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関係ないやろ

「関係ないやろ、そんなん」 思ってもいなかったことを言われて顔を上げると、黒髪の男性……トトが平然とした顔で赤いものを飲んでいた。 「そんなん気にすんのは、くだらない人間だけやからな」 真昼よりちょっと低いけど高い声で言い切ったトトだけど、口の周りは真っ赤なのが白い顔でよく目立つ上、豪快にげっぷをする。 「人間でΩ? あら、私と一緒じゃないの」 後ろに温もりを感じた瞬間にぐらんぐらんと頭を揺らされる。 「ここは三種の性も種族も関係ないのよ……男か女かも障害の有無もね」 揺れた余韻で酔いながらも、その犯人の顔を見ると、艶やかな茶髪、おでこに大きいほくろ、くりくりした瞳で思わず見惚れる。 「もう、かわい〜い〜♪」 今度はガシガシと雑に頭を撫でられるから、視界がぐるぐるし始めた。 抜けたトトと力が強いカカ……やっぱり面白い方達だ。 「Ωといえば、夜彦やな」 夜彦に白い布で口を拭いてもらいながらトトはポツンと言う。 「あら、奇遇でごさいますね」 夜彦はうふっと笑い、右目でウインクをする。 「αは百樹(ももき)さんと陽太よね?」 カカは僕の目の前にご飯と黒い箸を置いてそう言う。 「ゆーたんは将来俺の番だから♪」 上機嫌で今にも歌いそうなようちゃんの方を見ると、キッチンでなにやら盛り付けをしていた。

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