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第82話 人としての心②

悠太は暗闇の中にいた 意識は……覚醒していたが…… 暗闇の中に留まっていた 悠太はまだ……閉じ込められた……続きを送っていた 源右衛門は悠太の意識の中へと入って行った 『悠太!』 源右衛門の声に、悠太は耳を傾けた 「じぃちゃん……」 『悠太、目を醒ますのじゃ! このまま眠ったまはまだと…お主は弱って植物状態になるしかない……』 「じぃちゃん……踏ん張らなくても良いのか…」 『お前は助かった お前は今病院におる 康太の傍におるじゃぞ!』 「……康兄の……」 悠太は泣いていた 「……康兄の傍に還れるの?」 『目を醒ませば……お前の目の前には康太がおる! さぁ、目を醒ますのじゃ!』 悠太は目を開けようとした…… 薄暗い……視界には……何も映らなかった あれ?………康兄は? 悠太は康太を探した 康太は悠太の手を握った 「……康兄……」 悠太は呟いた 「オレは此処にいる!」 康太の声が聞こえた 悠太は声の方に…顔を向けた 薄暗い視界に康太の姿が映し出された 「………康兄……本当に……」 悠太は泣いた 夢じゃないか…… まだ悪夢の中にいて…… これは全部夢なんだと言われたら…… どうしょう…… 悠太は震えた 「悠太!夢じゃねぇ! お前は助かったんだよ!」 康太はそう言い力強く悠太の手を握った 悠太は康太の手のぬくもりに…… 夢じゃないと実感して……泣いた 清隆は悠太が目覚める瞬間 立ち会わせて貰えて……泣いた 榊原は悠太の頭を撫でた 「葛西君はもう意識を取り戻しました……」 と康太に告げた 「……葛西……生きてたんだな……」 悠太は胸をなで下ろした 弥勒は康太に 「これより源右衛門を連れ還る!」 と告げた 康太は弥勒に深々と頭を下げた 「弥勒……本当にありがとう」 弥勒は康太を抱き寄せて…… 「我はお前が笑ってくれるなら……なんでもする」と言い…… 康太の肩に顔を埋めた 「弥勒、還って来たら、雑魚寝しようぜ!」 「では、サクサク還るとしようぞ!」 弥勒はそう言い康太を離した 源右衛門を球体に戻し、弥勒は姿を消した 清隆は悠太の頭を叩いた 「康太や家族や恋人を心配させて……」 悠太は清隆に謝った 「父さん……本当に申し訳御座いませんでした」 「君には発信機を着けます」 「……父さん……」 「こんな想いは二度と御免です!」 清隆は泣いていた 悠太は父の涙を…… 初めて目にした 何時も冷静な物腰で動じない姿しか見ていなかった なのに……その父がなくなんて…想ってもいなかった 康太も泣いていた 榊原も泣いていた 一生も慎一も兵藤も……皆……泣いていた そして悠太は視界の端に聡一郎の姿を捉えた 聡一郎も泣いていた 悠太は「……ごめん……」と泣いた 榊原はナースコールを押した 『どうされました?』 「飛鳥井悠太 意識を取り戻しました!」 『すぐに向かいます』 暫くして久遠が顔を出した 「意識、戻ったんだって!」 「あぁ、今戻った……」 康太は答えた 「お前何かやった?」 「オレはなにもしてねぇよ……じぃちゃんが叩き起したんだよ」 康太が言うと久遠は笑った 「源右衛門もおちおち眠りに着けねぇな」 「悠太を繋ぎ止めたのは源右衛門だからな……」 「で、源右衛門はどうなった?」 「消滅覚悟で抜け出したからな…… 今は監視着けられて来世の準備に入るだろ?」 「源右衛門は誰の子として産まれる?」 「飛鳥井瑛智!」 「そうか……そうして繋がって逝くのだな…」 「そう!飛鳥井はそうやって繋がって遺して明日へと繋がる!」 「悠太は脳に内出血がある それを詳しく検査せねばならない! 腕も足もボキボキに折れてる 全治6ヶ月は下らぬ怪我だ!」 「……半年か……って事は留年か!」 康太はやけに嬉しそうだった 「1年や2年の留年なんて人生経験だ!」 