49 / 100

第49話 撮影旅行 帰還

夜遅く、神野と相賀はホテルにやって来た 慎一が迎えに行き、一番大きな部屋を借りてる 康太の部屋へと連れて来た 「康太、体調はどうなんです?」 相賀は康太の顔を見るなり、体調の心配をした 「消化の良いのしか食わねぇかんな大丈夫だぜ」 相賀は康太を抱き締めた 「………君は直ぐに無理するので……心配です」 「撮影もバッチリだ! マスターテープはオレが預かってる 後で見るか?」 「……いいえ、編集してからで良いです」 相賀はそう言い笑った 神野も康太に近寄った 「康太……逢いたかったです…」 神野はそう言い康太を抱き締めた 「……あれ?小鳥遊は?」 「………小鳥遊は今……入院中です…」 「……え?どうしたのよ?」 「………飛鳥井の主治医の病院に……入院中です」 神野は苦しそうに……そう言った 「………病名は?」 神野は……何も言わなかった 康太は胸ポケットから携帯を取り出すと 「よぉ!久遠、少し聞きたい事があんだけど?」 『坊主、体調はどうよ? 近いうちに診せに来い!』 「体調は悪くはねぇけど、北斗が調子悪いから帰ったら病院に行くつもりだった」 『北斗……痛みか?それとも歩行困難か?』 「痛てぇみてぇなんだ…」 『……動きたい盛りに……動くなとは言えねぇな… 帰ったら連れて来い……検査して大学病院の医者と検討する』 「……何時も難題ばかりで悪いな」 『構わねぇよ、で、要件は?』 「小鳥遊はあんで入院中なんだよ?」 『小鳥遊は胃癌だ 不摂生が祟って……入院中だ』 「ステージは?」 『ステージⅡに行くか行かないか……って所だ そんなに重度で治らねぇ所までは行っていねぇ』 「……横浜に帰ったら……逢おうと想う」 『そうしてやれ! 本人はもうこの世終わりの様に落ち込んで、神野と喧嘩していたぜ! 八つ当たり……だな……あれは…… 神野は何も言わず帰って行って……今日は来ていねぇ』 「その神野、北海道にいるかんな」 『なら坊主も北海道か?』 「おう!撮影旅行に出掛けて来てるんだよ」 『無理するなよ坊主 横浜に帰ったら必ず診せに来い』 久遠とは「ぜってぇに行くかんな!」と約束して電話を切った 「伊織……」 康太は榊原の耳に唇を寄せ…… 何やら話していた 榊原は何も言わず頷いていた 「慎一、清四郎さんや飛鳥井の家族を呼べよ 皆で過ごそうぜ! 撮影も終わったかんな、後は帰るだけだ」 慎一は「解りました」と言い部屋を出て行った 相賀は康太に 「何時まで北海道に?」と尋ねた 「明日の晩までこのホテルに滞在する 撮影で5日間取っておいたからな 公章が撮影の日程まで、このホテルでお過ごし下さいって言ってくれてるかんな 明日の晩までホテルで過ごして、明後日には帰る事にしてる」 「そうですか!なら私もそうします 宜しいですか?」 「構わねぇ! 相賀は清四郎さんと仲も良い 最近父ちゃんとも仲良いんだろ?」 「はい!清隆さんと飲みに行ったりしてます」 「父ちゃんを頼むな…… 気負ってはかりだかんな……」 「はい!時々飲みに行くのは私も楽しみなのです 今度、康太と伊織、そしてお仲間の方々と飲みたいですね あ!三木が康太に逢ったら連絡くれと伝えてくれと言われてます」 「………最近三木に逢ってねぇかんな……」 「…三木だけじゃなく……失踪してらしたので…… 皆、逢いたがっておいでたよ」 「若旦那とは逢ったんだ その時、正義も拾った そして善之介には電話で話した まぁ少し頼み事があったんだがな…」 「そうでしたか… なら三木と安曇さんと須賀に逢ってあげて下さいね 凄く寂しかってました……」 「横浜に帰ったら連絡する」 康太がそう言うと相賀はニコッと微笑み、康太を抱き締めた そこに慎一が飛鳥井と榊原の家族を連れてやって来た 慎一は康太の子ども達も連れて来た 「流生、おいで」 康太が呼ぶと流生は必死に康太の傍に走って行った 「相賀、流生だ!」 