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第34話 帰還
榊原はソファーでくたーっとなってる康太に問い掛けた
「康太、着替えますか?」
正装の燕尾服のままだった
「だな………弥勒と夏生、ジャージーでいいなら着替えは有るぞ」
「ならジャージーを貸してくれ」
弥勒はそう言った
夏生も「着替えたいです」と言いジャージーを貸してもらった
弥勒もジャージーに着替えて……
康太と榊原も私服に着替えた
「伊織……腹減った…」
「何かありますかね?」
「………どーだろ?」
「なければ食べに行きますか?」
「おう!そうする!」
康太がリビングのドアを開けようとしたら、向こう側からドアが引かれた
「うわぁ~」
康太が叫ぶと榊原が康太に近寄った
ドアを開けたのは慎一だった
榊原は康太を引き寄せて抱き締めた
「康太!!」
慎一は康太に抱き着いた
「慎一、退院して来て良いのかよ?」
「あなた……何処に行っていたんですか?」
「天界、行くって言ってたやんか?」
「………突然いなくならないで下さい……」
慎一は泣いていた
「慎一 オレ、飯食ってねぇんだわ」
「………え?全然?」
「そう…天界では殺されかかるし……毒盛られるし…
食える訳ねぇよな……飯食ったら死ぬんだもんな」
「直ぐに用意します!」
慎一は慌ててキッチンに向かった
榊原は康太を抱き上げると1階まで下りた
「伊織……疲れてるだろ?下ろせよ」
「空腹の君が心配なので、気にしなくて良いです」
「血……流れたよな?」
「ええ、あれはキツかったです」
「だから良い……下ろせ伊織」
「もう1階です!
キッチンまで待ちなさい」
「疲れてるなら無理すんなよ…」
「大丈夫です」
榊原は康太の唇に口吻を落とした
キッチンに向かい、何時もの椅子に康太を座らせる
「今何時よ?」
康太が聞くと慎一が「………深夜の2時です」と答えた
「慎一、あんでリビングに来たんだよ」
「僕は何時も何度もリビングを覗きます
あなたが還って来たか確認してました」
「身躯は?」
「もう久遠先生に退院して良いと言われました
それよりも康太、一度病院に来いと先生が仰ってました」
「近いうちに行く事にする」
康太は出された食事をガツガツ食べていた
榊原も、弥勒も夏生も黙々と食事をした
かなり皆餓えていた
「食ったら……アウトな食事はもう勘弁してぇな‥‥
めちゃくそキツかったな……アレは」
と言いガツガツ食べる
慎一は「よく咀嚼しなさい…」と言いたいけど言えなかった
本当に食べてないのが解るから
キッチンに電気がついているのを見ると、聡一郎がキッチンに入って来た
キッチンに康太を見つけると
康太に抱き着き……聡一郎は泣いていた
一生も下に下りてキッチンを見て、上に上がりリビングを確認する日々だった
それが……真夜中だと言うのにキッチンに電気が点っていた!
一生は駆け寄りキッチンのドアを開けた
「康太!」
一生も康太に抱き着いた
「飯食わせろよ!」
康太は唸った
慎一は御飯のおかわりをしてやり、味噌汁もおかわりしたりと甲斐甲斐しく世話を焼いていた
康太や榊原、弥勒と夏生を見れば……
かなり過酷な日々なのが伺えれた
窶れて……疲れ切った顔をしていたから……
一生は「金龍に呼び出されて魔界に行っていた…」と伝えた
榊原は「……え?金龍に?」と呟いた
「お前も見届けなさいと……平和締結調印式を見に行った……」
物凄く………遠い存在に想えた
正装に身を包み、閻魔の左右に立つ姿は………
一生の知っている………康太や榊原ではなかった……
身分でいけば炎帝は魔界最高位第一位の閻魔の弟
気安く近付ける存在などではなかったのだと……
改めて思い知らされた
今世でも康太は飛鳥井建設の社長の息子
そんなに気安く近付ける存在ではない
近くにいられる奇跡を……噛み締めていた
「青龍を傷付けやがったからな………
【 無 】にしてやろうかと想ったぜ…」
康太は悔しそうに呟いた
一生は榊原を見た
榊原は「康太を庇って額を切りました…」と説明した
「天界に行って幽閉されるわ
青龍は傷付けられるわ
食事に毒は盛られるわ……
気が休まらなかったな……」
康太はボヤいた
一生も聡一郎も言葉がなかった
康太が食事を終えると、慎一は康太の前にプリンを置いた
「慎一!良いのかよ?」
「良いですよ!頑張ったご褒美です」
康太は嬉しそうにスプーンを貰って食べ始めた
「所で今日は何日よ?」
「3月31日です」
「うし!和希と和馬の入学式間に合ったな!」
康太は喜んだ
「康太、僕は入学式を終えてから会社に行きます
君はどうしますか?」
「オレも伊織と共に行く」
「そうですか!なら手伝って下さいね」
「おう!頑張るかんな!
