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第69話 真実 ②
銀龍のお腹は大きかった
「………銀龍……無理させたな……」
「炎ちゃん私は貴方に感謝してます
この年になって金龍の子を産めるなんて
恥ずかしいけど幸せです」
銀龍はニコッと笑った
黒龍が銘を連れて応接間にやって来た
銘は炎帝を見ると飛び付いた
「………炎帝……お逢いしとうございました」
「……銘……話が在る座れ」
銘は炎帝を離すとソファーに座った
「………銘、人の世に来い……」
「……え?人の世ですか?」
「………女神が力をなくす所を見届けてやれ……」
「嫌です……何故私が……あの人に逢いに逝かねばならぬのですか?」
「今のお前なら……女神の気持ちが解ると想ったが?」
「………解りませぬ……」
「それじゃ……母に捨てられたと泣いてる時のままだな……」
銘は炎帝を見た
「何も持たぬ女になった今……お前の瞳にどんな風に映る?」
「…………私が物心つく前に……あの人は人の世に堕ちた…
あの人の存在は…父さまを苦しめた……
父さまを苦しめた……あの人を許したくはなかった……」
銘の言葉に閻魔は……堪らなくなった
閻魔は銘を抱き締めた
「………銘……総ては私が悪いのだ…」
「………父さま……」
銘が呟くと炎帝が口を開いた
「総ての原因は炎帝に在る……
オレが……魔界で創られたのを兄者は見ていた……
兄者は到底神の出来る行程でない光景を見て炎帝を護ろうと心に決めた
1000年の時をオレは子供の姿で過ごした
子供の姿なら安心出来た
子供なれば殺戮の驚異から離れていられる
破壊神 皇帝炎帝の名を知る者なれば……その恐怖は常にあった
兄者はそんな輩の矢面に立ち炎帝を護って来たんだ
オレが役務に着いて揉め事を起こすたびに兄者は責められた
でも兄者は炎帝を庇い続けた
そんな兄者が……女神を愛せなかったとしたら……誰が悪い?
炎帝の存在さえ知らなければ閻魔は幸せだったかも知れねぇ……
総ては炎帝の罪だ……兄者を責めるな銘」
「………炎帝……」
「銘、女神は何時も我が子の幸せを願ってる
自分は辛い愛を貫いているのにな……
自分の幸せは願わず……お前と流生の幸せを願ってる
逢ってやれよ……
今逢わねば……多分……永遠に逢えはしない……
女神は今世の命が終えた時に昇華される事を望んだ
オレは女神の望む様に女神を昇華する
最後なんだよ銘……
お前が永遠に母に逢えなくとも後悔しないと言うならな……何も言わない」
「………炎帝……」
「憎くても……お前は母に逢いたがってる
憎む心は……母を求めてるって気付よ銘……」
「………二度と逢えないと想ってた
逢いたいと想っちゃ駄目だと想ってた
母さまに逢いたい……」
「銘、オレと共に人の世に来い……」
「はい!」
「話は付いたな
さてと還るとするか」
炎帝が言うと閻魔が
「……泊まって逝かぬのか?」と尋ねた
「泊まって逝くぜ
今宵は青龍の体躯を洗ってやる約束したかんな!」
「……体躯を?」
「龍になった青龍を洗うんだよ!
鱗の一枚だって青龍は綺麗だかんな
洗うのが楽しみなんだよ!」
「………龍の姿が好き……」
金龍は呟いた……
龍族でも龍の姿は忌み嫌う者がいると言うのに……
炎帝はうっとりとして答えていた
「オレの青龍だかんな!」
炎帝が言うと黒龍は「誰も取らぬ!」とボヤいた
「解らねぇじゃねぇかよ!」
炎帝が噛み付くと黒龍は
「お前は青龍を洗ってろ
洗い終わったら飲もうぜ!
