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第63話 闘い終値

パーティーの参加者全員をお見送りして、新社屋完成披露パーティーは終わった 疲れ果てた家族はパーティー会場の椅子に座った グタッーとした瑛太がネクタイを緩めた 清隆もネクタイを緩め、一息着いた 康太は椅子に座る京香のドレスを捲った 「キャーッ!」 驚いて悲鳴を上げた京香をよそに、康太は京香の靴を脱がした 「何時から?」 ドレスに隠れていた踵は……靴擦れで血に染まっていた 瑛太は「京香……」と驚いて声をかけた 京香は観念して…… 「パーティーの後半は……足が痛かった……」 と白状した 康太は玲香の方を見た 「母ちゃんは大丈夫なのかよ?」 「我はヒールは慣れておる」 ドレスを捲ってヒラヒラ足を見せた 貴婦人としてパーティーに華やいでいた雰囲気はなかった 清隆は玲香のドレスを元に戻した 「お止めなさい……勿体ない」 「清隆……我は感動しておるぞ……」 玲香が感動していると、流生が 「ないない!」と言って玲香のドレスを元に戻した 「……流生……」 玲香は流生を抱き上げた 「ばぁちゃ」 「康太の子はどの子も可愛い」 玲香は流生を下ろして音弥を抱き上げた 京香の足は慎一がテキパキと手当てして包帯を巻いた そしてスリッパを京香にはかせた 榊原は康太を掴むと膝の上に乗せて離さなかった 瑛太は「一生、聡一郎、隼人、慎一、今日は本当に御苦労様でした!」と礼を述べた 慎一は「瑛兄さん、俺達は飛鳥井の家族も同然だと思ってます。当然の事です」と礼など不要と言った 一息着いて、榊原は 「帰りますか?」と問いかけた 「そうですね……明日が休みで本当に良かったです」 瑛太は心底疲れた様に呟いた 榊原は康太を抱き上げて 「一足先に帰ります 子供達の事……お願い出来ますか?」 榊原が問い掛けると玲香は 「構わぬ!子供達は我が連れて帰る 伊織、ご苦労様でしたね!」 榊原は家族に深々と頭を下げると……康太を抱き上げたまま帰って行った 二人を見送り一生は 「………旦那は不器用な男だからな……」と呟いた 瑛太は「………気にしてるんですか?」と問い掛けた 「社交術を習いに行こうか……って言ってた」 一生が言うと玲香は 「社交術など習っても……アレは堅物 瑛太とたいして変わりあるまいて…… 瑛太は帝王学と社交術を叩き込まれておるのだ 帝王学は何とか役に立つかも知れぬが…… 社交術など役に立っておらぬ」 キツい一撃に瑛太は情けなく「母さん…」と呟いた 「アレも不器用な男……社交術を頭では解っていても 実践には結びつかぬであろあて」 玲香の言葉に一生は苦笑した 「だから、止めときなはれ!と言っておきました」 「ふむ!それでよいのじゃ!」 玲香が納得すると瑛太が 「しかし……康太がまさか……… 円城寺貴正さんとお知り合いだとは…… 今日の出席者の大半が康太の人脈……ですからね」 と、まさかの人物だと言った パーティー嫌いと有名な……方だから余計驚いた事だった 慎一が「そろそろ帰りませんか?」と問い掛けた 玲香は「そうじゃのぅ」と立ち上がった 一生と聡一郎と慎一は、子供達を抱き上げた もう寝る時間を過ぎていた 子供達は眠そうに……座っていたから……可哀想になったのだ 「子供達は俺達が連れ帰り寝かせます」 慎一が言うと瑛太は「頼みますよ」と労いの言葉をかけた 瑛太や清隆は妻を連れて帰宅の途に着いた 康太と榊原は一足先に帰った 榊原は康太と二人きりになりたかった 康太は何も喋ってくれない 窓の外ばかり見ていた 怒ってるのかな…… 不安で仕方がなかった ベンツを走らせていると 「伊織……止めてくれ」と康太が言った 榊原は車を停めた すると康太は車から下りて走って行った 榊原は唖然として……康太を見送った 康太は走って…… 歩道に蹲る男の傍へと駆け寄った 「あにしてんだよ!おめぇはよぉ! 敵対する奴が気付いたら恰好の餌食だぜ!」 康太はそう言い男の腕を掴んで立ち上がらせると…… 走った そして男を後部座席に押し込むと、助手席に乗り込んだ 「伊織、車を出せ!」 康太は叫んだ 榊原は車を走らせた 「………康太……何処へ行けば良いですか?」 「………ホテルニューグランド…」 「なら康太、ネットで部屋を予約しておいて下さい」 「解った…」 康太は携帯を取り出すとポチポチ触った 榊原はホテルニューグランドへと向かった ホテルニューグランドと車寄せに車を停めると、康太は車から飛び下りフロントに向かった 榊原は後部座席の男に声をかけた 「下りて下さい」 「………嫌だ……お前ら誰だよ!」 