それより誰か弥勒を送ってくれねぇか?」
康太が言うと一生が立ち上がった
「俺が送って行くわ!
弥勒、甘露酒の差し入れ持って還ってくれ」
一生はそう言い贈答用のお酒の箱を弥勒に渡した
弥勒は「これは?」と一生に問い掛けた
「弥勒に届ける甘露酒だってばよぉ!
今回、康太と一緒に行動を共にして貰ったからな
厳正が弥勒の家に行ってるんだよ
で、厳正と共に飲む為に甘露酒を用意した」
その説明でやっと弥勒は納得した
食事を終えると弥勒は康太を抱き締めた
「何かあったら直ぐに呼んでくれ…」
「おう!その時は頼むな」
康太はそう言い弥勒にキスした
軽く唇が触れるだけのキスを弥勒に贈った
弥勒は立ち上がると榊原に深々と頭を下げた
「伴侶殿、何かあればお呼び下され」
榊原は微笑んで
「その時は頼みます」
と弥勒を抱き締め送り出した
弥勒を一生が送って行く為に出て行った
食事を終えると康太は
「入学式まで部屋で休むわ」と言い榊原と共に寝室へ向かった
寝室へ行き服を脱ぎ、ベッドに入ると……
康太は榊原に深い接吻を贈った
「青龍……オレの青龍………」
榊原の頭を掻き抱き……康太は榊原の唇を貪った
「康太……疲れてないんですか?」
「疲れてるけど……
お前を確かめねぇと不安で死んじまう
オレの青龍を傷付けやがって……」
康太は榊原の唇をペロペロ舐めながら……
悔しそうにそう言った
「………康太…」
榊原は康太を抱き締めた
「動くな!伊織…」
「え……僕は動いてはダメなんですか?」
「青龍を味わいてぇんだ
伊織が無事なのを……確かめてぇんだ」
康太はそう言い榊原の胸を舐めた
「………ぁ……康太……」
ビクンッと下腹部に力が入った
ビクビク震えて…榊原は勃起した股間を感じていた
疲れているのに………
現金に……榊原の性器は歓喜して震えていた
康太の舌が榊原の割れた腹筋を味わい……
腰の括れを執拗に舐めた
「……あぁ……康太……そんなには持ちません……」
榊原が言うと康太はやっと、榊原の性器に触れた
亀頭をペロッと舐めると……
独特の味が口に広がった
亀頭の口は開きっぱなしで……精液を溢れさせていた
それをペロペロと掬い取る様に舐めて、榊原を味わった
手は肉棒を扱き、亀頭を舐められ………
榊原は追い詰められて行った
「康太……出ます……離して…」
榊原が言うと康太は口の奥深くに咥えた
榊原の熱い飛沫が……
激しく康太の咽に打ち付けやれて……康太はむせた
「康太……無茶しなくても僕は消えません」
榊原は康太を押し倒した
「………伊織……なくしたら……オレは生きていけねぇ…」
「なくしません……僕は君と共にいます」
榊原はそう言い康太に接吻した
激しい接吻に意識は朦朧として来る
榊原は康太の脚を抱えると、押し開いた
双丘の奥深くにピクピクと蠢くお尻の穴に口吻けて濡らした
指を挿し込むと康太は仰け反った
「……はぁ……んっ……伊織……気持ちイイっ……」
「君の中凄い事になってます
僕に搦み着いて離しません…」