だからお前んちに行って待っててやるよ」
と提案した
それに金龍が乗り閻魔が乗った
で、炎帝んちに行く事になった
炎帝は「……二人でイチャイチャする予定だったのに…」とボヤいた
青龍は「仕方在りませんよ……」と諦めの境地だった
炎帝の邸宅まで行くと、炎帝と青龍は湯殿へと向かい、金龍や黒龍は炎帝の邸宅の応接間に向かった
お酒の用意をしてると健御雷神も駆けつけて来た
健御雷神は「炎帝が来てるのでろう!」
とウキウキと来たが「あれ?炎帝は?」と問い掛けた
黒龍が「………青龍を洗うとかで……湯殿にいます」と答えると
「おお!そうか!
何時まで経っても新婚だな」とボヤいた
金龍も「……人の世に10000年近くいても新婚が抜けぬな……」とボヤいた
「それより飲むぞ!」
金龍は杯を傾けた
炎帝と青龍は湯殿に来ていた
「ほれ青龍、龍になれ!」
炎帝が言うと青龍は龍になった
炎帝は龍になった青龍をうっとりと見た
お湯を掛けて石鹸で青龍の体躯を洗う
「痒い所はないか?」
龍の鬣を洗ってやり炎帝は問い掛けた
鱗の一枚ずつ洗うかの様に洗って貰った
龍の髭や鬣も洗って貰い、青龍は寛いでいた
炎帝は青龍の角を舐めた……
「……あっ……炎帝……駄目です…」
青龍は性感帯を刺激されて……喘いだ
「すげぇな……生えてきてるみてぇだな…」
龍の下半身に……ニョキッと生えた様に聳え立つ性器を見て、炎帝は呟いた
人間の何倍だろ?
炎帝は青龍の性器に触れた
太くて……大きいを通り越した亀頭のお口は開いて先走りを流していた
炎帝が先っぽを撫でると龍は仰け反った
あへっ……と舌をデロンっと伸ばした龍は……中々見られるもんじゃない
青龍は舌を伸ばすと炎帝に纏わり付いた
そして口で咥えられた
炎帝は巨人に捕食される気分って……こんな気分かな……と想い笑った
「………どうしたんですか?」
「青龍が好きすぎて……食われたいって想った……」
「炎帝……漫画の見過ぎです……
夜中まで見てましたよね?
巨人の漫画……家畜の安寧……の気分でしたか?」
「……それは違う
オレはお前を愛しすぎてるかんな
本当にお前になら何されても良いんだ」
青龍の舌が炎帝のお尻の穴に潜り込んで……蠢いた
「あっ……青龍……ダメッ……」
「ダメッと言いながらも気持ち良さそうですね?」
青龍の前足で乳首に触れられた……
鋭い爪が炎帝の体躯を撫でながら……下がって行った
「………青龍……人のカタチになれよ……」
「………欲しいですか?」
「ん……青龍が欲しい……」
「……僕も……限界です」
青龍は人のカタチになると炎帝を組み敷いた
「綺麗だったな青龍……」
「龍の僕と……今君の目の前にいる僕
どっちを愛してますか?」
「どっちも愛してる」
「どっちか一つ……と言ったら?」
「秩序と規律の鎧を身に着けた青龍が好き……
オレの目の前にいる青龍が好き
蒼い龍が好き
どれか一つなんて選べない……」
「欲張りですね君は……
下のお口も欲張りですものね」
青龍はそう言い炎帝の秘孔に性器を挿し込んだ
「……あぁっ……青龍……イイッ……何時もより長いのは……龍の名残か?」
「気持ちイイでしょ?