「気絶して連れられたいですか? 自分の足で行きますか?」 やたらと怖い顔が……どっちにするんだ!と迫った 誰だよ……こいつ……ヤクザか? だとしたら……俺どうなっちゃうの? 何処のヤクザよ? 敵対するヤクザか? だとしたら俺……臓器とか売られて…… 男は……考えて泣きそうになった だけど……目の前の男が……怖いから…… 従う事にした 男は車から下りた 榊原は男が逃げない様に……腕を掴んだ そして康太の所へ連れて行く 康太はキーをヒラヒラと手を振って待っていた 「伊織、ありがとう」 康太は男の腕を掴むと、エレベーターへと向かった そして、やって来たエレベーターに乗り込んだ エレベーターを下りると、スタスタと部屋へと向かう 部屋の前に着くと、康太は榊原にキーを渡した 「開けてくれ!」 榊原はカードキーを差し込んだ そして部屋のドアを開けてた 康太と男は部屋に入り込んだ 榊原はそれを見届けて部屋に入りロックした 男をソファーに座らせると…… 榊原は康太に声をかけた 「………康太……誰なんですか?」 「コイツか?………少し待ってくれるなら解るぜ!」 康太は榊原をソファーに座らせると、膝の上に座った 「………康太……」 「あんだよ?」 「抱き締めて良いですか?」 「良いぜ!オレはおめぇのもんだろ?」 康太は人懐っこい笑顔で笑った 親しい気を許した人間にしか向けない笑顔だった 榊原は康太を強く……抱き締めた 男は………それを見て……いたたまれなかった 榊原は男を見ていた 特別美しい訳でもない……男だった 可愛いでも美しいでもない形容の男は…… 不思議な空気を纏っていた 榊原は康太に口吻しようと顔を近づけた その時……康太の胸ポケットがプルプル震えた 康太は胸ポケットから携帯を取り出すと電話に出た 「オレだ!」 『康太、九頭竜海斗です』 「海斗、要件はあんだよ?」 『………男を一人拾いませんでしたか?』 「海斗、聞きてぇなら本人に掛けさせろ! てめぇの組の一つ、潰すのは容易いって事をわすれる! オレを見くびるんじゃねぇ!」 『……見くびるってなどいない! 俺は……お前を大切にして来た お前が望むなら……この命をお前をくれてやると言った言葉は嘘じゃねぇ!』 海斗は訴えた 「海斗、二度言わせるな! 欲しけりゃ本人に掛けさせろ!」 康太はそう言い電話を切った 康太は榊原と向かえ合わせで座ると、榊原の首に腕を回した 「オレだけの伊織だ!」 そう言い榊原に接吻した 「君だけの僕です」 榊原は康太の接吻を……嬉しそうに受けていた 「奥さん……泣かせましたね…」 「……伊織に誰かが触るのは嫌なんだ…」 「………僕は君だけのモノです…… 愛してます康太…」 男は………目の前で繰り広げられる甘い睦言を……… 羨ましそうに見ていた 男同士なのに…… 奥さん……? 妻だと言うのか? そんは事を恥ずかしくもなく…… 引け目を持つ事なく言える人間がいるなんて…… 知らなかった…… 男が……泣きながら…… 康太と榊原を見ていると、康太が声をかけた 「タロ!」 え?………名乗ってないのに? 男は唖然として……康太を見た 「タロ、不安か? 自分の愛した男を信じられねぇか?」 スバッと図星を突かれた 「………俺は……何の取り柄もない…… 沢山いる愛人の一人だ…… 早く……借金を返して自由になりてぇ……」 「自由になりてぇか?タロ」 「………沢山いる愛人の一人でいるのは嫌なんだ」 「なら借金は払ってやんよ!」 康太はそう言い笑った 男は……借金がなくなると聞き……不安になった 沢山いる愛人の一人で我慢は出来た 独占したいなんて……無理だから…… でもそれが……辛くなった あの人の服に着いた香水に…… 自分以外を抱いたのに……抱くな!とケンカした お前は自分の立場を弁えろ!と一蹴され犯された 足腰立たない程に……犯された 堪えきれなかった…… そして逃げ出して来た…… 捕まったら殺される……それは解っていた 愛されてなどいないのだ 愛人の中で1番不出来だと言われた 1番……不細工だと言われた だからマンションを与える気もない……と家に住まわせられた 借金のなくなる日まで玩具になる 借金がなくなれば……捨てられる 捨てられる……もう見向きもされないのだ…… 男は泣いていた 目の前の恋人同士が羨ましかった…… 暫くしてドアがノックされた 康太は榊原の膝の上から下りて、ドアを開けに行った ドアを開けると九頭竜海斗が立っていた その横には天王寺一弥が立っていた 「遅ぇじゃねぇかよ?」 