原は康太の中から性器を抜いた 康太に口吻……舌が這ってゆく 康太の乳首に吸い付き 思う存分吸って摘まんだ そして赤い跡を残し……全身を吸い上げた 自分だけの証 自分だけの康太に着ける愛の証 足の指の1本1本まで舐めて、康太の全身き愛撫を残す そして康太を抱き締めて、精液を掻き出した 連日……康太を貪って、榊原は止まらなかった 康太は怠そうに……涙目で榊原を睨むけど…… それさえ榊原の劣情を刺激した 「そんな目で男を見るんじゃありません…」 榊原は何時もそう言うのに…… 康太は懲りない 自分を知らないから何時も無意識に榊原を誘惑する 止まれない原因の一因は……康太にあるのだけど…… それさえ康太は知らなかった 天界に行く日も近くなって来た あと少しで康太は禊ぎに入る そしたら総ての穢れを払拭して…… 穢れなき存在になる それまでは榊原の康太なのだから……… と、眠いと言う康太を触って、強引に行為に雪崩れ込んでいた あと少し……… あと少しだけ……… 僕の康太を確認させて 僕だけの愛する存在 僕だけの愛する……炎帝 愛してます…… 愛してます炎帝…… 幾度、生まれ変わろうとも…… 僕は君しか愛せません 君が僕の愛なんです 君こそが僕の愛の総てなんです 愛しています 僕の大切な人 君が逝く時、僕も逝きます 何時までも共に…… 康太が意識を取り戻した時…… 榊原に抱き締められ湯船に浸かっていた 「……伊織…」 「気が付きましたか?」 「………オレ…また気絶した?」 康太は悲しい顔をした 榊原に着いてゆけず気絶する自分を許せないみたいに康太は気にする 「君を離せませんからね…… 気絶させる前に離せれば良いのですが…」 「………離さないで……」 康太は榊原に抱き着いた 「離しませんよ!絶対にね! 君は僕の総てなんですから!」 「オレの総べても伊織だけだ! 伊織を亡くせばオレは生きてはいねぇ…」 「痛い…ですか?」 「痛くねぇよ…舐めてくれたから…」 康太は恥ずかしそうに顔を赤らめた 幾ら行為には慣れても、康太はそう言う事を言うのは恥ずかしいみたいだった 「君を傷付けたくないんです でも君を手にすると……暴走します」 康太は榊原の首に腕を回し、軽く口吻た 「伊織はオレを傷付けたりしねぇよ 何時もオレを舐めて解してくれるじゃねぇかよ」 「君を愛してるからです」 「オレも伊織を愛してるから、一つに繋がりてぇんだよ 伊織と一つに繋がり溶け合いたい……」 「康太、今日は立てないなら座ってポンポン頼みますね でも辛いなら寝てても良いですよ」 「伊織の傍でポンポンする」 「もうじき大学も始まりますね 次は落第は……嫌ですからね……」 「………伊織を落第させて申し訳ねぇと想ってる 本当なら伊織は落第なんてならなかったのに…」 「僕だけ進級なんて嫌です! もし僕だけ進級しても通いません! 康太が来るのを待っていますよ?」 「伊織……もう愛せねぇ程に愛してるのに…… 次の瞬間……もっと伊織を愛してるんだ…」 「………僕も一緒ですよ 愛が募りすぎて暴走します…」 康太と榊原は額をくっつけ笑った 「逆上せてしまいますね 出ましょうか?」 「だな」 榊原は浴室から出ると康太を拭いて支度をした 康太が終わると榊原は自分の支度をした そして何時もの様に康太をリビングのソファーに座らせてる間に、洗濯と掃除を始める 康太は怠そうに寝ていた 榊原はヒーターを付けて毛布を被せると 1階から掃除を始めた 康太がウトウト寝ていると…… ドカッと座った人がいた 康太は見上げて見た 「………貴史……どうしたんだよ?」 「今、下で伊織に通して貰った」 「違くって!あんでこんなに早く来てるんだよ?」 「そりゃぁお前、用が有るからだろう?」 「あんの、用だよ?」 「魔界のずっこがバレてさ…… 閻魔に絞られて来たんだよ! で、今、無罪放免になって来た訳なんだよ 閻魔の野郎!俺に仕事させやがったんだぜ!」 康太は驚愕の瞳で兵藤を見た 「……今まで魔界だったのか?」 「そう……閻魔に捕まっていた…」 「あにしてたんだよ?」 「崑崙山に黒龍の子供を迎えに行かされたり 八雷神の世話をしたり、子閻魔に悪戯されたて怒ったり……忙しかった……」 「………貴史……それだけで留めねぇだろ?」 「解ったか!」 「ちょっくら子供を作って来たんだよ」 「…………子供を?」 