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地下牢にて-3

「・・・ひっ・・」 「・・・ふうん。顔は男性というよりは女性に似ているな・・・汚れを知らぬ。さすが王族といった所か」 その声に「えっ」という表情で桂樹が男を見た。 肩まで伸びた黒髪と逞しい褐色の肌が印象的な男が、目を逸らすことなく桂樹に黙って視線を向けている。 その様は彼を凝視しているというよりも、やや見下しているように彼の眼には映った。 熱のこもっていない切れ長の瞳は青みを増していて、見つめられるだけで吸い込まれてしまいそうな危うさを保っている。 その瞳が見下ろすように桂樹を見つめ、秘めた奥底を覗き込むように瞬きひとつしようとしない。 その視線から逃れようと桂樹は顔を逸らそうとしたのだが、男の手のひらが彼の顎を強く掴んでいる為、びくりとも動かすことは出来なかった。 「・・・・っ・・」 「女を抱くことは間々あるが、男の肌は久しぶりだ」 「・・・っ・・」 「脱いだ方が汚れんのだろうが、俺は気にする質ではないのでな」 その声に彼を知る同僚達がヒューッと口笛を吹いている。 恐らく初めて見る光景ではないのだろう。 物陰に隠れるように二名の男が立っている。銀色に光る前髪で顔の半分を隠す男は眼鏡を直しながら、やれやれと言った様子で肩を組み、その隣に立つ別の男は苦虫を噛み潰したような表情で桂樹に近付くその男を眺めていた。 「ハハハッ。お姫さんよぅ・・そいつのはでけえからなぁ・・壊れるんじゃねえぞ」 「・・・っ・・」 「優しくしてやるさ・・・優しくな」 「・・・・っ・・・ぅん・・」 拘束されたままの腕が静かに揺れる。 掴んでいた手の平が離れるや否や男が桂樹の唇を優しく吸うと、その動きに呼応するように桂樹の舌が遠慮がちに男の咥内へと入っていった。 「・・ぅうん・・っ・・・ぅん・・」 角度を変えながら桂樹の舌を男が自身の舌で転がすように絡ませている。ぬるぬるとした感触とちゃぷちゃぷと聞こえる淫猥な水音に重なるように、髪を梳く優しい手つきが何処か心地よく、自然と桂樹の頬が桃色に染まっていく。 『・・・こんな・・・おかしい・・』 おかしいと頭のどこかで何かが告げている。 おかしいと感じているのに抗うことが出来ないのは、桂樹の髪を撫でるその男の手の感触が壊れ物を扱うかのように優しく、何処か愛情を感じずにはいられなかったからだ。 唇を優しく離される寸前、ちゅうっと音を立てながら上唇を優しく吸われ、桂樹の心の臓がずくんと弾むような音を立てた。 「・・・可愛いな・・」 「・・あっ・・」 首筋を何度も優しく吸われ、ねっとりと舐められる舌の感触が心地良い。 冷え切っていた肌に熱が与えられるように、何度も男が首筋を舐めながら桂樹の胸の突起に指を伸ばすと、彼の身体がピクリと弾んだ。 「こんなに尖らせて・・」 「・・ひっ・・」 指の腹でコリコリと押しつぶす様に胸の突起を愛撫すると、それに呼応するように胸の突起がピンと尖り硬さを増していく。 「ふうん?感度は良いんだな。悪くない」 「ひっ・・」 胸の突起に触れられただけで、桂樹の肌がそれに反応するように熱を帯びていく。 その感触に男は口角を歪ませたまま、桂樹の首筋を強く吸い上げた。 「・・あっ!・・」 胸の突起に伸ばされていた指が腹部へと滑り落ち、触れるか触れないかの力加減を保ったまま、腹部と腰を撫で続けている。 くすぐるような愛撫を直に受けながら、桂樹が顔を背けるたびに吊るされた拘束具が荒い金属音を奏で、同時に吊り下げられた腕が揺れた。

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