と康太は怒り部屋に招き入れた 「……弥勒に行き先を視て貰っていたので遅れました」 「弥勒、どうやって視たのよ?」 と康太は天に向かって声をかけた 『その者が、行方の解らぬ人間を視てくれと来たからな、視たら康太が拾って行ったのが見えたからな、それを告げておいた 康太に手を出せば……呪い殺す……と付け加えてな』 「流石!弥勒!」 康太は笑った 『………康太……大丈夫か?』 至極心配そうな弥勒の声が響き渡った 「弥勒……大丈夫だ! オレは伊織さえ亡くさなきゃ生きて行ける」 『…………康太……頼むから……笑っていてくれ…… てないと我は…』 弥勒の声は震えていた 「弥勒、明日行くかんな!」 『待っておる……』 弥勒は気配を消した 康太は九頭竜海斗に「座れば?」と声をかけた 九頭竜海斗と天王寺一弥はソファーに座った 康太は榊原の膝の上に座った 天王寺は康太に 「その方が……御前の伴侶か?」と問い掛けた 「おう!オレが愛して止まねぇ伴侶だ!」 天王寺は「……そうか……」と呟いた ヤクザな自分の自己紹介はしなかった 榊原も……九頭竜海斗がいる時点で……ただ者ではないと踏んでいた 「天王寺、山田太郎の借金は幾らよ?」 と問い掛けた 天王寺は康太を睨み付けた 「………それを聞いてどうする?」 「チャラにして解放してやる! おめぇ、沢山愛人いるんだって? 他の奴の香水の着いた服で……抱くなら…… オレならその場で息の根を止めるぜ!」 天王寺は言葉もなかった…… 太郎に惚れた…… 認めたくなくて……沢山いる愛人の一人だと…… 思おうとして……その気にならないのに……女も男も抱いた でも満足出来なくて……太郎を抱いた 「山田太郎の借金はオレが総て完済してやる!」 「………俺が……素直にはいと言うと思うか?」 「そもそも、親の借金を子供が肩代わりする法律なんてねぇ! オレの弁護士に精算に当たらせる! 異存はねぇよな?」 「……聞くと想うのか?」 「聞かねぇならな、聞かせるまでだ! おめぇの組を潰すのに一日は要らねぇ! どうするよ?組を潰すかオレの要求を飲むか?」 康太の鋭い瞳に貫かれて……天王寺は言葉もなかった 「………太郎……はどうなる?」 「晴れて自由の身だ! もうな借金で雁字搦めには出来ねぇよな? おめぇ、沢山愛人なんていたっけ? 昔はいたよな? でも今は……遊べる相手には不自由しねぇだろうけど、囲ってる奴なんていねぇよな?」 「………降参です……」 天王寺は両手を上げた 「……康太……結婚式を挙げられたとか?」 天王寺は康太に話し掛けた 「おう!海斗から聞いたか?」 「……何故海斗には報告があって俺にはないんですか?」 「報告なんてしねぇよ! 海斗には弟がいる 弟は飛鳥井建設で働いてる 公に合わなくても二人は連絡は取り合ってる 電話帳に入れてなくても、二人はちゃんと連絡は取り合ってる、と言う事だ」 「………弟経由……なのか?」 「そうだ!」 「康太、結婚祝いだ! こいつの借金は帳消しにしてやる! こいつは晴れて自由の身だ……それで良いか?」 「おう!ならオレから、もう泣かせねぇならなタロをくれてやる! その代わり、香水の着いた服で抱きやがったら…… その場で殺してやんよ!」 「………康太……良いのか?」 「どっちも惚れ合ってて……裂いたら恨まれるじゃねえまかよ!なぁ海斗?」 九頭竜海斗は笑った 「そうですね!康太、横の方が伴侶なのですね!」 「飛鳥井建設の副社長をしてる伊織だ!」 「………弟が康太は面喰いだと言ってました なる程……女が放っておきませんね……」 「だろ?オレは何時もヤキモチ妬いてばっかしだ!」 康太は立ち上がると山田太郎の前に立った 「おめぇは今、この時より自由の身だ」 「………え?……」 「天王寺が好きなら傍にいれば良い」 「……良いのかな?」 「いいぜ!そのかわし浮気は許すな!良いな!」 「うん!俺……沢山いる愛人の一人は嫌なんだ…」 「顔を上げろ!」 太郎は顔を上げた すると康太は太郎に接吻した 激しい接吻に太郎の意識は朦朧となった 康太は太郎の唇を噛み切った 太郎の血を康太は舐めた 「血の契りをしてやんよ! これでおめぇが哀しい時……オレとシンクロする」 「………え?