康太は笑い飛ばした 榊原や一生や兵藤は……やけにセコい奴……と想った 「……康兄……留年は嫌です! 俺は車椅子でも学校に行きます!」 「悠太、留年しろよ!」 「嫌です!康兄や兵藤君じゃあるまいし……」 悠太が言うと兵藤は…… 「……てめぇ……俺に挑戦状叩き付けやがったな!」と叫んだ 悠太は兵藤までいるとは想わなかった 「……兵藤君…ごめんね」 「良い根性だ悠太!」 兵藤はニカッと笑った 久遠は「これより悠太は検査に入る! その後は個室に戻る!」と告げた 悠太はストレッチャーに移し替えられ、アイマスクをすると検査へと向かった 兵藤は聡一郎の肩を叩き「良かったな」と声を掛けた 聡一郎は涙を堪えて何度も頷いた 清隆は家に戻り、代わりに玲香が個室にやって来た 「悠太……意識戻ったのか?」 と玲香の第一声だった 「あぁ、目を醒ました」 玲香は「やっと目を醒ましたのじゃな…」と目頭をハンカチで押さえていた 「所で悠太は?」と問い掛けた 榊原が「検査に行ってます」と答えた 康太が爆笑して 「全治6ヶ月!」と答えた 玲香は「………留年しかないか……」と康太と同じことを言った 兵藤は「車椅子でも学校に行くと本人は言ってたぜ」と補足してやった 玲香は「何にしても良かった……」と安堵した 一生は「源右衛門が悠太を起こしに来たんだ」告げた 「………源右衛門が……」 死してもなお家族を見守る源右衛門の優しさに触れ玲香は涙した 康太は立ち上がると 「悠太は個室に戻って来る でも照明はまだ落とさないとダメだからな 今夜は静かに寝かしてやんよ! 聡一郎、お前、泊まり込め」 「………え……康太は?」 「明日からは順番に泊まり込む 今夜は検査から帰って来たら話をしろ 出来るかどうかは解らねぇけどな……」 「………ありがとう康太……」 「母ちゃん家に帰んぜ! 今夜は眠れるな」 「………あぁ……もう大丈夫だな……」 「命があれば明日へ繋げれる 明日を生きられれば、未来へ逝ける」 「………そうであったな……」 「取り敢えず帰って寝るか…」 康太は聡一郎の肩を叩いて個室を出て行った 飛鳥井の家まで歩いて帰ると 康太は一生に「貴史と一緒に雑魚寝してやれよ!」と言った 兵藤は「お前は?」と問い掛けた 一生は「聞くな……行くぞ!」と客間へと引き摺って行った 康太は榊原と共に寝室に帰って行った 榊原は康太を抱き上げた 「一緒に風呂に入ろ」 康太はそう言い榊原の胸に顔を埋めた 寝室に入り浴室へ向かう 脱衣所で服を脱ぐと浴室に入った 榊原は康太を抱き締めた 「………康太……ずっと君を抱きたかった……」 「オレもずっと伊織が欲しかった……」 榊原は浴室の床に康太を抱えて座ると、手にボディーソープのポンプを押して、ソープを出した ぬるぬると石鹸の着いた手で康太を撫でた すると泡が立って……余計滑りが良くなった 榊原は接吻したまま、康太のお尻の穴を弄った 指を挿し込み……腸壁を掻き回した すると接吻の合間からくぐった声が漏れた 「……んっ……んんっ……ん……」 康太の乳首は尖って…… 触って欲しそうに赤く艶めいていた 榊原は康太の乳首を泡の着いた手で優しく撫でた 康太は滑り落ちそうになり…… 榊原に抱き着いた ツルツルと滑って怖かった…… それよりも指を挿れられた箇所が疼いて腰が揺れた 「伊織………」 康太は酸素を確保すべく榊原のキスから逃れて…… 性器を榊原の腹で擦った 「……何ですか?