「睡蓮と言う女神と、子供を作れど八仙が言うからな、三通夜契ってセックスして来た! その女神が後の朱雀を産むらしいからな、犯って来た」 康太は嫌な顔をした 愛もないのに……セックスする行為が康太は嫌だった 黒龍にそれをさせた……だけでも……自分を許せないのに…… 「………大丈夫か?」 兵藤は言葉をなくした康太に声をかけた そこへ榊原が戻って来た 「康太、ご飯を食べに………何かありましたか?」 康太の異変に気付いた榊原が問い掛けた 康太は榊原に腕を伸ばした 榊原は康太を抱き上げると、康太は榊原の首に腕を巻き付け……肩に顔を埋めた 兵藤は康太に話した事を榊原に話した 榊原も驚愕の瞳で兵藤を見た 「…………貴史……」 「伊織、俺は常に愛のねぇセックスはしてる 美緒は俺に会員制の、そう言う場所を提供してくれた その日から愛のねぇセックスで抜くのは……慣れてる だから気にする必要なんてねぇんだよ」 「………それは心が……痛いでしょ?」 「……それでもなしねぇとならねぇなら……するさ」 「……貴史、黒龍の子供はどうでした?」 この前八仙の所へ行ったけど、黒龍の子は見ていなかった…… 「黒龍、地龍、青龍のコピーだな…… 四神の龍ってのは同じ容姿になるのか?」 兵藤が言うと康太が 「オレの青龍に似たのなんていねぇよ!」 と怒った 「………いるだろ?虹龍なんてソックリだぜ?」 「……似てねぇもん 俺の青龍が一番男前だもんよー!」 「………そう言う事にしておいてやる!」 兵藤の台詞に康太は唇を尖らせた 兵藤は康太の唇を摘まみ笑った 「貴史、ご飯を食べて行きますか?」 「嫌…帰るわ! 美緒が怒ってるからな…」 「また遊びに来いよ ………と、言いたいけどな 明日にはオレはいねぇからな!」 「………何処か行くのか?」 「天界に行く…」 兵藤は息を飲んだ 「朱雀の子が必要なのは四神を欠けないからだ… 玄武と白虎にはもう子供がいる 青龍を継ぐ者も現れた……が、朱雀だけいねぇからな……」 「……なる程……それでか……」 「遅れて生まれたら……バランスが狂う 八仙が見立てて軌道に乗せる為だろうな…」 「継ぐにしても5000年は掛かるもんな…」 「………5000年も生きていられれば…… だけどな……」 「んな事を言うな! なら俺は帰るからな!」 そう言い兵藤は帰って行った 榊原は兵藤を見送り、康太を抱き上げたまま1階まで下りて行った キッチンに行くと、康太を何時もの席に座らせて朝食の準備をする 康太の前に薄切りの沢庵と味噌汁とご飯とサラダを置くと 榊原はクロワッサンと珈琲とサラダを自分の前に置いた キッチンに康太の沢庵の音が響き渡っていた   ポリポリ、何時もの音が響くと、それだけで安心出来た 瑛太が起きて来て、康太の頬にキスを落とした 「………怠そうですね……君は…」 瑛太は苦笑した 「………愛され疲れだ瑛兄…」 「夫婦仲良くて兄は安心です」 瑛太は笑って食事を始めた 聡一郎と悠太がやって来て…… 「……話があります聞いて下さい」と伝えた 「おう!飯食ったらな!」 聡一郎と悠太は頷いて席に着いた 源右衛門が鎌倉から帰って来て、食卓に着いた 「じぃちゃん、体調はどうよ?」 「悪くはない!子守も忙しい…」 和希と和馬、北斗は源右衛門と一緒にいた 入学式に源右衛門も出席する予定だった 「入学式があるかんな!」 「そう!入学式の服を真矢と清四郎と一緒に買いに行く! 似合うのを買ってやらねばな!」 「無理すんなよ!じぃちゃん」 「解っておる!でも孫の成長は楽しみだわい」 源右衛門はそう言い笑った 玲香と清隆、京香はそれを見守り微笑んでいた 食事を終えると、康太はリビングに向かった 悠太と聡一郎は榊原に促されてリビングへと向かった 康太はソファーに座ると二人に問い掛けた 「答えを聞かせろ!」 康太が言うと聡一郎が 「永遠を引き取るつもりです! 悠太と一緒に育てて行きます!」 と康太に告げた 悠太も「聡一郎と共に我が子を育てる事にします」と康太に告げた 「そっか!ならもう二度と違える事は許さねぇかんな!」 「「解っております」」 悠太と聡一郎は共に答えた 「なら、二人で永遠を迎えに行け! んで、育てろ! オレ等は会社に行くかんな! んで、早めに帰ってオレは御祓を迎える そしたら暫しのお別れだ……」 聡一郎は立ち上がると康太に深々と頭を下げた 「無事帰還される事をお祈り致しております」 康太は頷いた 「伊織、支度して行くかんな!」 康太が言うと 「では、迎えに行きなさい 僕達は会社に行って来ます」 聡一郎と悠太はリビングを出て行った 「伊織、オレ、自分の車で会社に行くわ」 「何でですか?」 