………え……」 「天王寺に泣かされたら解るって事よ! そしたら弥勒にでも行って貰うかな?」 康太が呟くと弥勒の声が響き渡った 『良かろう!我は康太と覇道を結んでおる! 康太の感知する想いを読み取り……息の根を止めてやろう!』 呪術師 弥勒高徳なればの言葉だった 天王寺はお手上げした 「…泣かせねぇし、大切にする コイツ一人で十分だ……」 天王寺は太郎を抱き締めた 康太は榊原の膝の上に乗って甘えた 「ところで、天王寺」 「なんだ?」 「お前の組、狙われてる?」 天王寺の顔付きが変わった 「何でだ…」 「タロの後ろを……着けてる奴がいた だからそいつ等より早くタロを確保してやった」 「………そうか……」 天王寺は押し黙った 「清和会、組長が変わったの知ってるか?」 「……え?……知らねぇ……」 「おめぇの所はどの傘下にも属していねぇ…… おめぇは清和会の傘下になるか同盟を組めや」 「……それはまた奇抜な……」 「海斗に一度逢いに行かせた」 天王寺は九頭竜海斗の方を睨み付けた 「怒るな!天王寺!」 「怒るだろ?……頭の命令無視してやる事じゃねぇ!」 「その頭が…働かねぇなら対策練るのは若頭の役目じゃねぇのかよ? 奇襲かけられたら……ひとたまりもねぇぜ! 海斗が危惧するのも当たり前じゃねぇのかよ?」 天王寺はグッと怒りを堪えた ヤクザの世界も……昔とは形相が変わって来ていた 昔気質なアナログな考え方など通用しなくなった 「タロ、おめぇ株を転がして資産運用しろ! 海斗、てっとりばやく何処かと同盟組めよ 天王寺、戦争は避けろよ! 抗争したら流さなくても良い血が流れる…」 天王寺の完敗だった…… 「……清和会は……」 「話は着いてる 代替えした会長ってのが、桜林のOBだ! コネで少し融通効かせて貰った その代わり……少し……厄介事を抱えたのはオレだけどな……」 「……おめぇに何かあったら……」 「何もねぇよ…」 「厄介事って何だよ!」 天王寺は興奮して…康太に問い詰めた 「お茶をな」 「………はいぃぃぃ?……」 「だからお茶をしねぇとダメなんだよ」 天王寺は頭を抱えた 意味が解らないからだ…… 「だから一ヶ月に1回はお茶しなくちゃならなくなったんだよ!」 「………お茶……カフェ?」 「違う!お茶だ!お茶! 抹茶をこう立てる……あれだよ!」 康太は抹茶を立てる仕草をした 「……お茶……そっちかよ?」 「オレさ師範代持ってるからな」 「………器用な男だな……」 「放っておけ!」 「………解った!清和会と話をしに行く」 「そうしとけ!」 そう言い康太は榊原にキスした 「………康太……何で膝の上?」 「オレは恋人の膝の上が好きなんだよ」 康太を抱き締める榊原の指が…… 康太の服の中に潜り込んだ 背中を弄る仕草に……服が捲れ上がった 紅い……跡が散らばる肌を惜しみもなくちらつかせていた 「伊織……愛してる」 「僕も愛してますよ奥さん」 砂を噛む甘さだった…… 「………んっ……下は……ダメ…」 榊原の指が……ズボンの中へと行こうとすると…… 康太はそれを止めた 榊原の唇を舐めながら艶然と嗤う康太は…… 別の生き物みたいだった 「………康太……こんな場所で始めないよな?」 「おめぇもそれを聞くのかよ?」 康太は笑った 「………誰が言うんですか?」 「仲間や家族…」 どれだけ……あっちこっちで犯ってるんですか… 艶々の康太は危険だった 流し目をまともに受けたら……股間が熱くなる… 康太は多分…太郎に恋人同士と言うモノを見せてるんだと海斗は想った 太郎は赤面していた 天王寺は……股間が盛り上がっていた…… 康太は立ち上がった すると榊原も立ち上がって、康太のズボンのベルトを外した 前を寛げ……ズボンを少し下げた 「………おい!……」 海斗は慌てて止めた 榊原は知らん顔して康太の服をズボンの中に入れて 身なりを整えた 「康太、良いですよ」 「なら出ようぜ! 天王寺、この部屋はオレが借りた部屋だ 明日の朝まで恋人と仲直りしろよ!」 と言い康太は榊原に手を差し出した 榊原は康太の手を取り、手の甲に口吻た カードキーをヒラヒラさせて康太は恋人と共に出て行こうとした 「康太待って下さい! 俺だけ部屋に残そうとしないで下さい」 海斗は慌てて立ち上がった これから始まるであろう部屋にはいられないから…… 「組長、明日の朝には迎えに来ます 明日の朝までには……何とかお願いします では康太、伴侶殿帰りましょうか!」 