「欲しい……ねぇ……まだ?……まだダメ?」
「君を傷付けたくないんですよ?」
「ならイクっ……」
康太は亀頭の口を開いて射精しようとした
榊原は根元を締め付け……射精の邪魔をした
「ローションを使います
少し待ってて……ねぇ康太……一緒にイキたいんです」
康太は頷いた
「康太、ローションを垂らすまで握り締めてて…」
康太は自分の性器の根元を握りしめた
榊原は自分の性器にローションを垂らし濡らすと、康太のお尻の穴にもローションを垂らした
「ひゃっ……冷てぇ……」
「直ぐに暑くなるから我慢して……」
榊原は……ぬちゃぬちゃ……音を立てて康太の秘孔を掻き回した
解れて濡れて滑らかになると、榊原は康太の脚を抱えて挿入した
開ききったエラを埋め込み……康太に執拗な接吻をした
接吻で朦朧となる康太の身躯の力が抜けると……
奥まで挿入した
開ききった傘が康太の前立腺を掻き回しながら抜き差しする
「……あぁん……ぁん……あぁっ……イイ……」
「君の……良い場所でしょ?」
榊原は張り詰めた部分を執拗に擦った
「……あっ……ゃ……そこ……ゃあ……あぁん…」
「イイでしよ?
ココを擦ると君の中凄い事になってます」
「伊織……伊織………イキたい…」
「イイですよイッても………
僕もイキます……一緒に………っ……」
榊原は康太の奥深くに熱い飛沫が掛かった
康太はその熱さに身を震わせ……射精した
ドロッと濃い塊が……榊原の腹に飛び散り……
榊原はそれを手に取り舐めた
「康太………見て…」
康太が榊原を見ると………
ネバッ………と糸引く精液を手にして舐めていた
「濃いですね
これなんてゲル状ですよ?」
「……いゃ……舐めないで……」
「なら君が舐めますか?」
康太は首をふった
「伊織のしか要らない……」
「天界で、正装に着せ替える時……
君を押し倒したくなりました
…………君を遠く感じました………
こんなに側にいるのに……正装をした君は……
物凄く遠い存在に想えました……」
「オレの総てはお前のものだ
お前を亡くしては生きてはいけねぇ…」
康太はそう言い榊原の頭を抱えて執拗な接吻をした
中の榊原がグンッと硬く大きくなる
「……ぁ……太い……熱い伊織……」
「君を愛してるから……止まらないんです」
榊原はそう言い……行為を再開した
康太のイイ処を擦りあげ責めていく
幾度も……幾度も………
榊原は康太の中に熱い飛沫を飛び散らした
途中で康太が気絶すると、俯せて挿入した
腰を抱えて腰を振ると……
陰嚢が双丘にぶつかる音が響いた
ぬちゃ……ぐちゅ……
その音に混じってパンパンっと打ち付ける音が部屋に響く
榊原は康太の背中に紅い花を散らしながら、腰を使った
「……ぁ……康太……康太……愛してます…」
呪文の様に愛の言葉を贈る
誰が来ようとも……
止まれない行為は……朝陽が上っても続いた
黒龍は弟、青龍の所に正装の服を取りにやって来た
運の悪い事に………
行為の最中の寝室に………姿を現し……後悔した