「この子が流生でしたか」 「頑固な眉毛は父親譲りだ!」 相賀は流生を抱き上げた 「音弥、おいで!」 康太が呼ぶと音弥も走ってかぁちゃの傍へと駆け寄った 「晟雅、音弥だ!」 康太は音弥を神野に渡した 神野は音弥を抱き上げた 「……隼人のミニチュアですか?」 康太は笑って 「音弥、自己紹介は?」 康太に言われると音弥は顔をキリッと引き締め 「おとたん!」 と自分の名を元気に言った 「……本当に音弥ですか?」 「自分でおとたん言ってるじゃねぇかよ」 「………未熟児で……死にそうでしたよね……」 神野は音弥を……あまり見ていなかった 「音弥、育ったろ? 今じゃ他の子供と体重も変わらねぇかんな」 「かぁちゃ!」 音弥は康太に手を伸ばした 康太は音弥を神野から受け取り抱き締めた 「かぁちゃ……ちゅき」 音弥は誰かに抱っこされるのを嫌う 慣れていない人に抱っこされると、不安な顔をする 「かぁちゃも音弥大好きだぞ」 康太は音弥にキスを落とした 「翔、どうしたよ?」 泣きそうな顔して翔は康太を見ていた 「……かぁちゃ……」 康太は翔を抱き上げた 「翔、どうしよ?」 太陽と大空が翔に近寄った 「かけゆ!」 太陽は翔を撫でた 大空は「かけゆ!」と言いチュッとした 「喧嘩したのか?」 翔は頷いた 「誰と?」 翔は俯いた 慎一が「翔は音弥と喧嘩してました?」と教えた 「……翔と音弥?……また以外な取り合わせだな」 絶対に喧嘩しなさそうな2人だった 「音弥がかぁちゃにあげゆと言ってた花を翔が取り上げたんです」 「……翔……あんで、そんな意地悪するんだ?」 翔は泣き出した 音弥と太陽、大空が翔を守る様に取り囲んだ 流生が先頭に出て康太を睨み付けた 康太は何も言わずに、背を向けた 榊原が康太の肩を抱き締めた かぁちゃととぅちゃに背を向けられて…… 子ども達は泣き出した うわぁぁぁん…… と言い泣いてかぁちゃととぅちゃの足に纏わり付いた それを振り切って、康太と榊原は部屋を出た 真矢と清四郎は……黙って見ていた 飛鳥井の家族も手を出さなかった この子達は、飛鳥井康太の子供なんだから…… 康太と榊原が部屋から出て行くと…… 流生が音弥を抱き締めた 「おとたん…」 「りゅーたん……」 音弥と流生は耐える様に……抱き合って泣いていた 翔は音弥に「……おとたん……ぎょめん…」と謝った 5人は……泣きながら抱き締め合っていた 一生は……どうしたものか……と、様子を伺っていた 真矢が翔に「何で喧嘩したんですか?」と問い質した 翔は泣いて……俯いた 慎一はずっと見ていて真矢に 「音弥は康太に花をあげたかったんです 翔はロビーの花を勝手に持って行くのが許せなかったんですよ…」 と説明した 「そうでしたか……私が見た時には……音弥は泣いてました」 「……俺も……どうしたものかと……」 動けずにいた 「翔は厳しい子なんですね…」 真矢が言うと慎一も 「………飛鳥井の血……なんでしょうか? 