康太……」 「挿れて……お前の……コレを……」 康太は榊原の肉棒を握り締めた そして……亀頭の先を秘孔で擦った 「オレの中に挿れて……」 もう少し康太を焦らしたかったが…… 自分が焦らされ…… 榊原は康太の中へ挿入した 一つに繋がると……康太は榊原の首に腕を回した 「……んっ……あぁん……伊織……愛してる……」 「はぁ……康太……ぁ……愛してます……」 榊原も夢中になり腰を動かした もう止まれなかった…… 腸壁に熱い飛沫を感じると……康太も精を放った 「………伊織……クラクラする……」 「僕も……クラクラします……」 康太と榊原は額を合わせ合って笑った 「二人してクラクラだな」 「ええ……頭に血が上りました……」 「……伊織……凄く気持ち良かった」 「僕も凄く気持ち良かったです」 二人は体躯を洗って、泡を流して風呂を出た 髪を乾かして、また顔を見合わせて笑った 「まだクラクラするな……」 「僕も……興奮しすぎました……」 自然と唇が重なり…口吻けた 「腹減った……伊織……」 「夜中ですからね……何かあるか解りませんが……」 服を着て二人はキッチンに向かった キッチンに行くと慎一がいた 「………慎一、どうしたんだよ?」 「寝に行ったんじゃないんですか?」 「風呂に入ってたんだよ そしたらクラクラになった!」 康太が言うと慎一は 「クラクラになる事をしたんですね……」と呟いた 慎一は康太と榊原の前にジュースを出した 「お風呂でクラクラなら、まずはジュースですね」 康太はジュースを貰って飲んでいた 榊原と目を合わせ笑った そこへ兵藤が一生と共に顔を出した 「お!どうしたよ?」 「お前達こそ、どうしたよ? 今頃はエッチしまくってんじゃぇのかよ?」 「………ん~その予定だったけどな…… クラクラになって冷ましに来たんだよ」 「あんだよ?クラクラって?」 「いやな……風呂場で始めたんだけどな…… イッた 後……クラクラになっちまってさ…… 小腹も減ったからキッチンに来たんだよ」 あぁ……そう言う事ね…… 兵藤は納得した 「……風呂場で……逆上せて当たり前やろ……」 兵藤はボヤいた 「体調が万全なら風呂場で犯っても大丈夫なんだけどな……」 康太はクラクラの敗因を体調不良のせいにした 榊原は苦笑した 兵藤は「で、何か食ったら雑魚寝するのかよ?」と揶揄した 「良いぜ!雑魚寝しようぜ!」 「おい!エッチの続きは?」 「んなの今夜にでも犯るさ!」と笑った 軽く食事を取ると、康太と榊原は客間に出向き雑魚寝した 翌朝……兵藤は声もなく…… 起きる羽目となった 「………雑魚寝……止めとけば良かった……」 と後悔した グーガー寝る康太に…… 大切な部分を蹴り上げられた 「……うっ!!!!!」 兵藤は声も出なくて蹲った 大の字で寝やがって…… 可愛い顔して寝やがって…… 怒れねぇじゃねぇかよ? 一生も脇腹を蹴り上げられて飛び起きた 横で蹲る兵藤を見て一生は…… 「蹴られたのかよ?」と問い掛けた 兵藤はコクコクと頷いた 「何処を?」 兵藤は目線を………落とした 一生は「……うっ!…そこかよ?」と心の中で拝んだ 男として……役に立つ事を祈る…… 康太は兵藤の胯間に手を伸ばした そしてあろう事か…… 下着の中に手を挿し込んだ 「……ちょっ……止め……康太!」 兵藤は叫んだ 「一生!助けてぇ~」 兵藤が助けを求めると……一生は康太を引き剝がした 「お!少し硬くなってたぞ! 大丈夫!不能になっちゃいねぇ!」 康太はケロケロと笑った 兵藤は胯間を押さえて……康太から離れた 「………コイツ……本当に危ねぇ……」 兵藤はボヤいた 一生も賛同して…… 「………この子は一番危険ですわ」と呟いた 榊原は康太を膝の上に乗せた 「め!」と怒られると、康太は榊原にキスした 皆、朝食を食べにキッチンへ向かった キッチンに来た瑛太は康太の頬にキスして食卓に着いた 康太は飯を食いながら…… 「……あ……悠太の担任に言ってねぇや」 と今更ながらに気付いた 悠太の担任は長瀬匡哉だった 年末に三者面談に行く事になっていたが……忙しくて伸ばして貰ったのだった…… 榊原が「学園の方には僕が言っておきます」と言った 「………今日は朝から報道機関は……大変な騒ぎになってる……」 前代未聞の事件だった 抗争する学校の生徒を暴行を加え、地下に閉じ込め3ヶ月も放置した 手当の甲斐なく息を引き取った者から…… 暗闇に発狂して自ら命を絶った者もいる 人の命が弄ばれた……事件だった 「………学園長に……直に言うしかねぇかもな……」 康太は騒ぎを想えば…… 学園側にどうやって話すか考え物だった 榊原は「……担任の顔は立てましょう」と長瀬に連絡を入れる事にした 食事を終えて応接間に行きテレビを付けると…… 報道各社はこぞって……報道していた 康太はテレビを見て…… 「………人なれば………か……」と呟いた 綺麗な御託を並べる大人だって…… 表と裏……顔を使い分けている 人としての心なんて忘れてるかも知れないのに…… 榊原は康太を抱き締めた 「学校に電話を入れてくれよ……」 「はい。