康太が別の生き物になり青龍を求めていた
青龍は我を忘れて炎帝を求めて愛の言葉を囁いていた
赤く艶めく炎帝は……かなり危険な生き物だった
黒龍は股間に衝撃を受けて……寝室を出て行った
榊原は兄 黒龍が来たのは知っていた
だが……止まれない行為に……どうする事も出来なかった
榊原は康太の中から抜ぬき精液を掻き出すと、ブランケットを着せた
榊原はバスローブを羽織ると……
リビングに出て行った
「兄さん…悪かったです…」
榊原が声を掛けると黒龍は立ち上がった
「まさか最中とは想ってなかったわ……」
「………止まれませんでしたから……
炎帝を手にしたら……僕は止まれません」
「炎帝を幸せにしてやってくれ……」
「はい!……服ですね
今持って来ます」
榊原は寝室に向かい自分と炎帝の分の正装を袋に詰めて、リビングに戻った
「兄さん、確かめて下さい」
黒龍は受け取った正装をチェックした
寝室のドアがバターンと音を立てて開くと………
康太が裸で掛けてきた
「………伊織……」
泣いて駆けて来る姿は……可愛かった
榊原は康太を抱き締めた
「兄さん、服を着替えて来ます
勝手に帰らないで下さいね
康太が……悲しみますからね」
榊原はそう言い康太を抱き上げた
「黒龍?」
康太は榊原に問い掛けた
「ええ。正装を取りに来て下さったのです」
「黒龍!悪かったな!」
康太は全裸なのも構わず黒龍の所へ行こうとして……
榊原が捕まえた
「康太……君の可愛いのが丸見えですよ?」
言われて………真っ赤な顔をして榊原に縋り付いた
榊原は寝室に戻ると、康太と共に浴室に入り綺麗に洗った
精液の残った中も、外も綺麗に洗って着替えてリビングに向かった
榊原はシーツを剥がすと、掃除に掛かった
「黒龍、悪かったな…」
「嫌……こっちこそ悪かった
まさかな最中とは想わなかったからな…」
康太は真っ赤な顔をした
「………見た?…」
「……見たくないけどな
青龍の本気、垣間見た感じだ……」
「気づかなかった……」
「………送り出した閻魔も金龍も見たと想う……」
「………嘘……」
「金龍が立派でした……と労いの言葉を言いたいと言ってました……
まさか……気絶しても離さない青龍を見ようとは……
思いもしなかったぜ……すげぇな……あの執着…」
「兄者も金龍も見たなんて……
もぉ、魔界には行けねぇ……
オレ、めちゃくそ長生きする事にしたからな!」
「気にするんじゃねぇよ!
誰もそんな事を気にしたりしねぇ
おめぇらは夫婦だからな……当たり前の事だから…
まさか……人の世の朝から犯ってるとは想わなかったからな……済まなかった…」
「黒龍……愛してるんだ青龍を……
青龍だけを愛してる……青龍しか見ぇねぇんだ…
なくしたら……オレは後を追う……生きていたくねぇんだ……」
黒龍は炎帝を抱き寄せて、頭をグリグリした
「おめぇらは夫婦だ!
魔界では知らねぇ者はいねぇ夫婦だ!
誰も青龍を盗らねぇよ
青龍は炎帝以外の奴なんて見ねぇよ!