君とこうしていられるなら……僕は何も望みません……」
「………青龍……突いて……そして掻き回してくれ……んっ……」
「欲張りなお口ですね……」
青龍は夢中になり炎帝の中を掻き回した
尽きるまで求めあい……
一つに交わった
部屋からは楽しそうな声が響き渡っていた
幾度も愛し合い……
疲れ果てて湯に浸かった
炎帝は幸せそうに笑っていた
「青龍、気持ち良かったか?」
「ええ。龍の体躯を君に洗って貰うのは、とても気持ちいいです」
「龍の姿でいられる時は龍の姿でいろ
オレはどんな青龍でも愛せるかんな!」
「嬉しいです……
そろそろお風呂から出ないと……呼びに来そうですね?」
「だな夜が明けたら還るかんな
一晩いるだけで2日は過ぎてるだろうな…」
「僕の寿命を削って明後日には必ず還してあげます」
「それ……嬉しくねぇよ」
「なら君は長生きして下さいね!
僕の寿命まで生きて下さいね!」
「諦めねぇよ……お前がいる限り……」
「愛してます……」
「オレも愛してるかんな!」
キスしてると痺れを切らした黒龍がやって来た
「そろそろ戻らない?
炎帝よ!友と飲む気はねぇのかよ!」
「飲み明かそうぞ!黒龍!
飲みてぇに決まってるやん!
でもな愛する青龍を洗ってやりたかったんだ……許せ……」
「許すに決まってる!
さぁ友よ!飲み明かそうぜ!」
黒龍は笑って炎帝を待っていた
青龍は炎帝の体躯を拭くと、服を着せた
そして自分も服を着ると黒龍と共に応接間に還って行った
応接間は……死屍累々の山だった……
酔っ払った健御雷神が裸で寝そべっていた
金龍も陽気に飲んでいた
「……何か凄くねぇか?」
黒龍に聞くと、黒龍は閻魔を指差した
「雷帝は正気だぜ………多分……」
「兄者……」
正気だぜと言われて炎帝は閻魔に声をかけた
「炎帝……還らぬともよい
未来永劫…兄者の傍にいてくれ……」
閻魔は泣き上戸で、充分酔っていた
「……黒龍……酔ってますがな…」
「大丈夫だ!泣き上戸はまだ人畜無害だ!」
健御雷神の全裸になるよりはマシだと……黒龍は言った
炎帝は黒龍の横で飲み始めた
静に……酒を酌み交わしていた
青龍は炎帝の傍に黙って座っていた
「………黒龍……赤いのはどうするかな?」
「未来永劫……愛すのは女神か?
でも今、愛する奴を見つけちゃった……
って事だろ?
俺にしたら贅沢なんだよ赤いのは!
お前に甘やかされて甘えてるだけだ」
「………赤いのには過酷な試練しか与えられねぇな……」
「気にしなくても良い
どうしたいかは自分で見つけねぇとダメなのは解ってんだろ?
お前も蒼いのも……赤いのに甘すぎるんだ
良いよな赤いのは……大切にされてさ」
「オレはお前も大切にしてねぇか?」
「………大切にして貰ってるさ……
でもお前の傍にはいられねぇ……それが悔しいってボヤくのは大目に見ろよ」
「………オレが……気が狂いそうな程孤独だった頃から……お前は傍にいてくれた
お前の為ならオレは何でもするさ
赤いのより最優先にしてお前を助ける
それが……孤独なオレの傍にいてくれた唯一無二の存在に対する愛だ
青龍を愛する様には愛せねぇけどな……」
「誰も蒼いのよりも愛せとは言わねぇよ
お前の長い片想いを知ってるは俺と雷帝だけだろ?