海斗はそう言い康太達と部屋の外に出て行った 二人きりになった天王寺と太郎は…… 何も喋れなかった 天王寺は太郎を抱き寄せた 「……あの……地味な俺が……側にいても良いんですか?」 「おめぇの借金はチャラになった おめぇの好きにしろ!」 天王寺は引き留めたいのをグッと押さえた 太郎は天王寺に抱き付いた 「………康太さん達みたいな恋人同士になりたい……」 そう言い抱き付いて来る恋人を天王寺は強く抱き締めた 「今後は……おめぇ一人にする おめぇだけ愛して……行く覚悟だ」 天王寺がそう言うと太郎は泣き出した 「……おい……どうした?」 「……嬉しくって……」 「天王寺一弥の恋人になるって事は逃げたら……殺されるって事だぞ!良いのかよ?」 太郎は「うん!」と言い何度も頷いた 「他の組の奴に狙われるんだぞ?」 「俺は……殺されても……貴方を裏切らない…」 「……んとに……そんな可愛い事を言うと…… 寝れねぇと想えよ! 今後はおめぇ一人だけにする…… 俺を受け入れろ……どんな時でも俺を受け入れろ」 「………はい!」 天王寺は太郎の頭を撫でた 「……でも……俺は康太さんみたいに艶っぽくない…」 「……あれは狂気だろ? あんなの手にしたら………狂っちまう…… まともじゃ……いられなくなる……」 危ない生き物より……手の中の太郎が良い… 天王寺は太郎を抱き上げてベッドに連れて行った 甘い恋人の時間が始まった 部屋を出た康太は海斗にヒラヒラとカードキーを見せた 部屋を二つ取っていた事となる 「仲の宜しい事で……」 海斗は呟いた 「俺は伴侶を隠す気はねぇんだよ 愛する男は未来永劫、コイツだけ!」 「羨ましいです 弟が恋人を作ったのも… 貴方の影響だそうですよ?」 「なら次は海斗か? 誰でも良い……気の休まる存在を置け…」 「………そうですね……そんな存在を探したく想いました……」 「走ってばかりじゃ息切れすんぜ そんな時休まる相手がいると……幸せだって想う 今……殺されたとしても悔いなんか遺さず…… オレは逝けるぜ……そんな生き方をしろよ海斗…」 「肝に命じておきます…… 実際……初めて目にしました…… 貴方のそんな幸せそうな顔を……」 「そうか?」 「伴侶殿にお逢いするのは初めてですので……」 「……そっか……オレは幸せだと想えるのは伊織がいるからだ……」 「本当に羨ましいです 俺も……心底、惚気れる相手を見付けたいと思います」 「頑張れ!」 「はい!頑張ります」 九頭竜海斗は下りて行くエレベーターに乗り込んだ 康太と榊原は上がりのエレベーターに乗り込んだ 康太は「またな!」と言い海斗と別れた 海斗は深々と頭を下げ……帰って行った 康太と榊原は最上階まで上がって行った 康太は榊原にカードキーを渡した 「………伊織を確かめてぇ……」 「ええ……僕は君のモノです 全部……確かめて下さい」 「………好きにさせて……」 「良いですよ……君の好きになさい」 康太は榊原に抱き付いた 最上階に着くと榊原は康太と手を繋いだ そして部屋へと向かう 榊原は部屋の前に来るとカードキーを差し込んだ そして部屋へと入って行った ベッドルームまで向かい……榊原の背中を押した う~ん……動かねぇ…… もう一度榊原の背中を押した あんだよ?動かねぇ……う~ん……う~ん…… 榊原は康太に 「………何してます?」と問い掛けた 「………ベッドに押し倒してぇんだ! って言うか……梃子でも動きそうにねぇ……」 あぁ……押し倒したかったのか…… と、榊原は想った 本当に康太は可愛い こんな仕草さえも可愛くて……愛おしい存在だった 「押し倒されれれば良いのですね?」 「おう!」 「なら背中を押して下さい」 榊原はクスクス笑って、そう言った 康太は榊原の背中を押した すると呆気なくベッドに倒れた 何かムカつく…… さっきは…押してもビクともしなかったのに…… かなりムキになって押したのに…… 気を取り直して、康太は榊原を仰向けに寝かせた 榊原はワクワクしていた 康太は榊原に執拗な接吻を贈った 口腔を犯すように口の中で舌が搦まりながら暴れた 榊原の股間は……ビンビンに反応していた 「……ぁ……康太……」 ネクタイを解き、Yシャツのボタンを外した 前をはだけると康太は榊原の乳首を舐めた 執拗に榊原の乳首を舐めて、股間を弄った 榊原の性器がズボンの生地を突き上げて…… 反応していた それを爪で引っ掻く様に触ると……刺激で更に大きくなった 「オレが触るの気持ちいい?」 