だから自信を持って良いんだぜ!」
康太は頷いた
何時も通りに一生がリビングを覗いて……
黒龍の存在に……
「兄貴……どうしたよ?」と声を掛けた
「赤龍、調印式の時に着た正装を取りに来たんだよ……」
「朝から寝室に入ったのか?」
「………物凄く後悔した……」
行為を見てしまったと……暗に言ってるも同然だった
「この夫婦は常に新婚だからな……
気を抜くと目撃する事になんだぜ……」
黒龍は赤龍の言葉に唖然となった
「………お前……見たのか?」
「何度も………」
「………何度も?」
黒龍は信じられなかった……
「そして何度も2人に抱かれてる……」
「嘘………」
「…………そうして2人は俺を生かして来たんだよ」
赤龍の言葉に………
黒龍は過酷な想いを感じ取った
「兄貴、2人がイチャイチャしてくれてたらな……
俺等は安心出来るんだよ……
伊織を置いて出て行く時……康太は命を懸けてる
だからな、始めたとしても、俺等は何も言わねぇぜ!」
赤龍はそう言い笑った
「………気絶しても離さない青龍………見せられた…」
「青龍は炎帝しか欲しくねぇからな……
手にしたら止まらねぇんだよ……」
「俺等はそんな青龍は見た事ねぇからな……」
「………魔界に還れば、目にすると想うぜ……
誰がいようとも……始めるからなアレは……」
「………危険だわ……」
「青龍と言う男は、所有権を主張する為にわざと見せつける場合もある
見せ付けて不戦を張る……ケースも多々とある」
「……所有権の主張……すげぇ執着……」
「何処にいるのか常にメールしねぇと来るぜ…アレはよぉ……」
「…………本当に父上にそっくりで在られるか……」
「……そっくりで笑えるけどな」
一生は苦笑した
康太は眠そうだった
ソファーに丸くなり、ウトウト眠っていた
榊原がリビングに現れて、ソファーに眠る康太を抱き上げた
「奥さん、眠ったら入学式行けませんよ」
「愛してるかんな伊織」
「僕も愛してますよ!奥さん」
榊原は康太の唇に口吻を落とした
「一生、今日は入学式ですよ!」
「おう!解ってるぜ!」
「兄さん、食事してから還りますか?」
「嫌、魔界で閻魔と金龍が待っている
あ!コレ、金龍から預かっている」
黒龍はそう言い小瓶を渡した
「それはな、龍の元気の素だ!
後で飲んじゃえよ!」
と言い榊原に渡した
「1回で全部飲んで構わないんですか?」
「おう!人間界で言うユンケルみてぇなもんだ!」
「我が父に…ありがとうございますと礼を言っておいて下さい」
「おう!伝えとく!
ならな炎帝!幸せにしてもらえよ!」
黒龍は康太を抱き締めて笑った
康太は何度も頷いた
黒龍は片手をあげて、笑顔で魔界に還って行った
榊原はバツの悪い顔して……
「………まさか……最中に来られるとは想いもしませんでした……」
と愚痴った
一生は笑って「兄貴、ボヤいてたぜ!」と伝えた
「………やはり愚痴って行きましたか?
タイミングが悪すぎでした……」
「………想定外だったんだろ?」
そう言い一生は笑った
「………幾ら僕でも予測不可能です……
しかも寝室に黒龍が来るなんて予見は……出来ません…」
「だな!まぁ、お前等は夫婦だからな当たり前なんだから気にするな」
「はい……それより北斗の準備は出来ましたか?」
「おう!聡一郎に手伝って貰って頑張った」
「では安心ですね」
榊原は康太を抱き上げたまま、リビングを出て階段を下り始めた
1階のキッチンに行くと瑛太が驚いた顔して榊原を見ていた
康太は瑛太に「瑛兄、ただいま」と告げて、榊原から下りた
瑛太は立ち上がり、康太を抱き締めた
「お帰り!康太!」
そう言い瑛太は強く……強く……康太を抱き締めた
玲香が「お帰り康太!」と声を掛けると、康太は玲香に飛び付いた
「母ちゃん!ただいま!」
玲香は強く康太を抱き締めた