融通がききません……子供でも頑固です ……康太の子は 親譲りで頑固です…」と少しだけ困って謂った 「……康太の子ですものね」 真矢は笑った そして翔を抱き上げると頬にキスを落とした 「翔は……お兄さんだものね 皆を守って正しい道を示すのね…」 翔は泣きながら真矢を見た 「………かけりゅがわりゅい……」 「翔は悪くないわよ」 そう言い頭を撫でた 翔は真矢に抱き着いて泣いた 清四郎は音弥を抱き上げた 「音弥、もう泣かなくて良いです」 「………おとたん……わりゅいこ……」 「違いますよ……康太と伊織は、我が子を怒りたくないから……出て行ったんです…… この部屋は康太と伊織の部屋です 出て行く事などないのに出て言ったのは…… どちらも怒れないからです… 康太は……かぁちゃととぅちゃは君達を愛してるんです 誰よりも愛しているんですよ」 清四郎は音弥の頭を撫でて、言い聞かせた 真矢は慎一に「康太と伊織を呼んで下さい…」と告げた 慎一は部屋を出て行った 康太と榊原は最上階の展望台に来ていた 康太は子供達を怒りたくないのだ 喧嘩して泣いていても…… どちらかを怒りたくない 怒る時は、ちゃんと本人に教える為…… 避けて通れない時に怒る それまでは怒りたくない どの子も愛する康太と榊原の子供なのだから… 明日の飛鳥井を担う重責を押し付けるのだ…… 庇ってやれる時は……誰よりも短い あの子達を……明日の飛鳥井の礎にして…… 見届ける事なく……康太はこの世を去らねばならぬのだ だから誰よりも厳しく育てなければならない 翔の修行の年も近付いている 幼稚舎に入ると同時に… 康太は厳しい鬼と化す…… 我が子を千尋の谷に突き落とさねばならないのだ…… 誰よりも愛して育てた子を…… 誰よりも厳しい試練に出すのだ 自分がしてきた苦しみを…… 翔にさせる…… 康太は苦しんでいた 3歳の頃から小学校に上がる年まで… 康太は菩提寺で過ごした 母の愛が欲しい年に……厳しい修行の日々を過ごして来た 翔には……愛を教えてから…… そう思い誰よりも愛して来た…… だけど着実に……修行へ出さねばならぬ年は近付いている 康太は苦悩した 兄弟の中で……何故……自分だけ…… 康太が感じて過ごした事を…… 翔にさせるのだ…… 恨まれても…… 憎まれても…… 源右衛門は……鬼になった 自分も……その道を逝く 憎まれても…… 恨まれても…… 翔を千尋の谷に突き落とし…… 修行をさせる それが明日の飛鳥井の礎になる…… 自分はそんなに長生き出来ない…… 解っているから…… 翔を自分を継ぐ真贋にさせねばならない…… 康太は静に泣いていた 榊原は康太の苦悩が…… 解るから…… 何も言わずに……康太を抱き締めていた 定めの歯車に組み込まれし存在 その代わりは……ないのだから…… 「…………康太……泣かないで…… 君が泣くと……僕はどうして良いか解りません こんな時……気の利いた言葉が言えたら… そう思います……」 「……伊織……何も言わなくて良い…… オレを抱き締めてて……」 「……康太……愛してます…」 「………伊織しか愛せねぇ……」 そこへ慎一が二人を呼びに来た 「………主は……泣いてますか?」 慎一は榊原に問い掛けた 「…………ええ……」 「……真矢さんに頼まれて呼びに来ました」 「……母さんに? 解りました……少し待ってて下さい」 榊原は康太の顔をあげて涙を拭いた 「奥さん、皆が心配してます……」 「………伊織……」 「今夜は飲み明かし、明日は僕に時間をくれるんでしょ? ならば、今夜は笑っていなさい」 「………ごめん……」 「気にしなくて良いです」 榊原は康太の唇に口吻た 「行けますか?」 