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「あづい…」
近場のコンビニまで徒歩10分。
残暑厳しいこの時期は、たった10分でさえも、ひどく長く感じる。
(もう、溶ける…いや、蒸発する…
存在が消えちゃう)
ガッシャーン
「っ!」
視界の先にコンビニが見え始めた頃、突如ガラス製のものが割れる音がした。
辺を見渡すも、窓やガラス張りの扉が割れた気配はない。
(あー、この暑さでとうとう幻聴が…)
ブーッブーッ
「ひっ!」
今度はズボンの後ろポケットに入れていたスマホが震えた。着信だ。
結構心臓に悪いな、これ。今度からかばんに入れよ。
(誰かからの電話………
あー、さよなら俺の休日。
ようこそ社畜ライフ……)
心の涙を流しながらスマホを手に取ると、そこには〈MSC〉と書いてあった。
(えむえすしー?存じ上げない…誰?どこ?あ、でもこれ上司とか取引先とかで、もしも出なかったら……
困る…ガチで存在が消えちゃう…)
ポチッと通話ボタンを押す。
『あ〜、もう出るの遅いですよ!
さっさとしてください!3人目さん』
そしたら、聞き覚えのない若い女性の声がした。
◇◆◇
だ、誰だ…?!思い当たる節が全くない……。
!もしかして、新手の詐欺?!
「あ、あの…どなたでsy『全く…何をしてるんですか?さっさと準備をしてください。
あと、耳…てか頭?が目に入ってすごく嫌なんですケド……
ほら、スマホを離して!!』
「は、はい!」
(ビデオ通話だったっけ?いや、普通の着信だったけど…)
詐欺とかなんとかは置いておいて、声の主であろう〈彼女〉の言う通りにする(ちょっと怖かった)と、スマホ画面に、謎の美少女がいた。
そう、ビデオ通話で映ってるーとかじゃなくて、本当に「いた」んだ。
ちょっと語彙力が足りないから、頑張って想像してほしいんだけど、画面に浮いてる感じ。ふわふわしてる。
「『えええええ?!』」
もちろん驚いて叫んだ。
なぜか〈彼女〉も叫んだんけど……怖
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