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第91話 湯治 IN魔界②
「では兄者、オレは裏に引き上げるわ
金龍達が来る前に…犯っとかねぇとな!」
そう言い笑って裏に引き上げた
家を出る前……
「אחת היא החששות של האלים(神々の思惑は一つ…)
נחמד אבל חזרה שמאלה(在るがままに還るがいい)」と呟いた
「青龍……落ち落ち愛し合ってもられねぇな……」
炎帝はボヤいた
青龍は笑って真っ赤な髪を掬ってキスを落とした
「時間は沢山あります
君と僕には無限の時間がありますから……
多少の面倒は片付けて差し上げて構いません!」
青龍は笑っていた
炎帝と青龍は炎帝の邸宅に戻った
寝室に青龍を連れ込むとベッドに押し倒した
「時間はあってもな、オレの欲望はそれまで保たねぇよ!」
そう言い青龍に口吻けを落とした
「青龍……舐めて濡らした所に挿れたくねぇのかよ?」
甘美な言葉は青龍を誘う
ズクンッと股間に血流が流れて熱をもたらすと……
先っぽが濡れる感覚を感じた
「青龍……オレはいらねぇのかよ?」
上着を脱いで……尖った乳首が目の前に晒されると……
青龍は止まれない感覚に………
突き動かされた
「欲しいに決まってるでしょ!」
聳え立つ肉棒を炎帝のお尻の穴に突き立てて……青龍は貪る接吻を送った
「挿れて……奥までお前が欲しい……」
その言葉に絆されて……
奥まで貫くと炎帝は仰け反った
「痛くはないですか?」
「痛みより……快感が強い……
日頃からお前が噛み付くから……
痛みを快感に変換できるようになったのかな?」
そう言い炎帝は笑った
ギュッと炎帝の秘孔が締まって青龍を唆した
「青龍は?……ねぇ………痛くないのか?」
炎帝は青龍の首に腕を回して……腰を動かしていた
「痛くないです
それよりも君が欲しくて……止まりません」
「なら我慢してた分……求め合おうぜ!」
炎帝しか口に出来ない言葉だった
この魂があれはこそ……惹かれて止まないのだ……
体躯は器に過ぎない……
魂の一欠片さえも愛しい……
僕の炎帝……
僕は君を離しはしません!
絶対に!
この身が滅びようとも……
僕は君を離しはしません……
滅ぶなら共に……
青龍は炎帝の中を確かめる様にゆっくりと腰を使った
掻き回して……貫いて……擦る……
翻弄されて炎帝は青龍を締め付けた
「炎帝……少し緩めて下さい……
まだ終わりたくない……
君の中を確かめさせて……」
「はぁ……はぁ……ぁん……あぁん……青龍……オレを離すな……」
「離す訳ないでしょ?
僕が君を離す日など未来永劫来ません
僕達は離れては生きられないのです」
「……あぁっ……クるぅ……イッちまう……」
「良いですよ何度てもイッて構いません
僕にだけ感じて、僕のだけでイキなさい」
「青龍だけ……青龍しか愛せない……
愛してる……愛してる……愛してる青龍……」
炎帝は魘された様に呟いた
止まれない欲望に突き動かされ……
欲望の赴くままに…貪り合った
黒龍達が、炎帝の邸宅に向かうと雪が応接間に通してくれた
ドアを開けると……噎せ返る程の……精液のにおいがした
全裸の炎帝に巻き付く様にして青龍が龍の姿で……丸くなっていた
炎帝は青龍の髭を握り締めていた
龍は片目だけ開けると
「兄さん……もう夜ですか?」と問い掛けた
雪は窓を開けて掃除を始めた
「すみません……掃除が終わるまで隣の部屋においで下さい」
雪は謝罪をして応接間を掃除していた
慎一も手伝い二人して掃除を始めていた
黒龍は青龍に「湯殿に行き体躯を清めて来るが良い!」と告げた
金龍や銀龍、地龍に銘、そして閻魔に健御雷神、天照大神に子ども達もいた
悠太と司命、そして司禄も訪ねて来ていた
青龍は人のカタチに戻ると炎帝を抱き上げた
炎帝の肢体には真っ赤な痕が散らばっていた
「慎一、炎帝の部屋から僕の着替えと炎帝の着替えをお願いします」
と、言い残して青龍は炎帝と共に湯殿へ向かった
金龍は「……炎帝……気絶してた……」と可哀相になって漏らした
赤龍は「あれは何時もだ!炎帝は今世は小さいから青龍が受け入れられないのか……って悩んでいたけどな……
どんだけ大きくなったって……抱き潰されると俺は想うな」と笑っていた
慎一は雪に教えて貰い炎帝の寝室に向かった
雪は慎一に「貴方が炎帝の執事なのですね」と問い掛けた
「………俺は炎帝に仕える者です……」と返した
「僕は炎帝の留守を任されてる雪です!」
雪は慎一に挨拶した
「炎帝が魔界に還られたら、その時は二人で炎帝を支えましょう!」
「………僕は……留守の時だけ……だから……」
「炎帝は留守の時だけなんて事は言わない
炎帝が還って来たとしても雪は炎帝の邸宅の使用人です!
