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見えないはずのモノ(7)

今、千早の前には、赤羽、黄牛。そして緑、白、黒の水干を来た男の子が神妙な顔をして正座している。 千早は、驚きを通り越して冷静になっていた。 千早の隣に座っている志津が 「黒い水干は、黒い泉と書いて『黒泉(こくせん)』。 白は、白く響くと書いて『白響(びゃっきょう)』。 緑は、緑の春で『緑春(ろくしゅん)』。 あ、そうそう。 『赤羽』は赤い羽、『黄牛』は黄色い牛よ。 千早、今から言うことを真面目に聞いて頂戴。」 今までに聞いたことのない志津の声音に、千早も思わず正座して姿勢を正した。 どんな話でも受け入れよう。 目の前のこの5人は、今、現実にここにいて、俺を守っているらしい。 何故守られる立場なのか、それによって俺は彼らに何を与えることができるのか。 あの夢も…きっと関係がある。 この土地に戻ってきてから何かが動き始めている。 千早はゴクリと唾を嚥下した。 居住まいを正した志津が、話し始めた。 「千早…あなたはこの世界の救い主。 この5人は、あなたを守る五つ星。五気(ごき)とも呼ばれているわ。」 「救い主? あなた“達”って?俺以外に誰かいるの?おばあちゃんのこと?」 「千早は過去世に何度も生まれ変わり、この世界を救ってきたの。 あなたを守り、その手助けをしてきたのが彼ら。 子供の姿なのは、まだ本来の力を取り戻せていないからよ。 まだ半分、その力が足りないから…」 「その半分って?誰かの力が必要なの?」 「そう。千早…思い出せない?まだ時は満ちてないのかしら…」 千早は、はっとした。 「まさか、あの夢の…」 志津は嬉しそうに微笑んだ。 「夢?夢に現れていたの? …そうよ…千早、あなたの最愛のご主人…(ぬし)様よ。 何度生まれ変わっても見つけ出されて結ばれる。 魂の伴侶。」

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