玲香ごと清隆が2人を抱き締めて「お帰り」と声を掛けた
「父ちゃん!ただいま!」
一頻り康太を抱き締めて、榊原を抱き締めた
康太は源右衛門に声を掛けた
「じぃちゃん、体調はどうよ?」
「悪くはない、今日は和希と和馬、そして北斗の入学式だからな、我も行く事にした」
源右衛門は北斗を膝に乗せて食事をしていた
「皆で行こうな!」
康太はそう言い席に着き、食事を始めた
「瑛兄や父ちゃん、母ちゃんは仕事だろ?」
康太が聞くと瑛太が
「いいえ、午前中は休んで入学式に出ます
父さんや母さんも同じです」
と微笑んで言った
玲香が「飛鳥井の孫の入学式だからの」と言い
清隆が「盛大に祝ってやりたいのです」と告げた
源右衛門が「どの子も飛鳥井の孫だからのぉ!」と締め括った
一生が「後で清四郎さんと真矢さんが来ます」と告げた
康太は「なら、何処かで会食してから仕事に戻るかよ?」と提案をだすと、家族は大賛成だった
食事を終えて、部屋に戻り礼服に袖を通す
康太を着替えさせて、榊原も着替えると、胸に花を着けた
支度が出来ると榊原は康太に手を差し出した
「行きますか?奥さん」
「おう!」
2人は手を繋ぎ、階下に下りて行くと、皆準備を済ませて応接室にいた
清四郎と真矢も来ていた
清四郎と真矢は康太の顔を見ると側に寄り抱き締めた
「康太…逢いたかったです…」
「清四郎さん…済まなかった…」
康太が謝ると真矢が笑って
「寂しかったのよ……この人は」と言い、康太を撫でた
一生がスーツを着て北斗を連れて階下に下りてきた
慎一もスーツを着て和希と和馬を連れて階下に下りてきた
「行くか?」
康太が声を掛けると一斉に立ち上がった
聡一郎も隼人もスーツを着ていて、康太は
「聡一郎も隼人も行くのかよ?」声を掛けた
隼人は「当たり前だ!オレ様は家族の祝い事を優先するのだ」と康太に告げた
康太は隼人を撫でた
聡一郎も「僕も3人を見届けたいのです」と言い康太は笑った
留守番の京香に後を頼み、康太達は飛鳥井の家を出て行った
歩きで桜林学園 初等科を目指す
初等科の校門は綺麗なアーチで彩られていた
飛鳥井家ご一行様を見越して学園は相当数の椅子を用意した
康太が校門をくると、佐野が待ち構えていた
「康太!」
「彦ちゃん!」
康太が呼ぶと佐野は康太を抱き締めた
そして慎一と一生に向き直り深々と頭を下げた
「初等科入学おめでとうございます」
佐野に言われて慎一も深々と頭を下げた
「佐野先生、宜しくお願いします
和希と和馬です」
佐野は2人を見て微笑んだ
「まるで、一生と慎一だな
よく似てる……おまえ達を見ているようだ」
慎一は苦笑して「よく言われます…」と言った
一生の子供……は、血が繋がっていないのは知っていた
「緑川北斗、お前は北斗七星に導かれし存在なんだな」
と言い佐野は北斗の頭を撫でた
そして瑛太を捕まえて
「お前の子が初等科に来るのを待ってるからな!」
と告げた
「私の子供はまだまだです
その前に康太の子が入学します」
「それも楽しみだがな!
お前の子も見てみてぇんだよ!」
瑛太は友の想いが嬉しかった
佐野は琴音を亡くした事を知っていた
瑛太は友へ報いる為に言葉にした
「康太いわくコピーだそうですよ?」
「そんなにお前に似てるのかよ!」
佐野は嬉しそうに話をした
「楽しくなるな
康太の子とお前の子が桜林学園を支えていく日を見てみてぇな…」
「……頼むぞ春彦……」
佐野は何も言わず瑛太の肩を叩いた
そして校舎の中へと入って行った
和希と和馬と北斗は新入生の所へ行き
康太達は来賓席に着いた
「緊張するな」
康太は呟いた
榊原は苦笑した
「君が緊張するのですか?」
「おう!何かちゃんと出来るかな?
って心配でドキドキする……」
「大丈夫ですよ!
和希と和馬、北斗はちゃんと出来ますよ」
「なら良いけどよぉ!
