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第5話

※※※※※※※※※ ようやくランドセルよりも体の方がしっかりしてきた頃だった。 歩く度に、教科書やノート、筆箱が鞄の中で擦れてガチャガチャとうるさい。 けれど、それよりも、耳障りな音が周囲に蔓延していた。 ぺちゃくちゃと話す声。 好奇の目で、自分たちを見てくる視線。 子ども心に、それは心地のよいものではないのだと分かった。 「 ――― と出て行っちゃったんですって」 「やぁだ、ほんと?かわいそうね」 家に帰ると、母が蹲って泣いていた。 慰めなきゃと思ったが、ふとガランとした家の中に不安を感じて、悠亜はキョロキョロと周りを見渡す。 いつもなら真っ先に母を慰めてくれるのに。 自分が不安な時、必ず抱き締めてくれるのに。 「お母さん、 ――― は、どこ?」

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