今入れますね」 「そしたら病院に行こう…」 「君が病院にいるなら僕は会社に顔を出してきます」 「あぁ、動くなら電話を入れる」 「そうして下さいね 僕を置いて逝かないで下さいね……」 「解ってんよ!」 榊原は康太を離すと携帯を取りだして、桜林学園に電話を入れた 担任の長瀬を直接指名して…… 連絡を入れていた 康太は果てを見ていた 飛鳥井の明日を……視ていた…… この道はまだ果てない先へ逝く 電話を終えた榊原が康太を呼んだ 「康太、どうしました?」 康太は榊原を見上げて笑った 「長瀬、何て言ってた?」 「悠太が学校に来なくなって3ヶ月 長瀬は何かあったと連絡を取ろうとしていたそうですが、それを佐野が止めたそうです 康太が動かない事を騒ぎにするな!……と。 それで長瀬は動かなかったけど……心配していたそうです 学校も…桜林の頭を欠いた存在をどうしたものか……と思案していたそうです…… ですが、戸浪万里が二人の不在を感じさせない動きをしてサポート体制を取っていたので…… 長瀬も……どう動く事も出来なかった……とボヤかれました」 「そうか……」 「長瀬、悠太を見舞いに来るそうです 学園の方は……神楽四季が先導して動いているそうです この学園に被害者はいない! ………そう騒ぎの対処をしているそうです」 「流石だな四季は……」 「………若旦那に……中村の事……言わなくても良いのですか?」 「……今から頼むしかねぇと想ってる……」 「………飛び火が……怖いですね…… 幾ら報道規制してても……詮索好きはネットに好き勝手な事を配信しますからね……」 「………それは仕方ねぇよ…… 好き勝手するのが人だからな…… でも報道規制を引かせた以上は飛び火は避けさせねぇとな……」 「………何処まで……避けれますかね……」 「降り掛かる火の粉なれば、払うしかねぇんだよ オレは悠太を矢面に立たせる気はねぇ! 被害者だとしても、飛鳥井康太の弟なれば…… 好き勝手に演出して叩かれるに決まってる! それはさせる気はねぇんだよ 強いては……元である竜吾の情報もな そんなに簡単には矢面に出さねぇ手は打ってあんだよ!」 醜聞を作るには充分な事件だった 騒ぎを悠太にすり替えて飛鳥井を叩く材料にしたい奴等に餌を与える訳にはいかなかった 何としてでも死守する それが強いては飛鳥井を護る為になる…… 康太は携帯を取り出すと戸浪へ電話を掛けた 「若旦那か? 頼みがあるんだけど……聞いてくれねぇか?」 電話を取るなり改まった声に……戸浪は何があったんだ?と想った 『聞ける話ならお伺い致しましょう』 「お前の所に中村朝(はじめ)ってのがいるだろ?」 『……何課ですか?』 「流通販売の課だ」 『少し待って下さい 田代、社員名簿を!』  戸浪は社員名簿を持って来させた ペラペラ流通販売の社員のページを開いていくと中村朝があった 『康太、いました』 「………若旦那……そいつを何としてでも辞めさせないで欲しいんだ」 『では、その理由をお聞き致しましょう』 康太は包み隠さず総てを話した 悠太が暴行監禁されて、助かった後もずっと意識不明だった事を…… 「中村朝は、犯人の……父親だ」 『何故君が犯人の親を庇うのですか? 君は犯人は憎くはないのですか?』 