康太は頷いた 榊原は立ち上がると康太に手を差し出した 康太はその手を取り立ち上がった 慎一は何も言わずに歩き出した 康太の苦悩が解るから…… 何も言えなかった 部屋に戻った康太は何も言わずに、元の席に腰を下ろした 清四郎が康太の横に座った 「……康太……皆がいます…… 君の助けになろうと……皆…心配してます」 「……清四郎さん……」 真矢も康太の前に膝をついた 康太の頬に手を当てて 「……康太……泣かなくても大丈夫です 皆が貴方の力になろうと想ってるのです」 「……真矢さん…」 「良い子に育ったわね 兄弟、助け合って生きている 本当に良い子達ね」 「……オレは……」 「何も言わなくて良いのよ康太 皆がこの子達を見守っているわ 差し出す手は……沢山あるのよ 孤独になんてさせないわ……」 真矢も翔の背負うべき使命を知っていた そして支える覚悟があると伝えた 相賀は清四郎に変わってもらって康太を抱き締めた 「康太、私も甘いじぃじの仲間入りをさせて下さい 清四郎だけじゃなく! 私もこの子達を護る所存です!」 そう言い康太を撫でた 「……相賀……」 「神野も心配してます あんまり神野を心配させたらダメですよ 小鳥遊が入院してるだけでも……気力だけで保ってるんですからね」 相賀はそう言い神野に変わった 「………康太……頼むから笑っててくれ…… そしたら俺は安心してられるんだ きっと子供達もそうだと想う…… 本当に良い子達だな……子役に使いたい程だ」 「オレの子は見せねぇかんな!」 「……解ってる、言ってみただけだ!」 神野はそう言い笑った 翔や流生、音弥、太陽、大空は……涙を浮かべて…… かぁちゃを見ていた また背を向けられたくないから…… 動けなかった 一生が流生のお尻を叩いた 「ほれ、かぁちゃに言わないと抱っこもしてもらえねぇぞ!」 「……ちょれ……いやら……」 流生はかぁちゃの傍に走って行った 「かぁちゃ……かぁちゃ……」 泣きながら流生はかぁちゃに手を伸ばした 康太は流生を抱き上げた 「どうしたよ?流生」 何時ものかぁちゃだった 「りゅーちゃ……ちゅき?」 「大好きだぞ流生! おめぇはオレの宝物だ!」 流生はかぁちゃ……泣いて抱き着いた 翔は羨ましそうに……流生を見ていた 自分は流生の様に器用に何もかも出来なかった 不器用な血筋は……受け継いでいた 康太は笑顔で「翔!」と名を呼んだ すると翔は走って康太の足に抱き着いた 流生を榊原に渡して、翔を抱き上げた 翔は康太に抱き着いて泣いた 「かぁちゃ……かけりゅ……わりゅいこ…」 「翔は良い子だ! かぁちゃの宝物だもんな!」 翔は泣いた 音弥がそれを見て……耐えきれず康太の方に駆け寄った 「……おとたん…おとたん……」 音弥は自己主張をして康太に手に伸ばした 康太は音弥を抱き上げた 「音弥、最近自己主張する様になったな!」 康太は嬉しそうに、そう言った 「……おとたん……らめなこにゃの……」 「音弥は良い子だ かぁちゃにお花くれるつもりだったんだろ?」 音弥は頷いた 「今度からは慎一に相談しろ! 慎一ならちゃとしたアドバイスくれるぞ!」 音弥は何度も頷いた 太陽と大空が泣きながら……互いを抱き締めていた 「……ひな……かな……どうしたよ?」 「……ぎゃまん……」太陽が言うと 「……ちてる……」と大空が言った 康太は首を傾げて…… 「………オムツか?」と聞いた 榊原は……そこに来ますか……と我が子を想った 榊原は太陽と大空に手を差し伸べた 「おいで!」 そう言うと……太陽と大空は…… かぁちゃに抱き着いた 「かぁちゃ……」太陽が言うと 「らいちゅき!」