オレは入学式の日、座ってるのが退屈で瑛兄の膝の上でお菓子食って過ごしたんだよ……」
言葉もなかった
行列で並んで歩くと、反対の方に行きたくなる康太だから……
大人しくはないと想った
「入学式は瑛兄が必ず来るんだよ
だからよぉ……何時も退屈でも我慢して出ていた」
康太は思い出し口にした
横にいた瑛太は……榊原を見て苦笑した
「………康太ですからね……
それでもわたしの最愛の弟です…」
瑛太は口にした
榊原は微笑んで………瑛太の苦悩を垣間見た
入学式が始まり、和希、和馬、北斗は胸を張って入場した
とても誇らしい顔して飛鳥井の家族も榊原の家族も見守っていた
入学式が終わり、皆で会食をして
瑛太達と共に康太は会社へと出向いた
清四郎と真矢は源右衛門と共に飛鳥井家へ還って行った
魔界へと帰還した黒龍はヘロヘロだった
閻魔の邸宅に降り立ち、邸宅の中に入って行くと
健御雷神(タケミカヅチ)が出迎えてくれた
「お疲れであった黒龍」
健御雷神は黒龍を応接室のソファーに座らせた
閻魔と金龍、銀龍がソファーに座っていた
「…………まさか朝っぱらから……最中とは想いませんでした……」
黒龍はボヤいた
「青龍は俺が現れたのを知ってるんだぜ!
こっちを向いて目が合ったのに……
アイツ……続けていやがった……」
黒龍がボヤくのを閻魔が
「止まれなかったのであろう……
夫婦生活は大切だ!許してやるがよい」と宥めた
金龍も「新婚だからな…」と息子を宥めた
「…………あの2人は10000年前から新婚ですか?」
「………揚げ足を取るでない…」
金龍はボヤいた
黒龍は閻魔に青龍から受け取った正装を渡した
閻魔は炎帝の邸宅の使用人の雪を呼んだ
「雪、炎帝と青龍の正装です
炎帝の邸宅のクローゼットの中へ片付けておいて下さい」
雪は「解りました!」と言い閻魔に深々と頭を下げ出て行った
「青龍と炎帝が共に帰還したら何処で暮らす気ですかね?
炎帝の邸宅で暮らすとしたら、今のベッドは……狭いですかね?
ベッドは……キングサイズ……入れましょうかね?」
閻魔は思案していた
黒龍は「炎帝さえされいれば、弟は何処でも構いはしない筈だ……なぁ親父殿…」と思案する閻魔に言った
「青龍だからな……」
金龍は苦笑して言った
「しかし……炎帝は愛され過ぎて……艶めき過ぎて……
魔界に還ったら……血迷う輩は……出るかも知れませんな……」
ベッドの上で青龍に串刺しにされ喘いでいる炎帝は、艶めいて妖艶だった
青龍が止まれなくなるも……解らないでもなかった
「大丈夫でしょ?青龍は炎帝から目を離しませんからね!」
閻魔は一笑した!
金龍は「………ひと声掛けるつもりでにたのにな…」と残念そうに言った
閻魔も「そうです……声掛ける所ではなかったですけどね……激しすぎの様な気がします……」
と気絶してても串刺しにされていた弟を思い浮かべた
金龍は複雑な顔をして……
「………息子に性欲があるのが驚きでした……
何処かで……青龍は淡泊な……妻にも欲情しなかったイメージが抜け切りませんでした…
炎帝が相手だと止まれない性欲があるとは……
炎ちゃんは可哀想に……気絶してても串刺しなんですからね……」
金龍がボヤくと銀龍が
「あなた……」と窘めた
閻魔は笑顔で
「我が弟と青龍が幸せなら良いのです!」
と告げた
金龍と銀龍は頷いた
健御雷神は「結婚式は盛大にしてやりたいですな!」と盛大な結婚式の準備に余念がなかった
閻魔は「絹を紡いでおります!我が弟の花嫁衣装はこの手で手掛けるつもりです!」と想いを語った
「黒龍、飲みなさい!」
閻魔に言われてグラスに口をつけた
あんなに艶めいた炎帝を目にしたら………
当分熱に魘されそうだった……
黒龍はグラスを高々と掲げ
「炎帝と青龍の行く末に乾杯!」と乾杯した
幸せに……炎帝
何時も笑っててくれ
それだけが俺の望みなんだから……
晴れやかに黒龍は笑っていた
ともだちにシェアしよう!