「若旦那に逢って話して、勝也と会食して、相賀に逢って須賀にも礼を言って、正義にも繁雄にも逢って来るわ…」 「解りました! 終わったら還って来て下さいね 君が戻るまで僕は会社から帰りません」 「おう!大丈夫だ! オレは必ずおめぇの所に還るかんな!」 康太は榊原に抱き着いた 榊原は康太の顎を上げて……口吻を落とした キュッと強く抱き締めると 康太にスーツを着せて、自分もスーツを着た そして二人で仲良く地下駐車場へと向かい それぞれの車に乗り込んだ そしてスロープを上がり道路に出ると、左右に別れて……走って行った まずは須賀の所へ向かい、マンションの近くの路肩に車を停めると電話を入れた 「朝早くすまん」 『君なら夜中でも構いませんよ』 「お茶でもしねぇか?」 『何処へ行ったら逢えます?』 「おめぇのマンションの下のカフェ」 『では下りて行きます』 「少し待たせるぞ」 『待つのは慣れております』 須賀はそう言い電話を切った 康太は須賀のマンションの下のカフェに到着すると、車を駐車場に停めた そしてカフェに入って行くと須賀が笑って片手を上げた 康太は須賀の前の席に座ると、須賀がミルクティーとサンドイッチを頼んだ 「康太からのお誘い、嬉しかったです」 「暫く、帰れねぇ所へ行くかんな その前にお前達全員に逢っとこうと想ってな」 「…………還って来るんですよね?」 須賀は不安そうに……表情を翳らせた 「還るに決まってるじゃんか! 何日も留守にすると心配するからな、事前に留守にするとの報告に来たんだよ 絶対に還って来るからな、そしたらまた逢いに来ると約束する!」 須賀は康太の手を掴むと強く握り締めた 「待ってます!絶対に逢いに来て下さいね!」 「約束する!」 「………ええ……私を生かしてるのは飛鳥井康太… 君なんですからね! 君を失って生きていけません!」 「………直人、何時か結婚して幸せな家庭を築け…」 「………今はタレントを育てるのに必死です 事務所を大きくしたら、康太に跡継ぎを探して来て貰います!」 「………直人……おめぇの幸せしか望んでねぇよ…」 「日々、生きて、人材を育てて送り出す その楽しさがやっと解って来ました 私は日々幸せですよ? 君の仲間達と飲みに出る日もあるし……幸せです」 「直人はこれから忙しいのか?」 「いえ、そんなに忙しくはないです」 「なら相賀の所に一緒に行くか?」 「良いんですか?」 「たまには二人で押しかけようぜ!」 「良いですね!」 須賀と康太は立ち上がった そしてカフェを出て駐車場へと向かう 康太は助手席のドアを開けた 須賀が乗り込むと、康太はドアを閉めて運転席に乗り込んだ 胸ポケットから携帯を取り出すと 「相賀、オレだけど」と電話した 『康太!どうなさったのですか?』 「これから暇?」 『君に逢えるなら私は365日暇になりますとも!』 「ならこれから逢えねぇか?」 『良いですね!何処へ行けば良いですか?』 「これからお前の事務所の近くに行くから、お前の事務所の横のレストランでどうだ?」 『料亭でも構いませんよ?』 「んなに時間がねぇんだよ また少しの間、逢えねぇか所に行くからな その前に皆に挨拶しに回ってんだよ」 『………解りました!レストランでお待ちしてます!』 相賀が電話を切ると康太も胸ポケットに携帯をしまった そしてエンジンをかけて走り出した 「永遠の別れみたいですが…還ってらっしゃるのですよね?」 須賀が康太に問い掛けた 「あたりめぇじゃねぇかよ! 暫くいなくなると心配するかんな! みんなによく言っておくだけだ! 今夜家族にも話すけどな、その前に皆に話をしとこうと想ってな! 今夜には御祓に入る……そしたら暫く逢うのは無理だかんな…」 「お気を付けて…… 必ず還って来て下さいね!」 「あたりめぇだろ? 還ったら連絡するな!」 「……待ってますね」 相賀の事務所の横のレストランの駐車場に車を停めると、康太は須賀と共にレストランの中へと入って行った レストランの中に入り、辺りを見渡すと相賀が既に康太達を待っていた 「康太!こちらです!」 相賀が立ち上がり手招きする 康太は案内しようとしていたウェイターを断り、相賀の席へと向かった 「相賀、呼び寄せて悪かったな」 康太が言うと相賀は笑顔で 「どうなさったのですか? 二人で揃って……だなんて!」 「暫く留守にするかんな、皆の心配を減らそうと想ってな 連絡を取ろうにも、電波のねぇ世界に逝くかんな‥‥だから還る約束も兼ねてだ! 