と大空が続きを言った 「オレも大好きだぞ!ひな、かな!」 康太は左右からチューをされた 康太は笑っていた 本当に嬉しそうに笑って、我が子を抱き締めていた 「……ごめん……飲んでたのに……」 康太は飛鳥井の家族と榊原の家族、そして相賀と神野に謝った 神野と相賀は笑っていた 相賀は「康太が誰にも負けない……かぁちゃで本当に見ていて、嬉しくなりました」と言った 神野も「音弥は……生まれて直ぐに駄目かも…と言われていたのに、本当に今じゃ変わりなく育ってる… 康太や伊織、飛鳥井や榊原の家族がいればこそ、繋がれた命です……」と語った それからは飛鳥井や榊原の家族は楽しそうに宴会に突入した 相賀は饒舌に語り 神野も楽しそうだった 子ども達は康太と榊原の腕に抱かれて…… 眠りに落ちた 子ども達が眠ると……康太は瑛智を抱っこしていた 「……伊織……重い……」 とボヤくと聡一郎は永遠を乗せた 永遠も……体格が悠太譲りで大きかった 「……伊織……瑛智と永遠がいっぺんに来たら潰れるってばよぉ!」 榊原は笑っていた 「………永遠は本当に大きくなりましたね 瑛智や翔も永遠位に育ったら大変ですね」 榊原が言うと真矢は美智瑠を手にして 「……肩が凝るのよ……本当にね……デカいわ…」 と嘆いた 「美智留もデカいですからね……」 「そうなのよ!伊織!」 真矢は榊原に訴えた 「明日菜が大変なのよ…… 2人目もお腹にいるのね……」 真矢はサラッと言った 榊原は……2人目も……と聞き固まった 「………もう……お腹の中にいるんですか?」 「……そうなのよ…… 美智留は大きくなるし…重いし……」 「……母さん……」 「しかもね……私のお腹も大きくなるしね」 更に榊原は固まった 榊原は機能停止した 康太はニコニコと笑って真矢を見た 「還って来た?」 亡くした……あの子を…… 還すと約束した子だった 真矢もニコッと笑って 「……ええ!還って来たわ 先生も今度は子宮に宿ってるって……」 「そっか…良かった」 「………あの子?」 「そう……紫雲龍騎に頼んで黄泉へと還した そして清香が真矢さんへと還すと約束してくれた子だ…… 飛鳥井清香が……我が孫を慈しみ真矢へ還すと約束してくれた子だ」 「………お母様が……」 「飛鳥井清香、命に代えても、この命榊原真矢に還す! 清香はそう約束してくれた子だ…… 飛鳥井の命を組んだ子だ……その子は……」 真矢は泣いた 清香とは逢った事もないが…… 彼女の想いは痛い程に伝わって来た 飛鳥井に生き、飛鳥井の為に散った そして今も尚、夫を待ち続け……黄泉に在る 「………お母様がくれた命……なんですね」 「清四郎に出来なかった事をしてやりたいと…… 真矢の幸せだけを願っている 真矢が幸せになれば清四郎も幸せになれる…… そう信じて……日々……真矢さんと清四郎さんの幸せだけを祈っている それが……飛鳥井に生きた女の贖罪だと……想ってる」 真矢は清四郎に抱き着いた 清隆は母らしい……と想った 玲香は……お義母様ならば……と想った あんなに飛鳥井の女だった清香にはなれない だけど、清香は玲香を抱き締め 『飛鳥井の女になっておくれ…… お前の気質は誰よりも飛鳥井の女に相応しい…』 と言い受け入れてくれた そんな義母の願いを受けて玲香は飛鳥井の女になった 明日の飛鳥井の為だけに生きる女だった 玲香は……清隆の胸に顔を埋めて泣いた お義母様……貴方の瞳には……今の飛鳥井はどう映ってますか? お義母様には及ばないけれど……私も飛鳥井の女 お義母様……見守っていて下さい 