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“主様”復活(2)

神々は通常、普通に『神様』とか『〇〇の神』とか呼ばれている。親しみを込めて『〇〇さん』と呼ばれることも多い。 真名、とはとても大切な名前で、本当に愛する伴侶にしか教えてもらえない特別なものだ。 千早しか知らない彼の真名は『暁』。 二人っきりの時にしか口に出せない名前だ。 その名前をかみしめるように、千早はキスの合間を縫って、何度も何度も彼の耳元でささやいた。 目の前で繰り広げられる熱い抱擁に、完全体となった5人は目のやり場もなく視線を泳がせていたが、志津は『いつものこと』とどこ吹く風で泰然としていた。 やがて…ぴったりとくっ付いたまま離れぬ千早を横抱きにして、やっと主が部屋の中へ入って来た。 「志津殿、世話になった。 それと…庭木をダメにしてしまった…すまない。 後で緑春に任せるので許してくれるかな?」 「何を仰います。お帰りなさいませ、主様。 お待ち申し上げておりました。」 「お前達、大儀であった。 千早を守り、覚醒を待ってくれて感謝する。」 「ありがたき幸せ。主様、ようこそご無事で。お帰りなさいませ。」 主の復活で、大人の姿になった5人も感無量で口々に復活を喜び合った。 肝心の千早は、もうすっかり記憶が戻ったのか、二度と離れまいとでも言うように、周りの目を気にする風もなく愛しい伴侶にくっ付いて離れようとはしない。 これまた同じく主も、そんな千早を固く抱きしめて久し振りの逢瀬を噛み締めていた。 そんな2人を温かな目で見ていた志津は、ふっと真顔に戻ると 「主様。あなたと千早がこうやって巡り合えたというのは心から喜ばしいこと。 …でも…この世に害をなす者達が、いつまたこの世に出てくるかと思うと…」 その目は深い怒りに満ちていた。

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