そして俺は炎帝に仕える者
それは変わらないと想う」
「………慎一……僕……慎一となら上手く仕えられると想う……宜しくね」
雪は嬉しそうに笑った
「………その顔は北斗によく似てる……」
そう言い慎一は雪の頭を撫でた
「……北斗……?」
「そう。人の世にいる君の分身でしたね?」
「………北斗は……幸せなの?」
「幸せだよ」
「何時も笑ってる?」
「何時も笑ってるよ」
慎一が言うと雪は泣き出した
「僕は炎帝のお陰で…日々幸せだなって想うんだ
そんな時何時も想うんだ
もう一人の僕は……幸せなのかな?って……
楽しそうに笑ってるのかな?って……」
「北斗は日々頑張っているよ
君も日々頑張っている!偉いよ!」
慎一が言うと雪は泣き出した
そして「ありがとう慎一」そう言い炎帝の部屋に行き、着替えの場所を教えた
「炎帝と青龍の着替えは総て揃ってます」
教えて貰い青龍と炎帝の着替えを手にして雪と共に湯殿へ向かった
青龍は炎帝と仲良く湯に浸かっていた
「着替えを置いておきます」
そう言う応接間に戻って掃除の続きをした
黒龍や赤龍も手伝って掃除をしていた
黒龍は「………寝室に逝くのも我慢出来なかったかな……」とボヤいた
赤龍は「………アイツは時々見せ付ける時あるからな…」と思い浮かべた
朱雀は「手を止めるな!」と言い掃除しまくっていた
綺麗に掃除すると雪は炎帝の好きな香を焚いた
そして飲み物やつまみの用意をして健御雷神や金龍達を呼び戻した
皆が応接間に揃う頃、青龍は炎帝と二人、応接間に戻って来た
歩けないのか炎帝は青龍に抱き上げられていた
子ども達は「「「「「かぁちゃ とぅちゃ!」」」」」と炎帝と青龍の傍へとやって来た
青龍は炎帝をソファーに座らせると、子ども達を横に座らせた
「良い子にしてましたか?」
青龍が問い掛けると翔は頷いた
「翔、沢山食べて良いですからね」
「とぅちゃ……いいにょ?」
「良いですよ!沢山食べなさい!」
翔は楽しそうにフォークを手にしていた
流生は炎帝に甘えて抱き着いた
「かぁちゃ……」
「どうした?流生」
「ちゃみち……きゃった!」
「ごめんな流生……」
康太はそう言い流生の頭を撫でた
音弥は眠っていた
「………音弥、ずっと眠ってるのかよ?」
康太が言うと朱雀が
「怒り狂ってたろ?その後から気絶したように眠りについた……
弥勒が言うには……下手したら目覚めるかも知れねぇと言ってた……」
「………目覚める?……九曜の血が覚めたのか?」
「………かも……って言ってた」
「………ならば……もう音弥は……人の世に還せねぇじゃねぇかよ……」
神の力に目覚めれば……人の世に戻せは出来ぬ……
「………海路……おめぇの曾孫……
人の世に還せなくなっちまった……
兄弟を引き離せと言うのか……」
炎帝は酷な現実に……九曜神に問い掛けた
五人兄弟を引き離さねばならぬ事態になるなど……
想いもしなかった……
「………こんなんなら………連れて来るんじゃなかったな……」
悔やんでみても力を発動させて締まった現実は変わらない……
青龍は炎帝を抱き締めた
金龍は「何やら手立てはないか……知恵を出し合う!
だから……炎ちゃんは悲しまなくともよい!」と炎帝を励ました
「………金龍……一族総勢の前で……挨拶もしなかったオレなのに……助けてくれると言うのか?」
「炎ちゃん!あれは我が悪かった……
黒龍に叱られた……
無理強いすれば……その時は賛成と言ってても不平不満が出て来る……
そうしたら……誰にも止められない暴動となる
……そう黒龍に言われた
言われてみればそうだ……
一族の悲願だと言っても………
皆がそうとも限らない……
もう一度……審議を問う事に決めた……
炎ちゃん……本当にすまなかった……
許してくれ……」
金龍は炎帝に謝った
「……金龍……悪いのはオレだ……
金龍も感じてるだろ?