清隆は玲香をそっと抱き締めた 飲んで騒いで、夜更けまで…… 話しは尽きなかった 榊原と康太はそんな家族を笑ってみていた 守るべき家族がいる…… 榊原は康太を抱き締めた そして何時しか眠りに落ちた…… 主の体躯に、ブランケットを掛けて慎一は守っていた 主の眠りを妨げるモノは絶対に許さない…… と康太の横に座って守っていた 翌朝、康太は目を醒ますとベッドに寝ていて驚いた 隣で榊原がすやすやと寝ていた 「伊織……」 頬に触れると榊原は目を醒ました 榊原は康太の指を口に咥えた ペロッと舐められて…… 康太は手を引っ込めようとした だが、それよりも早く榊原に掴まれて指を舐められた 「康太、今夜には旅立ちましようか?」 「なら家族に伝えねぇとな」 「……君を抱いてからでも構いませんか?」 「………伊織……」 榊原は康太に熱を押し付けた 「……奥さん……君が欲しい…」 榊原の掠れた声が康太を刺激した 「………伊織……オレも伊織が欲しい…」 「ローション使って良いですか?」 康太は頷いた 榊原は布団を捲ると康太を打つ伏せした 足を開いて双丘を割ると、大人しく閉じてる蕾にローションを垂らした 指を挿し込み解して行く 康太の腰は自然と揺れた 「……あぁっ……伊織……」 榊原の綺麗な長い指で犯されると想うだけで…… 腸壁が蠢いた 康太のお尻の穴に指を3本咥えると、榊原は指を抜いて 康太を膝の上に乗せた 康太は最初から背後で繋がるのを嫌う 炎帝に……青龍がした事だった 下だけ脱いで……背後から挿入していた だから今は、ちゃんと康太を向かえ合わせて抱き上げてから 口吻をしながら挿入していた 康太は榊原の首に回し掻き抱いた 「伊織……ねっ……早く……」 奥まで来て……と訴える 榊原は康太に口吻して 「自分で好きに食べて良いですよ」 と笑った 康太は榊原の肉棒を貪欲な穴で食べて…… 腰を動かしていた 奥まで……食べる 根元まで榊原の肉棒を食べると……康太は腰を動かした ゆっくりと腸壁で榊原を味わう 榊原は康太に執拗な接吻を贈った後に、愛撫を再開した 乳首に吸い付き……舐めた ピアスの入った乳首を舐めると…… 康太は仰け反った その首に唇を這わせて……吸った 「あぁっ……伊織……吸わないでぇ…」 「君の全部は僕のモノでしょ?」 「全部……ぁん…あぁっ…伊織の……」 「なら吸っても良いですよね?」 「あぁっ……イイっ……吸って……」 康太は訳が解らなくなっていた 喘いで…… 榊原の熱に魘される 榊原は康太をベッドに寝かせると、脚を抱えた 激しく康太の穴の中を出入りして掻き回す 「あぁん……イイっ……伊織……そこ……」 「君のイイ場所でしょ?」 康太は頷いた 康太は榊原の背中を掻き抱き…… 榊原は熱を放出する為に抽挿を早めた 2人は一つの快感を共有して辿り着こうとしていた 「……あぁっ……イクっ……イッちゃう……」 康太は榊原の腹に性器を擦り付けて…… その時を迎えようとしていた 「……イッて……僕もイキます……あぁっ……康太…」 榊原は康太の奥深くに…… 熱い飛沫を放出した 康太は榊原の腹に……精液を飛ばしていた はぁ……はぁ……荒い息が部屋に木霊する 「……ぁ……あぁっ……伊織愛してる……」 恍惚とした顔をする康太は……妖艶だった 榊原は康太の耳朶を甘噛みして…… 耳を舐めた 「……ゃ……伊織……直ぐはダメ……」 「感じちゃうから?」 