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僕なんて

やっと階段を降り切ると、キッチンの方に2つの人形が見えた。 1人は黒髪でパーマが軽くかかったショートボブ、もう1人は茶髪のセンター分けでショートカット。 「カカ、味どう?」 「ちょうどいいわ、人間ならこの薄さで大丈夫よ」 ようちゃんは近くの椅子を引いて僕を座らせると、茶髪の方に向かっていった。 茶髪がカカ……お母さんか。 「トト、本当に夕馬を弟にして良いのでございますか?」 「ええよ、お前らがちゃんと見るならな」 「もちろん、めいいっぱいかわいがるもん!」 真昼と夜彦は冷蔵庫にいる黒髪の方に駆け寄っていき、コップに赤い液体を注いでもらっている。 優しい両親に優しい子ども達が笑っている……僕には眩しすぎだ。 「あの、僕なんか……ダメだと思います!」 僕は白いレースのテーブルカバーの上を両手でドンッと叩いて立ち上がった。 「人間だし、底辺のΩだし……なんにも出来ない僕なんか、家族になんて」 たくさん言いたいことがあるのに、喉に詰まって出てこないから俯いた僕。 その代わりに目頭が熱くなって、ポロポロと涙が出てくる。

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