「……ぁ……良いです……」 康太は榊原のズボンのベルトを外した フォックを外してファスナー下げた すると下着の生地を突き破りそうに反応した榊原の性器が…… ズボンから飛び出して来た 康太は生地の上から榊原の性器に口吻た 康太の息が布越しに感じる…… 榊原は堪えきれず…… 「……康太……痛いです……脱がせて…」と頼んだ 「慌てるなよ伊織 オレがどんだけ伊織を欲してるか…… 自分の体躯で受け止めやがれ!」 こんな言葉を言われたら… 言うことを聞くしかなかった 康太は一旦ベッドから下りると、榊原のズボンを足から引き抜いた だが下着は脱がしてくれなかった もどかしい…… 康太が欲しいのに…… 康太はスーツを脱ぎ捨てると全裸になった 康太の股間は勃ち上がっていた 康太は榊原の下着に触れた 「……濡れてる……」 先走りで…下着はもう濡れていた 「明日……この濡れた下着はくかよ?」 「……ゃ……康太脱がせて……」 「もう濡れてるもんな……良いよな?」 何が?………榊原が考えていると… 下着の上から舐められた 濡れてるから良いよな……ってこの事なのか……と榊原は想った 陰嚢を揉み……爪で陰嚢の裏を優しく引っ掻いた 榊原の下腹部がヒクヒクと痙攣した 康太の唇は榊原に赤い跡を着けて……内股を吸った そして足の指を舐めた 「………康太……汚いです……ゃめ……」 「オレは何時も汚ねぇから止めって言ってるよな? それでも伊織は舐めるじゃねぇかよ!」 「………康太……触りたい……」 「ダメ……女なんかに口説かれやがって……」 「ごめん……康太……許して……」 「許してるけどお仕置きだ伊織」 お仕置き…… そう来ましたか…… なら抵抗は出来なかった 榊原への愛を見せてやるから…… お前の愛も見せろ… と要求されてるも同然だったから…… 「伊織……オレがどんだけお前を愛してるか…… おめぇはその目で確りと見ておけよ!」 康太は榊原の性器を下着から出して咥えた ペロペロと先っぽの割れ目を舐められ……何とか堪えた すると肉棒に唇を這わせ……吸われた エラの部分を甘噛みされて……イボイボを逆撫でされると……榊原は堪えきれなくなった 指は榊原を扱き…… 榊原はイッた 康太はそれを総て口で受け止めた 受け止めきれなかった精液が…… 康太の口から零れて…… 赤い唇がニャッと吊り上がり……目が離せなくなった 康太は口で受け止めた榊原の精液を掌に吐き出すと…… 自分の秘孔に塗り込んだ 榊原に見える様に…… 康太はお尻を突き出して……秘孔を解した 「………触りたい……康太……」 「まだダメ…」 「………君の下のお口に……キスしたい…… 舌と指を挿し込んで掻き回したい……」 「ダメ……おめぇは見てろ」 康太は秘孔を解し……掻き回した 皺を伸ばす様に指を増やし……ぬちゃぬちゃ……グチュグチュ……音を立てて解した 榊原は見ていた 康太のお尻の穴が……自分の指を咥えて広がって行く様を……目を離せずに見ていた 「……こんなもんかな?」 指を4本咥えた頃に……康太は榊原の上に乗った そしてお尻の穴を榊原の肉棒に擦り付けた グンッと力を蓄えた榊原の性器が歓喜して康太の穴に擦り寄る 中へ挿れさせろと……潜り込もうとする 康太は焦らしながら…… 榊原の肉棒でお尻の穴を解した 「………康太……来て……」 榊原は康太に哀願した 康太は榊原の見てる前で…… 双丘を開き榊原の肉棒を受け入れ始めた 真っ赤な蕾が…… 榊原のグロテスクな肉棒を飲み込んで行く…… ジワジワと嚥下されるもどかしさに…… 榊原は腰を動かした それを押し止めて……康太は総て飲み込んだ 「……康太……」 「あんだよ?」 「……抱き締めさせて……」 「抱き締めれば良いだろ? オレはおめぇのもんだろ?」 動くな………と言った癖に…… 榊原は康太を抱き締めた 康太の熱が……榊原に伝わって来る 愛しい体温が榊原を止まれなくさせる 「康太……君の中を掻き回したい……」 「……ダメ……オレを感じろ……」 うねうねと蠢く腸壁が榊原を包み込む そして榊原のカタチを覚えて煽動を始めた 気を抜けばイカされそうになる…… 「解るか伊織……」 「……ええ……解ります…… 君の中が僕を欲して蠢いてます 僕は……この刺激だけでイケます…… でも……イクなら康太と一緒が良い…… 君と一緒が良いです……」 「……なら動けよ…」 「僕の好きにして良いんですか?」 