やっと実ったお前の想いを誰よりも知ってるのは俺と雷帝だろ?」
「………ずっと……青龍の家を湖から見てた」
「………一晩中……見てたから体躯が冷えて夜明け前には回収するのが日課になってたな
あの頃からお前達は……デキてたんだよな?」
「………体躯……だけ繋がってた……」
「……蒼いのは言葉も感情も乏しいからな……人の世に堕ちるまで………
我等はお前と蒼いのとの関係が解らなかった……」
「………あれは奇跡なんだよ黒龍……
今もオレはあの日の事は鮮明に覚えてる
あの日の出来事は忘れられねぇからな」
「幸せになれ炎帝
そして弟を幸せにしてやってくれ」
炎帝は青龍の手を取ると頬に当てた
「あぁ……約束する……」
青龍は優しく炎帝を見ていた
寡黙な男は何時も静かに炎帝の横にいる
「………蒼いのは還ったら法王を通り越して法皇を継ぐのが決定した……」
「………妻がオレで大丈夫かよ?」
「お前より最強な妻などおらぬ……」
黒龍がボヤくと閻魔がニコッと笑った
「魔界一の盛大な結婚式を挙げます
法王青龍に相応しい結婚式を挙げます
朱雀の子供も魔界に誕生しました
青龍の継ぎも崑崙山に出向き見て来ました
赤龍の継ぎは女神の力も秘めた逸材
次代の四龍は安泰です
次代の四神も安泰です
炎帝が描いた魔界を私は護ります」
閻魔が楽しそうに言うと黒龍は「酔ってるよ」とボヤいた
「……兄者……」
「雷帝は……こんな魔界など滅んでしまえ……と泣いた
炎帝、お前を人の世に堕とした後……
閻魔として生きる気がなくなっていた……
浮き名を流して遊び呆ける日々に苦言を呈しても聞きゃぁしねぇ……
そんな閻魔にしたのは炎帝…お前だ……
そして……弟が還る魔界を護ると決めて必死に閻魔として生きる様にしたのも…
炎帝……お前の為だ…」
「……黒龍……」
足掻き苦しむ友を……黒龍は見て来て胸を痛めていた
雷帝の総ては……
弟のためにしかない…
それを傍で見て来てひしひしと思い知らされた……
無力だと…雷帝を抱き締めて泣いた……
そんな黒龍の想いがひしひしと伝わって来た
炎帝は黒龍の肩に頭を乗せた
「……黒龍……」
「俺は不器用な弟が愛を貫く様を見れて良かった……
青龍には感情がないと想ってた
実際…お前が絡まねば感情は皆無だろ?
だから青龍にお前がいてくれて良かった」
「愛しい男だ…
オレは青龍しか愛せねぇ……」
「暑苦しい程に夫婦でいろよ!」
黒龍はそう言い酒を飲み干した
炎帝は盃に酒を注いだ
「お前の血を飲ませろ!」
炎帝は盃を差し出した
「俺の血は高いぜ!」
黒龍は親指を噛むと傷付けて盃の中に垂らした
炎帝は盃を一気に傾けて飲み干した
「うし!魔界に還ったら隠し持ってる酒をやんよ!
八仙が300年寝かせて、何処に隠したか解らなくなった甘露酒
くすねて持ってるんだ
人の世に堕ちる前にくすねたかんな
10300年は経ってるレアだせ!」
「……おい……そんなに経っちゃ飲めるのか……怪しくねぇか?」
「………大丈夫だろ?
還ったら飲もうぜ!」
「なら楽しみにしてるわ!
おめぇは悔いなく人の世を終えて来い!
今世はそんなに早く死ぬんじゃねぇぞ!
蒼いのを哀しませるな炎帝……頼む…」
「………黒龍……約束は出来ねぇけど、長く生きたいと想う……
だが炎帝の力を人の体に入れて……長生きは無理に近ぇ……」
「俺の……寿命を分けてやる……」
黒龍がそう言うと炎帝は黒龍の頭を殴った
「んな事言うな!
龍は……命を削るのが好きなのかよ!」
「………誰か言ったのかよ?」
「愛する青龍と赤いの……
それに金龍と銀龍も……オレを生かすなら自分の寿命を削っても良い……
とぬかしやがった……」
「……雅龍や火龍辺りも言いそうだな…」
「夏海は……」
「元気でイチャイチャしてる……」
「そっか……なら良かった」
「銘と仲良くてな
姉妹みたいに生活してる」
「………頼むな……」
「解ってる
お前に変わってやれる事はしてやる」
「………ありがと……黒龍……」
炎帝は黒龍の肩に顔を埋めた
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