変革期以降の魔界の気持ち悪い……現状を……
少しずつ……歪んで……ズレているんだ
人を懐柔して……内側から崩壊させようと暗躍してる輩がいる……」
「そんな時こそ!
我等は揺らいではならぬのです!
我等が揺らげば相手は喜ぶだけだっ……
我は……明日一族に問うと決めた
長である以上は………
この事態の収拾は必死……
炎帝は何一つ……悪い事などしておらぬ
だから気に病む事などない!」
「………金龍、一族総勢集めたら………
オレに逢わせてくれ!」
「解った、約束しよう!」
金龍が言うと弥勒が姿を現した
「音弥の事は……九曜神に任せておけ……」
「………海路に逢ったのかよ?」
「逢わずとも視えておるであろ?
九曜の力が魔界でするのに知らん顔してる奴ではない……」
「………そうだったな……」
「音弥は人の世に還る
飛鳥井の五人兄弟の果てを狂わしてはならぬ………」
「………弥勒……」
「お主は何も心配せずともよい!
さて、飲むとしようぞ黒龍!」
「………そうそう!今は何も考えず……飲み明かしすとしよう!」
黒龍は酒をついだ
地龍は大人しく座っていた
炎帝は「地龍、新婚気分はどうよ?」と問い掛けた
地龍は笑って
「俺達よりも新婚気分はいますからね」と笑った
炎帝が何か言おうとした時、雪が姿を現した
「炎帝、虹龍が尋ねて参られてます」
「………通してくれ……」
「はい!」
雪は玄関に向かい虹龍を応接間に案内した
応接間に顔を出した虹龍は炎帝を見付けると近寄って抱き着いた
「崑崙山で平和式典をやる事をガブリエルに伝えました」
「ご苦労だったな虹龍」
「ガブリエルは了承して下さいました」
「そうか……なら兄者が日付を決めて平和式典を執り行うと良い」
「炎帝、君は参列しないのですか?」
「参列はする……見届けるが……出張りせぬと決めている……」
「それは好きになさい
君は立っているだけで象徴となるのですから!」
炎帝は虹龍を撫でていた
地龍は虹龍を見ていた
「炎帝……僕の用は終わりました
なので崑崙山に還ります」
「飯を食って逝けよ?」
「………炎帝……」
慎一が虹龍の前に食事を置くと、虹龍は食事を始めた
「………炎帝……美味しいです」
「そうか……」
虹龍は一切地龍を視界に入れなかった
虹龍には両親は誰か……とは教えてはいなかった
たが呼び合うのか……
虹龍は知っている顔をしていた
食事を終えて虹龍は還って逝くと……
金龍は地龍に酒を飲ました
黒龍も「飲め!兄の酒が飲めぬのか?」と辛み酒になりつつ……
弟を思い遣った……
青龍は弟に「地龍、銘を大切にしてますか?」と問い掛けた
「はい。銘を誰よりも幸せにすると約束しましたから…」
「銘、幸せに笑えてますか?」
青龍が問い掛けると銘は幸せそうに笑った
「夏海が次代の金龍を産みました……
夏海とは仲良くさせて貰って助け合ってます」
「10000年後……龍は世代交代する……
金龍も次代の金龍へと世代交代する
四龍の龍達も……しかりだ」
炎帝が言うと赤龍は
「10000年後、赤龍が継いだら、俺は一生になって余生を送ると決めている」
そう言い笑った
黒龍も「俺も黒龍を譲り渡したら黒いのでいいや!何も保たぬ黒いのになって過ごす
そして冥府の片隅に居着いて……
炎帝と青龍を見守るって決めてる」とご機嫌で言った
すると朱雀も
「お!それ良いな!
俺も次代の朱雀に譲り渡したら貴史に戻って、寿命を全うする
その後は冥府の片隅に居着いて、炎帝と青龍を見守るって決めてる!」
そう言い爆笑した
すると司命と司禄も
「「我等だって主は一人
次代の書記官と代替えしたならば
冥府の片隅に居着いて、炎帝と青龍を見守ると決めてます」」と声をそろえて言った
閻魔は「………皆さんズルい……」と子供みたいに言ってのけた
「我だって閻魔を次代に受け継がせたら、寿命まで全うして雷帝として生きて……
その後は冥府に居着いて炎帝と青龍を見守って逝くと決めてるのです!」と宣った
酔っ払いどもが好き勝手言い放題に言って
楽しく酒を飲み
騒いだ
気持ちの良い酒だった
一抹の不安も……
心配事も……
今は忘れて……飲み明かした
炎帝……
お前が幸せに笑っててくれるなら……
何でも出来るって想った
青龍と仲良く……
それしか願っていなかった……
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