「オレはおめぇのもんだ……んっ…」 榊原は康太を押し倒し足を抱えた そしてガシガシ腰を揺すった 止まれない 熱を吐き出さねば……止まれない 榊原は夢中になり康太を貪った 「……康太……僕の康太……」 「オレがどれだけ……おめぇを欲しがってるか…… 解ったのかよ?」 「……解りました……君が教えてくれた愛です もう口説かれたりしません!」 「……ぁん……あたりめぇだ……あぁん……もっとゆっくり……」 二人でフルマラソンを走ったみたいに荒い息を吐き出し… 汗だくになる 言葉もなく互いを貪り合う…… 欲しい…… その思いしかなかった 「無理です……もう止まれません……」 榊原は康太の中を掻き回した 康太は榊原の腹に……性器を擦り付け……イッた 榊原も康太の中へと精液を飛ばした イッても止まれなかった 康太が気絶しても止まれなかった 榊原は康太を貪り……求めた そして熱が冷めると、康太を胸の上に乗せた 康太が好きな場所だった 康太は榊原の胸に擦り寄り、榊原の胸の音を聞くのが大好きだから…… 榊原は康太を胸の上に乗せた 康太の頭を撫でて……口吻た 愛しい…… こんな愛しい存在は現れない 未来永劫 愛するのは炎帝だけ…… 榊原は康太を強く抱き締めた 明日……足腰立たなくなるだろう……… 程に榊原は康太を求めた 康太も榊原に許した そして求めてくれた…… 榊原は康太を抱き締めて眠りについた 康太がいるなら生きて逝ける…… 愛すべき存在だった 朝、目が醒めると康太は、榊原の胸の上にいた 苦しいだろうに…… 榊原は康太を優先にしてくれる 康太は榊原の胸の上から下りた そして榊原にキスを落とした 「康太……止まれませんでした…」 「……ん……凄かったな伊織…」 康太は笑った 「慎一に着替えを頼みます」 「………だな……伊織の下着はベタベタに濡れてるかんな…」 康太の言葉に……榊原は顔を赤らめた 珍しい光景だった 「………君が……脱がしてくれなかったから……」 「伊織が女に口説かれてるのが悪い」 そう言われると……何も反論出来なかった 「康太……許して……ね? 僕は未来永劫、君しか愛しません」 「当たり前だ! オレ以外を愛すなら息の根止めてやるかんな!」 榊原は康太を抱き締めた 康太も榊原を抱き締めようとしたが…… 激痛が走った そして体躯を起こそうとして……砕けた 「……ぃ……てぇ……伊織……腰が立たねぇ…」 「………え?……立てませんか?」 康太は顔を真っ赤にした 最近……こんな腰砕けになるセックスはなかった 初めの慣れてない頃なら……時々あった どんだけ激しく求め合ったんだよ……オレ…… 康太は身動き取れない自分に恥ずかしくなった 榊原は取り敢えず慎一に電話した 「朝早くすみません……寝てましたか?」 『いいえ。貴方達の着替えを用意する為に、寝室にいます!』 慎一には想定内の事だった 「着替えを持って来てくれませんか?」 『服は私服で良いですか?』 「ええ、お願いします あ………下着もお願いします…」 『解ってます! 何時頃、何処へ持って行けば良いですか?』 榊原は康太の支度をするから一時間後 ホテル名と部屋番を告げた 慎一は手早くメモして電話を切った 携帯をテーブルに置くと、榊原は康太を抱き上げた 「歩けないなら責任取って抱き上げて帰ります」 榊原はサラッと言った 冗談…… ホテル内をお姫様抱っこされて歩かれたいのは…… 女だけだろ? 康太は男だった お姫様抱っこはされて嬉しいけど…… 人に見せる気は皆無だった 「……オレ……慎一におんぶさって帰る…」 「………僕が抱き上げて……」 「……嫌だ……」 「なら僕の背中に……」 「……嫌だ……」 恥ずかしい…… 榊原の背中…… 大きくて逞しい背中…… 康太はその背中に腕を回すのが大好きだった 汗で濡れた背中に指を這わせ…… 康太は首をふって…… 考えてる事を払拭した 「……伊織……おめぇの背中……大好きだ……」 「……え?」 「汗で濡れた背中に指を這わせて触りてぇ……」 榊原は顔を真っ赤にした 「……康太……」 「………危険だろ? 伊織の首筋見たら……吸いたくなる…」 オンブしてる時に首筋を舐められたら…… 康太を落とすかも知れない…… 「………康太……危険です……」 「だろ?