須賀にも逢って話してたんだよ で、相賀と逢うけど、と話したら一緒に来たんだよ」 「そうですか!珍しいですね」 須賀はニコニコして康太の横にいた 康太と須賀と相賀は楽しくお茶を飲み話をした 相賀は「この後はどうなさいます?」と尋ねた 「まだ逢いに行く奴は多いな…」 「ならば、須賀は私が送って行こう」 「良いのかよ?」 「構いません! 丁度須賀の事務所とのコラボもあります その話もせねばなりませんでした」 「ならオレは先に行くかんな!」 「還られましたら、逢って下さい!」 相賀も康太に訴えた 「還って来たら飛鳥井で宴会でも開くか? そしてら飲み明かそうぜ!」 康太はそう言い笑った 「楽しみにしてます」 須賀はそう言い康太を抱き締めた 「ならな、またな!」 康太は片手を上げて歩き出した レストランの外に行き、車に乗り込んだ そして携帯を取り出すと電話を掛けた 「伊織、須賀と相賀が終わった」 『……まだ長い道のりですね……』 「また電話するかんな!」 『待ってます』 榊原への電話を切ると、戸浪へ電話を入れた 「若旦那、話する時間はおありか?」 『………万里の1件で仕事を停滞させました…… 少しなら話せますが……出掛けるのは無理です』 「なら若旦那とは還ったら逢うしかねぇな……」 康太が呟くと戸浪は 『何処かへ行かれるのですか?』と問い掛けた 「電波の届かねぇ場所に逝かねぇとならねぇんだよ…… そこに逝くと少しの間は還っては来られねぇかんな 連絡もなく留守にすると皆が不安がるから、挨拶して回ってるんだよ」 『………時間を作ります!』 「無理しなくても良い またな、若旦那!」 『……絶対に還って来て下さいね!』 「おう!絶対に還ってくるかんな!」 『………時間を作れない自分がもどかしいです…』 「若旦那、明日には電話も通じない…… それだけ了承しておいてくれ……」 『……解りました、ご無事で……』 戸浪と電話を切ると、安曇に電話を入れた 案の定国会で……秘書に事情を伝えて伝言させた 三木も堂島も国会中で電話には出られなかった 康太は二人にも伝言を残した そして蔵持善之介に連絡を入れた 蔵持善之介は海外に出張中で、新しい執事に伝言を伝えた 脇田誠一や神楽四季も何故か‥‥留守電で、康太は留守電に伝言を残した 康太は想ったよりも早く、飛鳥井建設に出向く事になった 地下駐車場に車を停め、エレベーターで上がって行く そしてエレベーターを下りると社長室のドアをノックした ドアを開けた瑛太が驚いた顔をしていた 「………康太……どうしました?」 「少しな話があんだよ」 「入って下さい!」 瑛太は人払いして康太を部屋に招き入れた 「明日の朝には、オレと伊織は少しの間いなくなる それを瑛兄に言っとかねぇとな……」 「……何処へ行くのですか?」 「人の世じゃねぇ世界……」 「………そうですか……」 「明日を歪める訳には行かねぇかんな…… 行って来ねぇとならねぇんだ……」 「伊織も………ですか?」 「そう……他の奴が騒がねぇ様に頼むな」 「……解りました……」 「それだけだ……」 瑛太は康太を強く抱き締めた 康太の肩に顔を埋めた………抱いた腕が震えていた 「……必ず……還って来て下さい……」 「ありめぇじゃねぇかよ!」 「…………兄は……お前を失ったら生きてはいません…」 「死なねぇかんな!大丈夫だ! オレには我が子がいる、死んだりするかよ!」 瑛太は康太を話すと姿勢を正した 「無事帰還される事を……祈っております…」 「おう!ぜってぇに還るかんな! 瑛兄、待っててくれ!」 「待っております!」 「ならな、瑛兄」 瑛太は深々と頭を下げた 康太は社長室を出ると、副社長室へと向かった ドアをノックすると、榊原がドアを開けた 「………康太……早かったですね……」 「何故か……掴まらねぇのな…」 「………え?………誰も?」 「須賀と相賀は掴まった 繁雄と勝也と正義と善之介は掴まらねぇ… 誠一と四季も留守電だった」 「……国会中……でしたよね?」 「そう。善之介は海外に出張中だ」 「凄いタイミングですね……」 「だろ?……」 「今宵……迎えが来るんですよね?」 「…………本当に迎えか解らねぇけどな……」 康太は唇の端を吊り上げて皮肉に嗤った 「君には僕がいます…」 榊原は康太を強く抱きしめた

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