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第26話 怒りの根本を思い出す

 最低なコトを言っている自覚はあった。  友達と恋人に優劣をつけろなんて、馬鹿げてる。  網野は、気を使って連絡してこなかったんだ。  大の大人が、僻んで、拗ねて……。  子供より質が悪い。  思っているのに、妬みを止められない屁理屈を捏ねる自分が、嫌になる。 「鞍崎さんは、馬鹿なんですか?!」  ば、ば、ばか??!  なんで俺がバカ呼ばわりされなきゃいけねぇんだよっ。  あまりの驚きに、俺は、瞬間的に言葉を失う。 「俺の優先順位なんて、鞍崎さんが、ぶっちぎりの1位に決まってるじゃないですかっ」  網野は、人差し指を1本立て、自慢げに翳して見せた。  次の瞬間、ぴんっと立てていた指先が、しおしおと萎れていく。 「うるさくて嫌だったんだと思って、謝ろうって思ってたんですよ」  でも、あいつらイチャつきだして、なかなか帰ってくれなくて……と、言い訳染みた言葉を、ぼそぼそと付け足す網野。  “イチャつき”の言葉に、なんで通話を切ったのかを思い出した。  電話を掛けて来なかったコトを、怒っていたんじゃない。  うるさくて嫌だったんじゃない。  網野が女の胸、揉んでるって聞こえて。  動揺しているその声も、なんだか嬉しそうにさえ感じたから。  そこからの網野ノンケ説じゃねぇかっ。 「おっぱい揉んで喜んでたヤツが、そのままがいいなんて言ったって、信じらんねぇんだよっ」  投げ捨てるように声を放った。  そうだよ。  俺が怒っていたのは、電話を寄越さないからじゃない。  嬉しそうに女の子のおっぱい揉んでた網野にムカついたからだよっ。

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