「……憎いよ若旦那……焼き殺してやろうかと想った位に憎いよ…… でもな若旦那……悠太の名を出せば…… 待ってましたとばかりに犯人の名前を飛鳥井悠太にすげ替えて……面白可笑しく書きたてる奴らもいる事を忘れちゃならねぇんだ! オレは悠太の名前は絶対に出させねぇと決めたんだ なれば……犯人を詮索させる事も……辞めねばならない…… 小さな綻びすら許しちゃならねぇんだ……」 『…………解りました…… 後で中村を呼びます! 当社としては変わりなく中村を使う意思を示します その代わり、何も感じさせない様に……と言っておきます』 「………そうしてくれ…… 悪かったな若旦那……」 『悠太は……どうなっているのですか?』 「昨夜……やっと意識を取り戻した…… これから治療に入るが……先は明るくはねぇ… まだ暗くした病室にアイツは寝てる 3ヶ月……日の光も差さぬ地下室に閉じ込められた傷は………癒えねぇ…… それどころか……どんな後遺症をもたらすか…… 解らねぇ……」 考えてみるだけで……恐怖となる それが解るだけに……戸浪は言葉をなくした 『中村は一番上の責任者です うちとしても、いなくなられたら困ります このまま、使えるなら使います それよりも康太……悠太のお見舞いに…… 行くのはいけませんか?』 「見舞ってくれるなら何時でも来てくれよ オレはずっといる訳じゃねぇからな…… 連絡を貰えば病室にいる事にする」 『解りました! 今夜、7時にお見舞いに行きます どの病院なのですか?』 康太は病院の名前と病室の個室の番号を戸浪に伝えた 康太は電話を切ると……息を吐き出した 榊原は康太を膝の上に乗せた 「康太、悠太が退院したらデートに行きましょう!」 「お!それ良いな」 「君が女の子の格好してくれたら手を繋いで歩けます!」 「………ミニスカートはもう嫌だぞ」 「それはもう良いです 服の下にセクシーな下着を着けて……下さい 服は清廉な感じのワンピースで…… スカートをたぐり上げると……淫らな誘う様な下着を着けてて……」 榊原は本当に嬉しそうに……言っていた こんな時の榊原は少し変態が入ると…… 康太は想う それを許しちゃうのが……惚れた弱みだ 「………伊織……朝から……想像が激しくないか?」 膝の上に乗っているから…… 榊原がどんな状態なのか良く解った 熱い塊が……お尻に当たり……ドクドク脈打っていた 「康太とのデートですからね 手を抜く訳にはいかないのです! 色んなシミュレーションして一番相応しいモノを選択しているんです」 「………でも……お前の……」 熱い……と康太は呟いた 「仕方ありません…… 昨夜はクラクラで不発弾となりましたからね…」 「……お前の不発弾…… 十分……元気じゃねぇか」 「そりゃあね、君を手にすれば僕は何時も元気です」 榊原はそう言い笑った 「お口で……抜いてやろうか?」 康太は榊原に問い掛けた 「良いです それだと止まりませんからね」 榊原は康太を膝の上から下ろすと、深呼吸をした 燻った欲望を強靱な理性で押し止めた…… 「康太、病院に行きますか? 多分 今日は色んな方が来ますよ?」 「だな……今日は……スーツでなくて良いのかよ?」 「病院にスーツで行くのは逆に目立ちますよ?」 「そっか……なら行くか……」 榊原は康太に手を差し出した 康太は榊原の手を取った 榊原は康太を引き寄せて……口吻けを落とした 「奥さん 長い一日になりますよ?」 「仕方がねぇな……」 康太は笑った 応接間を出ると一生と慎一と隼人が待ち構えていた 隼人は康太に抱き着き 「遅いのだ」と文句を言った 「そうか?」 康太が言うと一生も康太の肩に腕を回した 「遅ぇぞ!今日は何かと忙しいんだろ?」 「だな!」 康太は歩き出した まだ歩みを止める訳にはいかなかった 明日の飛鳥井の礎を築くために…… 逝かねばならなかった 総ては家のため会社のため…… 飛鳥井が明日 生き残る為に…… 康太は歩みを止める訳にはいかなかった

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