康太はコクっと頷いた 「感じて……僕だけを感じて……」 「感じてる……伊織だけ感じてる……」 「愛してます康太」 「オレも愛してる…… 伊織だけ…… 青龍だけ愛してる」 「………炎帝……愛してます 未来永劫……君しか愛せません」 「………あ……硬い……」 「君が育ててるんですよ?」 康太の腸壁が榊原に搦み着き……育てていく 止まれない熱に犯されて…… 榊原は康太を求めた 康太も榊原を求めて…… 互いは激しく求め合った 尽きるまで……求めて……康太は気絶をした 榊原は康太をずっと抱き締めていた 榊原伊織の愛する唯一無二の存在だった 康太を知らねば…… 孤独の中にいた 炎帝を知ったから解る痛みがある 愛してます…… 愛してます…… 榊原は康太を強く……抱き締めた 康太を抱き上げて浴室に向かい湯をためる 湯がたまる間に康太の体躯を、中も外も綺麗に洗った そして泡を落として湯に浸かっていると、康太が目を醒ました 「気が付きましたか?」 「……伊織……帰ろ……」 「ええ……僕達の家に帰りましょう」 「……うん……愛してる伊織…」 「僕も愛してます康太」 榊原はそう言い康太に口吻た 2人は浴室から出ると支度を始めた 康太の支度をすると榊原は自分の支度をした そして2人して家族の元へと向かった 家族は康太が「帰る」と言うのを予測して、荷造りはしておいた そして起きて来る康太を待っていた 「帰るかんな」 康太が言うと瑛太は 「君がそう言うと思って荷造りは完璧です」 と伝えた 慎一は「飛行機のチケットは変更しておきました 何時でも帰る事が出来ます」とチケットを見せた 「なら公章に言って来るか」 「榎並社長には伝えておきました 康太が来たら社長室に来て欲しいと仰ってました」 「そっか…なら行くとするか」 と言い榊原と共に部屋を出た 社長室をノックすると公章がドアを開けた 「康太君……お帰りになるとか」 「おう!CMも出来たしな、編集に入らねぇとな」 「そうですか…… 君には本当にお世話になりました…」 「CMが出来たら、持って来るか?」 「いえ、私が伺います」 「そっか。また逢おうぜ公章!」 「はい!父や母の意思を受け継いだ、ホテルを築いて行こうと想っています」 「後は公章の意思だ オレの出る幕は終わった」 「貴方に株を受け取って頂きます 一年に一度、この地に下り立って下さい」 「……公章……オレは受け取れねぇ…」 「もう遅いです!手続きは取られてます では横浜に出向きますので、ご連絡お待ちしております」 公章は深々と頭を下げた 「楽しいお時間は送って戴けましたか?」 「おう!物凄く楽しかった」 「それは良かったです! またお逢い致しましょう真贋」 「またな公章!」 康太と公章は硬い握手を交わした 康太は背を向けて社長室を出て行った 榊原も公章に会釈して社長室を出て行った 部屋に帰ると榊原は荷物を持った 「康太、忘れ物はないですか?」 「伊織、オレを忘れて行くなよ」 「当たり前です! 君を一番に持って帰ります」 榊原はそう言い康太に口吻た 支度が調うと康太と榊原は部屋を後にした 廊下に出ると瑛太と京香が子供を連れていた 康太は自分の子供を受け取ると、玲香と清隆、源右衛門と合流した 清四郎と真矢、笙、明日菜、美智留は康太を待っていた 慎一が「社長がバスを出してくれるそうです」と榊原に告げた 「では行きますか?」 榊原が言うと皆ロビーへと向かった ホテルでキーを返して手続きを済ませると、家族全員迎えに来たバスに乗り込んだ バスで空港まで行き、飛行機に乗り込み横浜へと帰る 飛行機は羽田空港まで行き、家族でタクシーで、飛鳥井まで帰った 長かった撮影旅行は終わった

ともだちにシェアしよう!