オレは慎一の背中におぶさる事にする…」 「……それが賢明ですね 僕も康太のお尻が手に触れたりしたら…… 触ってしまいますからね……」 そしたら……止まれなくなるのは目に見えていた 「……触られたら……欲しくなる…… 出なくても……伊織に触られてぇんだオレは…」 イケなくたって互いを触りたい欲求は尽きない 大変危険なカップルだった 康太をバスルームに連れて行き、中も外も磨いて洗った 康太は榊原を洗ってやった そして二人して湯船に浸かった 榊原に抱き締められてバスタブに入り…… 何度も口吻た そしてバスルームから出て髪を乾かした 榊原の髪は康太が乾かし、二人してバスローブを着た 榊原は持ち帰るスーツとYシャツを畳んだ 暫くするとドアがノックされた 榊原はドアを開けに行った すると慎一がバッグを手にして立っていた 榊原は着替えを受け取って、慎一を招き入れた 部屋を見渡して慎一は 「康太は?」と問い掛けた 榊原はソファーを指差し 「あそこです」と答えた 康太はやけに不機嫌だった 慎一は喧嘩でもしたのかと…… 「喧嘩しました?」と問い掛けた 「いえ……してません」 なら……何でこうも不機嫌なんですか? と、慎一は思った 榊原は康太を抱き上げた 「着替えて来ますね」 そう言いベッドルームへと向かった 榊原は康太に下着をはかせて服を着せた 榊原も下着をはいて服を着た そして着替えをバッグに詰めた 「……ごめんね康太……」 そう言い康太を抱き上げた 「……もう謝まんな……」 「解りました!」 榊原は康太を連れて寝室を出た ソファーに座らせて…… 「慎一、康太をおぶって……駐車場まで行って下さい」 慎一は何を言われたか解らなかった…… 「………腰が立たないのです…… 歩くのは不可能なので……頼めますか? 康太が抱き上げて連れて行かれるのは嫌だと言うので頼みます……」 そりゃぁ……お姫様だっこで歩かれたくはないだろう…… 女性なれば……喜々としてやられたいかも知れないが…… 男の康太では抵抗がありまくりだろう…… 慎一は承知した 「では康太行きますか?」 慎一はしゃがむと康太に背中を向けた 康太は慎一の背中におぶさった 「……慎一ごめんな……」 「構いません、貴方が泣かないのなら…… 俺はこんなの何でもないです!」 慎一は康太を背負って部屋を出て行った 榊原は忘れ物はないかチェックして、部屋を出て行った 1階に下りるとフロントに向かい料金の精算をした 二部屋分の精算をして康太の傍に寄った フロアーには瑛太や一生、聡一郎、隼人がいた 榊原は選りに選って……この日にいなくても良いのに……と思った 足腰立たない程に…… と、知られるのは結構恥ずかしいかも…… 瑛太が「康太は立てないのですか?」と問い掛けた 榊原は赤面した 昨夜の生々しい康太が頭をよぎる…… 『……ぁ……あぁっ……もっと深くに来いよ……』 康太に唆され…許されて……奥を犯す…… 『……もっと……伊織……もっとだ……』 魘される様に言う康太は艶めいて……榊原を誘った そんな康太の痴態を……頭で描いてしまって…… 榊原は真っ赤な顔をした 瑛太はギョッとして榊原を見た 榊原の思考は……止まらなかった あぁ……自分でも……恥ずかしい…… 頭の中を覗かれたら…… 引かれる事間違いない…… 瑛太も一生も聡一郎も隼人も…… 榊原の赤面に……唖然となった 康太が腰が立たないのも頷けた 相当濃い夜だったのだろう…… 瑛太は苦笑した 榊原は駐車場まで慎一に康太を運んで貰うと、後部座席に寝かせた 一生が助手席に跳び乗り、榊原は運転先に乗り込んだ 榊原は一生に「行き先は?」と尋ねた 「何時ものファミレスだ!」 榊原は何も言わず車を走らせた 互いを求め合った夜…… 絶対に離れないと互いを欲した 康太は幸せを噛みしめながら榊原の後ろ姿を見ていた 「…オレ……めちゃくそ愛されるじゃん……」 康太は呟いた 「惚気かよ…んとにもぉ!」と一生はボヤいた 榊原は笑っていた ファミレスの駐車場に車を停めると、一生は車から下りて後部座席のドアを開けた 「ほら、おぶさりなはれ!」 と一生が背中を差し出した 康太は一生の背中に腕を回して懐いた 「一生、重くねぇか?」 「おめぇ、も少し太れよ!」 一生は笑った 瑛太の車も隣に停車した ファミレスの中へ皆で向かう 康太は始終笑っていた 瑛太は康太のそんな笑顔を見れて、嬉しかった 一生も聡一郎も隼人も慎一も、康太の笑ってる顔に安堵した ランチを食べて、久しぶりに寛いだ時間を過ごした 話しは尽きず、夕方までファミレスにいる事となり…… 家に帰った 忘れられない日になった

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